「専門スキルを伸ばす VS 幅広い領域に挑戦する」フリーランスの生存戦略討論
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フリーランスは周りの人からからアドバイスをもらう機会が少なく、基本的には自分で反省や改善をしなければいけません。
しかし自分だけで改善するのも限界があり「誰かにヒントをもらいたい!」と思うことはありませんか?
そこで今回はフリーランス向けのお仕事紹介サービス『Workship』の担当エージェントに、「どんなフリーランスが仕事を多く獲得しているか」を伺いました。彼らはいわば、フリーランスとその採用企業を熟知したプロフェッショナル……!
「プロフィールには自分がぶつかった課題と解決策を載せる」「フリーランスはスキルだけで仕事が決まるわけじゃない」といった、意外と知られていない案件獲得のコツを教えてもらいました。
スキルシェアリングプラットフォーム『Workship』にて、マネジメントとアカウントプランナーを担当。
スキルシェアリングプラットフォーム『Workship』にて、インサイドセールスを担当。顧客PJTの体制構築支援など課題解決に注力している。
ビジネス・キャリア系の記事が得意なフリーの編集者・ライター。
目次
── よろしくお願いします! おふたりはどのような仕事をされているんですか?
高木:
私たちはフリーランスや複業人材向けのマッチングプラットフォーム『Workship』のエージェントとして働いています。仕事を依頼したい企業の方と、仕事が欲しいフリーランスの間に入って、仕事がスムーズに進むようにサポートしてます。
── お仕事でいろんなフリーランスの方を見てきたと思いますが、企業から仕事がたくさんくる人気のフリーランスの特徴ってありますか?
嘉藤:
自分の強みをしっかり理解して、強みを相手に伝えられるフリーランスの方は仕事をよく取っている印象です。発注する企業としても、その人に依頼すると「どういうメリットがあるか」をイメージできると仕事をお願いしやすいので。
仕事が取れなくて悩んでいるフリーランスの方は、自分のスキルや強みをいちど整理してみるといいかもしれません。
── フリーランスの場合は自分のスキルを整理して、客観的に把握できるようにしておくことが重要なんですね。他に人気なフリーランスの特徴はありますか?
高木:
相手が求める基準よりも、高い成果を出す人は仕事が継続しやすいです。実際に一度契約して高い成果を出し、その後もずっと同じ会社から継続受注しているフリーランスの方もいます。
とあるフリーランスエンジニアのケースですが、企業の開発に関わっているうちに開発陣のコアメンバーになり、会社としても欠かせない人材になったため契約し続けている、という例があります。
── 仕事をしている以上「質の高い納品物を作ろう!」と考えているフリーランスは多いと思いますが、一方で毎回期待値を超え続けるのって大変なイメージがあります。どうすればいいでしょうか?
高木:
たしかに毎回ハードルを越え続けるのって難しいと思います。ただ、スキルや納品物だけで継続受注が決まっているわけではありません。
高木:
「普段のコミュニケーションが円滑か」「自主的に追加の提案してくれるか」「周りの人に気を配れているか」といったポイントで評価されるケースもあります。仕事のしやすさは立派な評価ポイントです。
── フリーランスってスキルや仕事のスピードが重要かと思っていたんですが、必ずしもそういうわけではないんですね。
高木:
そうですね。スキル以外にも「チームにフィットできるか?」や「コミュニケーションが取りやすいか?」は重視されることがあります。社会人の基本的な部分を見られていることも多いので、おろそかにしてはいけません。
嘉藤:
フリーランスに仕事を依頼している企業の方は、積極的にコミュニケーションを取りたがっています。コミュニケーションが円滑になれば、仕事でのトラブルも減るからですね。
── そうなんですね。フリーランス側からすると「忙しいかな?」と思って、コミュニケーションを遠慮してしまうこともあります。なにかいい方法はありますか?
嘉藤:
チームや会社のイベントに参加するのはどうでしょうか? たとえば私たち株式会社GIGはイベントを定期的に開催していますが、普段一緒にお仕事をしているフリーランスの方が参加してくださることもあります。
直接コミュニケーションを取ることは大切なので、行事やイベントなどに参加してくれると会社側としてもうれしいですね。
── さきほどは「人気のあるフリーランスの特徴」を聞きましたが、反対に「仕事しにくいフリーランスの特徴」ってありますか?
