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TikTokはなぜ流行した?フックモデルで分析する”習慣化するアプリ”を作るコツ

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近年注目される動画コンテンツといえば、「2018年にApple Storeで最もダウンロードされたアプリ」に輝いたTikTokではないでしょうか。

スマートフォンがあれば誰でも短いミュージックビデオを撮影してシェアできるTikTokは、現在世界で5億人のアクティブユーザーがおり、日本でも10代前半~20代前半の若者を中心に人気を博しています。

今でもさまざまなユーザーが毎日動画の投稿を続けていますが、そもそもTikTokはなぜここまで爆発的な人気が出たのでしょうか。今回はユーザーにプロダクト使用の習慣をつけさせるマーケティング手法「フックモデル」から、その秘訣を読み解いてみましょう。

フックモデルとは

フックモデルとは、イスラエル出身の起業家であるニール・イヤールが提唱した顧客体験のプロセスです。「トリガー」「アクション」「リワード」「インベストメント」という4つのステップで構成されています。

ここからは、一つひとつのステップについて説明していきます。

1. トリガー(きっかけ)

「トリガー」とは、フックモデルの最初のステップで、行動を起こすためのきっかけとなるものです。外的と内的の、ふたつのトリガーがあります。

「外的トリガー」とは、検索エンジンやSNSに表示される広告やメールマガジン、口コミの紹介などの導線を使用してユーザーの興味を引き、CTAボタンなどのリンクをクリックさせるものです。

これらのきっかけがあることによって、今度はユーザーの感情に関わってくる「内的トリガー」が生まれます。「お腹が空いた」と思ったときに、食べ物の広告を思い出してそれを食べたくなるように、ふとした感情によって引き起こされる自発的な欲求が内的トリガーです。

TikTokにおけるトリガー

TikTokの外的トリガーは、広告や口コミによる「バズ」です。クリエイターにとって、多くの人から口コミやフィードバックが得られるのは人気の証といえますが、TikTokはそれが得やすいプラットフォームであるというのを他のソーシャルメディアで上手く伝えていたのです。

TikTokの特徴は、なんといってもキャッチーな音楽のついた15秒のビデオ。これは大量の情報が飛び交う現代において「短時間でちょっとだけ楽しむ」ことを求める10代の若者にぴったりのコンテンツです。クリエイターは、この短い時間で踊りなどの才能を披露したり、自分自身を表現して人気を集めたりできるでしょう。そのことをTikTokは、広告や口コミで上手く伝えていました。

人々はTwitterやYouTubeなどに表示されるTikTokの広告を頻繁に見ることで、それが大きな影響力を持つものだと認識します。それらを見ることで人々は「注目を集めたい」という内的トリガーが引かれ、TikTokアプリをダウンロードするようになるのです。

2. アクション(行動)

「アクション」とは、リワード(報酬)を見越して行われる簡単な行動のことです。たとえば画面のスクロールや投稿のシェア、フォローなどが該当します。

製品・サービスのユーザビリティを良くするもので、「簡単」かつ「メリットがあるかもしれない」と思わせるアクションであることが重要です。

TikTokにおけるアクション

TikTokはアカウント登録なしでも利用でき、操作もすべてスマートフォンで行えるため、アクションするのは非常に簡単です。画面のスクロールやタップ動作だけで、多くのコンテンツを閲覧できます。

動画などを投稿するときも、スマートフォンのカメラさえあればOK。音楽を自分で準備する必要も、動画編集アプリをダウンロードする必要もありません。

動画のエフェクトやフィルタ、編集なども、TikTokのアプリ内ですべて簡単にできます。編集にハードルの高さを感じる若者にとっては、TikTokのようなアプリがぴったりだったのです。

3. リワード(報酬)

「リワード」とは、ユーザーが行動することによる報酬を意味します。

SNS利用における報酬は、大きく以下の3つに分けられます。

  • 他の人とつながること
  • 有益な情報を収集すること
  • SNSを使いこなし有名になること

TikTokのリワード

若いクリエイターによって毎日数多くのビデオが投稿されるTikTokのフィードは、若い世代における流行などの情報収集をする場としてぴったりです。一つひとつの動画が短く作られているので、学生の通学時間やちょっとした休みの間に見るコンテンツとしても適しているのでしょう。

また動画を投稿すると、他のユーザーから「いいね」や「コメント」をもらえるようになっています。何度も投稿するうちにクオリティの高い動画をつくれるようになり、多くの「いいね」を獲得して人気者になれるかもしれない……というのは、十分な報酬となります。

4. インベストメント(投資)

「インベストメント」とは、将来的により多くのリワードを期待してアクションを起こすことです。

このころには、最初に製品・サービスを使い始めたときとは別のトリガーが生まれているかもしれません。

TikTokにおけるインベストメント

TikTokでは、ユーザー登録をしなくても他の人が投稿した動画を視聴できますが、登録をすれば好きなクリエイターをフォローし、自分だけのオリジナルフィードを作ることが可能です。また興味のある動画を見続けることで、それに似た「おすすめ」のユーザーが表示されるようになり、さらに好きなクリエイターが増えていき、アプリの使用が習慣化します。

動画を投稿するクリエイターにとっては、多くの投稿をすることでより多くの人からの評価を得られるため、継続的に動画を投稿するようになるのです。人気を得るまでの過程が難しすぎるとユーザーは離れてしまいますが、TikTokは最初の段階では登録なしで楽しめたり、高度な編集技術がなくても投稿できるようなシステムが構築されています。ここがTikTokの強みでしょう。

その他の注目すべきTikTokの特徴

ここまでフックモデルに基づいたTikTokの強みを紹介してきましたが、ほかにも特筆すべきTikTokの特徴があります。

  • TikTokは、誰でも気兼ねなく投稿できる「非エリート主義」な雰囲気を持つアプリです。コンテンツそのもののクオリティはそこまで重要視されず、芸能人などでない一般人でも人気クリエイターになれる可能性を秘めているのです。
  • TikTokは、ダンスや口パクなどで「かわいさ」を出したい女子高生たちに人気ですが、最近は40代の男性ユーザーも増えてきています。その理由は、若い女性たちとコミュニケーションを取りたいという下心から……。人気の女性クリエイターのコメント欄を見ると、それがよくわかります。TikTokは、そんな内的トリガーを誘発するプラットフォームでもあるのです。
  • TikTokの人気クリエイターは、影響力のあるマーケティングチャネルとなっています。そのためTikTokを利用するモデルや10代の若者たちは、ブランドや広告主にアプローチされ始めています。

まとめ

TikTokがなぜ若者のあいだでこんなにも流行したのか、お分りいただけましたか?

いま絶大な人気を誇るこのアプリから学べることは、まだまだ多そうです。

(原文:Sadiyah Lasania 翻訳:Klara)

 

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