「若くて優秀な人」を求める会社が、結局誰も採れない理由
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株式会社健王建材の総務兼人事担当である人事 ひよ吉(じんじ ひよきち)は、またしてもオフィスで一人、うんうんと唸っていた。
社長から下されたのは、「若くてリテラシーがあって、インターネットに詳しい人を採れ!」という無茶なお達し。
自分なりに求人票の書き方を試行錯誤したものの、手応えはゼロ。画面に映る「応募者数:0」の無慈悲な数字が、ひよ吉の心を容赦なく折っていく。
「若くてリテラシーがあってインターネットに詳しい人、ねえ……。うちみたいに地味な建材屋に、そんなキラキラした優秀な若手が来るわけないよなあ……」
窓の外を眺め、遠い目をするひよ吉。そこへ、背後から聞き慣れた、それでいて心臓に悪いほど強く鋭い声が響く。
「おやおや! ひよ吉さん、また砂漠で一粒のダイヤを探すような真似をしていますねえ」
現れたのは、人材サービス業界歴20年のベテラン・ミスターHRだ。彼が現れたということは、ひよ吉の「できているつもり採用」に、ふたたびメスが入ることを意味している!
【話し手】

歴20年のベテラン採用コンサルタント。このたび健王建材の人事部に採用コンサルとして参画することになった。
【聞き手】

健王建材の総務兼人事担当。「若くてリテラシーのある人」を採れと社長に言われている。これまでの施策を惰性でなんとなくやっているが、応募数は右肩下がり。うーん、どうしたもんかしら。
ミスターHR:
ひよ吉さん。さっきから眺めているその求人票、「若くてリテラシーがあってインターネットに詳しい人」と書いてあるようですが……私の見間違いですか?
迷える人事:
いえいえ、間違ってないですよ。やっぱり今の時代、インターネットに強い若手が一人くらいは欲しいじゃないですか。失礼だけど社長はもう歳だし、僕だってめちゃくちゃ詳しいわけでもないし。
でもミスターHR、これがまた、まっっっったく応募が来ないんですよ……。やっぱりうちみたいな無名の、そよ風が吹くだけで飛んでいくような中小建材屋じゃ、若くてリテラシーの高い層には見向きもされないんでしょうか……。
ミスターHR:
ふう〜〜〜〜……ひよ吉さん。応募が来ないのは会社が無名だからでもなんでもなく、あなたの言葉が「誰の心にも届かない呪文」になっているからですよ。
迷える人事:
じゅ、呪文?
ミスターHR:
いいですか。「若くて優秀」「インターネットに詳しい」。今ドキこんな言葉、求人票に堂々と書いている企業なんて皆無ですよ!
ひよ吉さん、もしあなたが転職を検討中だとして、「若ければ若いほどいい」なんて時代錯誤なことを書いている企業に「素敵! 是非とも応募したい!」と思いますか?
迷える人事:
ぐぅっ!でも、実際そういう人が欲しいんだから、そう書くしかないじゃないですか!
ミスターHR:
まだまだ「中小企業病」が巣食っている証拠ですねえ、典型的な症状が出ちゃってます。「考えたつもり」「そうするしかない」で思考が止まってるんです。
ターゲットの解像度を上げないまま採用を始めるなんて、目隠しをしてダーツを投げるようなもの。
「若くて優秀な人」が欲しいなんて当たり前です。だけど、そんな人材を狙っている競合企業は星の数ほどある。そのなかで、勝てる根拠はありますか?
迷える人事:
ウッ……。今回もボディブローがキツイです、ミスターHR……。
ミスターHR:
そもそもね、ひよ吉さん。その「インターネットに詳しい」という表現。これ、よくよく考えればおかしいと思いません?
