ソーシャルセリングとは? ソーシャルマーケティングとの違い、具体的手法を解説

海外をはじめ、日本国内でも広まりつつある「ソーシャルセリング」。マーケティングや広報担当者、個人で仕事を受注する必要があるフリーランサーなどは、ソーシャルセリングを活用すればさらなるメリットが得られるかもしれません。

本記事では、ソーシャルセリングの概要や「ソーシャルマーケティング」との違いを明確にしたうえで、具体的な手法や便利なツールについて解説します。

ソーシャルセリングとは?

ソーシャルセリング=SNSを利用した営業活動

ソーシャルセリングとは、SNSを利用した営業活動のことです。Twitter、Instagram、YouTube、TikTok、LinkedInなどのSNSを使って見込み客との繋がりを作り、購買や契約などの具体的な行動を起こしてもらいます。

ソーシャルセリングの基本は、まずSNSアカウントのプロフィールを最適化すること。そして見込み客に向けて自社の情報をコツコツと発信することです。丁寧なやりとりを通して、企業と見込み客、お互いの信頼関係を構築することを目標にしています。

SNSを活用する営業活動のため、以下の業界でその真価が発揮されます。

  • 人材マッチング系サービス
  • Web制作(デザイン・プログラミングなど)
  • フリーランス向けサービス
  • Eコマース

ソーシャルマーケティングとの違い

「SNSを利用した営業活動なら、ソーシャルマーケティングと一緒では?」と思われた方も多いでしょう。

簡単に双方の違いをまとめます。

【ソーシャルセリングの特徴】

  • SNSを利用した営業活動のこと
  • 見込み客と直接1対1で交流して、信頼関係を構築することが目標である
  • 購買や契約などの具体的な行動に繋げることを目的とする

【ソーシャルマーケティングの特徴】

  • SNSを通して多数の潜在顧客(自社の商品やサービスを知らない顧客)にアプローチし、自社商品(サービス)の認知度を高めること
  • 潜在顧客の育成と購買の促進を目的とする

ソーシャルセリングの具体的な手法

ソーシャルセリング

ソーシャルセリングの具体的な手法を見ていきましょう。

手法1. 地道な情報発信

まずは企業の公式アカウント(フリーランサーの場合は個人アカウント)を作成したのちにプロフィールを最適化し、自社商品にまつわる情報をコツコツと発信します。

プロフィールの最適化とは、自社の見込み客が見ることを想定してプロフィールを整えることです。アイコン写真、プロフィール文、見込み客が欲しがる情報(店舗住所や商品価格、仕事実績など)を盛り込んだプロフィールにしましょう。

プロフィールを整えた後は、見込み客に向けて自社にまつわる情報を発信します。ただし、発信のみに集中していると逆効果です。

手法2. 見込み客との交流

情報発信と並行して、見込み客との交流も重視しましょう。

自社商品に興味を持ってくれそうな見込み客と出会ったら、相互フォローをする、投稿に「いいね」やコメントをするなど、定期的なアクションを重ねましょう。「単純接触効果」といって、ちょっとした交流を長く続けることで、好意的な印象を持ってもらえます。

相互フォローしたからといって、信頼関係を構築する前に「うちの商品を買ってください!」などのDMを送ってはいけません。画面の向こうにいる「人」と交流していることを意識して、信頼関係の構築と維持を目指します。

手法3. 信頼関係をベースにしたアクション

見込み客との信頼関係を築いたタイミングで、さらに具体的なアクションに繋げましょう。たとえば期間限定サービスや無料イベントの招待をDMで送るなど、比較的ハードルの低い案内をすると効果的です。

案内を受け取った見込み客が、実際に自社商品に興味を持ち、期間限定サービスや無料イベントを通して商品購入に至る。ここまでがソーシャルセリングの目標です。

ソーシャルセリングに便利なツール紹介

ソーシャルセリングに活用できるツールとして、以下の3つをご紹介します。

  • LinkedInSales Navigator
  • ソーシャルメディアモニタリング
  • SlideShare

ツール1. LinkedInセールスナビゲーター

見込み客を見つけるためのツールが『LinkedIn Sales Navigator』。

LinkedIn会員が使用できる有料ツールです。日本語サポートがないため、多少の不便はありますが、適切な使い方ができれば効果を発揮します。

見込み客を浮かび上がらせるためのフィルタリング機能高度な検索システム、そしてLinkedInの特性を生かし、ここぞというタイミングで見込み客と繋がることも可能。ソーシャルセリングでの活用を検討したい代表的なツールです。

ツール2. ソーシャルメディアモニタリング

SNS上のデータを吸い上げるのに特化したMeltwaterの『ソーシャルメディアモニタリング』。

TwitterやInstagramなどに回遊している、自社にまつわるコメントやレビューなどをまとめるのに適しています。

商品やサービスの魅力をアピールしようにも、現時点でどんなレビューがされているのか把握できていなければ、的外れな情報発信をしてしまいかねません。まずはしっかりと現状把握から始めましょう。

