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1億人を虜にするNetflixに隠された、レコメンド機能のアルゴリズムの秘密

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世界最大の動画配信サービス『Netflix』。世界190か国以上で動画を配信しており、その契約者数はなんと1億人以上。日本の総人口に近い、驚異的な数字です。

そんなNetflixで視聴されている番組や映画の80%以上は、実は「レコメンド機能」を通じて選ばれています。つまり視聴者が動画を選択するとき、多くの場合はNetflixのアルゴリズムが選んだ作品を視聴しているということです。

今回は世界中の人を虜にするNetflixの魅力の秘密を、レコメンド機能のアルゴリズムという視点から紐解いていきます。

Netflixの「レコメンド機能」とは

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Netflixは何千もの番組を配信しており、それぞれのユーザーにおすすめの番組を提案するレコメンド機能があります。

Netflixを使っていると、「主人公が左利きのロマンチックなドラマ」といったように、とても細かいジャンル分けがされていることに驚かされます。では、Netflixはどのようにしてそのようなジャンルを思いつくのでしょうか?そして、どのように1億人以上のユーザーにぴったりの番組を見つけているのでしょうか?その答えが、機械学習、アルゴリズム、そして創造性です。

これら3つの魔法の要素は、ユーザーが自分では思いつかないようなジャンルの番組を提案することを可能にします。中でもそのアルゴリズムは、レコメンド機能の根幹をなす存在です。

レコメンド機能とアルゴリズム

レコメンド機能は、さまざまな場所から収集されたデータをもとに構成されており、ユーザーの視聴する番組の傾向に合わせて調整されています。こうした調整をするために必要なのが、アルゴリズムです。機械学習をベースにしているNetflixのようなシステムは、ユーザーの行動によって自らを変化させます。

ユーザーが番組や映画を見ているあいだ、Netflixはデータを収集し、アルゴリズムを更新します。つまり、ユーザーが動画を見たぶん、アルゴリズムが最新のものに更新されるのです。こうして収集されたデータは複雑で多面的ですが、こうしたデータからはユーザーが好むジャンルといった情報以上のものを得られます。

Netflixのプロダクトイノベーション担当副社長であるトッド・イェリンは、2017年のWIREDによる取材に対し以下のように答えています。

「これらのプロファイルからわかるのは、ユーザーが視聴した番組とその順番、一年前になに何を視聴していたのか、最近なにを何時に視聴しているのか、といった情報です」

レコメンドの表示方法

Netflixのシステムは、ランキング、検索、類似性、評価などの機械学習アルゴリズムによって動いています。すべての動画を一度にユーザーに提示するわけにはいかないので、数をしぼるための仕組みが必要なのです。高評価の作品とユーザーが個人的に好む作品は異なるため、映画レビューサイトのようにはいきません。

netflix-3▲パーソナライゼーションアプローチの進化

Netflixはユーザーの好みを判断し、複数のグループに分けます。こうした情報は画面上部に「おすすめ」として表示される作品や、表示の方法に影響します。視聴傾向が似ているユーザーについては、お互いの情報を参考におすすめが提案されます。

機械学習アルゴリズムには、国を問わず同じタグが使用されます。また、Netflixは作品をより細かく分類するために、人力で「ビジュアルが印象的なノスタルジックなドラマ」や「地味なロードトリップムービー」などのジャンルを考案してきました。

こうして収集されたデータをもとに提示されるのが、以下の図のようなおすすめの作品たちです。左上がもっともおすすめ度が高く、右下がもっともおすすめ度が低い、という構成になっています。

netflix-4▲水平よりも垂直に目をとおす可能性が高い

なぜ行で表示するのか

Netflixの機械学習エンジニアであるクリス・アルヴィーノは、使いやすさを重視してこのような表示方法を採用していると説明しています。

特定のグループの作品を連続して表示し、行ごとにわかりやすい名前をつけ、適切な順序で表示することで、ユーザーは自分が視聴したい作品があるかひと目で判断できます。好みの作品があるかどうかによって、行をさらに掘り下げることも、スキップすることも可能です。