若手がこの文言を見たらどう思うか、ちょっと想像してみてください。
迷える人事:
え?「この会社はDXを推進していきたいんだな」って思ってもらえるんじゃ。
ミスターHR:
逆ですよ、逆!若手からすれば、求人票にそんな言葉があるだけで「この会社、ITリテラシーが絶望的に低いな」と判断され、「そもそもインターネットに詳しいって何?何を求めてんの?」と思われて終了です。
「入社したら、おじさん上司たちのPC設定やExcelの雑用を全部押し付けられそう」。そんな未来を察知して、即ブラウザバックですね。
迷える人事:
うわあああ!良かれと思って書いた文言が、むしろ地雷を踏んでいたなんて。
ミスターHR:
「ITに詳しい人が欲しい」、これが御社のニーズであることは理解しました。
しかし、本当に若手を呼びたいなら、「インターネット」とは何を指しているのか、「詳しい」とはどの程度のスキルなのかまで細分化して書く必要があります。
- SNSの運用をしてほしいのか?
- エンジニアやプログラマーを求めているのか?
- それともマーケター的資質がほしいのか?
このあたりを具体化しないまま「インターネットに詳しい人」なんて呼び方でまとめちゃってるのは、プロ野球チームが「運動神経がいい人募集〜!」って言って回ってるのと同じですよ。
迷える人事:
た、確かに……。そんな怪しいチーム、誰も来ないですね……。
迷える人事:
ミスターHR、お話を聞いていて「応募してもらいたいなら、解像度を上げろ」っていうのは痛いほど分かったんですけど……正直、具体的には何から始めればいいんですか? 求人票のキャッチコピーをひねり出せばいいんでしょうか?
ミスターHR:
いきなり具体的なアクションを取る前に、まずは「ペルソナ」を決めるといいですね。
迷える人事:
でた、ペルソナ! マーケティング界隈とかでよく聞く、なんかカッコいい横文字。意味は……「人物像」のことで合ってますか?
ミスターHR:
そうです。採用におけるペルソナとは、自社が本当に必要としていて、かつ自社にフィットする、たった一人の理想の人物像のことです。
迷える人事:
たった一人、ですか。
ミスターHR:
そうです。ペルソナは架空の人物とはいえど、いかにも「いそう」なくらいリアルに作り込むのがコツです。
ペルソナさえ決まれば、おのずと具体的にやるべきアクションも固まってきます。
たとえば、飲食店の経営を想像してみましょう。顧客ターゲットが「安くてガッツリ、腹一杯食べたい働き盛りの人」なのか、「たまのご褒美に、こだわりのオーガニック食材で作られたメニューをゆっくり楽しみたい人」なのか。
これによって、出すべきメニューも、店の内装も、看板の出し方やPRの仕方も、いろいろ変わってくるでしょう?
迷える人事:
確かに! ガッツリ食べたい人にヴィーガン向けのサラダボウルを勧めても、あんまり刺さらなさそうですもんね。
ミスターHR:
採用もまったく同じ。ターゲットが「若くて優秀でインターネットに詳しい人」なんて曖昧なままでは、ラーメンを求めている人にフレンチをおすすめするような、チグハグなことになってしまう。
まずは、誰を口説くのか、そのピントを極限まで合わせる。そこからすべてが始まるんです。そして、そのピントを合わせる作業=ペルソナ作成ってことです。
迷える人事:
なるほど。でも、ペルソナを絞ったら、ますます応募が減っちゃうんじゃないですか?
ミスターHR:
ひよ吉さ〜ん、「数」にとらわれていますね。先日、採用は口説きでありプロポーズでもある、という話をしたの、覚えていますか?
誰でもいいから手当たり次第に100人に声をかけて全員に振られるのと、たった一人の理想の人に全力でアピールしてOKをもらうの、どちらがゴールですか?
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迷える人事:
……圧倒的に、後者です。
ミスターHR:
そうでしょう? 面接も同じです。お互いに最適なマッチングをするためにも、ペルソナを固める作業は欠かせないんですよ。
ペルソナが明らかになれば、面接での受け答えを通じて価値観がマッチしているかどうかを確認できます。
たとえば、「理不尽なルールや物事に、どう対処してきましたか?」とたずねたとして、「石の上にも三年」と根性で乗り越えるのか、話し合いで解決するのか、合理的にその場を去るのか。どういう答えを出す人が自社に向いているのか、判断しやすくなるわけです。
迷える人事:
「なんとなくこういう人が欲しいな〜」じゃなくて、自社の求める人材に合致するかどうかを、パズルのピースを合わせるように確認していくわけですね。
ミスターHR:
その通り!しかも、共通認識を持てば、面接官によって評価がブレることも防げます。これもまた、ミスマッチな採用を防ぐための重要なポイントなんですよ。
迷える人事:
じゃあ、どうやってペルソナを設定すればいいんでしょうか?求めるスキルや経験、みたいなところですかね?
