OKRとは?KPIやMBOとの違いは?シリコンバレー式目標管理の最先端

BUSINESS

IntelやGoogle、Facebookをはじめとしたグローバル企業が導入している目標管理方法として、近年注目を集めている「OKR」

一般的な目標管理方法であるKPIやMBOとは、どのような違いがあるのでしょうか?

「OKRという言葉を聞いたことはあるけれど、どんなものかわからない」という方へ、そのメリットや運用方法についてご紹介します。

OKRとは

OKRとは 「Objective and Key Result」の略で、組織や個人のObjective(目標)と、それを達成するために必要なKey Results(主要な結果)の2要素で成り立っています。OKRの目的は、チームや個人の目標を、会社の目標とリンクさせることです。

大まかなOKR設計の流れは、次のようになっています。

  1.  会社の目標(Objective)を達成するために、各部署が目指すべき具体的な指標(Key Results)を設定
  2.  「会社のKR」を「部署のO」に落とし込み、対応する「部署のKR」を作成
  3.  「部署のKR」を「個人のO」とすり合わせ、最終的な「個人のKR」を完成

このように各段階でOKRを決め、連動させることにより、会社・各部署・各個人が同じ方向を向いて働けるのです。

OKRの全体図

OKRを設定する時のポイント

O(目標)を設定する際のポイントは次の3つです。

  1. 定性的であること
  2. 簡単ではなく、社員がチャレンジしようと思えること
  3. 短期間(1〜3ヶ月)で達成できること

目標設定は野心的であることが望ましいです。社員の「失敗してもいいから挑戦する」という姿勢を後押しし、モチベーションを高める効果があります。

次に、KR(主要な結果)を設定する際のポイントは以下の3つです。

  1. 定量的であること
  2. 数は2〜5個であること(3つ程度に絞るのが一般的)
  3. 社員の能力より少し高い目標であること

KR(主要な結果)は具体的で、達成度が数字で可視化できるものが好ましいです。自分の達成度を常に確認でき、モチベーションを維持する効果があります。

また、KRはO(目標)に合わせ、ハードルを高めに設定します(ストレッチゴール)。成功の基準となる達成率は60〜70%程度に設定するのが一般的です。このような非常に挑戦的な目標を「ムーンショット」と呼びます。

目標達成を後押しするために、KRごとに、10段階評価の「自信度」を設定しましょう。はじめは自信度が5になるように設定します。週ごとに進捗を振り返りながら、社員自身に「思ったより達成できそうだ」と感じたら6、7と上げ、逆に「厳しいかもしれない」と思うようであれば4、3と下げてもらいます。上司はこれをもとに、何が原因で自信度に変化があったのかを考え、部下にとってハードルになっていることがあればサポートしましょう。

また、あまりに到達が難しい目標設定をしてしまうと、中には「どうせ100%は無理なんだから」とモチベーションを下げてしまう人もいます。人や場合によっては、「頑張れば100%到達できそう」な数値目標(ルーフショット)をKRに設定してもよいでしょう。

OKRと並行して、目標が妥当かチェックするために使いたいフレームワークが「SMART」です。以下の記事で詳しく解説しています▼

OKRとKPIの違い

OKRのチェックポイント

目標管理方法として一般的なのは、KPI(Key Performance Indicator)です。KPIは、企業の達成目標であるKGI(Key Goal Indicator)を各部署ごとに達成すべき数値に落とし込んで設定します。

例えばKGIが「市場のシェアを3位から1位に伸ばす」であるとき、営業部門は「新規訪問数○件」「新規受注件数○件」、マーケティング部門は「ページビュー数○%増」「インバウンドの問い合わせ数○%増」などの形でKPIを設定します。

また、OKRが60%〜70%の達成率を前提としたストレッチゴールであるのに対し、KPIは「100%達成できたかどうか」で評価されるのが一般的です。達成できたかどうか・どの程度達成できたかが一目でわかるため、KPIの達成度合いはそのまま人事評価に流用できます。

