エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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こんにちは。ライターのはつこです!
……っていう書き出し、一度やってみたかったんです。
この「ライター」という肩書きに違和感を覚えたことはありませんか?
日本語にすると「書き手」かな? だとすると「運動する人」みたいなものですよね? え、めっちゃ意味広くない? ……ということに気づくまで、わたしは時間がかかり、書き手としてのキャリアを迷走した経験があります。
わたしがライターだと思っていたあのお姉さんは、エッセイストでもありました。
わたしがライターだと思っていたあのお兄さんは、ジャーナリストでもありました。
わたしが書く仕事を志したとき「ライターといっても種類があるんだろうな」となんとなく思いながらも、「まあサッカーにポジションがあるようなものだろう。とりあえずサッカーチームに入ってからポジションを考えればいいや」そんな心意気でした。
でも、間違っていたのです。
「書く仕事」は「スポーツ選手」と同じくらい広い。
似たように見えた書き仕事は、近づいてみるとサッカーと柔道くらい違ったのです。必要な知識も技術もルールも全く違ったのです。
(だって同じ人が書いてたもん……)
(だってあの人もあの人もライターって名乗ってたもん……)
という過去のわたしに「そうだよね、難しかったよね」とフォローを入れつつ。
書く仕事といっても種類によって全然違うこと。
ライターと名乗っていたとしても、人によって全然違う仕事をしていること。
書き手を志す前にわたしが教えて欲しかった、書く世界の広さをスポーツ界の広さにたとえながら考えていきたいと思います。
あ、そうだ。その前にちょっとこのイメージ図を見てください。
書く仕事といっても、いろんな種類があることがお分かりいただけるかと思います。
(※このポジションマップは、書き仕事のほんの一角しか知らないわたしが、この職種はここかな? と頭を抱えながらなんとか手書きでイメージ図を書き、デザイナーさんに差し出して、こんな感じで……こんな感じで……とお願いしてつくってもらったのです。「わたしが書いてるジャンルがない!」「いや! それはそこじゃない!」というのがあるかもしれませんが、どうか温かい目で見ていただけますと幸いです。「この職業はここだよね」ではなく「書く仕事と言っても広いよね」というのを表現したイメージ図です)
この画像、ライターになる前に一目見ておきたかったなと思います。
なんせわたしはこの地図が頭に描かれていないまま船を漕ぎ出したが故に、のちに遭難することになったのです。その話は後ほど。
では偉大なるスポーツの力を借りながら、書き仕事の種類を考えていきたいと思います。
ライター。法政大学メディア社会学科を卒業後、EC事業会社を経てフリーランスに転身。 インタビューやコラムなど物語のある文章を中心に執筆。企画、編集、ディレクションも行う。熱すぎず、半身浴のようにじんわり伝わる表現を研究中。Twitter
まずは活躍する場所の種類。
スポーツにおいて、陸上、氷上、水上と色々なフィールドがあるように、書く仕事にもさまざまなフィールドがあります。
短距離走の選手と、スピードスケートの選手を思い浮かべてみてください。
同じ「100m先にゴールする速さを競う」でも、出せるスピード、ルール、技術などがまったく違います。
同じように、書く仕事では媒体によって出せるスピード、ルール、技術などがまったく違うのです。
書く仕事では「紙」か「Web」という媒体の違いはよく話題に上がります。
文が完成してから世に出るまでのスピード、ルール、技術の違いが明確な大きなくくりです。
印刷や装丁などの工程がある紙媒体と、インターネット上にアップするだけのWeb媒体では、文章を公開するまでにかかる時間は大きく異なりますよね。
さらに紙媒体は字詰めの制約があったり、Web媒体はデータの重さを考えたりと、それぞれに特性があります。
まあ、ここまでなら2年前のわたしだって想像できましたよ。
問題はここからですよ。
Web媒体と一口に言っても、オウンドメディア、HP、ニュースサイト、ブログ、SNS……とさまざま。無料か有料か、オープンかクローズドかといった違いもあります。
紙媒体も、雑誌、新聞、広告などによって、ルールや必要な技術は違いますよね。
ここが第一関門。わたしはまずここでつまずいていました。
スポーツの例に戻ると、スピードスケートのリンクとフィギュアスケートのリンクは、氷の温度や硬さが違うそう。
