UX改善のお供には、タッチポイント・ストラテジーキャンバスを使おう

「サービスデザイン」と「UXデザイン」。この2つの異なる視点を組み合わせて考えることは大切です。

しかしサービスデザインは、UXデザインよりもユーザー体験全体に関わる俯瞰的な視点を必要とします。

サービスデザインがサービス全体に関わるデザインを指すのに対し、UXデザインはデジタルプラットフォームやWebサイトなど、ひとつのタッチポイントに関わるデザインを指します。

▲サービス全体は、複数のタッチポイントにより構成されている。そのタッチポイントそれぞれに、UXデザインが必要になる

上図のように、ひとつのサービスは複数のタッチポイントを持っているため、サービスデザインを常にUXデザインの視点からも眺めることが大切です。しかし理論で理解するのは簡単でも、実戦の場では戸惑うことも多いでしょう。

これまでサービスデザインをUXデザインの視点から眺めるために、全体を俯瞰できるバリュー・プロポジションサービスプロダクト・ビジョンボードなどのツールが使用されてきました。一方、これらでは限界があったもの事実です。

本稿では、UXデザインとサービスデザインを融合させるために生み出されたツールである、「タッチポイント・ストラテジーキャンバス」について紹介します。

タッチポイント・ストラテジーキャンバスとは

「タッチポイント・ストラテジーキャンバス」とは、企業の視点やユーザーのゴール、商品の機能などをまとめ、戦略を俯瞰するためのツールです。

特定のタッチポイントのUXをデザインする過程で、ストラテジーキャンバスとして機能します。

タッチポイント・ストラテジーキャンバスは、あるサービスのひとつのタッチポイントにおける戦略の概要を提示するものです。課題を決定し、解決方法をデザインする前に使用するのが効果的です。

商品やサービスの全体像を提示してくれることで、デザインに関する意思決定を助けてくれます。

デザインの途中で生まれる新しいインサイトやアイデアを書き留めておき、戦略をアップデートさせるためにも有効です。

タッチポイント・ストラテジーキャンバスの作り方

タッチポイント・ストラテジーキャンバスの使い方テンプレートは、左のWebサイトから自由に閲覧&ダウンロードできます。この記事では、その要約をご紹介していきます。

まずペルソナ毎に、複数のタッチポイント・ストラテジーキャンバスを作成し、ユーザーごとの特徴をつかみましょう。その後、全体を統合するキャンバスを作成します。ペルソナは、2つ〜4つほど作成すると良いでしょう。

ステップ1:ペルソナごとにキャンバスを書き込む

まずはペルソナごとに、それぞれのキャンバスを作成します。ペルソナのゴールや要望を、この段階でしっかりと把握しましょう。

  • 全体の目標(Overall goals):
    ユーザーがこのサービスを使う理由、このサービスで何を達成したいか
  • 直近のゴール(Immediate goals):
    全体の目標を達成するために、タッチポイントの中でユーザーが達成したいこと

つづいて真ん中にある線の下に、書き出したユーザーのゴールを達成するために、あなたのサービスや商品が提供できることを書きこみます。

ユーザーがサービスに期待することや、前提として大切な必要項目を書き込みましょう。

  • 喜びポイント(delighters):
    ユーザーを驚かせる要素。ユーザーの体験を、他にはない素晴らしいものにする仕掛けを書き込む

▲ゴールと機能のつながりが分かるように、線でつなげるなどして工夫すると良い

ステップ2:それぞれのキャンバスを、1枚に統合する

ペルソナごとのストラテジーキャンバスが完成したら、1枚に統合する作業に入ります。

ペルソナごとのストラテジーキャンバスに書き込まれた内容をもう一度確認し、優先順位をつけます。

一番重要なペルソナから、ゴール、機能などの要素を、統合するタッチポイント・ストラテジーキャンバスに移していきます。

「このペルソナには、どんなゴールや機能が一番大切なのか?」をチームで考えながら、ペルソナごとのキャンバスを見直していきましょう。

タッチポイント・ストラテジーキャンバスの使い方

タッチポイント・ストラテジーキャンバスの完成後は、実際のデザインフェーズでそれを参考にしていきましょう。

デザインの方向性を決定する最初の計画段階だけでなく、途中経過のチェックにも役立ちます。

▲タッチポイント・ストラテジーキャンバスは、サービスデザイン全体を通してUXを向上させるのに役立つ

まとめ:とにかく使い込む

あなたのチームでもタッチポイント・ストラテジーキャンバスを作成し、より質の高いデザインを目指しましょう。

大切なのは、キャンバスが完成したらとにかく使いこむことです。タッチポイント一つひとつにUXをうまく適用し、サービスデザインを向上させる指標とするのです。

(原文:Emilie van Spronsen 翻訳:Sugita Mariko)

 

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