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勢いが止まらない中国発の動画プラットフォーム、TikTok。
かつての「イケてる男女が踊っているSNS」というイメージはもう古く、最近はさまざまな動画スタイルでフリーランスや企業が参入しています。
現代のSNSトレンド「ショート動画」の代表格でもあり、これからの時代を牽引していく存在になることは間違いないでしょう。
今回はそんなTikTokの運用方法について、具体例も交えながら解説していきます。
目次
TikTokとは、中国のByteDanceという会社が運営するショートムービー共有アプリです。2016年にリリースされてから破竹の勢いでユーザーを増やし、今では世界150ヵ国以上に展開しています。
2020年と2021年の世界のアプリダウンロード数で1位を獲得し、そのダウンロード数は約6億5,600万回。
若者を筆頭に使用されているイメージですが、テレビCMの効果もあってか意外にも幅広い年代に支持されています。
- 10代:16.9%
- 20代:22.3%
- 30代:22.8%
- 40代:24.3%
- 50代:13.7%
なぜこれほどまでにTikTokを利用する人が増え、ファン化していくのでしょうか。
その秘訣は「誰でもフォロワーを獲得しやすい」という仕組みにあります。
TikTokでフォロワーが増える仕組みは「レコメンド機能」にあります。レコメンド機能とは、ユーザーそれぞれに合わせておすすめの動画を表示する機能のこと。
TikTokはこの機能が非常に優れていて、AIがユーザーの視聴データを収集し、好みの動画ジャンルを分析して、より最適な動画をおすすめしてくれるのです。
この独自のレコメンド機能こそがTikTokの最大の発明だと言われています。
通常、SNS運用をするとなると軌道に乗せるまでが大変です。しかし、TikTokの場合は作りたてのアカウントでも積極的におすすめ表示してくれ、一定数のインプレッションが見込めるため、内容次第では初期段階からバズることも。
またショート動画という特性上、サクッとコンテンツを閲覧できるため、1ユーザーあたりの動画の消費量が多く、新規アカウントがおすすめ表示されてもユーザーのストレスになりにくいというのも特徴です。
TikTokは若者の間で火がつき、その後一般層まで普及していった、というのは皆さんも知るところだと思うのですが、そもそもなぜ若者の間で火がついたのでしょうか。
その背景には「若者のコンテンツ慣れ」と「発信のハードル」があります。
一昔前までは世の中にコンテンツが少なかったため、限られたコンテンツ(TVや雑誌など)に人が集中していました。
しかし、SNSの登場によりコンテンツの量が急増し、飽和状態に。SNSネイティブである若者は、Web上のコンテンツに慣れていきました。
当然、長くてだらだらしたコンテンツは見られなくなってしまいます。その世代の「スマホで新しいコンテンツをサクサク見たい」というニーズをガッチリ掴んだのが、縦型ショート動画を扱っていたTikTokでした。
また、「顔が加工できる」「音楽に合わせて踊れる」という機能が発信のハードルを大きく下げています。加工することで顔出ししやすくなっただけでなく、音楽ごとに振り付けが決まっているため、動画を投稿する際も「乗っかればいい」だけに。誰もがコンテンツを発信しやすくなりました。
そういった経緯で若者の間でムーブメントが生まれ、TikTokからスターになる一般人が増えていきました。そして現在は、世間中で注目されています。
前述した通り、TikTokは新しい動画を次々に見ていくフロー型のメディアなので、自分の動画がおすすめ表示されたときに、いかにフォローにまで繋げられるかが重要です。
TikTokユーザーがフォローしたくなる基準を3つ紹介していきます。
もう一度見たいと思ってもらうことはとても重要です。
たとえば
など、相手の感情を少し動かしたり、役に立つと思ってもらったりすることで、フォローに繋がる確率は上がります。
ユーザーにとって「見るメリットがある」動画を作りましょう。
アカウントに掲載されているコンテンツの数も重要です。
せっかく新規ユーザーがあなたをフォローしようと思っても、投稿されている動画が少なければ「あまり更新していないアカウントなのかな?」と思われてしまい、フォローに繋がりません。
ここでユーザーを逃すのはもったいないので、アカウント立ち上げ初期はとくに動画の投稿数を増やしましょう。
TikTok内にはコンテンツが溢れているので、ユーザーも無意識に「フォローするべきアカウントかどうか」を判断しています。つまり、他のアカウントにはない独自性があったり、唯一無二の面白さがあったりすると、一気にフォロワー数を増やすことも可能です。
しかし最初から独自性や面白さを盛り込むのは難しいので、まずは伸びてるアカウントを参考にし、 そこに自分なりの強みを1個〜2個足してあげるといいでしょう。
筆者はポジショニングマップを作ったりもしました。たとえば「料理」のジャンルを狙うとしたら以下のようなマップを作って既存の競合アカウントを当てはめていきます。
【例1】料理内容を軸としたポジショニングマップ
- 横軸:庶民料理⇄高級料理
