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Raspberry Pi(ラズベリーパイ、ラズパイ)シリーズは日本のプログラマーに愛されるシングルボードコンピューターですが、似た製品は他にも数多くあります。しかし、細かい機能やスペック、価格などは製品によってさまざまです。
本記事ではラズパイシリーズの強みと現状を解説したのち、ラズパイ以外に小型シングルボードコンピュータを13個選んで比較しました。これからシングルボードコンピューターの利用を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
※本記事に掲載している価格は2022年9月時点の情報です。同モデルのスペック違いや、購入するショップなどによっても価格差があります
シングルボードコンピューターとは、「むき出しの基板の上に、コンピューターを動かす際に必要な、CPUやメモリを搭載した簡易的な小型コンピューター」の総称です。
シングルボードコンピューターには以下の特徴があります。
低価格で高性能、さらには軽量感による使いやすさが魅力で、日本でも多くのプログラマーやエンジニアがシングルボードコンピューターを使用しています。
シングルボードコンピューターは、プログラミング学習から、クラウドと連携したIOT技術を使った高レベルな製品の作成、電子工作(例えばLEDライトの点灯など)の勉強などさまざまな使用用途があります。
まずは自分の使用目的を明確にしましょう。教育用やプログラミング学習用、趣味で使うのであれば、高スペックなシングルボードコンピューターは必要ありません。しかし、本格的なプログラミングをするのであれば、高スペックなシングルボードコンピューターを選びましょう。
シングルボードコンピューターは、数千円から、数十万円まで幅広い価格帯で販売されています。同じシングルボードコンピューターでも価格によって容量や対応機能が異なります。
自分が必要としている機能や容量を確認して、それに見合う価格の商品を購入しましょう。
使用するプログラミング言語はエンジニアの方によって異なり、プログラミング言語によって開発できるものも大きく異なります。
多くのシングルボードコンピューターはPythonやPerlなどの軽量なプログラミング言語に対応していますが、自分の扱える言語が対応しているかを事前に確認しましょう。
冒頭でも触れたように、シングルボードコンピューターには多くの種類があります。しかし、日本だけでなく世界でもこの分野で一強ともいえる地位を築いているのが、イギリス発のシングルボードコンピューター『Raspberry Pi(ラズパイ)』シリーズです。
もともとは教育用のツールとして2012年に発売され、発売当初から好調な売れ行きを記録。後には産業用にも使われるようになり、2017年には累計出荷台数が1700万台となりました。
これまで、Raspberry Pi 1、Raspberry Pi 2、Raspberry Pi 3、Compute Module 、Raspberry Pi Zeroなど、多くのモデルが販売され、シングルボードコンピューター市場に君臨してきたのです。
ラズパイのBシリーズ最新作は、2019年に発売された『Raspberry Pi(ラズパイ)4 Model B』です。前作の『Raspberry Pi(ラズパイ)3 Model B+』に比べると、かなりハイパフォーマンスなモデルとなっています。
以下の表で、具体的にスペックを比較してみましょう。
4 Model B | 3 Model B+ | |
CPU | ARM Cortex-A72(1.5GHz) | ARM Cortex-A53(1.4GHz) |
機能 |
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|
価格 | $35(発売当時) | $35(発売当時) |
全体的に性能を向上させつつ、発売時価格は3B+と同じ。4Bも過去のモデル同様、幅広いユーザーに支持されて現在に至ります。シングルボードコンピューターの購入を検討するうえでは、まずラズパイを検討するべきという状況に変わりはありません。
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圧倒的な支持を集めるラズパイシリーズですが、結論から言うと2022年現在は入手が困難になっており、しかもコスパがかなり悪化しています。要因は以下の3点です。
とくに大きな要因が世界的な半導体不足による生産量の低下で、ラズパイの在庫がないのはもはや当然として、新規注文すら不可能になっている販売店が非常に多いです。
一応、通販サイトによっては辛うじて在庫も確認できましたが、価格の高騰が激しく、信頼できない業者も多いように感じました。「じゃあ、海外から個人輸入しよう」と思っても、為替の問題から割高感は否めません。
まとめると「ラズパイの入手は困難で、仮に入手できてもコスパが悪化している」というのが現状です。
ラズパイの入手が困難なのは事実です。しかし、冒頭で触れたようにラズパイのほかにもシングルボードコンピューターはたくさんあり、ラズパイ以外の選択肢を検討する価値はあります。
たしかにラズパイは優秀なモデルですが、これだけ入手困難&割高となれば、他社のモデルを選ぶメリットも高まってくるからです。
もちろん、他社モデルにも半導体不足や円安の影響はあるでしょうが、タイミングによってはラズパイより安く、カンタンに入手できる可能性も高いでしょう。そこで、以下ではラズパイの代替になるシングルボードコンピューターをまとめてみました。
『Arduino Industrial 101』は、LinuxベースのLinino OSで作動するシングルボードコンピューターです。
IEEE 802.11b/g/nに対応したオンボードWi-Fi、USBポート、GPIO、イーサネット用ピン、DC/DCコンバーターを標準搭載しており、micro USBケーブルでパソコンと繋いで使用できます。しっかりと日本国内で技適マークを取得しており、国内でもWi-Fiが利用できるのが特徴です。
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開発元 | Arduino |
