Webデザイナーも資格取得は必要?その理由や選び方を解説
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現職のWebデザイナーで「もっと高単価の案件を獲得したい」「新しい分野に挑戦してみたい」と思っている人も多いのではないでしょうか。Webデザイナーの人口は増加傾向にあり、高単価案件を獲得するにはスキルの証明が必要になることがあります。
この記事では、スキルアップに役立つWebデザイナーにおすすめの資格を紹介します。資格取得に向けた効率的な学習方法や案件獲得の方法も解説しています。ぜひ参考にしてください。
目次
Webデザイナーが資格を取得することで、新たなスキルを習得し、キャリアアップにつなげることが可能です。たとえば、デザインだけではなく、コーディングの知識を身につけることで対応範囲が広がります。そのぶん単価も上がるため、収入アップにつながるのです。
Webデザイナーは多くの企業で求められており、需要の高い職種です。そのなかで専門性を示すことができれば信頼性の向上にもつながります。ただし、やみくもに資格を取得すればよいわけではありません。どのように活躍していきたいのか、理想のキャリアプランを描くことで、取得すべき資格が明確になります。
Webデザイナーとして長く活躍するには、これからのキャリアプランを見据えたうえで、必要なスキルや知識を身につける必要があります。ここでは、目的別にWebデザイナーの資格の選び方について解説します。
グラフィックデザイナーなどでWebデザイナーへの転身を考えている場合、Webデザインの知識を証明する資格がおすすめです。グラフィックデザイナーでもWebデザインの経験をもつ人は少なくありませんが、実績が少ない場合、資格取得でアピールできます。
たとえば『ウェブデザイン技能検定』や『Webクリエイター能力認定試験』などは、Webデザイナーとしての基本的なスキルを証明することが可能です。これらの資格取得により、未経験や実績が少なくてもスキルの証明につながり、転職や案件の獲得に役立ちます。新しい分野へ挑戦するために資格を効果的に活用しましょう。
以下の記事で年代別にキャリアチェンジを成功させる方法について解説しています。
20/30/40代 それぞれのキャリアチェンジで失敗しない方法
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すでにある程度経験を積んでいるWebデザイナーは、培った経験を生かして専門性の高い資格に挑戦してみましょう。資格取得により、UI/UXデザイン業務やプロジェクトマネジメントなど、上流工程に携わることができます。上流工程を担うWebデザイナーは、年収相場も高い傾向があるため、高単価案件の獲得も期待できます。
たとえば『人間中心設計(HCD)専門家資格認定試験』や『Google UX Designプロフェッショナル認定』はUI/UXデザインの基礎スキルを習得することが可能です。大手企業の求人募集も多く、需要も高いことからキャリアの幅を広げることができるでしょう。
Webデザイナーを含め、デザイナーは転職する人も多いですが、フリーランスとして独立する人も多い職種です。フリーランスデザイナーが案件を獲得するには、クライアントからの信頼を得ることが欠かせません。国家資格となる『ウェブデザイン技能検定』や認知度の高い『アドビ認定プロフェッショナル』は自身のスキルをアピールするのに役立ちます。
スキルアップやキャリアの可能性を広げるための手段ですが、どの資格を取得するかが大切です。目的に応じて適切な資格を選ぶことで、より効率的にキャリアアップや案件獲得が可能となります。
なお、以下の記事では現役Webデザイナーの案件獲得術を紹介しています。あわせてご一読ください。
Webデザイナーの案件獲得4つのコツ。スキルや実績ばかりアピールしてませんか?
