突然クライアントに切られたら?長期案件にも潜む、契約解除のリスク【アンケート結果報告】

突然クライアントに切られたら?長期案件にも潜む、契約解除のリスク【アンケート結果報告】

突然の契約解除は、フリーランスにとって避けられないリスクの一つです。次の案件を探す際のプレッシャーや、急に崩れた稼働バランスへの対応は、想像以上に精神的な負担を生じさせるものです。

本記事では、Workship MAGAZINEの編集部が実施したアンケート結果をもとに、フリーランスがクライアントに「切られた」ときの実態を掘り下げます。

私自身もフリーランスとして活動する中で、案件のフェードアウトや予期せぬプロジェクト終了を何度も経験しました。フリーランスの皆さんのリアルな経験から、収入や精神面における不安を解消していきましょう。

浜本
浜本

2020年よりフリーライターとして活動を開始。記事制作を中心に、動画やデザインなど幅広い分野でコンテンツ制作を支援している。個人名義でコラム執筆やメンバーシップ運営、フリーランス向け相談サービスも展開中。X:@yakitori_oden

契約解除の不安と隣り合わせのフリーランス

改めてお聞きします。皆さんはクライアントから「切られた」経験がありますか?

明確に契約解除を告げられたケースでなくても、「あの案件、何となく不自然なタイミングで終わったな……」「もしかして私のスキル不足が原因だったのでは?」と振り返ることもあるかもしれません。

私自身、フリーライターとして活動を始めたばかりの頃に、突然契約解除になった経験があります。プロジェクトがこれから始まるタイミングだったため、戸惑いと共に、「使えないライターだと判断されて切り替えられたのかも」と、新人ながらに思い至りました。

「切られた」経験は、新人時代だけの話ではありません。長く付き合っていたクライアントから案件数を徐々に減らされ、収入が激減したこともありました。どれだけ安定していると感じていても、フリーランスとして働く以上、いつ契約が切れるかわからない不安感と隣り合わせです。

ただ、そうは言っても「具体的にどう乗り越えればいいのか」「どんなメンタルで日々の不安と向き合えばいいのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。

クライアントから切られたアンケート

▲アンケートにご協力いただいた皆さん、ありがとうございました!

というわけで、ここからは「切られた」経験談を共有し、急な契約解除への備えについて一緒に考えていきます。フリーランスの皆さんにとって、少しでも役立つヒントや安心感をお届けできれば幸いです。

クライアントに切られたときの状況は?

まずは、フリーランスの皆さんが経験した「切られた」案件の契約期間を見ていきましょう。
クライアントから切られるまでの期間

長期案件で切られた

アンケートの結果、「長期の案件を切られた」人がかなり多いことが分かりました。「長期的に時間を確保していたのに切られた」「事前に短期終了の旨を教えてほしかった」と、不満の声が挙がっています。一方で、「終了時に感謝の声をもらい、やりがいを感じた」のように前向きに捉える意見もありました。長期案件は安定収入を支える柱となる反面、終了時の対応がフリーランスに与える影響は非常に大きいものだといえます。

面談後(採用後)に切られた

次いで多かったのは、面談後に案件が来ないままフェードアウトしたケースです。「結局一切連絡がなく、メールも無視された」「『案件が多い』と匂わせていたのに始まりもしなかった」など、期待を裏切られたと感じる声が挙がっています。放置される状況に直面しても、対応策が限られているため、飲み込むしかない難しさがあります。

数本程度で切られた

数本程度で契約が終了したケースでは、「特に気落ちすることはなかった」「企画自体がなくなったが、作業料を支払っていただいたのでありがたかった」との声もあり、長期契約に比べてダメージは少ない様子です。しかし支払いに関していえば、どうしても長期案件より信頼関係が浅くなることから、そもそも報酬が支払われるかどうか不安を抱えるケースもあるかもしれません。

クライアントに切られた際のやり取りは?

次に、クライアントに切られた際のやり取りについて紹介します。
クライアントから切られたときの状況

明確に「契約解除」を伝えられた

突然「切られた」場合であっても、明確に契約終了を伝えられたケースが半分を占めています。「丁寧に事情を説明してくれた」「収入が減るのは悲しいけれど、仕方ないと諦めがついた」といった意見があり、納得できた人が多いようです。

徐々に案件が減少した

少しずつ案件が減少していくケースでは、「依頼数が大幅にセーブされた後、契約終了した」「ツールの権限を外されていた」と、終了を予測しにくかった事例も挙げられました。契約解除の際には、何の説明もないまま一方的解除になることもあるようです。

クライアントに切られた理由は?

