IT業界はブラック企業ばかり? ホワイトな働き方を実現する方法

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  • 「IT業界はブラック企業が多いと聞くけれど本当?」
  • 「IT企業でホワイトな働き方をするのは難しい?」

IT業界への就職・転職を考えるなかで、働き方に不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、IT業界にも他の業界と同じようにブラック企業はありますが、ワークライフバランスを重視した働き方をすることも可能です。

この記事では、ブラック企業を見分けるポイントや就職・転職におすすめのサービスなど、ITに関わりながらホワイトな働き方を実現するための方法をご紹介します。

IT業界の実態:本当にブラック企業は多いのか?

ブラック企業が多いイメージのIT業界。その実態と、IT業界にブラック企業が生まれる背景を解説します。

他業界と比べたIT業界の離職率

そもそもブラック企業とは、長時間労働や低賃金、パワハラなど、働く人に優しくない企業を指します。

ブラック企業かどうかを判断する指標はいくつかありますが、今回は離職率からIT業界の実態を見てみましょう。

下の図は厚生労働省が平成30年度に調査した、業界ごとの離職率を表したグラフです。(IT業界は「情報通信業」にあたります)

平成30年度 入職率・離職率

▲出典:厚生労働省

IT業界の離職率は低いとまでは言えませんが、離職率が高い宿泊業、飲食サービス業と比べると半分以下の数値になっています。他の業界と比べても、IT業界の離職率が特出して高いということもありません。

IT業界にブラック企業はたしかに存在するかもしれませんが、「とくに離職率の高い企業が多い業界」という訳ではありません。

ブラック企業が生まれやすいIT業界の構造

IT業界にブラック企業が生まれる原因は、おもに以下の2点です。

  • 【多重下請け構造】
    多重下請け構造とは、クライアントから仕事を請けた元請け企業が、下請け企業に業務を発注し、さらに2次請け、3次請けへ……と業務が次々に委託されていく業界構造のことを指します。下請けに仕事が委託されていくたびに利益が抜かれ、下請けの企業になるほど利益率は下がっていきます。案件の利益率が賃金の基準となるため、一部の下請け企業では「長時間勤務で低賃金」の、いわゆるブラックな働き方となります。
  • 【突発的なトラブル対応】
    IT業界は「多重下請け構造」であるが故に、下請け企業であればあるほど、上流クライアントの急な要請や変更によって、長時間労働や休日出勤が求められてしまう構造があります。

ブラックなIT企業を見分ける3つの方法

下請け企業にしわ寄せがいく業界構造が原因となって、ブラック企業が生まれているIT業界。

就職や転職にあたり、ブラックな企業を見分ける方法をご紹介していきます。

方法1. 企業情報から労働環境を見分ける

IT 企業 ブラック ホワイトチェック表 時間 固定残業代

▲厚生労働省、金融庁を元に筆者作成

企業が公開している情報からも、労働環境の一部を読み解くことができます。

主にチェックすべき項目は、労働時間・賃金制度・平均勤続年数の三点です。

労働時間

厚生労働省によるとIT企業(情報通信業)全体の残業時間平均が23.2時間です。ブラック企業の一番の特徴は「長時間労働」で、「1ヶ月45時間の残業」が一つの基準となります。

労働基準法により、残業時間は上限が1ヶ月45時間と定められているため、基本的に企業は上限を超えて社員に残業させることはできません。

特別条項と呼ばれる例外もあるため一概には言えませんが、月の残業時間が45時間を超えている企業は、ブラック企業の可能性があるので注意してください。

また月に80時間以上の残業は、厚生労働省によって「過労死ライン」と定められています。残業時間が80時間以上の会社は、ブラック企業の可能性が高いです。

賃金制度

ブラック企業では、以下の賃金制度を利用して、労働時間に見合った給料を払わないことがあります。

  • 【裁量労働制】
    実際に働いた時間ではなく、あらかじめ会社側と決めた時間を労働時間とみなす制度です。たとえば1日のみなし労働時間を8時間として契約していたら、6時間勤務でも10時間勤務でも、勤務時間は8時間とみなされます。
  • 【固定残業代制】
    一定の残業時間分の残業代を、最初から給料として払っておく制度です。「みなし残業代制度」とも呼ばれています。IT業界では多くの企業がこれらの制度を取り入れています。

裁量労働制、固定残業代制のどちらも、制度自体には「労働時間を自分の裁量で管理できること」や「一定以上の給料が保証されること」などのメリットがあります。しかしブラック企業はこれらの制度を悪用して、法外な残業を強いることがあります。

