セルフコーチング本7冊を読み比べてみた!自分のマインドを高めるおすすめ書籍を紹介

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元旦に立てた目標って、覚えてますか?

毎年1月1日は、一年でもっともやる気に満ち溢れている日。張り切って大きい目標を立てるも、せいぜい1ヶ月覚えていればいいほうではないでしょうか。なぜ人は、自分が決めた目標に向かってコツコツ頑張るのが苦手なのでしょうか?

そんな風に悶々としていたところ「セルフコーチング」を知りました。

セルフコーチングとは、自分で自分をコーチングすること。コーチングとは一般的に「コーチ」と「クライアント」がいて、コーチからの質問にクライアントが答えることで、目標達成へのステップを明確にしていく手法を指します。それを一人二役で行うのがセルフコーチングです。

今回私は、目標達成のコツを掴むため、セルフコーチングにまつわる本を7冊読み比べ、まとめてみました。

「端的にまとまっているため時間がない方向け」「小説風のため物語を追いながら学びたい方向け」など、どの本がどんな人に向いているかを含め解説しています。目標達成が苦手な人、セルフコーチングに興味がある人はぜひ試しに読んでみてください。

1. 久保田毅「目標達成ハンドブック」

目標達成ハンドブック

書名 目標達成ハンドブック
著者名 久保田毅
実践的なノウハウ ★★★☆☆
心持ち・マインド ★★☆☆☆
こんな人向け コーチングやセルフコーチングについて端的に概要だけ知りたい方

「そもそもコーチングとは何か」といった基本的な知識から、セルフコーチングをするコツ、達成しやすい目標設定の仕方まで端的にまとめられています。

全60Pほどの本なので、電車移動などのすきま時間を活用すればすぐに読めます。読書をするまとまった時間が取れない方・概要を端的に知りたい方・あまり読書に慣れていない方におすすめです。

一般的にコーチングでは、目標を設定する前に「目的」や「ビジョン」を明確にしておくといいと言われます。その目的やビジョンを設定するときに役立つ質問例もこの本には載っているため、実践しやすいのもポイントです。

質問例の一部を抜粋します。

【質問例】

  • 一度しかない人生、どんな人生を歩みたいですか? それはなぜですか?
  • どんなビジネスパーソンでありたいですか? それはなぜですか?
  • 勉強をすることで、何を得たいですか? それはなぜですか?

目標達成ハンドブック

私たちはついつい「目標を立てよう!」と言われると「毎日腹筋を100回する」「毎日問題集を3ページ進める」など数を追う目標を立ててしまいがちですよね。数を意識するのも大事ですが、何のためにそれをするのか?といった目的を考えることが大切だとこの本が教えてくれます。

セルフコーチングに挑戦するときは、目標を設定する前に「目的」を意識してみましょう。

2. 谷口貴彦「ザ・コーチ 最高の自分に気づく本」>

ザ・コーチ

書名 ザ・コーチ 最高の自分に気づく本
著者名 谷口貴彦
実践的なノウハウ ★★★★☆
心持ち・マインド ★★★☆☆
こんな人向け 物語を追いながらセルフコーチングについて学びたい方

主人公・星野が、ある日偶然とある公園で大蔵という老紳士に出会うところから始まる物語。そう、このセルフコーチング本は最初から最後まで小説風に書かれています。ストーリーを追いながらセルフコーチングについて学べる構成になっているんです。

「セルフコーチングに興味はあるけど、あまり難しい本は読みたくない……」という方におすすめ。自然とセルフコーチングについて知識を得られるのはもちろん、心にグッとくる物語になっているので純粋に小説としても楽しめます。

あらすじは、ざっとこんな感じ。

とある公園で偶然出会った星野と大蔵。毎週火曜に同じベンチで待ち合わせて、セルフコーチングの手法を学びながら少しずつ成長していきます。営業成績が振るわない住宅会社勤務のサラリーマンだった星野は、効果的な目標設定の仕方を身につけることで少しずつ「目標の達人」になっていく。

またこちらの本では、混同しがちな言葉の定義がわかりやすく説明されています。

たとえば「目標」と「ゴール」の違い。あなたには分かりますか?

