TikTokの再生回数が伸びない!? 成功のコツをセイト先生に聞いてきた

ショートムービーは資産性が高いですよ

若年層を中心に人気のTikTok。最近ではビジネス利用やニッチな分野の動画も増えてきました。しかし、「なかなか再生回数が伸びない」「そもそもYouTubeとの違いがわからない」などの声も多いようです。

そこで、今回はWeb/IT分野のYouTuberでありながら、TikTokerとしても1万人以上のフォロワーを持つセイト先生に、TikTokの再生回数を増やすコツをお聞きします! 安定して動画の再生回数を伸ばすためには、何を意識すればいいのでしょうか?

堀口セイト
堀口セイト

株式会社LIGでフロントエンドエンジニアとして活躍したのちフィリピン・セブ島でLIG Philippines Inc.を立ち上げ、代表取締役に就任。2020年3月からはVPoEに就任し、その後2021年5月に独立。2019年12月からWeb技術系YouTuber・TikTokerとして情報発信をしている。

聞き手:少年B
聞き手:少年B

ウェブメディアで書いているくせにアプリに疎いフリーライター。TikTokはよくわからないが、「かわいい女の子が踊ってるやつ」という雑な認識をしている。

セイト先生がTikTokを始めた理由

少年B:
YouTubeチャンネル「セイト先生のWeb・IT塾チャンネル」が人気のセイトさんですが、TikTokもものすごい人気ですよね。前回はYouTubeの再生回数を増やす方法をお聞きしましたが、今回はTikTokの伸ばし方について教えてください。

セイト:
はい。何でも聞いてください。

セイト先生

少年B:
まず、すでにYouTuberとして活躍していたセイトさんが、TikTokを始めたのはなぜですか?

セイト:
正直なところ、きっかけは「YouTubeを伸ばすため」でした。

仮メンタリストえるさんという恋愛系YouTuberの方が、TikTok経由でYouTubeのフォロワーを3ヶ月で30万人獲得した話を聞いて、自分もTikTokで増やしたフォロワーをYouTubeに連れてきたかった……のですが。結論から言えば、それはうまくいかなかったんです。

少年B:
そうなんですね……! うまくいかなかった理由は何だと思いますか?

セイト:
僕はYouTubeのフォロワーを増やすために、TikTokに短い動画を上げて、「続きはYouTubeで!」という手法をとっていたんですよ。でも冷静に考えてみれば、TikTokで見つけてもらってからYouTubeのチャンネル登録者になるまでに、かなりのステップが必要になるんです。

セイト先生

セイト:
TikTokで動画を見て→プロフィールに飛んで→YouTubeリンクを踏んで→続きの動画を探して→見て→それがよかったらチャンネル登録……。これ、めちゃくちゃハードル高くないですか?

少年B:
確かに……!

セイト:
だから、これは再現性のある手法ではないなと思いました。TikTokとYouTubeのフォロワーを連動させるのは難しいなと。

でも、TikTokのコンテンツはYouTubeから転用できるので、相性はいいと思います。それに新しいSNSをやってると、アーリーアダプターとして将来的にいいことがあるかもしれません。もちろん「必ず成功できる」というわけじゃないんですけど、自分のコンテンツを出したいと思っている人はビットコインに賭けるような感じで、今からTikTokをやっておくといいんじゃないかなと思っています。

ヒカキンさんだって、もちろん実力もありますけど、最初期からやっているから認知度が高いという部分もありますよね。なので、「とりあえずやっておこうかな」という軽い感じで続けています。

少年B:
なるほど……。

TikTokの特徴

少年B:
では、セイトさんが感じているTikTokとYouTubeとの違いや、使い分けについても教えてください。

セイト:
僕は、TikTokはYouTubeより簡単だと思っています。その理由は4つ。「①フォロワーがいなくても200再生は必ず行く」「②最大1分の動画なので気楽」「③動画の流用ができる」「④他のSNSにくらべてフォローの敷居が低い」です。

TikTokの特徴

特徴1. フォロワーがいなくてもインプレッションが生まれる

少年B:
どういうことでしょう。順番に教えてください。まずは①の「200再生は必ず行く」とは……?

