エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
- ITエンジニア
- 副業
デジタルマーケティングの分野で働く方なら、誰もが「効率的なスキルアップとキャリアアップ」に関する悩みを抱えていることと思います。
この界隈で耳にする資格「ウェブ解析士」を活用すると、その悩みを解決しやすくなります。15年以上デジタルマーケティングに従事する私が、この資格がどう有益か、具体的なメリットや活用方法を詳しく解説します。
デジタルマーケティングプロデューサー/株式会社Rdesign factory代表取締役。企画×コンテンツ×マーケティングで価値の最大化を支援している。ツールを活用した仕事効率化には強く、Backlogを13年活用中。(Twitter:@matty3com)
ウェブ解析士は一般社団法人ウェブ解析士協会が認定する民間資格で、ウェブマーケティングの基本的な知識を体系的に学ぶことができ、マーケティングやデータ分析を通じて活躍できるスキルを身につけることができます。資格はレベル別に3種類あります。
取得費用は、協会による認定講座を受講する場合としない場合の2パターンがあります。また資格のレベルごとに費用も異なります。下記はウェブ解析士の例です(※価格は税込)。
認定講座を受講する場合 | 独学のみで受講する場合 | |
公式テキスト | 4,400円 | 4,400円 |
講座受講費 | 11,000円 | 0円 |
試験費(認定費込) | 17,600円 | 17,600円 |
合計 | 33,000円 | 22,000円 |
取得の翌年から年会費として6,600円(税込)を支払います。公式テキスト(4,400円/税込)の無料配布が毎年行われ、年に一度フォローアップテストを受講、合格すると資格を維持できます。
また、上級ウェブ解析士の受講費は88,000円(税込/講座・試験費用込み)、ウェブ解析士マスターは440,000円(税込/講座・試験費用込み)で、ウェブ解析士同様、資格維持に年会費6,600円(税込)が必要です。
ウェブ解析士が「いらない」と言われる背景には、複数の理由があります。
多くの企業や採用担当者は、ウェブ解析士資格を持つことを必須条件とは考えておらず、実際のプロジェクトでの成果や問題解決能力など、実務における実績や経験、能力を評価します。とくにスタートアップでは迅速な対応と柔軟性が求められるため、資格そのものより個人の経験を重視する傾向があります。
また、ウェブ解析士資格はデータ分析の基礎的な知識や理解を証明するもので、これだけで高度な専門性や独自の技術的見識を示すものではありません。そのため、より専門的で深い知識や特化したスキルを求める職種では、資格単独では不十分と見なされることもあります。
むしろ、その資格の知識をもとに何ができるかを問われることのほうが多いです。
資格試験は理論や基本的スキルを重視しますが、資格があっても現場ですぐ活躍できるとは限りません。実務では、データを解析して考察を導き出すだけでなく、それらを自社のビジネス戦略に結びつけることが求められるからです。
さらに、データ解析の結果をビジネスの意思決定や戦略にどう活かすかという点では、資格試験の範囲を超える知識が求められます。データを読み解く技術だけでなく、それをビジネスの成長や改善にどう結びつけるかが重要となりますが、これらは実務を通じてしか身につけられません。
基礎的なスキルと知識を体系的に学ぶことはできても、実際の業務要求との間にギャップができやすいのは事実です。そのため、資格取得のほかに実際の業務経験を積み重ね、スキルを実践的に拡充することが重要になります。
資格取得後、実務経験を積みたい方は、フリーランスや副業ワーカー向けの『Workship』などのマッチングサービスの利用もおすすめです。資格を取得していることで、採用確率も高まります。あとは、腕次第です(笑)。
ウェブ解析士資格が必ずしも必要とされない理由の一つに、デジタルマーケティング分野における技術や手法の急激な変化が挙げられます。この分野は技術の進展が激しく、AIのような新しいツールやアプローチが頻繁に登場し、古い方法はすぐ時代遅れになりがちです。
そのため、ウェブ解析士資格取得者は、資格取得後も継続的な学習と知識のアップデートを続け、業界の最新のトレンドや技術に敏感でいることが求められます。
しかし、ウェブ解析士の資格取得は、デジタルマーケティングとデータ分析の分野において多くのメリットがあります。
とくにデータ分析の初心者や中級者にとって、この資格のカリキュラムは、分析の基本原則を習得する絶好の機会となります。