嘉藤:
すごく基本的なことなんですが、納期を守れない方は仕事がストップします。たとえば社員なら約束を守れなくても、他の社員が助けてくれるかもしれませんが、フリーランスはすべて自分で巻き取らないといけません。
企業側も「全部おまかせします」という気持ちで依頼していることが多いので、期日を守れないと一気に信用を失いかねないですよね。
嘉藤:
あと仕事の「報告・連絡・相談」も大切です。たとえばリモートワークで仕事を依頼している場合、クライアント側は「どこまで仕事が進んでいるのか?」がわかりません。
なのでクライアントが不安にならないよう、フリーランス側から「今日はここまで仕事が終わりました」と進捗共有するのも大事な仕事の1つです。
── 納期を守ったり、報告連絡相談をしたり……社会人の基礎的な部分ですね。
嘉藤:
そうですね。あとはなにかトラブルがあったときに、ギリギリまで相談しない人は仕事がしづらいです。
たとえばサイトのリリース予定日に「〇〇が実装できてません」といわれても、すぐに解決できないかもしれませんよね。なにかトラブルがあったり、自分がスキル的に「できない」と思ったりしたら、すぐに相談したほうがいいです。時間があれば会社側が対応してくれるかもしれません。
相談せずに放置して、あとあと大炎上してしまったら、鎮火するのも大変ですから。
── 失敗したときこそ連絡するのが心苦しいですが、大炎上しないためにも早めの相談が重要なんですね。他にはありますか?
高木:
「相手の意見を聞き入れず、自分の作りたいものを作る」というタイプの方は仕事しにくいかもしれません。
たとえばエンジニアの方で職人気質すぎて、お客さんが口出ししにくいケースがあります。実際に「成果物のクオリティは高いけど、ちょっとした修正を頼みにくい……」とクラアントから相談を受けたこともありました。
そういうときは私たちエージェントが、間を取り持ってコミュニケーションさせていただきます。
── すごい大変な役割ですね……。
高木:
そんなことはありませんよ(笑)!
高木:
クライアントとフリーランスの方がうまく仕事できるようにすることが、私たちの仕事なので。しっかり間に入らせていただきます。
クライアントとのコミュニケーションに苦手意識があるなら、どんどんエージェントを活用してほしいと思っています。
嘉藤:
フリーランスと企業が一緒に仕事をする上で、「フリーランスが提供できるもの」と「会社が求めているもの」の”期待値調整”は必須だと思います。
たとえばクライアントが80点の成果物を求めて発注しているのに、フリーランスの方の認識違いで60点の成果物を納品してしまうと、仕事としてうまくいきません。クライアントからすれば「レベルの低い仕事をされた……」と思ってしまいますよね。ただフリーランス側も「60点でOKだと思っていたから……」と勘違いしているケースもあります。
なので企業側もフリーランス側も、お互いに「どういう仕事をすればOKなのか?」という期待値の調整は忘れていけません。
── 「期待値の調整」って理屈は分かっても、実際にどうすればいいのでしょうか?
嘉藤:
最初の段階でしっかりコミュニケーションを取ることが大切です。お互いに認識のズレがないように、最初の打ち合わせや面談で、ゴールの確認や認識のすり合わせをしっかりしておきましょう。
もし「自分はコミュニケーションを取るのが苦手だ」という場合は、私たちのようなエージェントサービスをうまく活用するのがおすすめです。エージェントと相談することで、「会社が求めるもの」と「フリーランスができること」の期待値の調整を私たちが代わりに行います。
── コミュニケーションが苦手なフリーランスもいると思うので、エージェントに間に入ってもらうと精神的にも楽になりますね。
高木:
私たちエージェントは、フリーランスのサポーターです。エージェントを仲介してうまく相談したり、バンバン活用したりしてもらえるとうれしいです。
高木:
もちろん私たちエージェントは企業から仲介料をもらっているというものありますが、一緒に仕事を探していると、自然と「応援したい」という気持ちが湧いてきます。
フリーランスの方はエージェントの利用料などもかからないので、使い倒してください(笑)。
── Workshipはフリーランスと企業をマッチングするプラットフォームですが、フリーランスの方はプロフィールを書く必要がありますよね。企業から多くの反応をもらうには、プロフィールにどんなことを書けばいいですか?
高木:
プロフィールに「課題に対する具体的なアクション」を載せておくと反応がよくなります。
たとえばエンジニアの場合、企業が困ったときに発注がくるケースばかりです。技術的な課題にぶつかったけど社内では解決できないから、解決できるエンジニアにお願いしたいのが企業の状況。
クライアントとしては「課題に対してどんなふうにアクションを取ってくれるのか?」を重視しています。
なのでプロフィールに、過去に起きた課題とその解決アクションを実績として書いてあれば、クライアント側も「このエンジニアに頼めば課題を解決してくれそう」と思って、発注がくるかもしれません。
── そうなんですね……! 自分がぶつかった過去の課題を書くと、マイナスイメージを与えてしまうと思っていました。
高木:
全然そんなことありませんよ! たしかに少し書きづらいことかもしれませんが、プロフィールを見た人に「課題解決のアクションを取った経験」が伝わることが大切です。
仕事をしていたら、課題はどうしても出てくるものです。クライアントもマイナスイメージを持ちませんよ。
── 他にプロフィールに盛り込んでおいた方がいい情報はありますか?
