エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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こんにちは。人のリモートワーク事情に興味津々のライター・さくらいみかです。
前回に引き続き、世界中を旅しつつリモートワークをしている古性のちさんにインタビューをし、海外リモートワークの実情を垣間見たいと思います。(今回の記事だけ見ても大丈夫!)
そんな私も一度だけ、海外ひとり旅中にリモートワークを試みたことがあります。1年ほど前にロシアのサハリンへ行ったときのことです。
1週間弱の滞在でも思わぬトラブルが起きました。もしずっと海外にいたら、さぞいろいろあるんだろうなぁと思います。
今回は古性のちさんに「世界各国での暮らし方」にまつわるあれこれについて教えてもらいます。
1989年生まれ。2016年に会社を退職し、フリーランスへ。「日々に小さなときめきを」をコンセプトに世界中を旅しながら、日々の美しさを切り取るフォトグラファー・物書き。これまで訪れた国は30カ国以上。1年の半分を海外、半分を日本で過ごすノマド生活をしています。写真の他、コラムやエッセイ、コミュニティ運営など多方面で活動中。
さくらい:日本と海外のリモートワークのしやすさを比べるとどうですか?
のち:海外の方がやりやすい場合も多いです。日本は地方に行けば行くほどWi-Fiを探すのが大変ですが、海外の都市部はだいたいカフェにWi-Fiが入ってるので。
さくらい:確かに田舎だと、Wi-Fiを拾って仕事するなんて難しいですよね。海外のWi-Fi事情って、そんなに進んでるんですか?
のち:国によっても違いますが、たとえば「ノマドのメッカ」って呼ばれてるタイのチェンマイだと、24時間営業のカフェが多く、みんなPC開いてるんですよ。旅行者なら、最初の2,3回無料で使えるコワーキングがあったり。
さくらい:そんなに……!
のち:カフェも多いし物価も安いので、カフェに飽きたら隣のカフェ行って、それも飽きたら隣に行って……みたいなのもできて、仕事がしやすかったです。
さくらい:日本のカフェと似たような感じなんですか?
のち:あー、日本では無制限にWi-Fiを使えるところが多いですが、海外はワンドリンク2時間で、時間が過ぎると自動でWi-Fiが切れちゃうところが多いです。そしてまたオーダーすると専用の番号がもらえて、Wi-Fi使用を延長できます。
ちなみに物価が高い国に行くと、ドリンク1杯900円、2杯飲んだら1,800円みたいな感じですね。なので意地でも2時間で仕事を終わらせようとするから、そのぶん集中はします。海外にいるほうが効率よく仕事できますね。
さくらい:時間あると逆にズルズルやっちゃいますもんね。
のち:環境としてはすごいよかったなぁ……と思ってるんですけど、日本にいると10分で済むことが、海外だと半日かかるときがあるので、そのぶん仕事する時間が限られるんですよ。
たとえば日本で「化粧水を買おう」となったら、ドラッグストアを思い浮かべるじゃないですか。海外だと「そもそも化粧水っていうものがこの国に存在してるのか?」ってところから調べて、どこで手に入るのか、こういうお店があるらしい、電車の乗り方や降り方も調べて……とひたすらやるので、結果的に「今日は3時間しか仕事する時間がない!」みたいなことが生じるんです。
さくらい:えええー……! けど言われてみたら、確かにそうなるか。
のち:国内に居ると、いつでもできちゃうから仕事が延びがちになるんですけど、海外だとトラブルが重なって仕事時間が限られてしまうことが多く、そのぶん集中力と効率が上がるんですよ。
さくらい:効率を上げざるを得ないことが多いんですね。海外ではカフェで仕事をすることが多いんですか?
のち:私はカフェめぐりがライフワークなので、いろんなカフェに行って仕事していますね。あと国にもよるんですけど、泊まってる場所がゲストハウスだと部屋では仕事できないので、強制的にカフェになります。絶対集中したいときは個室に泊まって、こもって仕事してます。
さくらい:タイ以外の国の事情はどうでした?
のち:東南アジアは、わりかしどこに行っても環境が整ってて、仕事はしやすいですね。あとはフィンランドも仕事しやすかったです。フィンランドって日本と似てシャイな人が多いので、気軽に話しかけてこないんですよ。
逆にトルコとか、中東の親日国だと人がすごく話しかけてくるので……。カフェで仕事をしてると、目の前に座ってきて「ねーねーねーねーねーねー!!」みたいに。
さくらい:ええー(笑)、そんなに!
のち:他にリモートワークがしにくい国で言うと、どこに行ってもめっちゃうるさいインド、時差が大きいアイスランド、首都から離れるとそもそもカフェ自体がないウズベキスタン、Wi-Fi環境がまったく安定してないモロッコとかですね。モロッコは一番早いWi-Fiでも、画像データをひとつ送るのに10分……みたいな。
さくらい:20年前の日本みたい……!