- 縦軸:時短節約⇄ 手の込んだもの
【例2】撮影方法を軸としたポジショニングマップ
- 横軸:スマホ撮影⇄一眼レフ撮影
- 縦軸:ノウハウ寄り⇄ ユーモア寄り
その中から、いま勢いのあるアカウントはどこに位置しているのか、自分はどこにポジションを置くのかを判断していきます。
このポジショニングマップを作ることで、そのジャンルの全体像や伸びやすいパターンが見えてきます。
ここからは筆者が実際にアカウント運用する中で感じた、TikTokのフォロワーを増やすテクニックを紹介していきます。
まずはユーザーがあなたの動画を発見してからフォローに至るまでの流れを把握しましょう。
ユーザーは以下のような流れでフォローしています。
面白い動画を作ることは大前提として、動画視聴後にフォローしたくなるような導線作りやアカウント設計が重要です。
ターゲットを明確にしましょう。
ここがブレていると、誰に向けたコンテンツなのかが曖昧になり、アカウントの一貫性が無くなってしまいます。
具体的には、以下の要素を書き出していきましょう。
そのターゲットが、「友人に口コミで紹介するときの言葉」までイメージできていると理想的です。
自分たちの動画のどこを評価し、人に広めたいと思うのかを事前に考えることで、コンテンツを作る際にも役立ちます。
筆者は自分の身近な友人からターゲットに近い人を思い浮かべて「あの人に刺さるコンテンツを作ろう」と明確にイメージしていました。
投稿内容に一貫性を持たせることも重要です。
たとえば、あなたがTikTokで見た動画を「面白い!」と思っても、アカウントの他の動画が全然違うテイストのものだったらフォローしませんよね?
どういうジャンルのアカウントなのか、どんな人に向けたアカウントなのかを瞬時に伝えるために、テーマを統一する必要があります。
最初は仮説を立てながらいろいろな動画を試して、伸びそうなスタイルが見えてきたら動画の構成をフォーマット化して統一していきましょう。
ターゲットであるユーザーが見やすい時間に投稿しましょう。
たとえば
などです。一般的には18時〜22時あたりが見られやすい時間とされています。
定期的に投稿することで、ユーザーに視聴習慣をつけてもらうことができます。
毎回のように見てくれるユーザーが増えると、投稿してすぐに動画の視聴回数・コメント数・いいね数をある程度確保でき、おすすめにも載りやすくなります。
さらに、何度も動画を視聴したユーザーはザイオンス効果(単純接触効果)によってアカウントのファンにもなりやすいのです。
ザイオンス効果:
同じ人やモノに接する回数が増えれば増えるほど、その人やモノに対して好印象を持つようになる心理現象のことです。
コツとしては、なるべく同じ時間・同じ曜日に投稿することです。
ベストは毎日投稿ですが、最低でも週3回は投稿するようにしましょう。
TikTokでは、どんどんスワイプして次の動画を見られるので、冒頭3秒が面白くない動画だった場合、すぐにユーザーが離脱してしまいます。
最初の3秒でどれだけユーザーの心を掴み「この動画を見てみよう」と思わせられるかが重要です。
具体的には、以下の要素が大切です。
たとえば筆者がプロデュースしていたマッチョ店長のアカウントであれば、普通の日常生活にエプロンをつけたマッチョがいるという異物感により、インパクトのある演出をしています。
TikTokには「視聴完了率」という指標があります。視聴完了率とは、動画を視聴したユーザーのうち、どれだけのユーザーが最後まで動画を視聴したのかというデータのこと。
先ほど紹介した「開始3秒の引き」が動画の表紙だとしたら、 視聴完了率というのは動画の中身の部分に大きく関与します。
視聴完了率が高い動画というのは、中身が面白いものだとTikTok側も判断するので、 おすすめに載りやすくなります。
TikTokには常に「その時期に流行っているトレンドの音楽」があります。
その音楽を使って動画を作成することによって、新規ユーザーの目に触れる可能性が高まります。以下のような流れで、新規ユーザーのおすすめに表示されるでしょう。
また、トレンドの音楽に付随するハッシュタグが流行ることも多いので、ハッシュタグからユーザーが流入することも。
必ずしもトレンドの音楽に合わせて踊らなければいけないわけではなく、いつも投稿している動画のBGMとして使うだけでも効果があります。
コメントにも積極的に反応していきましょう。
アカウント初期は地道にコメントに返信をしていき、ユーザーとの交流を図るのがおすすめ。コメントが増えてきたらすべてに返信するのは難しいため、いいねを押すだけでも大丈夫です。
コメントに反応するメリットは以下の3つ。
返信コメントを見にユーザーが帰ってくるので視聴数が増加し、ユーザーは反応がもらえて嬉しいのでフォローする確率が上がります。
「コメントしたら見てくれるんだ」と思ってもらえることで、コメント率の増加も見込めるでしょう。
TikTok内で流行っている音楽や動画スタイルは、ハッシュタグとして急上昇に上がってきます。
人気のハッシュタグを活用することで、急上昇からの新規ユーザーの流入が見込めるのに加え、「ハッシュタグ検索」をするユーザーにもリーチできる可能性も。
また、ハッシュタグを活用することでTikTok側がその動画のジャンルを把握できるので、類似アカウントのフォロワーのおすすめに表示されやすくなります。