嘉藤:
ポートフォリオは必須です。ほとんどの方がポートフォリオを記載していると思いますが、なるべく詳しく書きましょう。たとえばWebサイトの制作をした場合なら「サイトのどの部分をどうやって制作したか」まで書いていると、伝わりやすいです。
ただ、ポートフォリオは実績をとにかく盛り込めばいいわけではありません。見た人に自分の強みが正確に伝わるように、載せる実績や分量を調整すると、より伝わるポートフォリオになります。羅列しすぎると、読むのが大変なので……。
高木:
あといままでの案件は「何人体制のチームでやってきたか」を書くのも大切ですね。
嘉藤:そうそう。クライアントはそのフリーランスが経験してきたプロジェクトの規模を知りたいんですよね。3人とかの小規模チームなのか、200人とかの大規模チームなのか……とか。
もし依頼主のプロジェクトチーム規模が100人だったとして、フリーランスのプロフィールに「100人規模のプロジェクトで開発経験あり」と記載されていたら、「この人に発注したら、チームでうまく連携を取ってくれそう」と判断できますよね。
── 反対に「この情報はプロフィールに必要ない」というのはありますか?
嘉藤:
「学生時代やアルバイトの話」は、あまり必要ないですね(笑)。あと「現在勉強していること」とかもなくていいと思います。
なるべく実績ベースで「いままで何をしてきたか」「どんなスキルがついているか」が伝わるようにプロフィールを書きましょう。
嘉藤:
プロフィールって自分が書きたいことを載せるではなく、相手が知りたい情報を載せるべきです。「クライアントがどういう情報を知りたいか?」を考えて、自分のプロフィールを作ってみるといいかもしれません。
── Workshipではいろんな案件を紹介していると思いますが、どんな職種が企業から人気がありますか?
高木:
ITエンジニア職が一番人気ですね。具体的な言語としては、バックエンドなら「PHP」「Python」、フロントエンドなら「React.js」「Vue.js」の求人が多い傾向です。
あとは、アプリエンジニア。自社サービスを作って成長したら、アプリ化したいという企業は多いので、アプリ制作ができるエンジニアは案件がたくさんあります。
その次だと、Webデザイナーやライターも人気です。
Webデザイナーは「Webサイトデザイン」や「バナー作成」、ライターは「SEO記事」や「セールスライティング」などが多いですね。
── やっぱりITエンジニアは人気なんですね。今後も需要は増えていきそうですか?
高木:
今後もITエンジニアの需要は増えると思いますよ。ITエンジニアは慢性的に人手不足ですから。
嘉藤:
あと機械学習、AI、データサイエンティストといったジャンルも需要が増えていくと思います。このあたりに貢献できるスキルがあるエンジニアを求めている企業も実際に増えていますね。
── そうなんですね。恥ずかしい話「AI、機械学習」と言われてもよく分かっておらず……。もしこれからスキルをつけるなら、どんなことから始めればいいでしょうか?
嘉藤:
たとえばHTML/CSSが使えるなら、フレームワークを学ぶと需要が3倍ぐらいになります。具体的にはVue.jsやReact.jsなどの、JavaScript系フレームワークはやっておくといいです。
高木:
いまフルスクラッチ(フレームワークなし)で開発している人は少ないですよね。
嘉藤:
お客さん側も、「HTML/CSSやってるのに、なんでJSのフレームワークやってないの?」ってなってることは多いので、覚えておいて損はないスキルです。
── ITエンジニア需要が高いと伺いましたが、その他に需要の増えている職種はありますか?
高木:
人事・財務・営業などビジネスよりの案件も、最近は徐々に増えてきています。大手企業が副業を解禁し始めたので、ビジネスサイドのプロフェッショナルな人材供給が増えているという背景があるのではないでしょうか。
とくに財務や人事などは、大手企業にいた人材だと多くの経験やノウハウを積んでいるため、スタートアップからの需要が高いです。実際にWorkshipでも、徐々に人事や財務の案件が増えていますよ。
── フリーランスというと勝手にWeb系のイメージがあったのですが、ビジネス系の案件も増えているんですね。他に需要が増えそうな職種はありますか?
高木:
あと興味深いのが、動画クリエイター。5Gもきて、動画コンテンツの需要が高まっているので。実際に動画案件も少しずつ増えています。
動画の「編集ができる人」「構成ができる人」はとくに足りていないので、今後の需要を狙うために動画編集のスキルを身につけておくのはオススメです。
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詳細
利用料 | 無料 |
登録者数 | 50,000人以上 |
マッチング | 最短即日 |
(執筆:小太り 撮影:じきるう 編集:はつこ アイキャッチデザイン:奥貫あずさ)