OKRとMBOの違い

業績評価のマネジメント方法として、KPIと並んで用いられるのがMBO(Management By Objectives)です。

MBOとOKRは同じ目標管理制度ですが、レビューの頻度・測定基準・共有範囲・目的・目標達成の期待値の5つの点で違いがあります。

レビューの頻度

MBOは半年もしくは年に1回、レビューを行います。社員が一年間の目標を設定し、年末に業績を評価します。

それに比べ、OKRは1ヶ月〜四半期という短期間でのレビューを推奨しています。高頻度のレビューにより、細かい軌道修正が可能なのがOKRの特徴です。

測定基準

MBOでの測定方法は定量的、定性的またはその両方を用いるなど、組織によってさまざまです。

OKRの場合は、「SMART」のフレームワークをもとに定量的に測定していくので、簡単かつ明確な測定ができます。

共有範囲

MBOで設定した目標は、本人と上司のみで共有されます。個別に目標を設定されますが、全体に公表されることはありません。

OKRでは、設定した目標がチーム内で共有されます。OKRでの個人の目標は企業の目標とリンクするため、チーム内で公開し連携をとる必要があります。

目的

MBOの目的は、1年間での業績をもとに従業員の報酬を決めることです。そのため、個人の業務をそのまま評価に直結させる目標管理システムです。

OKRでは、あくまで企業が高い目標を達成するためのシステムです。そのため、目標に対する評価が個人の報酬に結びつくようなことはありません。OKRの目的は従業員全体が同じ目標のもと働くことにあるのです。

目標達成の期待値

MBOでは、目的達成と報酬が直接結びつくため、100%以上の達成度が求められます。

他方、OKRでは60〜70%程度の達成度が期待されます。逆に毎回100%達成できてしまう目標は野心的でないと評価されます。

OKR導入による3つのメリット

OKRによりチームワークが深まった

OKR・KPI・MBOは、一見するとよく似た目標管理方法です。しかし、OKRは近年、KPIやMBOよりも優れたフレームワークとして注目されています。

OKRには他の方法と比較してどのようなメリットがあるのでしょうか。以下、3つのメリットを紹介します。

1. 従業員エンゲージメントの向上

OKRのポイントは、会社のObjective=定性的なビジョンと個人のKey Result=定量的な結果を結びつけるように目標設定を行うことです。会社の一体感や貢献への実感が得られ、会社への愛着(エンゲージメント)が湧くでしょう。エンゲージメント向上により、従業員のモチベーションを高く維持できます。

KPIも企業の目標(KGI)とすり合わせて決定する目標ですが、KGIは定量的に測れる指標を設定することが推奨されています。するとKGIは多くの場合「会社の売上目標」になってしまいがちです。OKRのように個人の目標と会社のビジョンとをすり合わせる過程がないため、売上目標と自分にとってのメリットが結びつかず、エンゲージメント向上の効果は薄いでしょう。

また、MBOは上司や人事評価担当者と部下の関係でのみ共有される仕組みです。上司が会社のビジョンを正確に理解しつつ、部下のやりたいことをくみ取り、相互に納得できる目標設定と評価ができているなら問題はないでしょう。しかし、一方的な押し付けや会社のビジョンとのズレなどがあると、上司への不信感につながり、社員のエンゲージメントやモチベーションに悪影響を及ぼしかねません。

2. 仕事の優先順位を明確化できる

KPIやMBOの考え方では、目標の数に目安を設けていません。しかし、もし目標があまりに多ければ、その分やることも増え、何から片付ければいいのかわからない状況に陥りやすくなります。

一方のOKRは、シンプルかつ野心的な目標を設定し、かつ数も絞り込むことで、従業員個人が目標に向かって注力できる環境を作ることを重視します。「目標達成のために何をすべきか」を行動の指針とすれば、優先して行うべき仕事が明確になります。日々の業務を雑多で漠然としたものにしないために、OKRが重要なのです。

3. コミュニケーションの増加

MBOの考え方では、進捗の確認と振り返りは半期または全期を終えてからとされていました。そのため、普段から上司と部下がコミュニケーションを取り、目標達成までのプロセスを評価する体制が整っていることが望ましいです。結果だけを見ていると、その過程にあった努力や成長のきっかけを見落としてしまう恐れがあります。

