フリーランス採用で重視されるのは「専門性・スキル(54.7%)」と「相性(37.7%)」。スキル不足でも採用を勝ち取る条件【フリーランス向け】
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株式会社GIG(所在地:東京都中央区、代表取締役:岩上貴洋)は、フリーランス採用のリアルな実態を明らかにするため、2025年10月に人事・採用担当者106名を対象とした「フリーランス・業務委託採用」に関する調査を実施しました。
採用担当者が応募書類や面談で重視するポイント、不採用となる具体的な理由、そして「フリーランスの正社員登用(トランジション採用)」の実態などが明らかになりました。
フリーランスの実績やスキルがどのように評価されるのか。採用担当者の視点から明らかになったフリーランス選考の基準をお伝えします。
目次
調査名:人事・採用担当者を対象としたフリーランス・業務委託の採用調査(Workship / GIG)
調査期間:2025年10月
調査対象:人事・採用担当者
調査方法:オンラインアンケート調査
有効回答数:106名(設問によって異なる)※本調査について外部でご紹介いただく際は、「人事・採用担当者を対象としたフリーランス・業務委託の採用調査(Workship / GIG)」を明記のうえ、資料のダウンロード先として以下へのリンクを設置してください。
https://enterprise.goworkship.com/material/54
調査結果についての詳細は、下記の「PDFデータをダウンロード」からご覧ください。

企業がフリーランスを選考する際、応募書類で重視している上位2項目は「職務経歴・実績(65.1%)」と「スキルセット(48.1%)」となりました。この結果から、企業はフリーランスに対して即戦力となる過去の実績と技術力を求めていることがわかります。
一方で、「勤務地・リモート対応可否」は17.0%となり、「希望報酬・単価(27.4%)」よりも重視度は低い結果となりました。実績とスキルが伴っていれば、場所の制約は選考においてさほど大きな障壁とはなっていないことを示唆しています。

「専門性の高さや特定のスキル(54.7%)」と「これまでの実績やポートフォリオ(45.3%)」が、他の項目を抑えて上位を占める結果となりました。
フリーランスの採用においては、やはり「即戦力」が最終的な判断的な決め手となっていることを裏付けています。

フリーランス選考の過程では、「相性・人柄」の重視度が変化することがわかります。
面談・面接の段階では、採用担当者の関心は「保有スキルと専門性の深さ(58.5%)」や「職務経歴や実績の詳細(51.9%)」といった実務能力の確認に集中しており、「自社の企業文化やチームとの相性、人柄」の重視は26.4%に留まっています。
最終的な採用可否を判断する段階になると、「企業文化との相性、人柄」の重視度は37.7%へと11ポイント以上も上昇します。これは「誰と働くか」という人間的な側面が、最終決定における重要な判断基準となることを示しています。

では、企業がフリーランス人材の採用を見送る主な理由はどこにあるのでしょうか。
最も多かったのは、「希望するスキルや専門性が不足していた(39.6%)」で、次いで「これまでの実績やポートフォリオが期待に満たなかった(34.9%)」が続きました。
一方で、スキルが不足していても採用に至るケースもあることが調査の結果わかりました。

スキルや経験が不足していても採用する主な理由には「人柄や相性が非常によかった(40.6%)」「学習意欲や成長への意欲が高かった(36.6%)」が上位を占めました。
応募書類や面談で重視された「スキルや経験が不足していたら採用しない」という回答は19.8%に留まっています。これは、多少スキルが不足していても、「人柄」や「成長意欲」、そして「論理的思考力など基礎能力(31.7%)」があれば、企業は「業務を通じて習得できる(29.7%)」と判断する傾向があることを示しています。