たとえば、裁量労働制で1日8時間として労働時間を契約している場合、1ヶ月では8時間×20日(週5勤務の場合)=160時間の勤務を想定した給与となります。つまり、1ヶ月の労働時間が160時間を超えた場合は残業代が発生するはずです。裁量労働制だからと残業代を払わない企業はブラック企業といえます。

また、固定残業代制を導入したブラック企業の手口として次のようなものがあります。

  • 固定残業時間を越えても、それ以上に一定の残業時間を越えなければ残業代が支払われない。
  • 最低賃金を下回る残業代しか支払わない。
  • 固定残業制を導入したと言いつつ、導入前の基本給を下げて残業代を上乗せしているため結果的に社員への支払い金額が変わっていない。(例)導入前:基本給25万円⇨導入後:基本給20万円+固定残業代5万円

実際の残業時間を調べ、制度がどのように利用されているのか確認しましょう。

平均勤続年数

IT業界は若い会社が多く、終身雇用の文化が浸透していません。またスキル重視であることから、比較的転職が多い業界となっています。

このような背景から、IT業界では平均勤続年数が10年を切る企業も多いのですが、そのなかでもブラック企業は極端に平均勤続年数が短い傾向があります。金融庁によるとIT業界全体における平均勤続年数は13.7年、その内のインターネット業界4年前後、ソフトウェア業界5年前後だそう。

平均勤続年数が3年を切る企業は正しく仕事をマネジメントできる中堅社員がおらず、一人当たりの業務量が過剰になっている企業が多いため、注意が必要です。

方法2. 社員に直接質問する

企業情報からある程度の労働環境を見極めることができますが、ブラック企業の中には不都合な情報を隠して求人情報を出すような会社もあります。

求人情報をみてある程度企業を絞ったら、会社説明会や人づてにその企業の社員と知り合い、直接質問することをおすすめします。

ブラック企業を見分けるために聞くべきポイントは2つあります。

  • 【Q. 裁量労働制かどうか?】
    一部のブラック企業では “残業代を払わないために” 裁量労働制を採用していることを公表していない場合があります。そこで「裁量労働制を採用しているか?」「ひとりに任される作業量は多いかどうか?」「月の残業時間はどの程度か?」を質問しておくとよいでしょう。
  • 【Q. 固定残業代が給料に含まれているかどうか?】
    固定残業代制自体が悪い訳ではありません。この制度が問題になるのは、「提示している給料の中に固定残業代が含まれる」という事実を適切に提示していない企業があるからです。固定残業代が含まれているのであれば、何時間に設定されているかの確認しておきましょう。

方法3. 第三者の意見を聞く

企業情報や社員の声などに加えて、企業についての客観的な情報を集めておくと、より正確な判断ができます。

以下では第三者の意見を知るための方法をご紹介していきます。

企業口コミサイトを利用する

企業口コミサイトとは、企業で実際に働いている人や退職した人が、職場の雰囲気や仕事量、待遇などの情報を投稿するサイトです。

ここでは口コミの量が多い、おすすめの口コミサイトをご紹介します。

【転職会議】

転職会議

▲出典:転職会議

転職会議は、リブセンスが運営している企業口コミ情報サイトです。

300万件以上の口コミ情報を掲載、会員数も700万人以上となっており、多くの方に利用されている国内最大級のサービスです。

口コミは職種や雇用形態、性別などで絞り込むこともできるので、自分と同じタイプの社員がどのような働き方をしているか、効率的に調べられる点が便利です。

【openwork】

openwork

▲出典:媒体名

オープンワーク(旧 ヴォーカーズ)が運営している、企業口コミの老舗サイトです。
簡単な無料登録をすれば1日100件の口コミを読むことができ、加えて条件を満たすと、全260万件以上の口コミを読むことができます。