これに対しOKRでは、毎週・毎月・四半期ごとといった細かい頻度での進捗確認を推奨しています。小まめに振り返り、フィードバックを行うことで、努力の過程を可視化できるのです。常に目標に向かって前進していることを実感することは、社員のモチベーション維持にもつながるでしょう。

OKRの導入&運用5ステップ

1. 会社のOKRを立てる

まずは、会社のOKRを立てます。経営陣だけで決めてしまうのではなく、多くの従業員から意見を聞いて決めるのが望ましいです。

2. 各部署のOKRを立てる

次に、各部署のOKRを決めます。会社のOKRと整合性は取れているか確認しながら決めていきましょう。ここで、各部署同士でもOKRをチェックしあい、可視化するのも重要です。

3. 各個人のOKRを立てる

上司や同僚などと話し合いながら、会社、部署のOKRと矛盾がないか確認します。

4. 週に1度チェックを行う

OKRの中でこの作業が非常に重要です。上司がOKRの進行度や課題などについて確認します。自分が今どの位置にいるのかを客観的に教えてもらうことにより、目標と自分の行動がブレにくくなります。このとき、10段階評価の自信度がどのように変化したか、社員は上司に報告し、上司はその変化の原因に寄り添うようにしましょう。

5. 最終評価を行う

期間の最後にスコアリングによって、達成度などの最終評価を行います。

OKR

▲例:自社サービスを開発しているIT企業のOKR

OKRを運用する際の5つのコツ

1. 温和なコミュニケーション

OKR運用の際、上司と部下のしっかりとした関係構築が欠かせません。

短期間で目標の達成度チェックと再設定を繰り返すため、上司と部下で話し合う機会が必然的に多くなります。部下が上司を怖がってしまい、深い話ができないような関係では、OKRを効果的に運用することは難しいでしょう。

もちろん、部下の姿勢も重要です。OKRの特徴である野心的な目標を立てるために、「自分がどうしたいのか」をはっきり提示しましょう。仕事以外の悩みやビジョンなどを相談するのも、よい関係を築く上では効果的です。

2. 人事評価に直接関係させない

OKRを人事評価とつなげてしまうと、達成しやすいように保守的な目標設定になってしまう恐れがあります。逆に、「OKRに基づいて野心的な目標を設定したが達成できなかった」という場合、この目標達成率が人事評価に直結していると、従業員が不当に人事評価を下げられたように感じてしまうでしょう。こうならないためには、OKRと別の人事評価制度と組み合わせることが必要です。

360°評価のような定性的な指標や、相対評価に基づくインセンティブ制度などを併用するとよいでしょう。

3. 週ごとのフィードバックを行う

個人の目標がぶれていないかのチェックや進捗の確認、プロセス評価のために、毎週フィードバックを行います。どうしても時間が取れないときは2〜3週間分のフィードバックを一度に行う方法でも構いません。

4. 目標設定に時間をかけすぎない

会社の目標と自分の目標の整合性を気にしすぎるあまり、目標設定に時間をかけすぎてしまうのはもったいないことです。シンプルに、一言で言い表せるようなObjectiveを設定しましょう。経営層は会社の目標を継続的に発信し続け、社員に意識づけるのも大事です。

5. 自分の行動と会社の目標のつながりを明確化させる

個人の行動が会社にどう貢献しているのかを明確化させるのは従業員のモチベーション維持につながります。そのため、OKRを運用していくためにも、成果を可視化できるシステムが必要になってきます。

まとめ

Googleをはじめとする有名企業で導入が進むOKR。社員の目標管理に困っている企業の方は、運用を検討してみてはいかがでしょうか。

とはいえ、流れに乗ってやみくもに運用するのではなく、自分の会社に合うやり方を見極めることが大切です。

(参考図書:OKR(オーケーアール)シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法

 

こちらもおすすめ!▼

SHARE

RELATED

  • お問い合わせ
  • お問い合わせ
  • お問い合わせ