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現職WebデザイナーのキャリアアップやWebデザイナーを志す人に向けて、専門性の高い順に役立つ資格を紹介します。
▲出典:ウェブデザイン技能検定
『ウェブデザイン技能検定』は、Webデザインの分野で実務スキルを証明する唯一の国家資格です。この資格を取得することで、現場で役立つ実践的なスキルを証明できます。この検定に合格すると「ウェブデザイン技能士」を名乗ることが可能です。
3級は基本的なスキルが問われるものが中心となり、未経験者も多く受検します。転職や案件獲得のアピール材料となるのは、専門性が高くなる2級以上からです。1級は受検資格が実務経験7年以上と求められるスキルも高くなり、合格率も10~20%と難易度がアップします。
運営 | 特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会 |
受検資格 | 3級:制限なし 2級:3級資格取得または実務経験2年以上など 1級:実務経験7年以上など |
証明できるスキル | <3級> Webデザイン、ネットワーク技術、CSSなど <2級> インターネット概論、Webデザインスキル、アクセシビリティ・ユニバーサルデザインなど <1級> Webサイト設計、構築スキル、安全衛生・作業環境構築など |
オンライン受験 | ― |
試験対策 | 公式練習問題・参考書籍あり |
URL | https://www.webdesign.gr.jp/ |
『HTML5プロフェッショナル認定試験』は、HTML5やCSS3、JavaScriptの知識を評価する試験です。レベル1では基本的なコーディングスキル、レベル2では高度なWeb技術の理解が求められます。また、自宅や職場でのオンライン受験が可能なため、忙しい方でも受験しやすいのが特徴です。
学習方法は認定教材やセミナーの講義資料などがあるので、自分のペースで学ぶことができます。
運営 | 特定非営利活動法人エルピーアイジャパン |
受検資格 | 制限なし |
証明できるスキル | <レベル1> HTML5、CSS3などの最新のマークアップを使ってマルチデバイスに対応したWebコンテンツをデザイン・制作できる <レベル2> JavaScriptなどの最新のマークアップを使ってシステム間連携や最新のマルチメディアに対応したWebアプリ・動的コンテンツの開発・設計 |
オンライン受験 | 〇 |
試験対策 | 公式教材・問題集あり |
URL | https://html5exam.jp/ |
▲出典:アドビ認定プロフェッショナル
『アドビ認定プロフェッショナル』は、デザインツールでおなじみのアドビ公認の国際認定資格です。Webデザイナーとして活躍するために必要なアドビのアプリケーションの操作、応用スキルを証明できます。
合格者には「合格認定証(デジタル認定証)」が付与されるため、転職や案件獲得時に役立てることが可能です。
運営 | 株式会社オデッセイコミュニケーションズ |
受検資格 | なし ※再受験のみルールあり |
証明できるスキル | 現場で必要とされるスキル、プロジェクトの環境設定とインターフェイス、視覚的要素の作成と変更、デジタルメディアの公開など ※アプリケーションで異なる |
オンライン受験 | 〇 |
試験対策 | オンライン事前カリキュラムあり |
URL | https://adobe.odyssey-com.co.jp/ |
▲出典:Webクリエイター能力認定試験
『Webクリエイター能力認定試験』は、Webサイトの制作に必要なデザイン制作とコーディングスキルを評価する試験です。HTML/CSSの基本的な知識を証明するスタンダードと、JavaScriptの理解や高度なデザイン制作などを評価するエキスパートの2つのレベルがあります。どちらも現場で役立つ実践的なスキルの証明となるものです。
試験は全国の認定会場開催の「随時試験」と、年2回開催される「リモートWebテスト」のどちらかを選択できます。
運営 | サーティファイWeb利用・技術認定委員会 (株式会社サーティファイ) |
受験資格 | なし |
証明できるスキル | <スタンダード> HTML5の適切なマークアップとCSSを用いたWebデザインやレイアウトを表現できる <エキスパート> アクセシビリティなどを考慮したWebデザインの制作、Scriptを用いたWebページの表示、レスポンシブデザインなど |
オンライン受験 | 〇 |
試験対策 | 認定試験問題集あり |
URL | https://www.sikaku.gr.jp/web/wc/ |