たとえば、ウェブ解析と基本的な指標やウェブ解析の設計、ユーザー行動の理解など、デジタルマーケティングを体系的に学べます。実務に携わっている方にとっては、データドリブンな意思決定を行う応用能力がさらに向上するチャンスにもなります。
資格取得者は、データを収集、分析し、意味のある洞察を導き出す能力があることを第三者に認められています。よって、クライアントや雇用主からの信頼を得やすくなりますし、新しいプロジェクトや仕事を獲得する可能性も高まります。
とくにフリーランスやコンサルタントとして活動している場合、自身の専門性を裏付けるポイントにもなります。信頼性の高い専門家として認識されることで、業界内での発言力や影響力も増す場合も。
ウェブ解析の実務家の実力はさまざまなので、ひとつの判断基準として見られるケースも多いためです。
ウェブ解析士の資格取得を通じ、同じ目標を持つ他の専門家や学習者とのコミュニケーションの機会がある点も、注目したいメリットのひとつ。
資格取得の講座や取得後に入会できるオンラインコミュニティや会員向けセミナーは、情報交換の場だけでなく、同業者などと長期的な関係性を築くプラットフォームとしても機能しています。このつながりを通じて、最新のトレンドやツール、技術に関する知識を得ることもできます。
ということで、実際にウェブ解析士の資格を持っている方にコメントをいただきました。
「ウェブ解析士」は初級資格にあたるので、その上位資格である上級ウェブ解析士を取得し、デジタルマーケティングの現場で知識を実践に役立てている方の声をご紹介します。
【資格をとってよかった点】
普段は使っていないGA(Google Analytics)の機能を知れたのがとてもよかったです。自分ひとりでアクセス解析するのもいいと思っていたのですが、世界が狭くなっていたのだなと感じました。
また、上級ウェブ解析士を取得してから、資格名を名乗るようになりました。プレゼン相手への説得力が変わったように思います。認定資格の威力は大きいなと感じました。
【イマイチな点】
毎年フォローアップテストを受けないといけないところが正直手間です(笑)。それでも年に1回、知識のアップデートができるので、貴重な機会だと思って続けています。【補足】
これからの時代、データドリブンな考え方を自由自在にできるかどうかは大きいと思います。回答者:イミトモさん(デジタルマーケティング/会社役員)
【資格をとってよかった点】
もともと小さな会社やお店からウェブサイトの相談を受けたり改善提案などを行ってはいましたが、独学・自己流でした。この資格を通して体系的にしっかりとウェブ解析やマーケティングの基礎知識を学ぶことができてよかったです。
【イマイチな点】
本当に基本的な知識となるので、この資格を持ってるだけで仕事が取れるようになるわけではありません。実際にGoogleアナリティクスの効果的な使い方や解析の方法などを知りたくて、上級ウェブ解析士講座を受講したいと思うようになり、受講に至りました。
【資格について】
現在は学んだ知識を弱らせたくないと思い、上級ウェブ解析士のカリキュラム作成に関わらせて頂いています。そこでも様々な知識を学べますし、今の自分でもいくらか貢献できる部分があり楽しんでいます。
さらに、同協会の資格「SNSマネージャー養成講座」の講師としてチーフSNSマネージャーまで取得しましたが、ウェブ解析士資格で学んだことは企業SNS運用の講座を開く際においても役立っています。
回答者:藤原 忍さん(上級ウェブ解析士/チーフSNSマネージャーなど)
【資格を取ってよかった点】
仕事で新規事業に携わり、ウェブ解析士、上級ウェブ解析士で学んだことが大いに活かされました。上級ウェブ解析士の学びを活かし、外部環境分析や内部環境分析、カスタマージャーニーマップ、ロジックツリーなどを行いました。これら分析を行いチーム内で共有。チームメンバーとの視点がそろい、スムーズに進めることができています。
資格取得前は感覚や経験に頼りながら業務を進めていましたが、資格取得後は計画を立てて行動することが身につきました。誤った方向に進んだ場合でも、問題の箇所を把握できるため、修正がしやすくなりました。
【イマイチな点】
上級ウェブ解析士を取得している旨を伝えていても、資格名だけでは十分な理解を得るのは難しい状況です。もちろん資格を得ただけでスキルが十分にあるわけではないとは思いますが、そもそもの協会や資格自体の認知が向上してほしいです。
【資格について】
ウェブ解析士は、マーケターだけに限定した資格ではなく、事業に携わる全ての人が持つべき視点を得られる資格だと思います。資格取得は一歩であり、それを元に実務での実践、スキルを高めていくことが重要です。取得後に、使ってこそ生きる知識だと感じています。