続いて、フリーランスの皆さんの「切られた」理由はどのようなものでしょうか。

クライアントから切られた理由

クライアント側の都合(プロジェクト完結など)

最も多かった契約終了の理由は、クライアント側の事情の変化でした。「メディアの方針が変わって契約終了した」「インボイスが影響した」との声も寄せられました。さらに、プロジェクトの完結や予算削減といったさまざまな外的要因が契約解除の背景として挙げられ、フリーランスにとって避けがたい現実が浮き彫りになりました。

コミュニケーション上の行き違いが発生した

次いで多かったのはコミュニケーション上の問題です。「担当者と意図が噛み合わず工数を無駄にした」「当初と違う契約条件について、違和感を伝えられなかった」と、コミュニケーションの行き違いで精神的負担が大きくなるケースが語られました。伝え方やタイミング次第で関係が悪化する場合もあるので、伝え方には工夫が求められそうです。

自身のスキル不足が原因だった

その他の「切られた」理由として、「(自分のスキル不足により)修正が多く、コストがかかるフリーランスだと思われたのではないか」と振り返る意見がありました。つらい現実ですが、「(クライアント都合より)スキル不足を指摘された方が納得できる」「次に活かすためにもっと成長したい」と意欲を高めた例も見られました。

「切られた」ことで直面した困りごと

では、「切られた」ことでどのような困りごとが生じたのでしょうか。クライアントから切られたことによる困りごと

収入源の柱を失った

契約を切られたことで、「次の月の、別の仕事を断っていたため収入が減った」「契約解除をもっと早く教えてもらえれば、次の仕事探しがスムーズだったのに」といった意見もありました。契約解除はどうしてもクライアント都合になりがちなため、いつなんどきも収入減に備えておく心構えが大切です。

精神的なダメージが残った

「必要とされていないのかと落ち込んだ」「何とも言えない気持ちになった」と、精神的なダメージを負った意見も複数寄せられました。中には突然の終了にショックを受け、しばらくクライアントのコンテンツを見られなかったとの声も。切られたことによる感情的な影響を抱えながらも、受け入れるしかない難しさがあります。

切られた経験を通じて、後悔していることは?

悩むフリーランス

フリーランスの皆さんが、「切られた」経験を通じて後悔していることについても紹介します。

きちんと報酬を請求しなかった

契約解除までに稼働があったにもかかわらず、報酬を請求しなかったことを後悔する声が挙がりました。たとえ中堅フリーランスでも、突然の契約解除に動揺して適切な対応ができない可能性があります。フリーランス110番などの専門機関をチェックしておくことも備えのひとつです。

他の提案をして契約を延長できなかったこと

契約解除の際、「新たな業務を提案していれば契約を延長できたかもしれない」と振り返る意見もありました。クライアントのニーズを把握したり、いざというときに営業を行ったりといった柔軟な対応力は、フリーランスとしての信頼や実力を試される場面でもあります。

コミュニケーションを工夫しきれなかったこと

「もっと柔軟な伝え方をすれば、相手の負担を減らせたのではないか」とコミュニケーション面での後悔を語る経験談もありました。相手の意図を汲み取りながらやり取りを進めるのは簡単ではありませんが、状況に応じた言葉選びやタイミングの工夫が信頼関係を築く鍵となるでしょう。

リカバリーのためにやってよかったアクションは?

クライアントから切られたあとのリカバリー

「切られた」その後、フリーランスの皆さんはどのようなリカバリー方法に取り組んだのでしょうか。

新規のクライアントを探した

契約解除のリカバリー方法としては、「新規のクライアント探し」が多くを占めました。スポットの案件を探したりポートフォリオの更新を進めたりと、前向きな意見が挙がっています。また、普段は利用しないスカウトを受けるなど、これまでのスタイルにとらわれずに新たな可能性を広げた事例も見られました。

既存のクライアントからの受注を増やした

次いで多かったのは、「既存のクライアントからの受注を増やした」です。既存のクライアントに対して積極的にアピールする取り組みだけでなく、「こまめな連絡を意識するようになった」「頻繁にお礼を伝えるようになった」と、前向きな変化を遂げた人もいるようです。

特にリカバリーを意識していない

リカバリーを特別意識せず、普段から複数の案件を確保している人もいます。「常に10社程度とコミュニケーションをとっている」「クライアントが見ているSNSで仕事への思いを発信している」といった取り組みが挙げられました。仕事探しを日常的に意識し、短期案件でつなぎながら長期案件に参画する形でリスクを分散させている人もいるようです。

切られたクライアントと再契約に至った方法は?