セイト:
TikTokって、アプリを開くと動画が自動的に再生されますよね。初めたばかりでたとえフォロワーがいなくても、必ずある程度のインプレッションが生まれます。僕の検証範囲での話ですが、最低でも大体200回程度は再生されるんです。

これは僕の仮説ですが、200回程度再生された中でのユーザーの反応を、TikTok側のシステムが自動で分析していて、反応のいいものはおすすめ欄に乗るのかな?と思っています。ユーザーの反応によるレコメンドはYouTubeにもありますが、「最初に200回再生してくれる」のが大きな違いですね。初心者にも優しいというか。

セイト先生

少年B:
なるほど……! 逆に言うならば、再生回数を伸ばしたい場合は最初の200人が勝負、みたいなところでしょうか。

特徴2. 最大1分の動画なので気楽

少年B:
②の「最大1分」ですが、TikTokに投稿できるのは最大1分(※一部のテストユーザーのみ3分)のショートムービーですよね。

セイト:
そうです。短いぶん手軽なので、YouTubeよりもかなり敷居が低いと思います。

少年B:
短いと、編集も楽だったりするんですか?

セイト:
そうですね、TikTok内でも編集できるし、同じくByteDanceが出している『CapCut』というアプリがあるんです。これもまた、非常に直感的で使いやすいです。だから、本当に気軽に始められます。

「動画を出したいけど、労力がなかなかかけられない」って人におすすめです。

特徴3. 動画の流用ができる

少年B:
③の「動画の流用ができる」は、ほかのSNSやサイトに載せた動画をそのまま使えるということですか?

セイト:
はい、YouTubeで出した動画の要約版や短縮版を載せるだけの人もいます。

たとえば僕の場合、YouTubeにあげている「プログラミング言語16選」という動画を、TikTokでは言語ごとに分割し、16個の動画を作りました。これが意外と伸びてくれています。

だから、すでに動画コンテンツを持っている人は、新たに動画を企画したり、ネタを考える必要があまりないんですよね。コスパがいいプラットフォームといえます。

少年B:
なるほど、手間がかからないのは嬉しいですね。

特徴4.他のSNSにくらべてフォローの敷居が低い

少年B:
④の「フォローの敷居が低い」というのは?

セイト:
これは単純に肌感なんですが、今までいろんなSNSやってきたなかで、TikTokが一番気軽にフォローしてもらえるような気がしますね。同じようなコンテンツを出しても、TikTokだけフォロワーの伸び率がいい。

セイト先生のTikTok

▲取材日のTikTokのフォロワー数は11,300人(写真)。それが現在、12,400人まで伸びてる!(2021年6月現在)

セイト:
なのでTikTokは、初心者に優しいし、手間もそんなにかからないし、YouTubeとは違う属性のフォロワーも増やせるSNSという感じです。とくにほかの媒体で動画を作ってる人は、あわせてTikTokもやってみるといいんじゃないかな、と思っています。

TikTokの再生数が伸びない原因

少年B:
でも、TikTokでは「たくさん動画を出しているのに、再生回数が伸びない」という声も多いようなんですが……。これはいったいなぜですか?

セイト:
はい。これは理由が3つ考えられます。「①なぜ伸びないかの分析が足りていない」「②ターゲットが広すぎる」「③牌(パイ)を取り切っちゃった」です。

TikTokの再生回数が伸び悩む原因

原因1. なぜ伸びないかの分析が足りてない

少年B:
まずは、①の場合はどうすればいいんでしょう。

セイト:
「たまたま当たった」だと、継続性がないんですよね。だから当たるのも大事だけど、外すのも大事なんです。だから「こうしたら当たるんじゃないか」と仮説を立てて投稿して、ダメだったらなぜダメだったのかを考えてPDCAを回していくことが大事ですよね。

「前当たったものと近いものをやったらどうだろう」とか「これは外れたからみんな興味ないんだな、やめておこう」とか、考えていかなければならない。

少年B:
なるほど……。

セイト先生

原因2. ターゲットが広すぎる

セイト:
これは推測なんですけど、悩まれている方は②の「ターゲットが広すぎる」という場合が多いんじゃないかと思っています。

「踊ってみた」みたいなネタは、仮説とか関係ないじゃないですか。どうしても最初にやった人たちが勝ちやすいし、一過性のものになりやすいんです。

少年B:
どういうことですか?

セイト:
だって、もっとかわいい子や、もっとおもしろい芸人さんが出てきたら、そういう人に勝てますか? 先にやっていて、すでにある程度人気も認知度もあれば、それでも一定数のファンはついてきてくれるかもしれない。でも、強力なライバルがいれば人気は頭打ちになりやすいし、後発組ならなおさら難しいですよね。

少年B:
うっ、そう言われるとおっしゃる通りですね……!

