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ブロックチェーンは安全なM2Mトランザクションを実現するか

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Ciscoの予測では、2020年までにインターネットに接続される機器が500億台になると言われています。IoTの持つポテンシャルを最大限に発揮するには、この膨大なデータを処理し、管理する技術や、セキュリティ対策の向上が必須です。

しかし現在のIoTデバイスに実装されているセキュリティ基準では、増加しつつあるデバイスのすべてを十分にサポートできません。

そこで注目されているのがブロックチェーンです。ブロックチェーンを使用すると「M2M(Machine-to-Machine:機械どうしの通信)」を安全かつ効率的な方法で実現できると考えられています。

この記事では、ブロックチェーンとM2Mの関わりについて概説します。

M2Mとは? 未来のIoT技術の基礎

M2Mとは、機械どうしが自動でやりとりすることでタスクを自動化する仕組みです。作業プロセスを効率化し、さまざまなコストを削減できるため、あらゆる業界で導入が進んでいます。

M2Mの代表例として、自動販売機が挙げられます。最新の自動販売機は、商品の在庫が規定量を下回った時点で販売会社へ自動的に連絡します。

このほか、M2Mがよく活用されているのが病院です。患者のバイタルサインをモニタリングし、基準値を下回った際に自動で静脈内に薬を投与する仕組みがM2Mで実現されています。

このようにM2Mでやりとりした情報は本来、機械どうしをつなぐシステム内部に留め置かれます。この情報をインターネットを介して収集できるのがIoT技術です。したがってM2Mは、未来のIoTデバイスの基盤といえるでしょう。

このM2MとIoTの通信を安全かつ効率的な方法で実施する技術として、ブロックチェーンが注目を集めています。

スマートコントラクトはM2M運用に活用できるか?

M2M_スマートコントラクト

1994年にコンピュータ科学者Nick Szaboによって提唱された「スマートコントラクト」は、2015年にVitalik Buterinによって開発されたイーサリアムにも搭載されています。

イーサリアム上でのスマートコントラクトは、ブロックチェーンに格納されている契約内容を自動的に実行する仕組みで、安全かつ分散化(特定の企業や人の支配から解放された)されています

現在スマートコントラクトの応用開発が進んでいる分野にはサプライチェーン管理保険金請求デジタルID管理などがあり、銀行や輸送業、保険業向けのブロックチェーン技術と連携して開発が進められています。

ヒュンダイの子会社であるHDACは現在、ブロックチェーンプラットフォームでのIoTコントラクト(スマートコントラクトをIoTデバイスに拡張すること)を通じて効率的なM2Mトランザクションを提供しようと取り組んでいます。またHDACは、M2Mトランザクションを実行するために必要なすべてのツールを提供するブロックチェーンネットワークを2020年までに公開する予定だと発表しています。

IoTのセキュリティ問題をブロックチェーンで解決する

M2M_セキュリティ

Apple WatchやFitbitなどのウェアラブルデバイスは、そのサイズの小ささゆえ、耐障害性のあるセキュリティプロトコルの適用に必要なメモリ容量や処理能力が不足する傾向があります。

IoTデバイスの数が増え、データがサイロ化(孤立化)されていく状況下では、IoTデバイスはDDoS攻撃を受けやすいです。DDoS攻撃を受けると、ターゲットネットワーク上のM2Mシステムの動作は遅くなってしまいます。

また、現在のIoTシステムにおけるもうひとつの欠点は、データが集中型データベースに保持されていることです。これは単一障害点の問題につながります。

例えばFacebookは現在、ユーザーが他のサービスにアクセスするために単一ログインポイントを利用しています。したがって、もしFacebookがハッキングされてしまった場合、Facebookアカウントでのサインインを許可するその他のサービスも同様にハッキングされてしまうおそれがあるのです。

ブロックチェーンによる分散管理の価値

上記のようなIoTおよびM2Mのセキュリティ面での懸念を解決してくれるのが、分散型台帳技術であるブロックチェーンです。

データサイロ化による単一障害点に関連するリスクは、ブロックチェーン全体に分散したノードによって軽減されます。チェーンの大多数に変更の必要があると判断しない限り、ブロックチェーンは分散化され、変更不可能です(※訳注:ブロックチェーン運用においては(どのコンセンサスアルゴリズムを適用するかによるが)一般的に、単一の企業や組織が恣意的な操作を行うことが非常に難しい仕組みになっています。これがデータやサーバーを集中管理する既存システムとの大きな違いです)

暗号通貨の取引のために現在利用されている複雑なハッシュと暗号化アルゴリズムを使用することで、IoTにブロックチェーンと同様のシステムを適用できます。ブロックチェーンの分散化された性質により、IoTデータを安全に格納し、情報が氾濫する時代の課題に対処できるのです。

M2Mの未来を保証する

M2M

1990年代、インターネットが広く使用されるようになると、私たちのコミュニケーション方法は一変しました。20年以上経ったいま、インターネットはいまや私たちの日常生活に欠かせないものとなっています。ブロックチェーン技術とM2M、そしてIoTの組み合わせは、情報技術革新の次のステップの基礎を築くことでしょう。

M2Mトランザクションのセキュリティ課題を解決することは、この新しいテクノロジーが最大限の可能性を発揮できるようにするために必要な最後のステップの1つです。

いまはまだ、自動運転車や自律的に稼働する冷蔵庫や家、そして都市というアイデアはSF映画のように現実味がなく聞こえます。しかし、いずれこれらは私たちの生活に欠かせないものとなるでしょう。

(翻訳:Yuki Sato)

 

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