「え? 目標もゴールも同じ意味でしょ?」とほとんどの方が思われたのではないでしょうか。こちらの本によると、はっきりと意味が異なるといいます。以下を参照してください。

【混同しがちな言葉とそれぞれの意味】

  • 目標:目的を達成するために設けた目当て
  • 目的:成し遂げようと目指す事柄
  • ゴール:目的のための最終的な目印
  • 夢:将来実現させたいと、心の中に思い描いている願い
  • ビジョン:将来あるべき姿を描いたもの、未来像

目標とゴールの違い

この本で紹介されている定義によると、目標を達成することで目的が成し遂げられ、最終的にゴールへとたどり着く流れが「自己実現」だとされています。自己実現のために定期的に描いたり更新したりするのが夢やビジョンです。

言葉の定義がはっきりするだけでも、自分の目指すところが明確になることがよく分かる1冊です。

3. 宮越大樹「人生を変える! コーチング脳のつくり方」

コーチング脳の作り方

書名 人生を変える! コーチング脳のつくり方
著者名 宮越大樹
実践的なノウハウ ★★★☆☆
心持ち・マインド ★★★☆☆
こんな人向け 将来的にコーチを目指している方

これまで紹介した2冊と比べると厚みもあり(約300ページ)、書かれていることも本格的です。「まずは軽くセルフコーチングの概要を知りたい」というよりは、「ある程度まとまった時間をとってセルフコーチングについて学びたい」「将来的にコーチになることを視野に入れている」といった方におすすめです。

セルフコーチングの手法よりも、相手にコーチングをするときの手法や注意点についての記述が多くみられます。著者は、コーチ養成スクールの講師・宮越さん。講師ならではの視点で書かれており、体系的にまとまっている印象です。

コーチング脳の作り方

全体を通して、宮越さんの実体験を元に書かれているのが特徴。かつて「看守」と呼ばれてしまうほど厳格なチームマネージャーだった宮越さんが、コーチングを学ぶことでチームや会社を変え、最終的にコーチ養成スクールの講師までになった過程が分かりやすく書かれています。

またタイムマネジメントに悩む女性や、長期的な計画を立てるのが苦手な経営者など、それぞれの事情を抱えたクライアントに対するコーチングの実例が紹介されているのもポイントです。

コーチング脳の作り方

くわえて、コーチングの元とされている「アドラー心理学」や「人間性心理学」についても触れられています。たとえば、相手の相談にのったりコーチングしたりするとき、相手の悩みを自分の悩みと混同しないようにする「課題の分離」といった考え方など実践的なものです。

文章は平坦でスラスラと読めます。専門用語もなく解説や注釈が丁寧なので、よほど読書に抵抗感がない限り読み終えるのに時間はかかりません。ただ先述したとおり、内容としては「セルフコーチングの手法 < 相手にコーチングする手法」です。まずはセルフコーチングについて学びたいのか、それとも将来的にコーチになることを視野に入れているのかで、この本から得られる知識は変わってくるでしょう。

4. 鈴木義幸「セルフトークマネジメントのすすめ」

セルフトークマネジメント

書名 セルフトークマネジメントのすすめ
著者名 鈴木義幸
実践的なノウハウ ★★★★☆
心持ち・マインド ★★☆☆☆
こんな人向け まずは感覚的にセルフコーチングを実践したい方

2008年出版の本ですが、現在でも十分に使える知識が詰まっている1冊です。私は、この本を読んで「セルフコーチングとはすなわちセルフトークなのかもしれない!」と気づくに至りました。

タイトルにある「セルフトークマネジメント」とは、セルフトークをマネジメントすること。つまり「セルフトーク=自分の心のなかで自然発生する一人言」を「マネジメント=意識的に言い換える」ことを指します。

セルフトークマネジメント

この本によると、セルフトークには「セルフトークA」と「セルフトークB」があるそうです。セルフトークAは無意識の一人言。そしてセルフトークBは意識的な一人言です。

あなたは自分の心のなかで発生している一人言に気づいていますか?