口コミが登録されている企業は5万社を超えています。また大手企業になると数千もの社員口コミが登録されているので、大手企業の情報を調べるには最適なサイトです。

転職エージェントを活用する

口コミサイト以上に正確で客観的な情報を知るためには、転職エージェントの活用がおすすめです。

IT業界に精通した転職エージェントを活用すれば、いままで転職を斡旋してきた経験や知り得た情報から、業界全体のより詳細な情報を提供してもらえます。

また実際に転職活動を始める際にも、強い味方になってくれるでしょう。

エージェントを利用してIT企業に就職/転職する

IT業界での働き方について客観的な情報を集めることができ、就職/転職活動もサポートしてもらえるエージェントをご紹介します。

今回ご紹介する3つのサービスは転職エージェントですが、各社は新卒に向けてもエージェントサービスを展開しています。

新卒でIT企業を志望している方も、エージェントを活用して情報を集めていきましょう。

実務経験があればレバテックキャリア

▲出典:レバテックキャリア

レバテックキャリアはITエンジニア・クリエイターを専門とする転職エージェントです。

IT専門ですので、実務経験のある人を対象にサービスを展開しています。扱っている求人に関しても、即戦力を迎えたい企業が多くなっています。

在籍しているコンサルタントは、IT分野の知識や情報に長けているので、経験者だからこその悩みや不安にも的確なアドバイスが貰えると評判です。

実務経験がある方には、IT業界のプロの視点からアドバイスをもらえる、レバテックキャリアがおすすめです。

レバテックキャリア

じっくり情報を集めたいならマイナビエージェント

マイナビITAGENT

▲出典:マイナビIT AGENT

マイナビITエージェントは、マイナビがIT系の職種専門に展開している転職エージェントです。

マイナビITエージェントは、転職サポート期間が長く、担当者の変更が何度でもできることが強みで、転職活動に不安を感じていてじっくり情報を集めたい方におすすめなエージェントとなっています。

またマイナビは女性のキャリアプランにも力を入れ、「マイナビウーマン」のように女性の転職にフォーカスしたサービスも展開していることから、女性にもおすすめのエージェントです。

マイナビITエージェント

※マイナビのプロモーションを含みます。

幅広い情報が欲しいならdoda

doda

▲出典:doda

doda は、大手人材企業のパーソルが運営する転職エージェントです。

上場企業からベンチャー企業まで幅広いIT求人を扱っており、求人の質と量が国内トップクラスの転職サイトです。

各業種の特徴や業界の動向などを把握した上で、1人ひとりに合った情報を紹介してくれるので、IT業界に限定せず幅広く情報を集めたい方におすすめです。

doda

ワークライフバランスを重視するなら、ITフリーランスという選択肢も!

  • 「もっとワークライフバランスを重視したい!」
  • 「自分の実力にあった収入がほしい!」
  • 「スキルや専門性を活かした仕事がしたい!」

そんな方には、フリーランスとしてIT関連の仕事をするという選択肢もあります。

安定性や給料面で不安に思われることの多いフリーランスですが、自分の実力次第で、収入や労働時間を自由に調整できます。ワークライフバランスを自由に考えられる働き方です。

フリーランスのメリット・デメリットや、必要なスキルを詳しく解説していきます。

フリーランスのメリット

ブラック企業で不満に感じる点として、主に以下の3つが挙げられます。

  • 時間の拘束が長い
  • 収入が少ない
  • 上司のパワハラなどの職場の人間関係

ブラック企業はワークライフバランスが取りづらく、ストレス過多になる環境ですが、フリーランスという働き方であればそのような不満を解消できる可能性があります。

メリット1. 働く時間が自分で決められる

フリーランスは、自分が得たい収入や確保したい家族の時間などによって、働く時間を調整できます。

またスキルをあげて効率化すれば、短い時間で多くの収入を得ることも可能です。

メリット2. 自分の生活に合わせて、仕事と収入を調整できる

会社員と違い、仕事の成果が収入アップにつながり、実績がすべて個人の信頼に繋がるため、自分の努力が収入に直結することに魅力があるとも言えるでしょう。

また仕事量を自分でコントロールできるので、自分の生活とバランスをとることが可能です。

メリット3. 人間関係のストレスを軽減できる

フリーランスであれば付き合いの飲み会などは減るため、相手との距離感を自分で調整できるメリットがあります。

フリーランスのデメリット

フリーランスの代表的なデメリットは以下のものが挙げられます。

  • 収入が不安定
  • 確定申告などの事務作業
  • 孤独を感じる

一つずつ見ていきましょう。

デメリット1. 収入が不安定

フリーランスになるにあたって収入が不安定という意見が多く聞かれます。

たしかに会社と違って毎月決まった給料がもらえる訳ではないため、とくに独立直後の不安や苦労は拭えません。

最初は大きな収入にならなくても、簡単な案件から実務経験を積んでいく、地道な努力が求められます。

デメリット2. 事務作業が必要

会社ならば事務作業を行ってくれる部署がありますが、フリーランスになると事務作業もすべて自分でこなす必要があります。やるべきことややり方などの知識をつけ、スムーズにこなせるようになるにはある程度の時間がかかるでしょう。

経理ソフトを利用すればその作業も比較的スムーズに行えるほか、ある程度売り上げが確保できたら税理士に依頼することもできます。

デメリット3. 孤独を感じる

一人で作業することも多いフリーランスは、孤独を感じることが多いと言われています。

一つの場所に縛られず、自由に人間関係を構築できるのは魅力とも言えますが、フリーランスにとっては人脈も大切です。勉強会やオンラインサロン、シェアオフィスなどを積極的に利用し、人脈を広げてみましょう。