価格 | 4,725円(税込) |
言語 | C言語 / C++ |
CPU |
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OS | Linino OS |
機能 |
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オープンソースとして開発され、中国で生産されている『Banana Pi(バナナイパイ)』は、ラズパイよりもひとまわり大きいサイズのシングルボードコンピューター。そのフラッグシップモデルといえるのが、『Banana Pi M5』です。
名前の通り露骨にラズパイを意識したモデルではありますが、高性能クアッドコアCPUを搭載。Android、Lubuntu、RaspbianなどのOSに対応するなど、単なるコピー商品とはいえないクオリティを誇ります。
ただし、Wi-Fi機能を標準で搭載していないなど、ラズパイに劣る部分もあるのは事実です。
開発元 | SinoVoip |
価格 | 13,200円(税込) |
言語 | – |
CPU | Amlogic Cortex-A55(2.0xxGHz) |
OS |
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機能 |
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『UP Core』は最新のタブレットテクノロジーである高性能および低消費電力の機能を備えたミニチュアボードです。
CPUはAndroid(Marshmallow)、Windows 10、Linuxに対応。メモリ容量はRaspberry Pi 4Bの下~中位モデルと同じ1GB~4GBのモデルがあるため、負荷のかかる作業をしても大丈夫です。
開発元 | AAEON |
価格 | $93 |
言語 | – |
CPU | Atom x5-Z8350(1.44 GHz) |
OS |
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機能 |
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学校教育のために開発され、イギリスの学校に無料で配布された『micro:bit』は、非営利で活動する機関によって制作されました。
現在はフィンランドからアイスランド、シンガポール、スリランカまで広く世界中の学校で使われています。小中学校の教師向けの素晴らしい活動やレッスンプランも揃えているので、教育に携わる方におすすめのシングルボードコンピューターです。
ARM Cortexをプロセッサーとし、5×5のプログラムが可能なLEDマトリックスを搭載しています。また、複数のボタンと磁力計、加速計も用意されているので、子どもも飽きずにプログラミングができるでしょう。
開発元 | BBC |
価格 | 3,950円(税込) |
言語 |
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CPU | ARM Cortex M4ベース(64 MHz) |
OS |
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機能 |
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「簡単でシンプル」をモットーにデザインされたデバイスです。キャッチコピーが「Linuxの10秒起動と5分以内の開発開始を1本のUSBケーブルで」とあるように、ストレスない動作を可能にするシングルボードコンピューターです。
プロセッサーはARM Cortex-A8を搭載し、OSはLinixに対応。小型ながらHDMI、S-Videoポートなどを搭載しているほか、オンボードGPUのおかげで、2Dのみならず3Dのレンダリングをすることもできます。
もともとはプログラマー向けに開発されたものなので、プログラミング用途に向いています。
開発元 | TI |
価格 | 9,557円 |
言語 | – |
CPU | ARM Cortex-A8 |
OS | Linux |
機能 |
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『NanoPi Fire3』は、SAMSUNGの高性能オクタコアプロセッサを搭載したシングルボードコンピューターです。
OSはAndroidとDebianに対応。「nano」を冠するだけあって小ささは折り紙付きで、寸法は75x40mmとなっています。スペックに対して価格がやや高騰気味ですが、小型のシングルボードコンピューターをお探しの方にはおすすめです。
開発元 | FriendlyARM |
価格 | 8,800円(税込) |
言語 |
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CPU | ARM Cortex-A53(1.4GHz) |
OS |
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機能 |
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『ODROID-XU4』はHardkenelのフラッグシップモデルです。
オクタコアのCPUを搭載した高効率な平行処理が可能な端末ながら、低電力で稼働するのが特徴。非常にハイスペックといえ、スペック面ではラズパイ4Bにも引けを取りません。
高性能のぶん、CPUファンが多少のノイズを出しますが、ハイエンドなシングルボードコンピュータを探している方はぜひチェックしてみてください。
開発元 | Hardkarnel |
価格 | $59 |
言語 | – |
CPU | ARM Cortex-A15(2.0GHz)、Cortex-A7(1.4GHz) |
OS |
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機能 |
