小規模企業共済はフリーランスに必要?iDeCoと比較してメリット&デメリットを解説

小規模企業共済はフリーランスに必要?

大切だとは知りつつも、本音を言えばあんまり払いたくないのが「税金」。とくにフリーランスは対策をしないと膨大な税金が発生してしまうため、節税に励む方も多いです。

そんなフリーランスの節税対策としてよく挙げられるサービスが『小規模企業共済』。しかし制度の詳細や具体的な節税効果をよく知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では「小規模企業共済」の制度や節税効果を検証! 類似制度である『iDeCo』との違いや、両制度のメリット/デメリットを解説していきます。

小規模企業共済とは?

小規模企業共済とは、小規模企業の経営者や役員などにむけて展開されている積み立て式の共済制度です。経済産業省所管の独立行政法人「中小企業基盤整備機構(通称:中小機構)」が提供しています。

小規模企業の場合、大企業とは異なり廃業または退職後の退職金がすくない、または支払われない傾向があるため、リタイア後の生活が課題になります。中小機構はこうした課題を解決するため、月ごとに1,000円~7万円までの掛金を支払ってもらう代わりに、廃業または退職時に所定の料率(経済状況などによるが、おおむね1%前後)を上乗せした共済金を返還しているのです。

……しかし、こう見ると「あれ、フリーランスって小規模企業の経営者でも役員でもないような?」と思うかもしれませんが、安心してください。

以下に、小規模企業共済の加入要件をまとめました。

  1. 建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員
  2. 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社等の役員
  3. 事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員、常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
  4. 常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
  5. 常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
  6. 上記「1」と「2」に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)

(引用:中小機構

ややこしく見えるかもしれませんが、かんたんに言うと個人事業主(つまりフリーランス)も加入資格があります。

廃業、退職時の一時金がないのはフリーランスも同様なので、同じように制度を利用できるのです。

小規模企業共済のメリット

小規模企業共済を使うとどんなメリットがあるのでしょうか。おもにフリーランスの視点から考えてみました。

<小規模企業共済のメリット>

  1. 掛金が全額所得控除になる
  2. 金融知識が一切いらない
  3. 1000円から始められ、いつでも掛金を変えられる
  4. 20年経てば元本割れの心配がほぼゼロになる
  5. 7つの貸付制度を利用できる

メリット1. 掛金が全額所得控除になる

「掛金が全額所得控除になる」のは小規模企業共済最大のメリットです。小規模企業共済には、さきに触れたように元本に加えて上乗せがあるので、掛金の分だけ節税でき、資産も増えることになるのです。

具体的に仕組みを解説します。

そもそもフリーランスが払わなければならない税金のひとつに、所得税があります。所得税は「所得(売上から経費や各種控除を引いた額)」に税率を掛けて算出されるものです。

所得が300万円だった場合、税率は10%なので所得税は20万2500円(所得195万~330万円の場合、97500円の控除があるため)。これは所得を得た翌年度に支払わなければならない税金になります。

しかし小規模企業共済の掛金は、全額が上記の「各種控除」にあたります(小規模企業共済等掛金控除)。たとえば毎月3万円を支払っていた場合、所得300万円から36万円が差し引かれて所得は264万円。同じ10%の税率を掛けると、所得税は16万6500円まで減少します。3万6000円の節税効果がありますね。

つまり、上記の例では制度を利用しなかった場合に比べ「3万6000円の節税効果」「将来的な36万円プラスアルファのリターン」が得られるのです。とてもお得ですね……!

