SEOでよく聞く“YMYL”とは？ Googleはどのように評価する？

SEO対策の目的は、検索エンジンの結果ページで上位に表示されることです。しかし、すべてのWebサイトがGoogleに平等に扱われるわけではありません。さまざまなWebサイトのなかで、とくに高い基準を満たすことを求められるのは、人生やお金に影響を与えるようなトピックに焦点を当てたWebサイトです。

SEOではよく「YMYL」という言葉が聞かれます。本記事では、YMYLとはなにか、そしてGoogleがYMYLをどのように評価するのかについて解説します。

YMYLとは

YMYLは「Your Money or Your Life」の略で、「あなたのお金、もしくはあなたの人生」を意味します。ユーザーの経済的安定、幸福、生活の質に影響するトピックを扱っているWebサイトが、YMYLにあたります。ジャンルは金融、健康、安全、法律相談などさまざまです。多くの場合、正確な情報や専門家のアドバイスが掲載されています。

Googleなどの検索エンジンは、YMYLのコンテンツをほかのWebページよりも高い基準で評価しています。これは、YMYLの情報がユーザーの生活に直接影響を与える可能性があり、情報の正確性が非常に重要になるためです。検索エンジンはYMYLのコンテンツの信頼性を重視しています。

YMYLのトピック例

YMYLのトピックには、以下のようなものがあります。

YMYLコンテンツの範囲や重要性への理解は、SEOにとって非常に重要です。YMYLのジャンルに該当するWebサイトは、ユーザーが必要なときに正確な情報を確実に提供しなければいけません。

YMYLの重要性

YMYLのコンテンツは、検索エンジンとユーザーにとって重要な存在です。ユーザーの生活に影響を与える可能性があるため、検索エンジンはYMYLを優先し、クオリティと信頼性に高い基準を設けています。先述のとおり、YMYLの重要性とSEOにおける役割を理解することは、該当分野のコンテンツ作成にとって非常に重要です。

YMYLのコンテンツは、ユーザーとの信頼関係の構築に重要な役割を果たしています。金融、健康、法律などの情報について信頼できるガイダンスを求めているユーザーに、正確な情報を提供すれば、Webサイトのオーナーは権威ある情報源としての地位を確立できます。

YMYLのコンテンツ制作者にとって、E-E-A-Tを示すことはとても重要です。E-E-A-Tとは、「Experience（経験）」「Expertise（専門性）」「Authoritativeness（権威性）」「Trustworthiness（信頼性）」の頭文字をとった、Webサイトの評価指標を指します。資格の証明書、専門家のレビュアー、著者の経歴、外部の参考文献をコンテンツに含めることで、さらに充実させられます。

ユーザーは、信頼できると判断したYMYLがテーマのWebサイトには、頻繁に訪問するでしょう。コンテンツを他者と共有し、顧客になってくれる可能性も高くなります。エンゲージメント指標や肯定的なレビューなどの信頼シグナルも、検索エンジンがYMYLコンテンツのクオリティをチェックするときの項目の一部です。

▲YMYLサイトであるInvestopiaの記事は、ドメインの専門家によってレビュー・事実確認されている（出典：Yoast）

Googleのガイドラインに記載されたYMYLの評価基準

Googleの品質評価者ガイドラインは、Webページ、とくにYMYLコンテンツの品質や関連性を評価するうえで極めて重要な役割を果たしています。GoogleがどのようにWebサイトのE-E-A-Tを評価しているかという情報を提供している、YMYLページの最適化に欠かせない存在です。

品質評価者ガイドラインには、YMYLのコンテンツを評価するための具体的な基準が記されています。ガイドラインで考慮される重要な要素は以下の5つです。

1. 経験

金融や健康などのYMYLトピックの場合、コンテンツ作成者がファイナンシャルアドバイザーや医療の専門家として働いた経験があったり、特定の分野のバックグラウンドがあったりすることは、とても重要です。

2. 専門性

Googleは、YMYLコンテンツが該当分野の専門知識を証明できるレベルの個人または組織によって作成されることを望んでいます。資格、経験、業界での知名度、評判の高い出版物への寄稿などによって、専門性の高さをアピールできます。

3. 権威性

Googleは権威あるソースからのYMYLコンテンツを重視しています。各業界で信頼性を確立していたり、専門家や組織から認められていたり、正確で信頼できる情報を公開して高い評判を得ていたりするWebサイトなどが、これにあたります。

4. 信頼性

YMYLのコンテンツにとって、信頼性は非常に重要です。Googleは透明性や情報の正確性を重視するため、過去に苦情や誤報が報告されているWebサイトは、信頼性が低いとみなす可能性が高くなります。

5. コンテンツの質

Googleは、包括的で質の高いYMYLコンテンツを期待しています。ガイドラインでも浅薄なコンテンツを避けることの重要性が強調されており、トピックに関する懸念事項などに対応することが求められています。

Googleのガイドラインに記載されたE-E-A-Tの評価方法

Googleの品質評価者ガイドラインは、コンテンツ作成者やWebサイト所有者の経験、専門性、権威性、信頼性を判断するために、さまざまな要素をチェックします。

正確なプロセスは不明ですが、以下のようなファクターが重要になるはずです。

1. 資格と信用

品質評価者は、トピックに直接関連する高度な教育、資格、専門的知識など、コンテンツ制作者の資格や資質を調べます。これらの指標は学習、知識の習得、該当分野におよぼした影響度や、専門知識の信頼性の高さを確認するためのものです。

2. 専門的な経験

コンテンツ制作者やWebサイトの所有者の業界内での実務経験も、重要な要素です。過去の職務経験、業界への関与、プロジェクトや研究によって得た実践的な専門知識などが含まれます。

3. 知識と権威

知識の深さや権威を判断するために、包括的で詳細な説明、信頼できる出典の参照、独自の視点の提供が評価されます。価値ある情報を提供し、該当分野における最新の専門知識を示す能力は、権威を確立するうえで極めて重要です。

4. 業界での認知度

コンテンツ制作者やWebサイトの所有者が業界内で認められたり、表彰されたりした実績も考慮されます。評価内容に含まれるのは、受賞歴やカンファレンスでの講演、専門家のディレクトリへの掲載などです。認知度の高さは業界内での専門知識と権威を強調し、信頼性をさらに強固なものにします。

5. ユーザーからのフィードバックとエンゲージメント

ユーザーからのフィードバック、レビュー、体験談なども考慮されます。肯定的なフィードバックやユーザーとの積極的な関わり、価値ある有益な情報を提供してきた実績は、信頼につながります。

6. アルゴリズムの改良

品質評価者ガイドラインはGoogleにフィードバックを提供し、Googleはその情報をもとにアルゴリズムを改良して、検索結果を改善します。品質評価者が直接ランキングに影響を与えるわけではありませんが、Googleの評価を理解するうえで非常に重要な存在です。

おわりに

SEO対策を強化するためには、Googleから出されているヒントを読み解いて行動することが不可欠です。Googleのガイドラインに沿ってコンテンツを制作し、E-E-A-Tを確立し、効果的な最適化テクニックを使うことで、YMYLのWebサイトにオーガニックなトラフィックを誘導し、ユーザーとの信頼関係を確立しましょう。

（執筆：Edwin Toonen　翻訳：Asuka Nakajima　編集：北村有　提供元：yoast）