ゲーム開発の現場では、デザイナーの役割が細分化されています。
イラストレーター、アニメーター、3Dモデラ―、モーションデザイナー、デザイナーとプログラマーをつなぐテクニカルアーティストなど、専門分野によって分業化が進んでいるのです。
今回はその中でも希少な職種である、ゲームエフェクトを作り上げる「エフェクトデザイナー(VFXアーティスト)」について、詳しい仕事内容や必要な知識について解説します。エフェクトデザイナーになることを視野に入れている方はぜひ参考にしてください。

いくつものゲーム企業上空で観測されてきたフリーのゲームクリエイター。 ゲーム制作を学べるオンラインスクール『テックスタジアム』でも教えてます。→ https://tech-sta.com/
ゲームエフェクトとは
そもそも「ゲームエフェクト」とは何でしょうか。以下に一例を挙げます。
- キャラクターが剣を振ったときの斬撃
- 魔法を使ったときの効果表現
- 撃った弾の軌道表現や衝撃
- 発したビームの視覚的表現やその効果としての爆発
- 炎や煙、水や風などの表現
このように、画面上のありとあらゆる演出を表現するのがゲームエフェクトです。
SF映画においてもエフェクトはよく使われますが、映像とゲームでは、エフェクトの作り方が大きく違ってきます。そしてそのゲームエフェクトを作り上げる職種が、エフェクトデザイナーです。
エフェクトデザイナーとは
かつてゲーム制作におけるエフェクト(VFX)は、デザイナーが素材を描き、プログラマーがそれを用いて制作するものでした。
しかしCG制作ツールが発達して表現の幅が大きく広がり、3Dゲームが主流となったことで、エフェクトデザイナー(VFXアーティスト)という新たな職種が生まれました。
エフェクトデザイナーに求められること
エフェクトをゲームに組み込むことで、どんな効果を発揮するのでしょうか。
エフェクトには、攻撃が相手に当たっているか、魔法などの効果が発動しているかなど、プレイヤーに画面内で起きていることを視覚的に伝える役割があります。
仮にエフェクトがなかったとしたら、「見た目が地味」「何が起きているのか分からない」などの問題が生じてしまうでしょう。エフェクトを入れることで、プレイヤーにプレイの爽快感を与えることができます。
エフェクトデザイナーは、作品の世界観を理解したうえで、最も効果的な演出表現を創り出すことが求められる仕事なのです。
エフェクトデザイナーに向いている人
エフェクトを作るためにはさまざまな技術が必要です。
たとえばメッシュ作成のためのモデリングやテクスチャの作成、アニメーション作成、演出によるカメラワークなど、複数の技術を掛け合わせることになります。
そのため、いろいろな部分の制作に関わりたい方にとっては、幅広い技術を身につけられるエフェクトデザイナーはピッタリの職種と言えるでしょう。
ゲームエフェクトの作り方

ここからは、実際にエフェクトを制作する手順を簡単に解説します。
基本的にゲームにおけるエフェクトは、「パーティクル(粒子)」と「エミッター(パーティクルを放出する装置)」を使って表現することが多いです。これらは「炎」と「かまど」のような関係だと思っていただければOKです。
パーティクルとは
「パーティクル」とは粒子のこと。
パーティクルの色や大きさ、量、起動などを制御・調整することにより、さまざまなエフェクトを作ります。
エミッターとは
パーティクルを放出する装置のことを「エミッター」といいます。
エミッターのパラメーターを調整し、パーティクルを放出する量、位置、タイミング、そして放出源の形状をデザインしていきます。
パーティクルとエミッターの設定方法
パーティクルは、何も設定しなければただの細かい小さな粒が放出されるのみです。
そこでエミッターにより量や放出場所などを調整することで、必殺技や魔法を表現します。
パーティクルの種類は、大きく分けて以下の3つです。
- クアッドパーティクル
四角形のポリゴンを利用したもの。もっとも使用頻度の高いパーティクルです。 - ストライプパーティクル
ポリゴンをつなげて帯状にしたパーティクル。クアッドパーティクルと同様、四角形のポリゴンを使用します。帯状のため、ビームや斬撃などの軌跡によく利用されます。 - モデルパーティクル