セイト先生

セイト:
だから、「この人はなんで見てくれたんだろう」と考えて、自分の強みを分析していく。ほかのクリエイターに勝てそうにないなら路線変更する、そういったことをやっていくのが、継続する秘訣じゃないかと思いますね。

たとえば、ダンサーだったら踊るんじゃなくて、ダンスの歴史をひたすら解説するとか、すごいダンサーばっかり1人ずつ紹介していくとか。人気のジャンルでも、切り口を変えればポジションは見つかると思います。

原因3. 牌(パイ)を取り切っちゃった

少年B:
最後の③「牌(パイ)を取り切っちゃった」は、自分のコンテンツに興味を持っている人が、もう全員見ているという状況ですよね。これはどうしたらいいんでしょう……?

セイト:
これはもうゴールにたどり着いている状態です。どちらかというと少数派だと思いますが、ニッチなテーマの動画を上げている人だとこの状態になりやすいですね。

そうすると、もうすこし幅を広げたコンテンツを出すか、今のフォロワーが興味を持ちそうな別軸のものを新たに出すか、という対策が必要になります。

TikTokで再生回数を増やすコツ

少年B:
じゃあ、TikTokで動画の再生回数を伸ばすためには、一体どういうところを意識すればいいんですか?

コツ1. トレンドの「タグ」に乗っかる

セイト:
ひとつは「乗っかり」が大事ですよね。

最新トレンドの「タグ」をチェックすると、いまウケてるタグがわかるんです。これはTikTok側が「推したい」ものでもあるので、このタグに合わせて投稿すると伸びます。もちろん、すぐにやらないと意味がないですが。

TikTokのトレンドページ

▲TikTokのトレンドページ。人気上昇中のハッシュタグが一覧で見られる

少年B:
トレンドはすぐに変わっていきますもんね。ほかにもありますか?

セイト:
はい。もうひとつは自分の持っている武器、資産性のあるものを出していくことが重要だと思っています。

少年B:
ちょっと待ってください。TikTokってみんなダンスを踊ってる場所じゃないんですか???

セイト先生

セイト:
確かに、あまりTikTokに触れていない人はそういうイメージがあるかもしれません(笑) 若い人向けのアプリ、という感覚ですよね。

少年B:
はい、完全にそう思っていました……。違うんですか?

セイト:
Googleと同様に、TikTokを運営しているByteDance社も自社の理念に基づいてアルゴリズムを作っている組織だと思いますので、理念を理解すること=アルゴリズムを攻略することにも繋がると僕は思っています。

ByteDanceのミッションは「創造性を刺激し、喜びをもたらす。」です。だから全世界のありとあらゆる人たちを取り込んでいきたいし、「若い人だけ」のものにはしたくないと思っているはずなんです。

ByteDanceミッション

▲出典:ByteDance

少年B:
えっ、なぜそんなことがわかるんですか???

セイト:
たとえばTikTokのCMを見ると、20代以上や年配の方を意識したつくりになっているものもあるんです。若者だけをターゲットにしているなら、このようなCMは作りませんよね。

セイト:
また定期的にトレンドに上がってくるタグに「#TikTok教室」というものがあります。これは「英語の勉強を覚えるコツ」とか「これをやれば3ヶ月で腹筋が割れるよ」とか、いわゆるノウハウ動画につけるタグなんです。

またTikTokの運営が、このタグの上位10人に1万円あげるキャンペーンをやっていたりします。つまり、TikTok運営側も「みんなのタメになるものを出してくれ」と思っているわけですよね。

少年B:
そうだったのか……。前回のYouTube編でもそうでしたが、「運営会社の思想を理解する」のが大切なんですね!

コツ2. 自分の専門性にあった動画を投稿する

セイト:
もちろん、ダンス動画でも再生回数はそれなりに伸びるし、フォロワー数も増えると思うんですけど、僕はその数字にあまり価値はないと思っています。

少年B:
えっ!? なんでですか!

セイト:
自分の専門性を出したコンテンツを出してこそ、価値が生まれるんです。たとえば、広告。僕は今後TikTokerに広告やスポンサーが一層増えていくだろうと思っています。

でも、「ただ踊ってるだけの動画にはどんな広告がつくの?」ってなりますよね。もちろんゴリゴリのダンサーがTikTokをやっており、フォロワー属性もダンサーが中心で、それに関連する商材があれば別ですが……自分の属性にダンスが合ってない場合は、難しいと思います。