握手をするフリーランス
切られたクライアントと再契約したフリーランスの体験談も見てみましょう。

自ら連絡を取り再契約を実現

自分から「今月これくらいできます」と連絡をして、また契約が復活しました。

切られた後、自ら積極的に連絡を取ることで再契約に成功したようです。フリーランス側から近況を共有することで、思いがけない仕事につながる可能性があります。タイミングを逃さず自分の状況を伝えることが大切です。

ポートフォリオを更新してアピール

ポートフォリオを定期的に更新しており、インタビュー×特定のジャンルの強みを打ち出していたところ、声をかけていただいた。

クライアントとの新たな接点を意識することで、再契約につながりやすくなります。ポートフォリオでは過去の実績を並べるだけでなく、これから取り組みたいジャンルをアピールするのも効果的です。

切られた後に避けるべき行動は?

スマホを持つフリーランス

フリーランスの皆さんが考える、「切られた後に避けるべき行動」についても紹介します。

SNSでクライアントの悪口を発信する

クライアントの悪評をSNSで発信することは、どんな理由があっても避けるべきとの意見が複数寄せられました。「数年後に縁が復活する可能性がある」「『悲しかった』のような表現に留めるべき」といった声も挙がっています。些細なSNS投稿でも信頼を損なうリスクがあるため、発信内容には慎重さが求められます。

コミュニケーションを放棄すること

契約解除が決まったあとに返信をしなかったり、急にコミュニケーションが乱れたりすると、クライアントとの信頼関係を損なう原因になります。丁寧な対応を最後まで続けることで、将来的に別の案件や再契約の可能性が生まれることもあります。契約が終わった後も、適切なコミュニケーションを意識することが大切です。

他の既存案件を軽視すること

切られた案件に意識を取られすぎると、現在進行中の案件への対応が疎かになり、信頼を損なうリスクがあります。また、オフラインでの会話や発信においても、憶測でクライアントを特定されるリスクには注意が必要です。具体的な事例を語ることで誤解を招き、思わぬトラブルにつながる可能性もあります。

切られるリスクへどう向き合うべき?

フリーランスの書類

切られるリスクと向き合うためには、どのような心構えが必要なのでしょうか。

契約書を交わし、明確な取り決めをおこなう

もし「契約書を(普段は)作っていない」と言われても、その場で流さずに、自分から「契約書をお願いします!」と申し出る勇気を持ってほしいです。

契約書を軽視して仕事を進めると、契約終了時にトラブルが起きやすくなります。契約書を交わさなかったことを後悔した声も挙がっており、自分から積極的に契約書を求める姿勢を持つことが重要です。

収入源を分散させリスクを軽減する

フリーランスは稼働できない=収入がない・実績が作れないことにつながるので、「切られる」リスクを考えて、常に複数案件を稼働させ、紹介してくれる窓口も複数持つようにしています!

収入源を分散させたり、数か月分の生活費を貯金したりしておくことで、突然の契約終了にも冷静に対応できます。1つの案件が終了してもリカバリーが可能な状態であれば、メンタルの余裕にも繋がります。

日常の振る舞いが仕事へ繋がる意識を持つ

フリーランスで、自分の名前で仕事している以上、どんなときも見られている意識は必要かも。SNS、仕事仲間との会食など……。

フリーランスは日常の振る舞いが仕事の評価に直結することがあります。愚痴を吐く場は必要ですが、誰が見ているか分からないSNSでは特に注意が必要です。どんな場面でも信頼される行動を心がけましょう。

クライアントとの契約終了を過剰に恐れない

そんなに落ち込む必要はないと思います。コツコツ目の前の仕事を積み重ねていたら、自然と仕事は増えてくるので…!

契約終了には、クライアント側の事情も大きく影響します。会社の予算やリソースの都合で契約が終了する場合もあり、必ずしも自分に原因があるとは限りません。また、「切られた」経験者の中には、縁が切れて正解だったと思えたケースもあるようです。無理に関係を続けることでトラブルが生じるリスクもあるため、前向きに捉えることも重要でしょう。

切られた経験を次のステップへのヒントに

フリーランスとして契約解除の経験は誰にでも起こりうるものです。クライアントに切られた瞬間はつらく感じるかもしれませんが、同時に自分を振り返り、次に繋げるための大切な時間でもあります。

今回のアンケートでは、リスクを軽減するために複数案件を抱えたり、契約終了後も丁寧な対応を心がけて新たなチャンスを掴んだりした方々の事例が多く見られました。

一つの案件に縛られすぎず、自分のスキルやキャリアの方向性を柔軟に見つめ直すことが、持続可能な働き方につながるでしょう。不安や挫折を感じたときこそ、立ち止まらずに一歩ずつ歩みを進めてみてくださいね。

Workship

▲出典:Workship

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(執筆:浜本 編集:夏野かおる)

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