ミスターHR:
それも大切ですが、まずは「その人が何をきっかけに前職を辞めたのか」を具体的に想定してください。いわば退職理由ですね。これがペルソナ設計の第一歩です。
迷える人事:
えっ、ネガティブなところから考えるんですか?
ミスターHR:
そうです。これを私は「ペイン(=不満)の特定」と呼んでいます。
- 年功序列で、どんなに頑張っても給料が変わらない
- 非効率な紙の文化が残っていて、無駄な残業が多い
- 上司や先輩に相談しても「昔からこうだから」と一蹴される
たとえば、こういう職場環境に「もう耐えられない!」と思い、転職を検討している28歳がいるとします。その人にとって、うちの会社は救いの神になるでしょうか?
迷える人事:
うーん。うちは確かに地味ですけど、社風はフラットで風通りは良いし、新しい提案は「やってみなよ」って言ってもらえる環境です。
ミスターHR:
いいじゃないですか! だったら、求人票に書くべきは「若くて優秀でインターネットに詳しい人」ではありません。
「『昔からこうだから』という言葉に辟易しているあなたへ。うちは不格好ですが、あなたの改善案を頭から否定しません!」。こういう、思いが伝わるメッセージを書けばいいんです。
迷える人事:
なるほど!コツが分かってきたぞ。
迷える人事:
(充分にペルソナを整理したノートを前に)
よーし、ペルソナも固まった。これで最強の求人票ができるはず! ミスターHR、これでもう安泰ですよね?
ミスターHR:
おやおや、ひよ吉さん。もしや「一回ペルソナを決めたら、あとは果報を寝て待つだけ」なんて思っていませんか?
迷える人事:
えっ、ダメなんですか?こんなに解像度を上げたのに。
ミスターHR:
ペルソナは、いわば仮説です。その仮説が正しかったかどうかがわかるのは、あくまでも市場に出してみたあと。成果が出る会社は、運用しながらペルソナを柔軟に微調整しているんですよ。
迷える人事:
微調整、ですか。
ミスターHR:
たとえば、ペルソナを細かく絞りすぎてまったく応募が来ないなら、「年齢を28歳から34歳まで広げてみようか」と検討する。
逆に、応募は来るけれどミスマッチばかりなら、「もっとペイン(不満点)の絞り込みを厳しくしよう」と狭めていく。
迷える人事:
なるほど。一度作った型に執着せず、反応を見ながら広げたり、狭めたりを繰り返すわけですね。
ミスターHR:
その通り! 採用は生モノです。市場の状況や、自社の事業フェーズに合わせて、ピントが合うまでペルソナを変え続ける。この粘り強さを持つ人事が、自社に合う一人を勝ち取るんです。
迷える人事:
ミスターHR……。僕、ただ「若い人がいいな〜」「インターネットに詳しくて優秀な人に代わりに仕事してほしい〜」って、夢を見てただけでした。無名な中小企業だから仕方ないって、まだ逃げようとしてたのかもしれません。
ペルソナを曖昧にしていたのは、誰にも嫌われたくない、選ばれたいっていう僕の弱さだったのかも。
ミスターHR:
いい気づきですね。ペルソナを定めることは、いわばたった一人の運命の人にアピールするための準備。「これぞ!」という人に響く求人を出せるよう、「欲しい人材像」は解像度を高く保つようにしましょう。
採用は、良くも悪くも、会社の体質がそのまま出る分野です。「若くて優秀でインターネットに詳しい人」なんていう魔法の呪文を捨てるだけで、作戦はガラリと変わるはずですよ。
迷える人事:
はい! その呪文、今すぐ求人票から消してきま〜す!
(執筆:北村有 取材・編集:夏野かおる)
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