プロジェクトマネジメントのツール7選。使い方/長所/注意事項を徹底解説

半数以上のITプロジェクトが失敗しており、その85%は人的問題・マネジメントが要因だといわれているITプロジェクト。

昨今はITやエンジニアリングに詳しい人でなくても、ある日突然、プロジェクトにアサインされることが少なくありません。そのうえ多くのビジネスパーソンは、プロジェクトの進め方を体系的に学ぶ機会に乏しく、見よう見まねの自己流で進めているケースが多いのが実情です。

ITプロジェクト失敗させないためには、発生した課題をきちんととらえて、それおを解決していくためのツールを使いこなすことが大切です。今回は、どんなプロジェクトでも有効な7つのツールについて、その長所や使用上の注意を解説します。

後藤洋平
後藤洋平

プロジェクト工学提唱者。株式会社ゴトーラボ Founder/CEO。「チームに覇気がなく一体感がない」 「議論が空中戦になりがち」 「無駄な会議で時間を浪費しがち」 そんな組織の炎上体質を改善するための、プロジェクト工学ワークショップを提供しています。

プロジェクトマネジメントのツール7選

1. プロジェクト憲章

使い方

「プロジェクト憲章」という言葉をご存知でしょうか。あらゆるプロジェクトに応用できる、プロジェクト推進の指針としてアメリカで提唱されているPMBOKの基本概念です。当該プロジェクトを、会社が公式に認可する役割をもちます。

プロジェクト憲章で定義すべき主なものとして、下記が提唱されています。

  • プロジェクトの目的とその妥当性
  • 測定可能な目標および成功基準
  • プロジェクトへのハイレベルな要求事項、前提条件、制約条件
  • スコープ、リスク、スケジュール、予算
  • プロジェクトの成功判断に関する、事項、人
  • プロジェクトマネージャーの責任と権限

長所

プロジェクト憲章を定めるメリットは、「誰が、なんのために、どのようにして、何をつくるか」という根本的なところが明確になることです。

実際には、このような文書が存在しなかったり、不完全な内容であっても、なんとなく阿吽の呼吸でプロジェクトが進む、というのは現場ではよくあります。

しかしそれでは、ひとたび大きな想定外やトラブルが発生してしまったとき、ものごとを調整するための基準が定まっていないため、プロジェクトが炎上するリ恐れがあります。

だからこそプロジェクト憲章を定め、仕事を進める指針を作っておくのです。

使用上の注意

プロジェクト憲章を作るうえで大切なのが「おおまかに作る」ことです。

日本のビジネス慣習では、事前に細かい部分まで検証・評価してから着手する傾向にあります。しかしPMBOKでは、まずはざっくりとしたことを定義し、詳細は進めながら段階的に明らかにしていくことを推奨しています。

2. キックオフミーティング

使い方

キックオフミーティングはその名のとおり、プロジェクトを実行するにあたって、関係者が一堂に会して正式にスタートを宣言する会議のことです。

なにやら難しそうな感じもしますが、実はキックオフミーティングのアジェンダはとてもシンプルです。

  1. プロジェクトの背景と目的(なぜやるか)
  2. 成果物(なにをやるか)
  3. 組織体制(どこで、誰が、どのようにやるか)
  4. スケジュール(いつまでにやるか)
  5. 連絡窓口(どうやるか)
  6. 補足、直近のアクションについての確認

長所

このような内容は「文書化して配布し、各自読んでもらえばOK」と思われるかもしれません。しかし対面で顔を合わせることには、とても重要なメリットがあります。

キックオフミーティングを対面で行うメリットは、各メンバーに使命感や一体感をもってもらえることです。自分にどのような役割が求められているのか、役割を達成するためには、何をすべきで、何が不足しているか。これらを具体的にイメージすることで、さまざまな想定外トラブルにも対処できるようになります。