小規模企業共済 説明

メリット2. 金融知識が一切いらない

フリーランスのなかには資産運用に興味のある方もいるかもしれませんが、効果的な資産運用には金融知識を身につけなければいけません。ときには元本割れリスクを背負うこともあります。

一方の小規模企業共済は、掛金を決めてひたすら積み立て続けるだけ。短期で解約したり、資産運用に頭を悩ませたりする必要はありません。

メリット3. 1000円から始められ、いつでも掛金を変えられる

株式や不動産投資の場合、そもそも投資を始めるにあたりまとまった資産が必要になるケースも多いです。

しかし小規模企業共済なら月額1000円からコツコツ積み立てられます。毎週ジャンプを買ったり、Netflixのスタンダードプランに加入したりするよりも安い金額から始められるのです。生活費に余裕のない方や、大金を預けるのが不安な方でも大丈夫。

また積み立て期間中に自由に掛金を変えられるのもメリット。500円単位で設定できるのも魅力です。「大きく出て毎月5万円積み立て始めたけど、ちょっとキツいな……」「1000円から始めたけど、もっと積み立てたい!」といった状況の変化にすぐ対応できます。

メリット4. 20年経てば元本割れの心配がほぼゼロになる

加入期間が通算20年を超えれば、原則元本割れの心配がなくなります。

国のバックアップがある中小機構の制度なので、倒産や制度の改悪による元本割れリスクが低いのも嬉しいポイントです。

メリット5. 7つの貸付制度を利用できる

小規模企業共済の加入者は、掛金の納付金額に応じて以下のような7つの貸付制度を利用できます。

  • 一般貸付
  • 緊急経営安定貸付
  • 傷病災害時貸付
  • 福祉対応貸付
  • 創業転業時・新規事業展開等貸付
  • 事業承継貸付
  • 廃業準備貸付

フリーランスは金融機関からの借り入れが難しいですし、すぐに借りなくとも「いざとなれば借り入れ先がある」状態は心の安定につながります。

小規模企業共済のデメリット

総合的に見て、小規模企業共済がメリットの大きい制度であることは間違いありません。しかし、いくつかのデメリットがあるのも事実です。

<小規模企業共済のデメリット>

  1. 短期解約は基本的に損である
  2. オンラインでできる手続きがほぼない
  3. ネットバンクやゆうちょ銀行に対応していない
  4. 自分で掛金を運用できない
  5. 所得ゼロの場合、節税効果は薄い

デメリット1. 短期解約は基本的に損である

「20年積み立てれば元本保証になる」メリットは、すなわち「20年未満での解約は元本割れする」ことを意味しています。かんたんに言えば短期解約すると損な制度だと覚えておいてください。

もっとも、最小で月額1000円まで掛金を減らせる都合上、資金不足による解約は考えにくい方もいるでしょう。しかしフリーランスには何が起こるか分かりません。急にまとまったお金が必要になったり、泣く泣く廃業を余儀なくされたりすることも考えられます。そのときに解約してしまうと、損をする可能性があるのです。

デメリット2. オンラインでできる手続きがほぼない

筆者としてはとても大きなデメリットなのですが、小規模企業共済の加入や積み立て中の手続きにオンラインで完結するものはほぼありません。

問い合わせ用のチャットボットはありますが、加入申し込み、掛金/登録情報の変更、解約手続きなどはすべて郵送対応。または小規模企業共済を取り扱う代理店窓口(各種銀行や商工会議所など)で手続きしなければいけません。

積み立てるだけならいいのですが、掛金や登録情報の変更は加入期間中に何度も行う可能性があります。そのためオンライン化が全く進んでいないのは懸念点です。また代理店の特性上、平日昼しか受け付けていない手続きも多く、スピード感や手間を考えると早急なオンライン化が望まれます。

デメリット3. ネットバンクやゆうちょ銀行に対応していない

小規模企業共済の手続きだけでなく、口座振替に対応しているのも中小機構と業務提携している代理店だけ。この中には各種ネットバンクやゆうちょ銀行などが含まれておらず、かなりの制約があります。

小規模企業共済のために口座を作ってもいいのですが、その手間や資産管理の煩雑さを考えれば、こちらも手痛いデメリットでしょう。

デメリット4. 自分で掛金を運用できない

小規模企業共済は積み立て金を運用してもらう形なので、自分の意志で運用できないのもデメリットになり得ます。

とくに昨今は世界的に株価が上昇し、株式投資の見返りが大きくなっているのも事実。「中小機構に任せるよりも自分で運用したほうが結果を出せる!」と思われる方は、小規模企業共済を利用するべきではないかもしれません。