『Google UX Designプロフェッショナル認定証』は、オンライン教育プラットフォーム『Cousera(コーセラ)』が提供するコースの修了で取得できます。すべてのコンテンツが日本語に対応していないため、英語に自信がない方が受講するにはGoogle翻訳などを活用しましょう。
週10時間の学習で約6か月で修了となり、認定資格に登録することで「Google AI Essentials」を無料で取得できるため、キャリアアップにも役立ちます。
運営 | Cousera(コーセラ) |
受検資格 | なし |
証明できるスキル | ユーザー中心設計やアクセシビリティを考慮した設計など基本的なUXデザイン、ユーザビリティ調査の実施、基本的なUXデザインのプロセスなど |
オンライン受験 | 〇 |
試験対策 | オンラインコースを受講 |
URL | https://www.coursera.org/professional-certificates/google-ux-design |
『人間中心設計(HCD)専門家資格認定制度』は、人間中心設計(Human Centered Design)の専門家として認定する制度です。近年、ユーザー中心のプロダクトやサービスの開発・設計でUXが重視されており、多くの企業からその知識やスキルをもつ人材が注目を浴びています。
WebデザイナーでUXデザインの実務経験がある場合、応募資格を満たしている可能性があります。UXデザインのスキルと実務経験の両方をアピールすることが可能です。
運営 | 特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構 |
受験資格 | <人間中心設計専門家(認定HCD専門家)> 実務経験5年以上 <人間中心設計スペシャリスト(認定HCDスペシャリスト)> 実務経験2年以上 <共通> 専門家としての実践事例3つ以上 学歴制限なし、大学院在学中の実務活動は実務経験に含む |
証明できるスキル | 人間中心設計の基本、プロジェクトマネージャー、HCDの導入推進、テクニカルコミュニケーション能力 |
オンライン受験 | ― |
試験対策 | ― |
URL | https://www.hcdnet.org/certified/ |
▲出典:PHP技術者認定機構
『PHP技術者認定試験』は、PHPのスキルを証明する資格です。フロントエンドからバックエンドまでWebサイト制作に関するエンジニア関係の知識を深めることができます。
試験はPHPのバージョンごとに初級・準上級・上級に分かれており、それぞれの試験対策に役立つ教材が用意されています。Webデザイナーの転職や案件獲得において、PHP習得を重視する企業が増えているようです。スキルの幅を広げたい方はぜひ受験を検討してみてください。
運営 | 一般社団法人BOSS-CON JAPAN |
受験資格 | なし |
証明できるスキル | PHPの基本、演算子、制御構文、組み込み関数、ユーザー定義関数、標準クラスライブラリ、リクエスト情報、データベース連携、オブジェクト指向構文、高度なプログラミングなど |
オンライン受験 | - |
試験対策 | 認定教材・認定スクールあり |
URL | https://www.phpexam.jp/ |
『Photoshopクリエイター能力認定試験』は『Adobe Photoshop』の操作スキルを評価する試験です。デザインの現場で求められる実践的なスキルを身につけていることを証明できます。
スタンダードとエキスパートがあり、転職や案件獲得に有利になるのは実践的なスキルを証明できるエキスパートです。どちらも「リモートWebテスト」に対応しており、自宅から受験できます。
運営 | 株式会社サーティファイ |
受験資格 | なし |
証明できるスキル | <スタンダード> Photoshopを活用し指示通りの作業を正確かつ合理的に行える <エキスパート> Photoshopを活用し、クライアントのニーズに対応した創造性の高いコンテンツを制作できる |
オンライン受験 | 〇 |
試験対策 | 公式テキスト・問題集あり |
URL | https://www.sikaku.gr.jp/ns/ps/ |
『Illustratorクリエイター能力認定試験』は『Adobe Illustrator』の操作スキルを証明する資格です。紙媒体やグラフィックデザインに使用するイメージがありますが、ロゴやアイコンなどの素材づくり、レスポンシブデザインも制作できます。
UXデザインのプロトタイプ制作やワイヤーフレームの作成にも役立つため、スキルアップにつなげましょう。
運営 | 株式会社サーティファイ |
受験資格 | なし |
証明できるスキル | <スタンダード> Illustratorを活用し、指示通りの作業を正確かつ合理的に行うことができる <エキスパート> Illustratorを活用し、クライアントのニーズに対応した創造性の高いコンテンツ制作ができる |