使用上の注意

大切なのは「うまくいきそうだ」というポジティブな面の強調と、「気を引き締めないといけない」という危機感の醸成、このバランスです。

人間だれしも、面倒で、リスクが高くて、評価がされない仕事には巻き込まれたくないもの。どちらかといえば、勝ち馬に乗りたいものです。かといって良いことばかりを並べても、緊張感をゆるませる危険があります。さじ加減が大切です。

3. WBS

使い方

WBSはWork Breakdown Structureの略で、日本語に訳すと「作業分解構成図」となります。プロジェクトのスケジュール管理に使われるツールのひとつで、仕事全体を細かな作業に分解し、構造化することで管理する、という発想の手法です。

どんなに大きなプロジェクトでも、一つひとつは細かな作業です。最初に必要な作業を洗い出し、それぞれの作業に必要なコストや人員配分を割り出して、スケジュールを立てていきましょう。

長所

全体としては複雑で規模の大きなプロジェクトであっても、きちんと要素に分解して解きほぐしていくことで、一つひとつの仕事は具体的になり、解決可能になります。

その前後関係や因果関係も明らかになれば、何を、どの順番で進めればよいかも分かります。そうして初めてスケジュールを立てることができ、また計画と実績の比較も可能になるのです。

使用上の注意

WBSを上手に作成するのは、実は非常に難易度の高い仕事です。よく考えて作業を分解したつもりでも、意外なところに抜け漏れや勘違い、早とちり、考慮不足があるもの……。

根拠が明確でない「なんちゃってWBS」は、かえって進行の邪魔になってしましいます。WBSの扱いは要注意です。

4. 定例会議

使い方

多くのプロジェクトにおいて、週に一度(または隔週)の頻度で開催される定例会議。作業が予定通り進んでいるか、課題がどこにあるか、それは解決できそうか、といったことが話し合われます。

参加者の現状認識を揃え、次に何を狙いとして、どのようなアクションを取るかの合意形成をするための会議です。

長所

定例で関係各位が集まることで、仕事にリズムが生まれ、プロジェクトの定点観測が可能になるのが、定例会議の最大のメリットです。

あるプロジェクトに対して、全てのメンバーが専属でそれにあたる、ということは少ないものです。とくに部門横断で一時的なプロジェクトチームが組成される場合は、各メンバーはそれぞれの「本業」を抱えながら共同作業を行うことになります。

バラバラな認識や状況を一元的にまとめることで、連携が良くなるのです。

使用上の注意

定例会議は、上手く使えばプロジェクトがどんどん前に進むようになる、有用な場になります。しかし形式的な報告だけに偏ると、実質的な議論が薄くなってしまいます。また事前の準備が不足すると、議論が錯綜してまとまらなくなったり、かえってプロジェクト進行を妨げてしまうリスクもあります。

しっかりとファシリテートすることが肝心です。

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5. 議事録

使い方

議事録とは読んで字のごとく「議事の内容・審議経過・議決事項などを記録したもの」です。こう表現すると、さぞ当たり前の話に見えるかもしれませんが、実は非常に奥が深いのが議事録の世界。

全体としての状況を報告する、証跡としての過程を残しておく、直近のタスクを漏れなく割り振り推進する……といったように、プロジェクトの状況や目的に応じて使い方を変更するのが大切になります。

長所

人間とは、時間の経過とともに、物事をどんどん忘れてしまう生き物です。

話し合った内容をコンパクトに整理し、議事録に文字として残すことで、前後関係や詳細を明確に記録できます。

使用上の注意

議事録を残すことはもちろん大切ですが、実際に進めたい作業のための時間を圧迫してしまっては、元も子もありません。

いかに「議事録のためだけの作業時間」を最小化するかが大切です。そのためには、議事録に適した形式やフォーマットを採用し、書くと同時に頭の整理ができる、発信したらそれ自体が作業指示としてコンパクトにまとまっている、といった状態を目指すのがおすすめです。

