フリーランスとして働いていると「企業のチームの人とどうやって連携を取ればいいのか」と悩みませんか?

会社員であれば毎日オフィスに出社するので、自然とコミュニケーションも取れます。しかしフリーランスの場合は、企業の人とのやりとりはチャットツールだけ……なんてことも。

そこで今回は、チームの9割がフリーランス/副業ワーカーという株式会社ユーティルの代表・岩田さんに「フリーランスとのコミュニケーション論」について伺いました。

「クライアントはフリーランスからのダメ出しを待っている」「不安な部分はどんどん質問して欲しい」など、フリーランスの私が予想していたものとは違った回答をいただけました。

岩田真
岩田真

BtoB領域のポータルサイト『Web幹事』『動画幹事』を運営している株式会社ユーティルの代表。メンバーの9割がフリーランスのチームを作り「コスト・リスクを最小限に抑える経営」を実現。Twitter: @Shin_Iwa_Utill

聞き手:小太り
聞き手:小太り

ビジネス・キャリア系が得意なフリーの取材ライター。Twitter: @kobutoriniki

会社のメンバーは9割がフリーランス

小太り:本日はよろしくお願いします! さっそくですがユーティルでは、どんなチーム編成で仕事をしていますか?

岩田:メンバーのほとんどがフリーランスか副業ワーカーになります。社員は私を除くと、CTOの1名しかいません。(※2020年1月取材当時)
関わっていただいてる方は全員で20名ほどいるので、フリーランスや副業ワーカーの割合は約9割ですね! 基本的にはリモートワークで仕事をしているので、直接会うことも少ないです。

小太り:フリーランスチームで仕事されているんですね。メンバーにはどういう方がいますか?

岩田:うちはWebの会社なので、Web系のスキルを持ったメンバーが多いです。具体的にはライターやデザイナーなどですね。
ツールを使って募集をかけたり、知人からの紹介で仕事を依頼したりと、いろんな手法を使って人を集めています。

ユーティル社内

▲ユーティル社内の様子。フリーランスも出社して仕事してOKだそうだが、ほとんどがリモート

岩田:基本はスキルのある方が多いですが、未経験の方でも仕事を依頼することがあります。未経験の方は、知人の紹介パターンが多いです。自分が信頼している人からの紹介なら、未経験のライターさんでも大丈夫だろうと。
フリーランスの方は横の繋がりが多いので、一緒にお仕事をしているフリーランスの方に新しくフリーランスの方を紹介してもらうこともあります。

小太り:仕事を取っていきたいフリーランスはクライアントと繋がるだけではなく、同業者のフリーランスと繋がっておくのも大切かもしませんね。
どんな形でお仕事を依頼してますか?

岩田:社内でいちど仕事を細分化してからお仕事を依頼するようにしてます。
一般的には1つの記事を作るのに編集・ライターの2名体制で作ることが多いと思いますが、ユーティルの場合は1記事を作るのにも「キーワード選定→構成案作成→執筆→編集→入稿」と、工程を5つに分けて別々の人に依頼しています。細かく分業をすることで、制作スピードや品質を向上させられました。

小太り:そこまで分業しているのは珍しいですね……!
社員ではなく、フリーランスでチームを組むメリットは何かありますか?

岩田:メリットは大きく2つあります。
1つ目はノウハウが効率的に集まること。たとえば私が携わっているWebメディアの領域は、とにかく移り変わりが激しい分野です。以前は通用していた手段が、すぐに使えなくなることもあります。社内のメンバーだけで新しいノウハウを獲得しようと思っても、かなり時間がかかるでしょう。
なので、その分野で活躍しているプロに業務委託をして「ノウハウを教えてもらう」という形にしています。わからないことは素直にプロから教わるのが一番です(笑)。

小太り:具体的にうまくいった事例はありますか?

岩田:Web幹事』というWebサイトでは、SEO(検索エンジン最適化)を強化するために、その道のプロからノウハウを教えてもらいました。そのかいもあって、いまでは検索経由で月100件のお問い合わせがきています。

岩田:2つ目のメリットはコストが下がることです。社員として働いてもらうには年収1000万を超えるような人でも、「作業の一部だけを担当してもらう」「アドバイスだけをもらう」といった形で契約すれば、月十数万で依頼できます。
ちょっと経営的な話ですが、社員として雇えば「毎月絶対かかる固定費」になりますが、フリーランスとして業務委託契約すれば「変動費」になります。業務委託は割高になることも多いですが、基本的にはプロジェクト単位で関わってもらうので、プロジェクトが終われば契約も終了です。
費用のコントロールがしやすいという会社的メリットは大きいですが、フリーランスにとっても好きなプロジェクトだけに関われるわけですし、お互いWin-Winだと思うんですよね。

テキストのメッセージは温度感が伝わりにくい。私は絵文字を多用する

岩田真さん腕組み

小太り:フリーランスとチームでお仕事をするときに気をつけていることはありますか?