さくらい:朝は何時ごろに起きて、夜は何時に寝る……というペースは決まってますか?
のち:たとえばタイに長期滞在してたときは、8時ごろ起きて、部屋の掃除とか家のことやって、10時ぐらいから15時ぐらいまで仕事して、夜はマッサージに行ったり、プールで泳いだりしてますね。完全に日が落ちるとオフになっちゃうので、日が落ちたら仕事はしないです。
さくらい:1日何時間ぐらい仕事するのかっていうのは、日によってバラバラですか?
のち:バラバラですね。集中力が全然ないので、4時間ぐらいしかもたないかな。海外にいると、なにごとも想定の2,3倍くらい時間がかかることが多いんですよ。
タイで洗濯機壊れたときは、どうすればいいのか調べて、修理屋さんに来てもらうことになって、でもタイ人ってすごいのんびり屋なので「4時に行くね」って言われたのに次の日の午前中に来たり、「10分で戻ってくるから待ってて」って言われてそのまま戻ってこなかったり。
さくらい:日本でやったら完全に信用失うやつ……(笑)。
のち:そんなことがよくあるので、1時間で終わる作業を、3時間バッファ見て先方に伝えたりしてます。
さくらい:先回りして考えて伝えておくんですね。国によって日照時間も違うじゃないですか。たとえばフィンランドだと、夜が極端に長いときと短いときがありますよね。
のち:フィンランドは2回行っていて、11月に行ったときは、朝の10時から昼の3時まではちょっと明るいけど、あとはずっと暗かったです。6月に行ったときは、夜の10時まで明るかったです。
さくらい:ぜんぜん違いますね。日の長さによって働き方って変わりました?
のち:変わりましたねぇ。太陽が出てないといつも眠いし、周りの人もみんな気持ちがダウンな感じなので巻き込まれる……みたいな。全然仕事できてなかった気がします。それを受けて、日が短い国では暮らしたくないなと思いました。
さくらい:じゃあやっぱり暖かい国のほうが体調的にもよかったですか。
のち:体調もいいし、効率も上がるし、いいですね。タイに住んだのもそうなんですけど、朝起きて、お気に入りのワンピースをかぶって、サンダルをカンカンってつっかけてすぐに出かけられる。暑くて水をバッとかぶっても、髪もすぐ乾くきますし。
でも寒いところって、起きてから出かけるまでのスパンがめっちゃ長いじゃないですか。出かけるときにはすでに消耗してて、「体力がない……」みたいな状態から始まるので、暖かい国にいるほうが元気ですね。
さくらい:私も冬ってやる気が落ちていくので、すごく分かります。
さくらい:旅をしながら仕事をしてると、「仕事の日」と「休みの日」があいまいになりませんか?
のち:いまの仕事スタイルは「どこまでが仕事でどこまでが遊び」という境界線がそんなになくて。遊びだけど延長線上に仕事があったり、仕事だけど延長線上に遊びがあったりするので。
さくらい:では、どういう状態を「休み」としてるんですか?
のち:私の中での「休み」は、身体と頭を休める日です。「この日は絶対にデジタルに触れない」「山へ行く」「温泉入る」みたいな日はつくるようにしてて、そういう意味での「休み」は少なくても月に2回はとるようにしています。デジタルに触れないとは言ってもiPhoneは使っちゃうので、それ以外のデジタルですけど。
さくらい:それでリフレッシュはできてますか?
のち:リフレッシュにはなってるかな。「映画を観る」「遊びに行く」「写真を撮りに行く」というようなものは、仕事の延長線にあるイメージなので、そこはあんまり「仕事か休みか」という区切りはつけてないです。
さくらい:海外と日本で休みの過ごし方は違いますか?
のち:海外にいるときは、「仕事の日」と「観光の日」で分けてます。1,2日目はガッツリ仕事、3,4日目でガッツリ観光してフラフラする、みたいに。あ、でもフラフラするのも、写真撮ってるから仕事になっちゃってますかね(笑)。
さくらい:街中で見つけたささいな発見が、仕事に繋がることってありますもんね。
時差や気候だけじゃなく、その国の国民性まで仕事のしやすさに影響するのは意外でした。エピソードに出てくる現地の人は、人懐っこかったりのんびりしてたり。
そんな話を聞いてると、せかせかしてる日本人とのギャップを感じ、我々はもっとゆったり暮らしてもいいんじゃないかと思えてきました。
のちさんは今後、行ってない国を穴埋めする旅にも出たいそうなので、別の国の話もいつかまた聞けるのでは? と楽しみにしておきます。
(執筆/アイキャッチ:さくらいみか 撮影:Uchida Kazuyoshi 編集:Tatsuguchi Hatsuko)