フリーランス必見の”消費税転嫁対策特別措置法”とは?10%増税分の買い叩きから身を守れ!

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2019年10月1日に、消費税が10%に引き上げられます。消費税が10%に上がったら、これまで「税込」で提出していた請求書の金額はどうなるでしょう?

もし「消費税は10%だけど、税込金額はこのままね」と取引先企業から言われたら? 仕事を受けるフリーランスは増税分の2%を肩代わりすることになり、損してしまいますよね。

実はこれ、「買いたたき」といって法律で禁止された行為です。消費税の増税分を企業が取引相手に負担させる行為は、「消費税転嫁対策特別措置法」で禁じられています。

今回は、消費税増税にあわせて禁止されている5つの行為を、具体例とともに分かりやすく解説します。法律で禁じられた行為を理解し、発注側も受け手側も適切に対応しましょう。

消費税転嫁対策特別措置法とは

消費税転嫁対策特別措置法とは、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」の略称です。消費税転嫁対策特別措置法は、企業が消費税の引き上げ分を適切に価格に上乗せするよう、取り締まることを目的としています。

ちなみに「転嫁(てんか)」とは、責任や罪をなすりつけることであり、税法上は「価格転嫁」のように、コストを相手に負担させる意味で使われます。つまり「消費税転嫁」とは、消費税の増額分を商品の価格やサービスに上乗せする、という意味です。

なぜフリーランスにとって、この法律が大切なのでしょうか? それはこの法律が、大企業に対して、中小企業や下請け・個人事業主に消費税増額の負担を強いることを禁じているからです。

仕事を発注したり、商品を仕入れたりする側は、消費税が引き上げられたらその分を速やかに価格に上乗せしなければいけません。

消費税転嫁対策特別措置法は2021年3月31日まで有効

この法律は、実は2013年10月1日に施行され、2014年4月に消費税が5→8%に引き上げられたときに効力を発揮しました。当初は2019年9月30日までの時限法でしたが、法改正により2021年3月31日まで効力が延長されています。つまり、今回の増税でも有効です。

冒頭に上げたような「消費税が上がっても税込価格は変えない」という企業の主張は違反行為であり、取り締まりの対象です。

仕事を受ける側がこの法律の中身を理解することは、自身の利益を守ることにつながります。また仕事を発注する側も、取引先とトラブルにならないために、禁止されている行為を正しく理解することが大切です。

消費税転嫁対策特別措置法の対象になるのはダレ?

同法では、規制の対象となる事業者(特定事業者)と、守られるべき事業者(特定供給事業者)を定めています。

特定事業者(買手)

特定事業者とは「買手」であり、法律で取り締まられる側のことを指します。

特定事業者には、下記のいずれかが該当します。

  1. 一般消費者にむけて商品を販売する、売上高100億円以上の「大規模小売事業者」
  2. 「Ⅱの特定供給事業者(売手)」から継続して商品やサービスを受け取る事業者

1. にあてはまるのは、大きなお店です。フリーランスに対して、ライティングやイラスト、アプリ開発を発注している事業者は2. に該当します。

特定供給事業者(売手)

特定供給事業者とは、企業との取引で商品やサービスを納める側であり、法律で守られる立場の事業者を指します。

特定供給事業者には、下記のいずれかが該当します。

  1. 個人事業主
  2. 人格のない社団等
  3. 資本金の額が3億円以下である事業者

つまり法人化していないほとんどのフリーランスが、法律で守られる対象になるということです。

免税事業者も法律で守られる対象になる

免税事業者のフリーランスの方は、「自分もこの法律で守られるのかな?」と心配になるかもしれません。

ご安心ください。消費税転嫁対策特別措置法は、免税事業者も「特定供給事業者」にふくまれるとしています。そのため免税事業者の方でも「消費税が10%になるので税込価格を変更してください」と要求することができます。なお取引先が要望を断ることは、後述する禁止行為に該当します。

個人事業主と取引している企業は、相手が課税事業者・免税事業者に関係なく、消費税の引き上げ分を価格に上乗せしなければいけません。

(参考:国税庁 納税義務の免除

(参考:Q19 、Q20 公正取引委員会 消費税の転嫁拒否等の行為にかんするよくある質問

消費税転嫁対策特別措置法で禁止されている5つの行為

消費税転嫁対策特別措置法では、事業者間の取引において消費税の増税分が価格に反映されず、仕入れ元やサービスの提供者が皺寄せを受けることはあってはならないとしています。