オンライン受験 | 〇 |
試験対策 | 公式テキスト・問題集あり |
URL | https://www.sikaku.gr.jp/ns/il/ |
▲出典:ITパスポート試験
『ITパスポート』は、ITに関する基礎的な知識を証明する国家資格です。Webデザイナーとして活躍するために必要とされるITリテラシーを高められます。
試験内容には、セキュリティやネットワーク関係の知識が含まれており、Web制作において幅広い知識を習得していることを証明できます。
運営 | 独立行政法人情報処理推進機構(IPA) |
受験資格 | なし |
証明できるスキル | <ストラテジ系(経営全般)> 企業と法務、経営戦略、システム戦略 <マネジメント系(IT管理)> 開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント <テクノロジ系(IT技術)> 基礎理論、コンピュータシステム、技術要素 |
オンライン受験 | ― |
試験対策 | 過去問題(問題冊子・解答例) |
URL | https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/index.html |
▲出典:ウェブ解析士
『ウェブ解析士』は、Webサイトのアクセス解析やマーケティング施策を学べる資格です。Webデザイナーがデータを活用した改善の提案を行うときなどに役立ちます。Webサイトの運用が必要な場合『ウェブ解析士』として成果へ導くことができます。
PDFでダウンロードできる公式テキストやウェブ解析士認定講座、公式問題集を活用すれば、独学で取得を目指すことが可能です。
運営 | 一般社団法人ウェブ解析士協会(WACA) |
受験資格 | 上級ウェブ解析士のみあり |
証明できるスキル | <ウェブ解析士> アクセス解析やWeb解析データを活用しデジタルマーケティングを通じて成果へ導くスキル <上級ウェブ解析士> デジタルマーケティングの応用知識、KPIの設計、施策の立案・運用管理 <ウェブ解析士マスター> 指導能力・コンサルティング能力においてウェブ解析士会員のロールモデルとなるスキル |
オンライン受験 | 〇 |
試験対策 | 公式テキストあり |
URL | https://www.waca.or.jp/ |
ウェブ解析士はいらない? 取得のメリットを保有者に聞いてみた
Workship MAGAZINE
Webデザイナーの資格を取得するには、計画的な学習が大切です。ここでは効率よく学ぶための方法をステップ形式で解説します。
まず、資格の試験概要をチェックして、学習範囲から不足している知識などを洗い出して、必要な学習期間を決めます。無理のないスケジュールを作成することが大切です。独学で資格の取得を目指す場合、自己管理がカギとなります。
資格取得に必要な基礎知識は、公式教材や参考書を活用して身につけることができます。実技試験が必要な資格は、オンラインスクールや専門学校のほうが効率よく学ぶことが可能です。
また、Udemyなどの学習サイトにもツールやソフトの基本操作に関する動画がたくさんあります。スマホでも閲覧できるため、隙間時間を活用して基礎知識をつけたい方におすすめです。
Webデザイナーの知識・スキルを身につけたい方は、以下の記事でおすすめのスクールを紹介しているので読んでみてください。
社会人におすすめのWebデザインスクール厳選12校【2024年版】
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基礎知識が身についている人は、実践スキルを身につけていきましょう。公式サイトで提供されている過去問や模擬試験に取り組みながら、スキルを磨いていきます。ここは実際に手を動かすフェーズです。制作物をそのままポートフォリオとして活用することも見据えて、制作してみましょう。
Webデザイナーのポートフォリオの作り方は、以下でくわしく解説しています。
未経験からWebデザイナー転職を成功させる「ポートフォリオ」の作り方
Workship MAGAZINE
Webデザイナーの資格は、目指しているキャリアやスキルレベルに合わせて選ぶことが大切です。公式教材などを活用すれば独学も可能ですが、オンラインスクールや専門学校なら体系的に学ぶこともできます。
資格取得がゴールではなく、Webデザイナーとして案件を獲得し続けることが大切です。安定した受注を目指すなら、50,000人以上が登録するフリーランス・副業向けマッチングサービス『Workship』や、フリーランスデザイナー専門のエージェントサービス『クロスデザイナー』をぜひご活用ください。無料登録でご利用いただけます。
(執筆:吉永 ゆくら、編集:猫宮しろ)