岩田:コミュニケーションですね。とくにリモートワークの方とやりとりをするときは、文字でのやり取りが基本になるので、かなり気をつけています。
文字でのコミュニケーションは「自分の気持ちや温度感」が伝わりにくく、お互いに間違った伝わり方をするケースもあるのです。

小太り:具体的にやっていることはありますか?

岩田:私は絵文字や「!」を多用します。
仕事柄、ライターさんの書いた記事をチェックして修正依頼をお願いすることが多いのですが、そのままの文章で送ると「怒ってるのか?」と思われるかもしれません。そこで絵文字や「!」をつけて、文章を柔らかくするように気をつけています。

小太り:かなり細いところまで気を使っているんですね。

岩田:また修正の依頼をするときに、必ず1つは褒めるようにしています。
いきなり修正点を指摘すると「自分の書いた記事はダメだったのか?」とライターさんに思われるかもしれません。なるべく相手のモチベーションを下げないようにしています。
まあ、感情的なときももちろんありますが(笑)。

Google Documentスクショ

▲この記事の原稿にも、お褒めの言葉をいただきました……(笑)

岩田:基本は文字での連絡が多いのですが、「大事な仕事だから1回しっかりコミュニケーションを取った方がいい」と思ったら、ビデオ通話を使ったり、オフィスに来てもらって直接話したりしています。
直接話すことで「自分がどこに力を入れて欲しいのか?」が伝わって、仕事の質が上がり記事の修正も減ります。

小太り:テキストだけですべて伝えることは難しいですよね。
その他に岩田さんが気をつけていることはありますか?

岩田:一緒に仕事しているメンバーから「応援したい」と思ってもらえるように気をつけています。うちはフリーランスのメンバーが多く直接会う機会も少ないからこそ、「ポジティブな気持ちで仕事してくれてるかどうか」は重要なので。
誰でも好きな人と一緒に働いた方が気持ちいいと思うので、立場に関係なく「人として好かれるように」を心がけています。

岩田真さん ろくろっぽい

小太り:企業とチームで働いているフリーランスは、仕事をする上でどのようなポイントに気をつければいいのでしょうか?

岩田:何かを頼みたいときには、相手の手間を減らすために「やって欲しいこと」を明確に伝えましょう。
たとえば成果物が完成して、企業担当者に「確認してください」とただ送りつけるよりも、「○○の部分を確認してください」と具体的に連絡するほうが、担当者側もどこを確認すればいいか分かりますよね。

小太り:確認ポイントを絞るには簡単に真似できるテクニックですね! ぼくも使ってみます。
他に気を付けるべき点はありますか?

岩田:仕事しているときに疑問点や不安なポイントがあれば、正直に聞いて欲しいです。わからないまま進めるよりも、自分から「どうすればいいですか?」と聞いてくれる方が、信頼できます。

小太り:そうなんですね! フリーランスからクライアントに質問をしてはいけないと勘違いしてました……。
私もフリーランスとして仕事していますが、クライアントに「ここ不安なんですが」と質問してしまうと、クライアントも不安になってしまうかと思って。

岩田:全然そんなことないですよ!
仕事に対して一番知識を持っているのはクライアントです。フリーランスの方もわからない部分はガンガン質問して、クライアントの知恵を借りていきましょう。

Twitterはめっちゃ見てます。ほとんど履歴書ですね

岩田真さん 目をつぶる

小太り:どうやってフリーランスを募集してますか?

岩田:Twitterやbosyu、案件紹介サービスなどを使っています。
とくにTwitterは結構チェックしていて、自分からダイレクトメッセージを送ることもあります。

小太り:Twitterはどういうとこを見てますか?