通常のプラットフォームでは、他のSNSのリンクを貼っても遷移先のアプリがすぐに起動することはなく、元の媒体上でブラウザが立ち上がることが多くあります。なるべく他のアプリに移ってほしくないからですね。
しかしTikTokでは、他のSNSのアイコンをタップした段階ですぐにアプリが立ち上がります。このUIのおかげで、ストレスなく各SNSに誘導できます。
TikTokをきっかけにYouTubeやInstagramのフォロワーを伸ばしている発信者も多く、このシームレスな連携がTikTokのひとつの強みでしょう。
また、TikTokは他のSNSで動画がシェアされることを推奨しているので、各SNSでも動画を宣伝してみましょう。
ユーザーにシェアボタンを押させるために「共有からLINEを開いて◯番目の人があなたにとって◯◯」とキャプションに書いて誘導する手法も流行っています。
コメントを誘導することもひとつのテクニックとして有効です。
TikTokはユーザーがコメントしている間にも動画が流れる仕様になっているため、コメントをしているうちにも2〜3回動画が再生され、視聴回数の増加が見込めます。
さらにコメント率が上がることで「良質な動画」だと判断してもらえる可能性も上がります。
コメントを誘導する方法としては、以下のような方法が主流です。
ツッコミどころの多い動画はコメント数が増えやすい印象。
さまざまなアカウントを見ている中で、運用のしかたが「上手いな〜!」と感じたアカウントを紹介します。
フォロワー1,000万人を超える女性TikTokerの景井ひなさん。TikTokを通じて、一躍有名になったインフルエンサーの代表例といっても過言ではないでしょう。
トレンドの音楽や流行っている企画に乗っかるのがうまく、ただ真似するだけではなく独自の発想やユーモアを盛り込んでいます。
また、海外で流行っている企画をいち早くキャッチアップして動画にしていたり、日本語を喋らないノンバーバルな動画スタイルのため、国外のファンも多いです。
バーチャルTikTokerとして300万フォロワーを獲得しているキズナアイさん。
トレンドの音楽に合わせて踊るというオーソドックスな動画スタイルですが、Vtuberがやることで目に止まりやすく、楽曲に合わせて背景も変えているので楽しめます。
何よりCGキャラクターとしてのクオリティが高いのが特徴です。
東京のおすすめの飲食店をサクッと見られる東京グルメさん。1動画につき1店舗を紹介しており、お店の特徴や名物料理を数十秒で知ることができます。
冒頭にフックワードを持ってきて、カットのテンポのよさとナレーションで飽きさせず、最後は美味しそうな料理の絵で締める。このフォーマットがうまくハマった事例です。
コンテンツの横展開もしていて、TikTokに投稿した縦動画を
にも投稿することで、それぞれの媒体で10万フォロワー以上を獲得しています。
飲食店から依頼を受けてPRしている動画も多く、収益化もしているようです。
アトム法律事務所を運営している弁護士の岡野タケシさん。流行りの事件や世間が気になっている話題について弁護士視点で話す内容で、YouTube・TikTokともに伸びています。
アトム法律事務所がうまい点は3つ。
トレンドの話題を扱うことで引きがあり、専門家の「見解」を知りたがっているというユーザーの心理もうまく掴んでいます。また、TikTokにはコメントを引用する機能があるのですが、それを利用して「視聴者からきたコメントに回答していくスタイル」で動画を作っています。
このコメント活用スタイルのメリットは
コメントでボケる人もいたり、ハガキ職人みたいな人が現れたりして、エンタメ性も増します。
「もしかしたら、自分のコメントが取り上げてもらえるかもしれない」という期待感から、コメント率も上がります。
タクシー会社の社員がトレンドの音楽やエフェクトを使ってTikTokを楽しんでいる三和交通@TAXI会社さん。
メガネとネクタイが特徴的な部長さんが名物キャラクターとなり、その外見からは想像できないキレのあるダンスで一躍有名になりました。
「こんなおもしろい会社素敵!」というコメントも多く、TikTokを活用して社員の個性を全面に出し、採用にも繋げています。
金沢フルーツ大福凛々堂は、TikTok戦略を駆使して、オープンから半年ほどで10店舗まで一気に増やした事例です。
凛々堂の上手い点は3つ。
大福の中から大粒のフルーツが出てくるという動画がバズり、「ここ行ってみたい!」というユーザーが急増しました。
また、店員さんが営業中にライブ配信をすることで親近感が湧き、その店員さんに会いに行く人も。
店員さんは配信中のギフティングでも稼げるため積極的に配信し、お客さんが来ない時間の有効活用ができています。
TikTokはまだまだこれから伸びていく動画プラットフォームです。
エンタメ動画だけではなく、商品・サービスの認知拡大、採用、店舗PRなどビジネスとしての活用も増えてくると思います。
これから参入する企業やフリーランスが失敗しないよう、この記事が参考になったらうれしいです。
(執筆:しみ 編集:mozuku)
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