過去に採用を見送ったフリーランス人材から再応募があった場合、「前回からの成長やスキルアップが見られれば、改めて選考する」が30.2%で最も多く、次いで「プロジェクトや要件が変わっていれば、改めて選考する」が27.4%となりました。
「基本的に選考しない」と回答した企業は8.5%に留まっています。一度不採用となった候補者に対しても、企業の採用ニーズや候補者の成長に応じて、柔軟に対応する企業が大多数を占めていることがわかりました。

フリーランスを1名採用するために、平均して何名と面談・面接を行っているかの調査では、「5〜6名(26.4%)」が最も多い結果となりました。
「1〜6名」の範囲で回答が65.1%に集中しており、企業がフリーランスの採用において、比較的少人数の候補者と集中的に面談を進めている傾向が見られます。

フリーランス1名を採用するために面談する人数は、企業の従業員規模によっても傾向が異なります。特に従業員1,000名以上の大企業では、「7名以上」の候補者と面談している割合が39.1%(※)と、他の規模の企業と比べて高くなっています。
※「7〜10名」26.1%、「11名以上」13.0%の合計
従業員300名未満の中小企業やベンチャー企業では、面談人数が「1〜6名」の範囲に集中しており、大企業になるほど、採用プロセスにおいてより多くの候補者を比較・検討する傾向にあることがわかります。

企業がフリーランスとして業務を依頼していた人材に対し、正社員としての採用(トランジション採用)を「検討・打診したことがある」と回答した企業は44.3%に上りました。
さらに「検討中(12.3%)」を含めると、全体の56.6%と、半数以上の企業がフリーランスを正社員登用の視野に入れていることが明らかになりました。
これは、フリーランスとしてプロジェクトに参画し、その中でスキルや人柄、企業との相性が確認できた場合、企業にとって即戦力かつミスマッチの少ない正社員候補となり得ることを示しています。

正社員化を打診した企業に対し、フリーランスが業務にどのくらいの期間関わっていたかを尋ねたところ、最も多かったのは「1年〜2年未満(31.7%)」でした。これに「6ヶ月〜1年未満(26.7%)」を合わせると、58.4%が半年から2年未満という比較的短〜中期的な期間で打診に至っていることがわかります。
この結果は、企業側が半年程度の期間でそのフリーランスの実務能力、相性、貢献度を十分に評価し、正社員としての採用に踏み切っていることを示しています。

正社員化の検討対象となるフリーランス人材に見られる特長は、「専門性やスキルが非常に高い(55.0%)」という実務能力に関する項目が最多となりました。
これに続き、「周囲と積極的にコミュニケーションを取っている(48.3%)」、「企業文化やチームへの理解度が高い(45.0%)」といった、組織への適合性と関係構築力を示す項目が上位を占めています。
この結果は、単にスキルが高いだけでなく、組織の一員として円滑に業務を遂行する姿勢が正社員登用の鍵となることを示しています。
今回の調査から、企業がフリーランス人材に求めるのは、応募書類から最終決定に至るまで一貫して「高い専門性」と「具体的な実績」という結果となりました。
一方で、選考過程を詳細に見ると、面談を経て最終決定に至る段階で「企業文化との相性・人柄」の重視度が上昇するなど、スキルや実績が拮抗した際の「ソフトスキル」の重要性も明らかになりました。
さらに、スキルが不足していても「人柄や成長意欲」で採用に至るケースがあること、そして半数以上の企業が業務委託からの正社員登用(トランジション採用)を視野に入れていることは、フリーランスにとってキャリアの可能性を示しています。
調査結果についての詳細は、下記の「PDFデータをダウンロード」からご覧ください。

企業の従業員規模は、「1000名以上」が43.4%と最も多く、次いで「100名〜299名(16.0%)」、「30名〜99名(14.2%)」となりました。

回答企業の業種は、「製造業(メーカー、工場、部品製造等)」が24.5%で最も多く、次いで「IT・Web・通信(SaaS, Webサービス、システム開発、インフラ等)(15.1%)」、「不動産・建設(不動産仲介、開発、建設等)(10.4%)」が続きました。