回答者:すずきみささん(PRマーケ/会社員)
ウェブ解析士の資験難易度は中程度とされています。この試験は、データ分析の基本原則、ウェブ解析に関連するツールの使用方法、データの収集と解釈など、デジタルマーケティングにおけるウェブ解析の幅広い知識が求められます。また試験内容は広範にわたるため、十分な準備と学習が必要です。
効果的な勉強方法として、ウェブ解析士資格の公式テキストと問題集が推奨されています。これらの教材は試験の範囲を網羅しており、理解を深める具体的な例や演習が含まれています。
試験内容は協会による認定試験公式テキストに基づいた試験で、インターネット環境でPCで受講します。120分50問、4択問題で、試験終了直後に合否判定が行なわれます。
つまり、試験を受けてすぐに結果がわかります。
ウェブ解析士協会による学習時間の目安は以下のとおりです。
属性 | ウェブ業界経験者 | ウェブ業界未経験者 |
めやす期間 | 1ヶ月~1ヶ月半 | 2ヶ月~4ヶ月 |
めやす学習時間 | 15~30時間の学習 | 40~60時間の学習 |
試験問題は年一回、毎年1月に刷新され、その年の最新情報を反映した内容になっています。ちなみに、ウェブ業界を生業とする方がこの試験を受ける際、勉強しないと普通に落ちるという“定説”もあります。
2022年の平均合格率は64.15%でしたが、2023年の合格率は大幅に上昇しています。
2023年のカリキュラム・試験方法変更により試験時間を60分60問から120分50問に変更、不適切な選択肢を選ぶ問題を廃止、教科書・講座・問題集・試験の関連性強化などにより、合格率が上がったようです。
公式テキストと問題集を使って学習します。より詳しく学びたい方は、協会が主催しているウェブ解析士認定講座を受講します(1日約5時間で実施。試験のみの受験も可)。
カリキュラムは1月〜12月を1年として毎年内容が変わります。そのため、試験勉強を始めたらその年の11月までに受験することが推奨されています。
デジタルマーケティングの分野においてキャリアを築きたいと考えている初心者や中級者は、この資格があるとよさそうです。
たとえば、デジタルマーケティング業界にこれから参入する方、ウェブマーケティング関連部門に異動になった方、サイト運用・広告運用に関するコンサルティング事業など、ウェブ解析を専門的に扱う事業を立ち上げようとしている方などです。
企業のマーケターがウェブ解析士を取得することは、個人のキャリアにも役立ちます。自社サイトのトラフィック分析、顧客の行動分析などに知見を活用できますし、販促などのキャンペーンのパフォーマンスを測定する際に必要な知識なども身につきます。
実践を通じて自社内でのパフォーマンスを上げ、次の施策につなげるステップを自ら創り出せるようにもなります。
ウェブ解析士の知識を活用することで、ウェブサイトの改善点を特定し、より成果を出せるサイトにするための改善を行うことも可能になります。
たとえば、ウェブサイトのユーザーエンゲージメントを分析し、どのコンテンツが最も効果的か、またどの部分が改善の余地があるかを特定する、などの施策に役立ちます。
最終的には、サイト訪問者のエンゲージメントを高め、コンバージョン率を向上させるための知識が身につきます。
コンサルティングには、クライアントに合わせた具体的な戦略を立案し、実行する能力が求められます。ウェブ解析士の試験では、ウェブトラフィックの分析、ユーザー行動の解析など、データに基づいた戦略を立てるための知識を学ぶことができます。
結果的にコンサルタントとしての信頼性と専門性を証明する裏付けにもなりますし、クライアントのウェブサイトや広告のパフォーマンスを向上させ、稼ぐ力を強化できます。
繰り返しになりますが、ウェブ解析士の資格は、試験内容の理解から実務への応用まで幅広い知識とスキルが求められます。また年1回の資格更新試験もあり、継続的な学習を必要とします。
上級ウェブ解析士のみなさんのコメントにもありますが、資格を取ったからといって結果がすぐに出るウェブ解析や施策の提案・実施ができるわけではありません。実践による経験の積み重ねも重要です。
最新の技術や手法のアップデートを行いながら、キャリアアップやご自身の市場価値の向上を図るきっかけとして、この資格を利用する。そして、取得のメリットとキャリアへの影響は自分自身の手で生み出す資格と考えていただくのがよさそうです。
デジタルマーケティングの現場で実践を積み重ねたい方は、フリーランス・副業向けマッチングサービス『Workship』でのお仕事探しがおすすめです。施策提案やサイト改善を求めている企業が多くいらっしゃいます。
(執筆:まてぃ 編集:少年B)