意外と知らない議事録の書き方。「使える議事録」3つの形式

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プロジェクトを進めていくなかで必ず書き残すのが、議事録です。検討した過程や結果、今後とるべきアクションなどを明確に記録するドキュメントとして、議事録は必須のツールです。

一方で議事録作成は面倒な作業であり、それが有効活用されることも少ないイメージを持たれています。しかしそれは大きな誤解で、議事録を正しく使うことでプロジェクトの進行管理は大幅に楽になります。今回はどうすれば少ない手間で、使える議事録が作成できるかをご紹介します。

後藤洋平
後藤洋平

プロジェクト工学提唱者。株式会社ゴトーラボ Founder/CEO。「チームに覇気がなく一体感がない」 「議論が空中戦になりがち」 「無駄な会議で時間を浪費しがち」 そんな組織の炎上体質を改善するための、プロジェクト工学ワークショップを提供しています。

「使える議事録」3つの形式

なぜ議事録作成が、面倒で、誰にも評価されない仕事というイメージがあるのか。それは世の中に「使える議事録」が少ないからです。形式上必要だから、とりあえず残すもの。そんなふうに位置付けてしまうと、確かにそれはあんまりやりたくない半端な作業に思えてしまいます。

本来、議事録とは、仕事を効率化するための有用なツールです。そして「使える議事録」とは何かというと、それは「目的と形式が一致した議事録」といえます。

なお、「使える議事録」をTPOに応じて分類すると、大きく以下の3つの形式に分かれます。

  1. 総論・報告重視型
  2. 証跡としての役割重視型
  3. タスク推進型

1. 総論・報告重視型

その案件の進行上の重点事項として、経営陣や上長への説明・報告が重要視されている場合は「進捗は計画どおりか、ギャップはどこか、対策は何か」が簡潔にまとめられる議事録が有用になります。

「進捗は順調なのか、そうじゃないのか」「どこで詰まっていて、何が必要なのか」それが端的に伝わるフォーマットで、内容も充実していれば、ステークホルダーとの意思疎通もやりやすく、余計な時間をとられずに済みます。

2. 証跡としての役割重視型

大規模SIプロジェクトなどでは、ユーザーとベンダーの間での合意形成を記録し、証跡(ある事が行われたという証拠となるもの)として議事録が必要になる場面もあります。

そうした場合は、議題の結論だけでなく、むしろ議論の過程をしっかりと記録することが大切になります。発言者は誰か、その場におけるメッセージが何であったかを、正確に残さなければならないのです。

会議の直後にそうした発言要旨録を作るのは面倒に思えますが、実はとても使えるツールになり得ます。会議中はどうしても緊張感があり、脳がホットになるため、議事録を作ることで論理の矛盾や飛躍を見つけられます。

少し冷静になって議論の経過を振り返り、語尾やメッセージを細かく確かめていくと、その背景にある要望や状況が見えてくることも。結果、その後の方針が立てやすくなるのです。

3. タスク推進型

ものづくりをするメンバー同士の、タスクの割り振りや合意事項の再確認が最優先、という会議もあります。そうした場合はもちろん、「完了したこと、これから着手すること、その担当者と納期」がリストアップされるのが望ましいものです。

タスク推進型の場合は、会議中に議事録をプロジェクターなどで映してしまい、てきぱきと状況確認、今後の予定確認、宿題の洗い出しと割り振りができれば、メールやSlack、チャットワークなんかで延々とやりとりするよりも、パパっと話が整理整頓できます。

議事録の共有タイミングとその方法

議事録はその形式も大切ですが、議事録を送った相手にその内容が伝わるための工夫もしましょう。

「1. 総論・報告重視型」の場合は、スピードよりもまず関係各者に忘れず共有することが大切です。大きなトラブルがない限りは、議事録の共有は当日〜翌日中でも大丈夫でしょう。

「2. 証跡としての役割重視型」の場合は、勝手な思い込みで記載してしまうようなことがあったら、後々大問題となります。しかるべきレポートラインに則り、内容に間違いがないことを確認すべきです。また「内容を確認した証跡」も残す必要もあります。できれば当日中、どんなに遅くても翌日の午前中までには議事録の確認と共有を終えたいところです。

「3. タスク推進型」の場合は、議事録が読まれ、内容に合意されることが最大のポイントになります。異論があったら解消する必要もありますし、可能であれば会議の終了時に即座に議事録を共有し、その場で内容に合意してもらうのが最も効率的です。ベストな共有タイミングは、会議終了後1時間以内といえます。

いずれの場合も、議事録の内容と会議の内容のギャップを最小限に抑えるのが肝心です。

「使える議事録」を作れる人は、ビジネス進行そのものをリードできる人

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議事録はメンバーの意識を共有し、時短に繋げられるツール

あなたがもし「使える議事録」を書くことができたならば、チームのメンバーはその議事録を必要とし、進んで参照するものになるでしょう。実はそれは作業の時短にもつながる状況です。

いま仕事がどのような状況にあって、何が必要か。誰がどんなボールを持っていて、それはいつ返ってくるのか。刻々と状況が変化するプロジェクトにおいて、発生しているものごとを議事録によって系統立てて位置付けることは、メンバー全員の意識を揃えることにつながります。

また対面で話し合って説得したり、別途資料を作ってメリットを提示して誘導したりするのは、非常に手間がかかる行為ですが、議事録があればその手間をいくらか省けるでしょう。

議事録の書き方でおすすめしたい「公開リアルタイム筆記」

最後にお伝えしたいのが、議事録の「書き方」です。テープレコーダーで録音して会議後に書き起こしたり、手書きで手元にメモを残しておき会議後に補足したりなど、人によって書き方のスタイルはさまざまかと思います。

ちなみに筆者は、みんなの見ている前で議事録を取り、内容を見せながら司会進行する方法をおすすめします。自分が話したことがその場で文字に起こされると、自然と人の視線も意識も集中しますし、意図と違う内容がないか、その場で確認・修正もできます。会議が終わったときには、最後のチェックと仕上げだけをすればよいので、余計な時間も手間もかかりません。

つい面倒で若手に任せてしまいたくなる議事録ですが、使いようによっては非常に大きな威力を発揮するものです。ぜひご参考ください。

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