誰しも膨大なセルフトークを発生させています。朝起きた瞬間から夜眠りにつくまで、何をしていてもどこにいても心のなかは一人言だらけです。買い物に行けば「何を買おうかな」「今日の夕飯は何にしよう」と、嬉しいことがあれば「やったー!」、悲しいことがあれば「どうしてこんなことに……」と呟いているのです。

このように、無意識に発生しているセルフトークAを、意識的に言い換えるのがセルフトークB。セルフトークAはついついネガティブな内容になってしまいがちなのだとか。意識的にポジティブなセルフトークBを増やしていくことが、セルフトークマネジメントに繋がっていくとこの本では解説しています。

セルフトークマネジメント

「アランの幸福論」でも「悲観は気分で楽観は意志」とも言われています。人は放っておけば後ろ向きなことしか考えられない生物なのかもしれません。こちらの本は、サクッとセルフトークについて学びつつ、日頃使っている言葉を見直す良いきっかけをくれます。

5. 本間正人・松瀬理保「セルフ・コーチング入門」

セルフコーチング入門

書名 セルフ・コーチング入門
著者名 本間正人・松瀬理保
実践的なノウハウ ★★★★☆
心持ち・マインド ★★☆☆☆
こんな人向け 事例やワークを多めに知りたい方

新書サイズで持ち運びやすく読みやすいです。実際のセルフコーチング例やワークシートが豊富に掲載されているので、心構えよりも実践に重きを置きたい方におすすめします。

「なんとなくセルフコーチングのイメージはつくけど、実際にやってみるとなると難しい……」「具体的に何から始めればいいのか悩む」といった方には、実例の箇所から読むと良いと思います。

たとえば、希望の部署に配属されずにやりたい仕事ができないと感じている社員Aさんの事例や、やる気の感じられない後輩を指導しなければならない主任の事例などが掲載されています。セルフコーチングをする当人の悩みの発端から、まずはどんなワークをすればいいのかなど、具体的に書かれているのが特徴です。

セルフコーチング入門

▲価値観を明確にする「価値観リスト」

セルフコーチング入門

▲目標を洗い出す「立志表」

たとえば、やりたい仕事ができない社員Aさんは、まずこれまでの人生で同じように「希望通りにならなかった出来事」を洗い出すワークから始めました。

小学生の頃、学芸会の劇で白雪姫をやりたかったのに、意地悪な女王様をやらざるを得なかった経験が思い出されます。当時は子供だったゆえに理由を聞けたけれど、今は聞けない。じゃあ、今の自分には何ができるのか? 徐々にステップをたどり、自身の強みや現在の部署で生かせることを書き出していきました。

希望通りの仕事ができない現状を恨むのではなく、「まずは何からすればいいか?」「現状の自分が変えられることは何か?」を考えるきっかけが得られます。無闇に悩むのではなく、建設的に考える癖がつけられるのです。

6. 高畑好秀「図解1分間セルフコーチング : 自分を変える35の方法」

1分間セルフコーチング

書名 図解1分間セルフコーチング : 自分を変える35の方法
著者名 高畑好秀
実践的なノウハウ ★★★★★
心持ち・マインド ★★☆☆☆
こんな人向け 時間があまりない方、実践的なtipsのみサクッと知りたい方

1分間でできるセルフコーチングtipsが、5分野ごとにまとめられた1冊です。それぞれ以下のジャンルごとにtipsがまとめられています。

  • 「挑む」
  • 「イメージ」
  • 「集中」
  • 「リラックス」
  • 「心の充電」

たとえば「挑む」の項目では、以下のようなtipsが紹介されています。

  • 相手の向けた思いは自分に跳ね返る「ミラーイメージの法則」
  • 感情をコントロールするのに効果的な「呼吸法」
  • ライバルには100%感謝する「思考法」