Web媒体の中でも、パッと見同じようで、その世界に近づいてみると実は全然違うということがあります。
ライターを志した当初のわたしは「とりあえずWebで書こう」としか思っていませんでした。
いやそれ、めっちゃ広いから。
さらに書く仕事の中には、つくった文がテキストとして世に出ないものもあります。
脚本家、放送作家、作詞家、シナリオライターなどです。とくにYouTubeなどの動画配信のシナリオライターは最近増えていますね。
こうして思いつくだけでも、書き仕事の世界って広くて深いですよね。
それでも、わたしが知っているのはほんの片隅だと思います。
では「同じ媒体の記事なら、同じ技術で書けるか?」というと、それもまた違います。
同じ体育館で練習していても、バスケットボールと新体操ではまったく違う競技。
シュートの数を競うバスケットボールと、技術と芸術性が得点に影響する新体操が異なるように、たとえば同じWebメディアの記事であってもSEO記事とコラム記事では書き方が異なります。
SEOライターは、検索結果画面で上位に表示される記事をつくる技術や知識が必要です。
一方、コラムやエッセイ、ショートストーリーなどは独自の経験や文章表現がより重視されます。
同じWebメディアの記事でも、異なる目標や戦略に基づいて、それぞれのプロの手によって書かれているのです。
ここでもわたしはつまずいていました。
自分が「書きたい!」と思ったWebメディアのライター募集でも、どんなライターを募集しているのかは確認しなければなりません。
確認しないと「バスケをやろうと思って体育館に行ったら、平均台が用意されていた」みたいなことがおきます。
企画系の記事がたくさん出ているWebメディアの「ライター 募集」という文字だけを見て、「よし! 面白い企画いっぱい書くぞ〜!」と意気込んで応募したら「この商品を売るためのセールスライティングをしてください」と言われる可能性だってあるわけです。
ここで複雑なのが、「SEOを意識したインタビュー記事を書ける人」や、「エッセイ風の取材レポートを書ける人」がいること。さらにさらに、それらの人たちが「ライター」という同じ肩書きで活動していることです。
サッカー選手、スキージャンプの選手、馬術の選手がみんな口を揃えて「スポーツ選手です」と名乗っていたら「えっ? 何の?」となりますが、「ライターです」と名乗るライターはたくさんいて……わたしもその一人です。
側から似たように見えても、踏み入れれば踏み入れるほど「違う職業だ……」となるのがライター。
さらに世に出回る文章は、そのすべてが文章を仕事にしている人が書いたものとは限りません。「仕事のようで趣味」「趣味のようで仕事」「趣味だったのが仕事になった」という文章が入り混じっています。
東京マラソンはエリート選手と市民ランナーの区分がありますが、文章の世界では「着ぐるみで手を振って走っている人が実はプロアスリートだった」みたいなことがあるわけです。
これには良い面と悪い面があるなぁと思います。
良い面は、趣味や好きなことが仕事になるチャンスが転がっていること。個人的に書いた文章がたくさんの読者を集めたり、書き手を探している企業の目に留まったりした場合、それが仕事になる可能性があります。0円だった文に値段がつく可能性があるのです。
悪い面は、良い面の裏返し。趣味が自然と仕事になっている人に憧れてなんとなく始めると、それはそれは厳しい戦いです。いつのまにか趣味が仕事になる人は、たった一握り。
わたしはというと、良い面と悪い面、両方の影響を受けたなぁと思います。
「noteを書けば仕事がもらえるかもしれない!」と思っていた時期もありましたが、そんなに簡単な話ではなかった。でも、無料で書かせてもらったインタビュー記事をきっかけに、インタビュー記事の仕事をもらえたことがあります。
最初から奇跡を願うと厳しいですが、書くことを仕事にする努力を続けていれば、チャンスが巡ってくるかもしれません。
じゃあ、「Web」で「インタビュー記事」を書く人なら、みんな一緒か! というと、それはまた違うお話で……。
芸能人インタビューか社員インタビューかで、ハードル走とやり投げくらい違うのです。
陸上競技の中にさまざまな種目があるように、インタビューの専門分野によって、使う知識も技術も異なります。
「いやいや、私、両方書けるよ! 」
「いろんなジャンル書いている人知ってるよ!」
と思った方、そうなんです。複数の専門分野を掛け持ちできる人もいます。
陸上競技では「10種競技」という、100m、走幅跳、砲丸投、走高跳、400m、110mハードル、円盤投、棒高跳、やり投、1,500mの成績を競う種目があるらしいのです。(いろんなスパイクを持っていくから荷物が多いらしい)