週のうちの数日は社会人インターンとして勤務し、大規模なプロジェクトやチームでの開発など、企業に属さなければできないことを経験するのもおすすめです。

ITフリーランスになるために必要なスキル

ブラック企業 IT フリーランスに必要な2つのスキル

フリーランスになるためには、大まかに以下の2つのスキルが必要です。

  • 専門知識
  • 自己管理能力

これらのスキルがあれば、フリーランスとして仕事を始めることは可能です。

スキル1. 専門知識

エンジニアであればプログラミングスキル、ライターであればライティングスキルなど、フリーランスとして仕事をするにはやはり専門知識が欠かせません。実務経験1年以上のスキルがあれば、受注できる案件が多くなります。

簡単な案件から経験を積み、ポートフォリオを作成して次の受注につなげることが必要です。

スキル2. 自己管理能力

仕事の量や質を自分で管理しなければならないため、フリーランスになるには自己管理能力がもっとも必要と考えられます。加えてどの仕事を受けるかなどをすべて自分で決める必要があるので、決断力が必要です。

また納期を確実に守ることが信頼につながるため、納期から逆算してスケジュールを組み立てる能力も重要となります。

未経験からITフリーランスになる方法

専門知識が求められるフリーランスですが、未経験でもフリーランスになることは可能です。未経験からフリーランスになるための方法を解説していきます。

方法1. スクールで実務レベルのスキルを身に着ける

フリーランスには専門知識が不可欠なため、未経験の方はスクールに通うなど自分で専門知識を身につけていくことが求められます。

業種にもよりますが、たとえばエンジニアであればプログラミングスクールが約4週間から8週間で開設されています。

仕事を始めるためには、最低でもこのくらいの期間の勉強は必要になるでしょう。

方法2. 手を動かしながら、スキルを高めていく

未経験からフリーランスになれるとはいっても、やはり実務経験は重要視されます。

なので未経験から始めて、独学やスクールである程度スキルを獲得した方は、できるだけ早く案件を受注しましょう。

簡単な案件から始めてスキルを高めるとともに、実務経験をアピールして新たな案件につなげていきます。

フリーランスとして案件を獲得する方法

経験があれば前職の紹介などで仕事を獲得できますが、未経験のうちはフリーランス向けのクラウドソーシングサービスやマッチングサービスを利用するのがおすすめです。

案件を獲得するというと難しいイメージがありますが、いまはフリーランスに向けたサービスが多数あるため、比較的簡単に案件を獲得することができます。

方法1. クラウドソーシングサイト

ランサーズ』:機能が豊富で仕事が探しやすい初心者向けのクラウドソーシングサービス
クラウドワークス』:日本最大級の案件数とユーザー数を誇るクラウドソーシングサービス

これらのクラウドソーシングサイトには、未経験の人が実務経験を積むのにちょうどよい条件の仕事が、豊富に掲載されています。最初はクラウドソーシングサービスで簡単な案件から受注していきましょう。

実績や成果を積み上げていけば、単価の高い案件も受注できるようになっていきます。

クラウドソーシングについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

方法2. マッチングサービス

フリーランス・副業向けマッチングサービス『Workship』には、副業やリモートワークで働ける案件が多数あります。フリーランスとしての実務経験を積みたい方や、クラウドソーシングよりもレベルの高い案件に挑戦したい方におすすめです。

Workshipでの実務経験を活かせば、今後さらに高単価の案件を受注できるようになるでしょう。

その他のマッチングサービスについては、以下の記事をご覧ください。

まとめ

今回は、IT業界でホワイトな働き方を実現するための方法をご紹介しました。

近年のIT分野の急激な成長や、ITで生活が変わっていく様子を感じてIT企業を目指す方は多いと思います。

今回の記事で述べた通り、IT業界は特出してブラック企業が多いわけではないので、過度に不安に感じる必要はありません。しかし、業界構造などの背景があるためブラック企業があるのは事実です。

IT業界を目指す際は、さまざまな情報を取り入れて、自分の志向にあった企業や就業形態を選ぶようにしましょう。

【記事のまとめ】

  • IT業界はブラック企業が多いわけではないが、多重下請け構造なのでブラック企業も存在する。
  • 企業の労働環境を見極めるには、企業情報をチェックするほか、口コミサイトや転職エージェントサービスなどの第三者の意見も聞くことも重要。
  • ワークライフバランスを重視するのであればフリーランスという選択肢もあり。Workshipなどのサービスを活用し実務経験を積むことができる。

(執筆:泉 編集:Nagata Haruna)

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