法律で禁止されている転嫁拒否の行為(消費税の上乗せを拒否する行為)は、5つあります。以下でそれぞれ説明します。

1. 減額

減額とは、特定事業者が取引後に、消費税の引き上げ分を支払わないとする行為です。

たとえば消費税の増額分を上乗せした結果、端数が出たからと一方的に切り捨てて請求書の料金を指示する行為は、減額に該当します。

減額の例

消費税8%の時点で、税込5,000円の取引の本体価格は4,630円です。

消費税10%に引き上げられると、税込5,000円だった価格は、税込5,093円になります。

これを支払元が勝手に3円の端数を切り捨て、税込5,090円の請求書を発行するように命じることは減額にあてはまります。

2. 買いたたき

買いたたきとは、合理的な理由がなく通常支払われるべき料金よりも低く金額を設定することを指します。

買いたたきの例

  • 税込価格での取引であることを理由に、事業者が消費税の引き上げ分を上乗せしないと主張する
  • 取引しているフリーランスから価格交渉や引き上げの要請がなかったからと、税込価格を据え置く
  • 免税事業者だからと、消費税増税分の価格の引き上げを拒否する

3. 商品購入、役務利用または利益提供の要請

消費税の引き上げ分を価格に上乗せすることを見返りとして、発注元が取引相手に対し別の商品を購入させたり、自社のサービス利用を強要したりすることは禁止されています。

代表的な例

  • 消費税の増税分を引き上げを理由に、協賛金を要求する
  • ディナーショーのチケットの購入を迫る

4. 本体価格での交渉の拒否

同法では、消費税を含まない本体価格での価格交渉を拒否することを禁じています。

特定事業者は、本体価格での価格交渉の申し出があった場合、それを拒否してはいけません。

代表的な例

  • 消費税が別で記載されている請求書を、税込価格で再度提出するよう指示する
  • 税込価格しか表示できないようなフォーマットの請求書を使うよう指示する

5. 報復行為

特定事業者は、消費税の増額分を価格に反映させたことを理由に、取引を断ったり、仕入れ量を減らしたりするなど、不利益な対応をしてはいけません。

これらは報復行為にあたるとして、禁止されています。

10月1日の増税以降、発注主からこんな要求をされたら要注意!

消費税が10%に引き上げられた後、発注主から次のような要求をされたら、消費税転嫁対策特別措置法で禁止されている行為の可能性があります。

「免税事業者だから、消費税は8%のままでいいよね」

免税事業者に対しても、事業者は消費税の引き上げ分を価格に上乗せしなければいけません。

免税事業者であることを理由に価格の据え置きを主張されたら、それは買いたたきに該当する可能性があります。

「8月に契約した仕事だから、10月納品でも消費税は8%」

消費税の税率は、サービスや商品が引き渡された日(完了日)を基準に計算されます。

2019年9月30日より以前に契約した取引でも、サービスの納品および金額の支払いが10月1日以降の場合、原則として新税率である10%が適用されます。

「めんどくさいから端数を切り捨てておきました」

消費税の引き上げ分を価格に上乗せして発生した端数を、取引先が一方的に切り捨てることは、減額にあたり禁止されています。

ふだんから税込価格で取引しているフリーランスの方は、サービスや商品の本体価格(税抜き価格)を確認し、10%になった場合の正しい金額を把握しておきましょう。

税込価格から消費税8%を引いた本体価格の計算方法

税込価格を「1.08」で割ると、消費税を差し引いた本体価格を算出できます。

たとえば税込8,000円の場合、本体価格の計算方法は以下のとおりです。

8000 ÷ 1.08 = 7407

本体価格7,407円の料金が消費税10%になった場合の金額を求めるには、「1.10」をかけます。

7407 × 1.10 = 8148

つまり消費税8%で税込8,000円の取引は、10%に引き上げられた場合8,148円になります。

もし禁止行為を発見したら?公正取引委員会に相談・通告できる

もし、禁止行為に直面した場合、公正取引委員会に相談・通告することができます。例えば以下のような受付窓口があります。

消費税の転嫁拒否等の行為等に係る相談・違反情報の受付窓口

電話での受付以外に、近隣の窓口で相談することも可能です。

窓口が報告を受けたら、問題となる事業者は調査され、立ち入り検査や是正のための勧告が実施されます。また違反行為が認定された事業者名および問題行為は、公正取引委員会のウェブサイトにて公開されます。

仕事を発注する側である法人・個人事業主は、禁止されている行為をしないよう注意しましょう。

まとめ

消費税の引き上げ分を無視する取引は、法律で禁止されている行為です。

10月に消費税が引き上げられた後、取引の料金に対して増税分が適切に反映されない場合、消費税転嫁対策特別措置法の禁止行為に該当する可能性があります。

心当たりがあれば、まずは電話か最寄りの窓口で相談してみましょう。

また、現在行っている取引が消費税10%に引き上げられたらいくらになるのか、きちんと確認することも忘れずに。

(参考:消費税の円滑かつ適正な転嫁のために消費税転嫁対策特別措置法について公正取引委員会 消費税転嫁対策コーナー

 

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