6. タスク・ToDo管理

使い方

こまごまとした雑多なタスクがたくさん発生するプロジェクトでは、一つひとつの作業を地道にこなしていくだけでも大変です。

そこでタスクをToDoリストにして管理することで、「誰が」「何を」「いつまでに」完了させるかを明確にするのです。

長所

一つひとつのタスクをチケットとして発行し、ToDoリストとして管理するウェブサービスは、これまでにさまざまなものが提供されています。代表的なのが『redmine』や『Backlog』。使ったことがある方も多いのではないでしょうか。

ローカルPC内でExcelで管理すると、ファイルのバージョン管理や更新ルールの統一などの関係で運用が難しいですが、ウェブサービスを利用することで管理、可視化がしやすくなります。

使用上の注意

よくあるのが「新しくToDo管理ツールを導入するのが面倒」という問題。

メールやSlack、はたまたSkypeにExcelと、情報チャネルが乱立している人も多いため、あらかじめ運用イメージを関係各位がきちんとすりあわせておかないと、混乱が生じてしまう危険があります。

7. 課題管理

使い方

タスク・ToDo管理と並んで難しいのが、課題管理です。

課題はプロジェクトの開始時は検知されておらず、進めていくなかで発生するものです。そのような課題なだけに、簡単には解決できないものも多く、また解決できなかった場合、プロジェクトを進める前提条件がひっくり返ってしまうこともあります。

そうならないために、課題は発生したら、きちんと管理しなければなりません。

具体的には、以下のような内容を台帳管理していきます。

  • 何が起きているか
  • どこに影響があるか
  • 解決策はどのようにして立案するか
  • 誰がいつまでに決裁するか

長所

課題が発生したときに、即座に上記の内容を整理できてはじめて、進めるべきタスクがきちんと前に進むようになります。

とくに定例会議の場では、予定どおり進んでいることについては軽く触れるのみで、重要課題についての意思決定にボリュームを割くようにしましょう。

使用上の注意

課題管理で大切なのは「解決への道筋をつけること」です。常に代案やプランBを準備しておき、最悪の事態を回避できる策を提示できるようにしておきましょう。

それこそが、プロジェクトマネジメントの極意ともいます。

プロジェクト管理ツールは導入が肝心

7 tools

あなたはエクセル派?ウェブサービス派?

さて、ここまプロジェクトを進めるための道具について、概要をご説明してきました。これらのひとつひとつは、ExcelやWordなどのOfficeソフトで個別に作成し、管理することができます。

しかしここで大変なのが、更新管理です。二重管理や先祖返りが発生している、更新箇所が分からない等……資料を読み解くのにも精いっぱいの状態だと、実際の作業を進める時間が圧迫されてしまいます。

そこでおすすめなのが、ウェブ上で使える便利なプロジェクト管理ツールです。最近は必要な機能が一通り揃っているものが多く、とても便利で頼もしい存在です。たとえば『マンモスプロジェクト』はおすすめです。

ちょっと待って!「ツールを使うのが目的」になってしまってませんか?

しかし、一点だけお伝えしたいのが「本当にそのツール、効果を発揮しますか?」ということ。本当に一つのツールで管理が完結するのはまれで、なんだかんだでExcelやその他のツールを併用し、報告用にはパワーポイントでスライド資料を作成する……なんてことも多いもの。

その結果、「ツールによって便利になる」ではなく「頑張ってツールを使っているけど、かえって作業を圧迫している」ということになっている例も多く見聞きします。

「道具に使われない」ための、プロジェクトマネージャの心得三か条

最後に「道具に使われる」のではなく、「道具を使いこなす」ようになるための3つ心得をご紹介します。

  • 「不要なものは使わない」
    キックオフ前に、必要十分なツールを見極める
  • 「使うと決めたら徹底的に」
    キックオフ時に、ツールの運用ルールを説明する
  • 「手取り足取り、労を惜しまない」
    プロジェクト序盤戦で、運用を徹底させる

初めましてのメンバーが多いほど、情報チャネルをチームに定着させるのは難しいものです。

一番肝心なのは、プロジェクト序盤。混乱が広がったあとに収束させるのは難しいので、的確に事前に状況を読み、早いうちにツール定着化を図りましょう。

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