デバイスごとに一度に表示できる作品数は異なるため、デバイスごとの表示方式を細かく変更する必要があります。

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行はそれぞれユーザーの好みにあわせてカスタマイズされています。ユーザーが現在関心のあるジャンルだけでなく、未開拓のジャンルも提案するために、適切なグループを作成する必要があります。

レコメンド機能は新鮮でレスポンシブなだけでなく、使いやすさも重要です。好みの作品を安定して提案できるように気を配らなければいけません。

netflix-6▲ドラマ「ハウス・オブ・カード」のキャラクター、クレア・アンダーウッドが視聴していそうな動画

レコメンド機能とタイトル画像の関係

Netflixは最近、ユーザーにそれぞれ独自のタイトル画像を提供するという新しいおすすめアルゴリズムを実装しました。これもNetflixがユーザーを虜にするための仕組みのひとつです。このアルゴリズムも、日々収集されるデータに基づいています。

Netflixのゴパル・クリシュナンブログでこの新しいアルゴリズムについて解説しています。Netflixはビッグデータと創造性を効果的に組み合わせ、ユーザーが好む作品が膨大な作品に埋もれないようなフレームワークの作成に取り組んでいます。そうした取り組みの結果として、どのような画像がそれぞれのユーザーにとって効果的かを理解するに至りました。

すばやく心を掴むために

netflix-7▲画像がないNetflixのWebページ

Netflixは、90秒以内にユーザーの心を掴まないとユーザーが興味を失うと考えています。すばやくかつ効果的にユーザーの目を惹ける画像は、こうしたニーズに応えてくれます。

ひとつ作品に複数のタイトル画像

数々の実験とテストの結果、Netflixはひとつの作品に対して複数のタイトル画像を表示することに大きな活路を見出しました。作品の情報をより多くユーザーに伝えられるこのアイデアは、ユーザーの反応も良好でした。

下の画像はドラマ『アンブレイカブル・キミー・シュミット』の第2シーズンタイトル画像のうち、特に人気だったものです。

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ユーザーの好みに合わせたタイトル画像

netflix-9▲ドラマ「ストレンジャー・シングス」のタイトル画像。作品の魅力をさまざまな側面からアピールしている

さらにNetflixは、大多数の人に効果的なタイトル画像だけでなく、それぞれのユーザーに効果的なタイトル画像を表示するようなシステムの構築にも挑戦しました。

特定のユーザーに表示するタイトル画像を決定するために用いるのは、そのユーザーの視聴履歴のデータです。たとえば映画『パルプ・フィクション』を例として考えると、ユマ・サーマンが出演している作品を好むユーザーには、ユマ・サーマンのタイトル画像を表示するのが効果的です。一方、ジョン・トラボルタのファンにはジョン・トラボルタのタイトル画像を表示するのが効果的でしょう。

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タイトル画像をパーソナライズするためのシステムがすべてこのような仕組みであるとは限りませんが、データをもとにこのような決定がなされているのは確かです。

おわりに

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さまざまな情報のバランスをとって、パーソナライズされたWebページを作ることは容易ではありません。しかしだからこそ、改善できるポテンシャルを秘めているともいえます。

このようなパーソナライズに関するテクノロジーの進化は応援したい一方、動画を視聴し続けることについては疑問もあります。毎週新しい作品を見つけて動画を見続けることは、私たちの生活にどのような変化をもたらすのでしょうか?お気に入りの作品を連続で視聴していると、幸福な気持ちになります。でも、それはなぜでしょうか?

テクノロジーことも含め、まだ多くのことが未知数のまま。これからも注目したい分野です。

(原文:Josefina Blattmann 翻訳:Asuka Nakajima)

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