主に仕事において、私たちには他人や目の前の環境に対し「挑む」シチュエーションが少なからずやってきます。そんなとき、ただ「勝ちたい」「負けたら痛い目をみる」と欲や恐怖にとらわれるのではなく、そんな感情の動きさえ俯瞰して味方につけるコツが書かれている項目です。

「イメージ」には、以下のようなtipsが紹介されています。

  • 眠る前に今日出会った人をイメージ、感謝する
  • 悪い言葉、イメージを口にしないこと
  • 年収、肩書き、学歴を外して空想する時間を毎日持つ

前項目の「挑む」は相手や環境ありきのtipsでしたが、この「イメージ」はひたすら「自分との戦い」を想起させるtipsが多いです。日本には古来より「言霊」と言われる概念があり、頭の中に浮かべたイメージや口にした言葉が自分を形作るとも言われています。日々、自分の中のイメージを構築するコツを得たいと思ったときにおすすめの項目です。

ほかにも、「集中」の項目では「他者評価でなく自己評価に目を向ける」、「リラックス」のtipsでは「ルーティンの儀式を持つ」、「心の充電」では「成功日記を毎日つける」など、すぐに実践できるセルフコーチングの手法が多数紹介されています。

まずは、実践的なノウハウを試してみたいという方におすすめの書籍です。

7. 八巻理恵「セルフコーチング〜あなた自身を「最高の自分」へと導くために〜」

最高の自分

書名 セルフコーチング〜あなた自身を「最高の自分」へと導くために〜
著者名 八巻理恵
実践的なノウハウ ★★☆☆☆
心持ち・マインド ★★★★★
こんな人向け ノウハウよりも、まずは心持ちから整えたい方

これまで紹介したどのセルフコーチング本よりも、ずば抜けて「心持ち・マインド」に特化した本。実践的なノウハウよりも、まずは心持ちから整えたい方におすすめです。理論的というよりは、少々抽象的な言葉を用いて説明されている項目が多いため、もしかしたら肌に合わない方もいるかもしれません。

本書でもっとも重視されるのは「ビジョンの構築」

「こういう仕事をしたい」「出世してお金を稼ぎたい」「家族といつまでも幸せに暮らしたい」「海の見える家で、自給自足の生活をしたい」……などなど、仕事やプライベートともに実現したい理想像を言葉や絵にまとめたものがビジョンです。

ビジョンを明確にすることにより、それを達成するまでの過程にワクワクと感情が動く。この「感情の動き」も重視されています。感情が動くことで初めて行動のモチベーションに繋がるとされているからです。

「とはいっても、そう簡単にビジョンなんて作れないから困ってるのに……」と思われる方が大半かもしれません。上手くビジョンを描けない方に共通しているのは「心のストッパーがかかっているから」と本書では説明されています。そのストッパーの外し方についても詳しくワーク形式でまとめられているので、ぜひ参考にしてください。

【心のストッパーを外すワークの概要】

  • ネガティブな感情を思い出す(中学生の頃、みんなの前で音読するのが恥ずかしかったな……)
  • その感情を強く感じる体の部位に意識を向ける(手を当てるとより効果的)
  • 体の部位を意識しながら、さまざまな問いかけをする(恥ずかしかったのはなぜ?みんなに笑われたと思ってるけどそれは本当に起こったこと?今でも人前で話すのは恥ずかしい?……などなど)

このように、「ポジティブな自分を作るワーク」や「信念や価値観を明らかにするワーク」などがたくさん紹介されています。どれも少し時間のかかるものが多いため、まとまった時間を使ってじっくり自分と向き合えるときに行うのがおすすめです。

まとめ

セルフコーチング本を7冊読み比べ、その特徴をまとめました。

コーチングに興味はあっても、個人的に受けようと思うとなかなか時間や金銭的な面で難しいものですよね。ぜひピンとくる書籍があれば手に取り、セルフコーチングのコツを実践してみてください。

(執筆:北村有、編集:泉)

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