デメリット5. 所得ゼロの場合、節税効果は薄い

先ほど触れた小規模企業共済の節税効果の項では、「所得300万円」の場合を例に計算しました。しかし、たとえば事業に失敗して赤字経営をしている場合は効果が薄くなります。なぜなら所得を算出する「売上-経費」の計算結果がマイナスになってしまい、そもそも所得が0円というケースが想定されるからです。

所得が0円なら、税率を何パーセントかけても0は0。当然、所得税も0円です。そうなると、最初から支払う税金がないので、節税効果も何もありません。このケースで毎月1万円の掛金を支払っていたと想定すると、12万円分の控除は無意味になり、「将来的な12万円とプラスアルファのリターン」だけが残ります。

この場合でも資産運用として意味はあるのですが、節税効果がないのがネック。ほかの運用方法を検討する、もしくは現金として手元に持っておくほうがメリットが大きいと感じる方もいるでしょう。

よく似た制度『iDeCo』とは何が違う?

「積み立て式、かつ掛金が全額所得控除になる」というのが小規模企業共済の特徴ですが、じつは同じ特徴をもつ似た制度があります。それは『iDeCo(個人型確定拠出年金)』と呼ばれるもので、こちらも老後の資産形成を目的にした年金制度です。

iDeCoの詳細は過去の記事を参照していただくとして、ここでは違いが分かりづらい小規模企業共済とiDeCoを「徹底的」に比較していきます。

小規模企業共済 iDeCo
制度の目的 廃業時、退職時の一時金積み立て 国民年金に加算する形で年金を積み立て、老後の資産を形成する
掛金 1000円~7万円 5000円~6万8000円
(フリーランスの場合)
掛金の変更 いつでも いつでも
所得控除 掛金全額 掛金全額
元本割れ 20年以上積み立てれば無し 有り(元本保証の金融商品もある)
解約 原則×
運用方法の選択 × 投資適格と判断された金融商品の中から選択可能
手数料 なし 口座開設に数千円、維持に数百円必要(金融機関により変化)
受け取りタイミング 原則廃業、解約したとき 原則60~75歳のあいだ
受け取り方 一時金 年金または一時金。両方の併用も可
受け取り益への課税 される される
貸付制度 ×
ネットでの手続き × 金融機関によるが、一部対応
(2021年後半から加入手続きもオンライン化予定)
ネットバンクの対応 ×
窓口 代理店
(銀行や商工会議所など)
運用管理機関
(銀行や証券会社など)
運営元 中小機構 国民年金基金連合会

こう見てもかなり似ている部分が多い一方、細かな違いが多いのも確か。

とくに「運用に関する負担」「ハードルの高さ」「オンライン対応」といった部分は特徴がわかれました。

小規模企業共済 vs iDeCo、結局どっちがいいの?

結論から言えば、小規模企業共済とiDeCoはともにお得な制度。どちらを選択してもよい結果をもたらしてくれる可能性は極めて高いと言えるでしょう。

また併用もできるので、どちらにおいても小額から始めてみたり、所得額的に掛金上限を超える場合はもう片方も使ってみたりと、色々なパターンが考えられます。

ただし、やはり違いがある以上「小規模企業共済が向いている人」と「iDeCoが向いている人」はいるでしょう。

小規模企業共済が向いている人

小規模企業共済には、iDeCoと比べると以下のような特徴があります。

  • 掛金の下限も上限も大きい
  • 元本割れリスクが少ない
  • 手間がかからない
  • 簡単に解約できる

以上のような特徴から、気軽に節税したい人リスクを避けたい人によりおすすめしたいです。

iDeCoが向いている人

iDeCoは小規模企業共済に比べるとリスクは少し高くなり、運用の手間もかかります。一方で波はあれどおおむね現状の市況が続くと考えれば、堅い商品を選んでも将来的なリターンは高くなるでしょう。

そのためリスクをとり、手間がかかることを許容できる人にはiDeCoがおすすめ。

またオンライン化が進んでいるiDeCoは、オンライン上ですべての手続きを行いたい人にもおすすめです。

(執筆:齊藤颯人 編集:北村有)

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