スマートシティをつくる6つのポイント
都市を「スマート」にするにはどうすればいいのでしょうか?
ここからは、スマートシティをつくる「交通機関」「建物」「ユーティリティ」「環境」「インフラ」「公共」の6つのポイントをひとつずつご紹介します。
いま、世界は急速に都市化しはじめています。
国連は、世界の人口の68%が2050年までに都市に住むと予想しています。都市での暮らしはたしかに豊かですが、世界のCO2の70%を排出し、貴重なエネルギーの3分の2を消費していると考えるとどうでしょうか。今後さらに多くの人々が都市に住むにあたって、人々の生活とそれを支える地球の持続可能性が大切になってくるのです。
そこで「スマートシティ」というコンセプトが登場しました。スマートシティとは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を活用し、官民が連携しながら街のインフラを整え、市民の効率的で健康的な生活を促すことを指します。エネルギー使用量の削減や交通渋滞の削減など、さまざまな場面でより「スマート」な機能が求められるでしょう。
IoTを活用したスマートシティは、これからの街づくりの新たなスタンダードとなると言われています。2019年のスマートシティはどのように形作られるのか、世界の最新事例を交えながら見ていきましょう。
都市を「スマート」にするにはどうすればいいのでしょうか?
ここからは、スマートシティをつくる「交通機関」「建物」「ユーティリティ」「環境」「インフラ」「公共」の6つのポイントをひとつずつご紹介します。
都市の問題といえば、交通問題といっても過言ではありません。街中や高速道路における交通量の増加は事故の原因となるだけでなく、大気汚染や気候変動を引き起こすCO2も大量に排出します。
これらの問題への対策として、スマートシティでは渋滞センサーや駐車スポットを探す機能、アイドリングを減らすスマートパーキングメーター、自動運転車などが稼働していることが望まれます。
たとえばイギリス・ロンドンは、市内の主なビジネスエリアの車の乗り入れを禁止したり、スマートカメラを利用して特定エリアを運転した者へ罰金を科したりすることで、1日に7万台の自動車稼動を減らしたとのこと。自動車の稼動が減ることは、CO2の排出削減も意味します。
他にもデンマークの首都コペンハーゲンでは、車以外の交通手段を奨励するスマートシティ構想が進められています。多くの自転車通勤者がいるこの都市では、自転車ユーザーのためにGPS搭載の信号チェック機能を実装し、スムーズに通勤できるようにしたことで、全体の移動時間を17%短縮しました。
建物は都市の中心ともいえる存在ですが、ご存知のとおり毎日多くのエネルギーを消費しています。
シンガポールでは、このエネルギー消費問題をIoT搭載の冷却システムで解決しようとしています。このシステムは、各部屋の活動にあわせた暖房、冷房、およびエネルギー使用量レベルを最適化し、HVACコストを最大32パーセント節約するというものです。
またアメリカ・シアトルでは、スマート分析システムを使用して都市の建物からでる炭素排出の45%を削減した例もあります。
私たちの生活に欠かせない水と電気。これもIoTを利用してスマートに管理可能です。
アメリカ・サンディエゴでは、車や歩行者が近づくと街灯がつき、離れると灯りが消えるシステムを導入。年間25万ドルの電気代を節約しています。
さらにスマートグリッドと呼ばれる技術を使い、都市全体のエネルギー消費量を分析することで、各世帯に必要な供給だけを提供することも想定されています。
また水を貯めるタンクやパイプからの水漏れを検知するセンサーを導入している都市もあります。アメリカ・ニューヨークでは、市民が自動化された検針を使って水の使用量を監視できるようにすることで、7,300万ドル以上の水コストを節約しました。
ここまでに何度も述べてきましたが、気候変動が世界中で大きなテーマとなる現代において、CO2削減はマストとなります。建物自体がCO2を吸収するグリーンビルディングや、CO2排出量を管理する建物など、IoTはさまざまな場面で活用されるようになるでしょう。
中国・北京では、大気汚染の原因はどこの建物・どの交通にあるのかを追跡し、それらを解消することで、街の大気汚染物質を20%削減したそうです。ほかにも汚染物質を吸い込んできれいな空気を排出する自転車が開発されるなど、さまざまな対策が行われています。
スマートシティでは、道路や建物の万が一のときの安定性を確保するためのインフラが改善されています。たとえば地形感知器などの装置があることにより、地震が起こりがちな地域や構造物を検出し改善することで、災害に備えることが可能です。
また韓国・ソウルは、市内にIoT搭載のスマートゴミ箱を設置することで、街のゴミを83%減らしたとのこと。
最後に、市民が犯罪に巻き込まれないように、そして安全で快適な生活ができるように工夫をすることもスマートシティでは必要です。たとえばコネクテッドカメラで有事の際の対応をしたり、住民がWi-Fiやウェアラブルデバイスを使用して市と通信できるようにすることが想定されます。
アメリカ・シカゴでは、犯罪が起こりそうな場所をマッピングし、年間暴力犯罪率の14パーセント減少に成功しました。そしてブラジル・リオデジャネイロは、インターネットに接続できるビデオフィードのシステムを使用して、緊急サービスの応答時間を30%改善したといいます。
結局、スマートシティとは一体何なのでしょうか。それは、環境・経済ともに持続可能であり、さらにそこに住む人々が安心して快適に暮らせる都市をIoTで実現したもののことです。
テクノロジーが発展しつづける今、都市もアップデートが必要な時なのかもしれません。これからも引き続き世界のスマートシティ事情に注目していきましょう。
(原文:Guest Writer at IoT for All 翻訳:Klara)
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