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『Orange Pi 5』は、ラズパイに似せた商品でありながら、本家以上のスペックに挑戦する意欲的な姿勢が特徴。オクタコアCPUはもちろん、メモリ上限は32GBで、32GBのストレージとBluetooth(5.0対応)機能を搭載します。
さらにGPUを搭載することで8Kビデオのコーデックにも対応するなど、ラズパイを完全に負かしている点も少なくありません。まだ発売前の商品ですが、今後の動向に要注目です。
開発元 | Xunlong Software |
価格 | -(発売前) |
言語 | – |
CPU | ARM Cortex-A76(2.4GHz)、Cortex-A55(1.8GHz) |
OS |
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機能 |
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『pcDuino V2』の特徴は、商品が届いたらすぐに開発環境を構築できる点です。あらかじめUbuntuがストレージ内にインストールされているため、インストール作業が必要ありません。GPUも標準搭載されており、グラフィックが重要な作業も可能です。
品薄、価格高騰が続くジャンルながら執筆時には在庫を確認。在庫処分価格として5,400円から販売されているので、すぐにシングルボードコンピューターを入手したい方にはおすすめです。
開発元 | LinkSprite |
価格 | 8,910円(税込) |
言語 | – |
CPU | ARM Cortex-A8(1GHz) |
OS |
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機能 |
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AMDの高性能CPUを搭載しているモデル『UDOO BOLT V8』。モバイルGPUも搭載することで最大4画面同時の画像処理や、3Dレンダリングにも対応しています。性能的に多少のゲームくらいならプレイできてしまうかもしれません。
ただし、2018年の発売時点で価格が300ドル前後とかなり高めだったため、現在は価格が550ドルに高騰しています。また、公式通販サイトでは現在品切れ中です。廉価版のBOLT V3もリリースされているため、あわせて検討してもいいでしょう。
開発元 | UDOO |
価格 | $550 |
言語 | – |
CPU | AMD Ryzen Embedded V1605B(2.0GHz) |
OS |
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機能 |
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『VoCore2』はオープンハードウェアです。すべてがオープンソースのシングルボードコンピューターで、OSはLinuxディストリビューションのLEDEで起動します。
機能がたくさんあり、USBポート、Wi-Fi、20以上のGPIOが、2.54cm×2.54cmのとてもコンパクトな本体に搭載されています。
IoTの他にもスマートハウス、ルーターなどに使うことができ、小さいながら多機能なシングルボードコンピューターです。
開発元 | OpenWrt |
価格 | $17.99 |
言語 | – |
CPU | MT7628AN(580MHz) |
OS | Linux |
機能 |
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『Tinker Board 2S』は、PC関連製品の生産で有名なASUSが開発する優れた互換性と性能を備えたシングルボードコンピュータです。
ARMベースのプロセッサであるRockchip RK3399を搭載した6コアCPUのパワーは大きく、以前のモデルに比べてGPUやWi-Fi、Bluetooth性能が強化されました。有名メーカーであるASUS生産という信頼性も魅力の商品です。
開発元 | ASUS |
価格 | 16,950円(税込) |
言語 | – |
CPU | ARM Cortex-A72(2GHz)、Cortex-A53(1.5GHz) |
OS |
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機能 |
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PINE64から2018年にリリースされたシングルボードコンピュータのハイエンドモデル『RockPro64』。
搭載されているSoCはRockchip RK3399で、従来品と比べ約2.2倍の処理性能を誇ります。またシングルボードコンピュータでありながらPCle 4xスロットを搭載しており、PCパーツの使用が可能な点も特徴です。
価格は59.99ドル〜で、その内容から考えるとお手頃な価格と言えるでしょう。
開発元 | PINE64 |
価格 | $59.99~ |
言語 | – |
CPU | ARM Cortex-A72、Cortex-A53 |
OS |
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機能 |
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多くの人が、シングルボードコンピューターの入門として、まずはラズパイを買いたいと思っていることでしょう。有名商品なので手を出しやすく、コミュニティも充実しているため、手に入れられれば間違いのない選択です。
一方で、そもそもラズパイは入手困難になっていますし、Wi-Fiやオストレージなどの標準搭載機能がラズパイよりも優れているものも多いです。極めてハイスペックな製品もあれば、ひとつの機能に特化した製品もありましたね。
(執筆&編集:Workship MAGAZINE編集部)
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