「すごい。どんな筋肉なんだ……」と思いませんか? 文章でも同じように、複数の専門分野を書ける人は、複数の筋肉を鍛えている人。
10種競技の選手がどんなトレーニングをしているのか分からないように、いろんなインタビュー記事を書いている人は裏側でいろんな知識や技術を磨いています。
じゃあ色々書ければいいかというと、それはもちろん武器になりますが、もっと大切なのは勝負する種目を決めることだと思います。
いろんなスポーツ選手がいるように、いろんな書き手がいます。
複数の競技や種目で勝負する人もいれば、ただ一本の道で勝負する人もいる。それぞれ鍛える筋肉や戦略が違う。
書き手も同じだなあと思います。
いろんな媒体で書ける人が優れているかというとそうではないし、たとえばブックライターとブロガーは競技場も競技も違うので比べられない。
一人ひとりに、勝負する競技場、競技、種目があるわけですが、大切なのはそこが定まっているかだと思います。
わたしは書き手1年生のときに曖昧なまま競技場に踏み入れてしまい、迷走することになりました。
ちょっとわたしの苦い過去を振り返ってみますね。
私がライターの世界に飛び込んだ初期に受けていた仕事は、ECサイトの商品紹介文からオウンドメディアの情報まとめ記事、Instagramの投稿文まで。
最初はどれも楽しく書いていました。書くことを仕事にできた。そのことが嬉しかったのです。
でも次第に、得体の知れないモヤモヤに包まれてしまいました。
しばらくモヤモヤの正体がわからぬまま、進まない船をなんとか漕ぎ進めようと必死でした。
半年近く不調が続いたあと「わたしが書きたいのは、こっちじゃなかった」「目指す先を決めずに進んでいた」と気づいたのです。
わたしが仕事にしたいのは、インタビューやコラムを書くこと。自分が直接聞いたことや、自分の経験そのものを書きたい。
モヤモヤをひも解いてたどり着いた軸と、手の平に乗っていた仕事は違ったのです。
わたしは少しワイルドなところがあるので、そうと分かれば全ての案件を終了しました。
インタビュー記事を無料で書かせてもらい、その実績をもとにお仕事としてインタビュー記事を書かせてもらえるようになりました。
もちろん、闇雲にライターの仕事をしていた間に身についたことは、いまも活きています。
そもそも、闇雲に記事を書いていたからこそ、自分の得意・不得意、好き・嫌いがわかりました。
そんなところもスポーツと似ていますよね。競技や種目を変えても、体力は活かせる。
でもやっぱり、勝負する競技や種目、つまりどんな形式でどんな分野を書くかが定まってから、身に着けるべき技術や知識、その訓練方法が明確になり、書く楽しさも、書いた文の品質も上がっていくなと感じます。
いま振り返ると、以前のわたしはレオタードを着て体育館に行き、卓球のラケットを握りながら、バトミントンの羽を打つ練習をしていました。
とにかく文章を書きたいという気持ちが先走り、書き手に必要な筋力にこれほどレパートリーがあって、それぞれ鍛え方が違うことに気づくのに半年かかってしまったのです。
ライターはどうしても、活躍の幅が広い人が目立ちます。
企画記事をWebで書き、エッセイを出版し、ライターと名乗っている。まったく書き手の世界を知らない人がみたら「あれがライターという職業か〜」で終わってしまうかもしれません。
でもいま考えるとそれは、夏季冬季のオリンピック両方出ているレジェンドが「スポーツやってます〜」と言っているようなものだったのです。
「書く仕事をするなら、勝負する競技場、競技、種目を考えようね」
2年前のわたしに言ってあげたい言葉であり、いまも意識し続けていることです。
たしかに書く仕事は多岐にわたり、自分も世間も変化していくから、どこで何をどうやって書いていくかを定めるのは難しい。
でもこれこそが、もっとも大事なことなのではないかと、スポーツ選手を見ていて思いました。
はじめから「あの媒体でこんなジャンルをこう書きたい!」と心にある人は少ないかもしれません。しかも、それが自分にとって得意なものかや、世間の需要があるかはまた別の話。
矛盾するようですが、自分の「好き」や「得意」を見つけるためには、とにかく調べていろんな世界を知り、とにかくやってみる。
それを繰り返して、自分の心が動く仕事の共通項を見つけていくしかないのかなぁと思います。
もしこれ以外にいい方法を知っていたら、ぜひ教えてください。
書く仕事をしている方はぜひ「こんな競技もあるよ」と教えてください。
(執筆:はつこ 編集:内田一良@じきるう アイキャッチ:T)
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