「自分を広告に起用する価値があるか?」を考えて、投稿内容は吟味すべきと考えてるんです。

セイト先生

少年B:
確かに「自分じゃなければいけない理由」があるかと言われると、ちょっと考えてしまいますね……。

セイト:
僕のTikTokアカウントにはいま、スポンサーとしてプログラミングスクールの会社がついてくれてるんですけど、なんでスポンサーになってくれたのかって言うと「僕がWebエンジニアの動画しか出さないから」なんです。

Webエンジニアの動画しか出さない僕をフォローしてくれる人って、絶対にプログラミングにも興味があるじゃないですか。であれば、プログラミングスクールが広告を出すメリットも大きい。効果がわかりやすいのでスポンサーになってくれた面があるのかなと思います。

少年B:
なるほど、自分の価値を高めるために「専門性」があるんですね。

セイト:
ジャンルを絞って専門性を高めておけば、TikTok側も「こういう分野のクリエイターなんだ」ってわかるので、関心の合うユーザーにオススメしてもらえ、フォローしてもらえる機会が増えます。それに動画のジャンルがバラバラだと、ひとつの動画がバズっても、クリエイター自体には興味を持ってもらえず、フォロワーも増えませんから。

コツ3. 投稿頻度と時間を検討する

少年B:
なるほど……。YouTubeでは「週2回投稿がベスト」という意見がありましたが、投稿頻度はどうですか?

セイト:
自分はTikTokもYouTube同様、週2回投稿しています。時間も決まっていて、だいたい金・土・日のうち2日、時間は16時です。

セイト先生

少年B:
そうなんですね! 曜日と時間が決まっているのはどうしてですか?

セイト:
「僕の濃いフォロワーさんがよくいる時間」です。だから、これは人ぞれぞれなので、あまり当てにならないかもしれません。

少年B:
自分のフォロワーさんがいる時間はみんな違うはずですもんね。

セイト:
それもありますし、YouTubeは公式で「時間や曜日はバズと関連性がないです」と言い切っています。あれだけ膨大なデータを持っているYouTubeがそう言っているので、TikTokも投稿時間との関連性はないのかもしれません。

ただし、これには留意点もあって。YouTubeはストック性があるので、あとから見てもらえますが、TikTokは最初の200回、つまり出して数時間のアクセスが大事なんですよね。だから僕は、多くの人がTiktokを見る19時〜21時にはすでに少しバズっているように、ピークタイム前の16時と、一応時間を決めて出しています。

コツ4. 量より質を重視する

少年B:
TikTok初心者に向けてのアドバイスはありますか?

セイト:
どのプラットフォームでもそうですけど、まず「自分の武器」はどんなもがあるのかを考えて、仮説を立てて、試行錯誤をしていくのが大事です。

TikTokって気軽だし投稿もしやすいけど、量よりも質を重視してほしいですね。だって、毎日やっているつまんない番組より、週に1度のおもしろい番組のほうが見たいでしょう?

少年B:
それは確かに……。

セイト:
仮説を立てて、企画を立てて、動画を撮って投稿して、反応を分析して、また新たな仮説を立てる。こうやってPDCAを回していくのが大切ですよね。反応がないのも大事だし、伸び悩んだら方向性を変えればいい。

TikTokを運営しているByteDanceはアルゴリズムの会社なので、しっかり考えて投稿すれば、絶対に伸びるし、伸ばしてくれると思いますよ。

ショートムービーの時代が来ている

セイト:
あと、ショートムービーっていまホットになっているんです。YouTubeでも「YouTube shorts」、Instagramも「リール」というショートムービーを投稿できる機能を実装していて。

しかも、どのアプリでもショートムービーは公式に取り上げられやすいんです。明らかにショートムービーの時代が来ています。

だから、もしTikTokでバズらなかったとしても、ほかのアプリでは伸びるかもしれない。

セイト先生

少年B:
なるほど、作ったショートムービーはTikTok以外の場所にも転用できると……!

セイト:
そうです。たとえばTwitterの140文字の文章は、転用が難しいですよね。140字の縛りをしているSNSは、Twitterしかありません。一方のショートムービーは、どんなSNSでも使える。資産性が高いものだと思います。

だから、TikTokを始めようか迷ってる人には「絶対やったほうがいいよ!」って伝えたいですね。

少年B:
めちゃめちゃ勉強になりました! ありがとうございました!

セイト先生は下記の分野で現在お仕事承っております。ご興味ある方は下記よりお問い合わせください!

  • YouTubeコンサル
  • TikTokコンサル
  • エンジニア採用、教育コンサル など

https://www.youtube.com/channel/UC8IWoNfegB72Q2nT9GJy2zQ/about

(執筆:少年B 編集:泉 撮影:じきるう)

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