岩田:プロフィールやタイムラインなどを細かく見ていますね。Twitterはほとんど履歴書だと思っています。
たとえばネガティブなツイートが多い人や、クライアントを悪くいう人には、仕事をお願いしづらいですよね。コミュニケーションコストが高そうな印象を受けるので。
あとフリーランスで仕事を取ることが目的なら、お昼ご飯の写真とか可愛いネコちゃんの投稿は必要ないですかね(笑)。
もちろんTwitterの使い方は人それぞれなので、そういうツイートをする使い方もありだと思いますよ。

岩田真さん Twitterアカウント

岩田さんのTwitter。ご飯やネコちゃんに関する投稿はすくない模様

岩田:あとはシンプルにフォロワー数。とくにライターさんの場合は、自分の書いた記事をシェアしてくれるときに、フォロワーが多いほうが記事のシェアも広がりますよね。具体的にはフォロワーが1,000人以上いると「多いな」と印象を受けます。

小太り:Twitter、頑張ります……(笑)。

案件全体の進捗管理ができるフリーランス方はありがたいです

岩田真さん 笑顔

小太り:岩田さんは多くのフリーランスと仕事していると思いますが、どんなフリーランスが一緒に仕事をしやすいですか?

岩田:これは当然のことですが、納期を守る人です(笑)。
また自分の納期だけでなく、関わる人を含めて全体のスケジューリングや、進行管理などができるとありがたいですね。
たとえばクライアントを含めたWeb制作であれば、クライアントのチェックにも時間がかかるので、チェック時間を考慮したスケジューリングをしてもらえると最高ですね。

岩田さん 顎手

岩田:そしてこれは+αですが、メンバーの進捗が遅れているときに「大丈夫ですか?」と確認の連絡をしてくれるとありがたいです。
私が一緒に仕事しているフリーランスの方にも、私の確認が遅れていると「確認遅れてませんか?」とツッコんでくれる方がいて、いつも助かってます。

小太り:自分も「クライアントから返事ないな」と思うことがあるので、今後は積極的にリマインドしていきます(笑)。
フリーランスが工夫できることは他にもありますか?

岩田:クライアントの発注で間違いがあったとき、素直に指摘してくれる人は仕事がしやすいですね。
クライアント側もすべてのジャンルについて知識があるわけではないので、知らないうちに「間違った指示」を出しているかもしれません。
その分野に詳しいフリーランスから見れば「これは間違っているから、違う方法がいい」と判断できる場合もあると思うので、そういうときは素直にダメ出ししてほしいですね。

小太り:クライアントの間違いって、指摘しても大丈夫なんですね。多少の無理は受け入れてきたので、しっかり指摘できるように気をつけます。
反対に「一緒に仕事をしたくない」と思う人の特徴はありますか?

岩田:納期を守らない人はNGですね(笑)。
あとは会社がやろうとすることを理解していない人も、あまりお仕事をお願いしたくないですね。実際にお話したときに「ウチの事業こと、全然わかってないなぁ……」と感じたフリーランスも過去にいました。
フリーランスなら、自分が営業をかける会社の事業内容は詳しく知っておいたほうがいいと思います。

岩田真さん 真面目

岩田:たとえばライターであれば、クライアントが運営しているメディアのことは見ておいた方がいいです。いまはSNSをはじめ、いろんな媒体で会社の情報が発信されています。できる限り情報は集めておきましょう。

小太り:ライターとしては「当たり前のことでは?」と思いますが、たしかに忘れてはいけないポイントですね。
実はやっておくとプラスになることはありますか?

岩田:追加の提案ですね。これができるフリーランスは全体の10%程度。すでに仕事をしているクライアントに対して、追加で仕事の提案をするのはオススメです。
なぜなら新規クライアントを開拓するよりも手間がかからず、発注金額を増やせるので。
しかも普段から仕事をしているクライアントであれば、すでにお互いのことも分かっているので、新規クライアントと仕事するよりも楽ですよね。

小太り:岩田さんはフリーランスの方から追加提案をもらったことはありますか?

岩田:ありますよ! 記事の作成をお願いしているライターの方から「メールマガジンやりませんか?」という提案を受けました。
ライターさん自身が「どうすれば会社の業績が伸びるのか?」を考えての提案だったので、私としてもありがたかったです。
実際、その方にメールマガジンを依頼することになりました。フリーランスの方としても追加の提案が新たな仕事につながったので成功ですよね。

小太り:自分から提案することも大事なんですね。
岩田さんはフリーランスの方とチームを組んで働いているので、フリーランスの自分として参考になるお話ばかりでした。
本日はありがとうございました!

(執筆:小太り 撮影/編集:内田一良@じきるう アイキャッチデザイン:T)

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