ツール3. SlideShare

SlideShare』とは、LinkedInが運営している資料共有サービスのこと。スライドショー形式で資料を無料公開できます。

社内プレゼンやブランディング資料を一般公開することで、自社商品の魅力をより効果的に伝えられるでしょう。動画の挿入もできるため、商品の使用感や使い方をデモンストレーションすることも可能です。

ダウンロードの可否を設定できるため、大事な資料を不当に悪用される危険もありません。

ソーシャルセリングのメリット

ソーシャルセリングのメリット

ソーシャルセリングの主なメリット3点をみていきましょう。

メリット1. 見込み客へすぐにアプローチできる

SNS上で行う営業手法のため、すぐに見込み客へアプローチできます。従来の営業であれば、日時を考慮してアポを取らなければいけなかった場面でも、平日土日問わず見込み客へのアクションを起こせるのが強みです。

メリット2. 見込み客が欲しがる情報をすぐに提供できる

見込み客のアカウントで「○○の商品に興味がある」「お店の場所はどこらへんだっけ?」などの投稿がされていたら、適切なタイミングで必要な情報を提供できます。

株式会社タニタ文房具メーカー・キングジムのTwitterアカウントを見てみると、消費者の目線に立った情報発信をコツコツと続けつつ、適切な距離感でユーザーと交流しているのが分かります。

メリット3. 届けるべきターゲットに情報を届けられる

自社商品を必要としていない相手に、どれだけ魅力をアピールしても時間を浪費してしまうでしょう。従来のしらみつぶしな営業手法とは異なり、SNS上で事前に見込み客の特性をリサーチできるため、届けるべき相手に対し、情報を発信できます。

ソーシャルセリングのデメリット

ソーシャルセリングのデメリット

魅力あるソーシャルセリングですが、デメリットも踏まえる必要があります。

デメリット1. 日本での知名度が低いゆえのやりにくさ

ソーシャルセリングの日本国内知名度は、決して高くありません。「ソーシャルセリングに1ドル投資すると5ドルの投資対効果が出る」とされているにも関わらず、日本では一部でしか名前を聞かないソーシャルセリング。

国内で浸透しない理由はいくつか挙げられていますが、やはりSNS上に個人情報を載せたがらない日本人の気質が主なネックになっているのでしょう。消費者の特性が分かる細やかな個人情報があってこそ、ソーシャルセリングは効果を発揮するのです。

少しずつ知名度を上げているソーシャルセリングですが、まだまだ導入には抵抗を感じてしまうかもしれません。

デメリット2. キャリア構築のしにくさ

企業の営業や広報担当としてソーシャルセリングを活用する場合、片隅に置いておきたいのが「キャリア構築」についてです。

前述したように、日本におけるソーシャルセリングの知名度は低く、未開拓の分野であることが、個人のキャリアパスを描きにくくさせる要因となりえます。ソーシャルセリングにまつわる知見を積んだとしても、転職先で評価対象となるかは未知数です。

十分な営業効果が見込めるソーシャルセリングですが、自身のキャリア構築との兼ね合いも考慮しなければいけません。

ソーシャルセリングの注意点

ソーシャルセリングを活用するにあたっての注意点を3つにまとめてお伝えします。

  • 営業活動を急ぎ過ぎない
  • 自分の話ばかりしない
  • 見込み客がいるコミュニティや業界に向けて情報発信する

注意点1. 営業活動を急ぎ過ぎない

人対人の丁寧なやりとりを重ねることで、信頼関係を構築するのがソーシャルセリングの目的です。見込み客と相互フォローできたからといって、毎日のように営業DMを送り付けていたら逆効果。ソーシャルセリングでは、営業活動を急ぎすぎないようにしましょう。

注意点2. 自分の話ばかりしない

出会い頭に自分の話ばかりしてくる相手を信用できますか?

SNSを活用した営業活動の場では、どうしても画面を介したテキストコミュニケーションが主となりやすいもの。だからこそ、自社商品の話題ばかり投稿していては飽きられてしまいます。時には時事ネタや、いわゆる「中の人ネタ」を挟むなど、発信内容に緩急をもたせる工夫が必要です。

注意点3. 見込み客がいるコミュニティや業界に向けて情報発信する

明らかに見込み客がいない界隈に向けて情報発信をしても、成果は望めません。アピールしたい自社商品の需要がありそうなコミュニティや業界を見極めることが大切です。

たとえばスキンケア商品なら、美容に興味がありそうな20〜30代女性をターゲットに、InstagramやTikTokを活用するのが効果的でしょう。またフリーランサーが案件受注を目的にクライアント向けの情報発信をする場合、TwitterやFacebookなど業種に合わせたSNSを主戦場にするのが基本です。

まとめ

日本ではまだまだ浸透しきっていないソーシャルセリング。「関係構築のための共感と傾聴」を意識して、コツコツ時間をかけ、自社商品やサービスの魅力を伝えていきましょう。

(執筆:北村有 編集:mozuku)

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