3Dモデルを使用したパーティクル。たとえば爆発エフェクトを作るとき、飛び散る破片をモデリングし、それをパーティクルとして発生させるなどの手法があります。
また、パーティクルもただ出力させるだけではありません。パーティクル自体にも下記のような要素があります。
- 色
- 大きさ
- 量
- 形状
- 方向
- 位置
- 軌道
- タイミング
これらのパラメーターは一定にする場合もありますが、多くはランダム値を設定します。たとえばパーティクルで煙を表現する場合、立ち上っていく煙の動きをランダムにすることで、より自然な表現を実現できるのです。
エフェクトデザイナーが使う制作ツール
エフェクトデザイナーは使用するツールがたくさんあります。そのなかでも下記のツールは、ゲームエフェクト制作においてよく使われるものです。
- Shuriken(Unity)
Shurikenは、Unityに搭載されているパーティクルシステムです。デフォルトで搭載されているツールのため、Unityで開発するゲームはShurikenを使用してエフェクト制作することが多いです。Unity上で動作確認ができる、利用料がかからないなどのメリットがあるため、業界内では幅広く使われています。 - カスケード(Unreal Engine4)
カスケードは、Unreal Engine4と呼ばれるゲームエンジンに搭載されているパーティクルシステムです。PlayStationなどのコンシューマーゲームのエフェクト制作でよく使われています。 - After Effects
Adobe社の映像編集ソフトです。基本的には2Dの映像加工ソフトですが、プラグインを用いればハイクオリティな3Dエフェクトを作成する事も可能です。実写、ゲーム、アニメ、遊技機、Webなど幅広い業界で使用されています。 - BISHAMON
マッチロック社が提供する3Dエフェクト作成ツールです。直感的なインターフェースが特徴で、初心者でも扱いやすくなっています。 - FumeFX(Maya)
Sitni Sati社が提供するMaya用プラグインです。水やガスなどの流体をシュミレーションできるため、炎や煙、爆発などのリアルなエフェクト制作を得意としたツールです。
ここで取り上げたもの以外にも、たくさんのエフェクト制作ツールがあります。エフェクトデザイナーはこれらのツールを使いこなせなければなりません。プロジェクトや作りたいエフェクトに合わせてツールを選定し使い分けることができるのも、エフェクトデザイナーの仕事の面白さのひとつです。
エフェクトデザイナーを目指す人へのアドバイス
エフェクトデザイナーは比較的まだ新しい職種のため、エフェクト専門のクリエイターの数は、モデリングやモーションのデザイナーと比べて圧倒的に少ないです。業界内におけるプロジェクトでも、エフェクトデザイナーの不足が叫ばれています。ゲームエフェクトを専門で教える教育機関がほとんどないことも、人手不足の理由の一つです。
日本でもゲームや映像制作が学べる専門学校は多く存在するものの、ゲームエフェクトを専門に教えるクラスやコースはそれほどありません。「VFXコース」を見かけることはありますが、映像系のVFXがほとんどです。エフェクトデザイナー自体が少ないため、教えられる講師も少ない状況なのです。
ゲームエフェクトを専門に扱っている数少ないスクールとしては、『テックスタジアム』の「VFXコース」があります。
昨今のゲーム開発において、グラフィックに求められるクオリティは年々高まっています。そのなかで”魅せる演出表現”としてのエフェクトは欠かせない存在であるのに対し、エフェクトデザイナーの数は足りていないため、需要に供給が追いついていないのが現状です。
すなわち、需要の高いエフェクトデザイナーを目指すには、いまが絶好のチャンスとも言えます。
もしこれからエフェクトデザイナー(VFXアーティスト)を目指すのであれば、さまざまなツールで実務経験を積み、イメージしたものを作れるようになりましょう。そうして経験を積めば、需要もあり希少価値も高い職種のため、フリーランスとして活躍できる可能性も高いです。
(執筆:U4 編集:北村有 提供元:TECH STADIUM)







