一緒に仕事したいライターの特徴をノオト社3名に尋ねたら、グサグサ刺さる本音が聞けた

有限会社ノオト 質問をなぞるだけになってない?

近年話題の職種、Webライター。フリーランスの働き方として注目を浴びています。

一方でその人口は年々増え続けており、Webライターとして仕事を取るのもひと苦労です。

そこで今回は、Webをベースにおいたコンテンツ制作をしている有限会社ノオトの皆さんに「どういうWebライターと仕事したいか?」というお話を伺いました。

「書きたい記事が明確な方が仕事をお願いしやすい」「Twitterにネガティブなことを書いてるライターさんは心配になる」「取材は “ブッコミ質問” を持っていこう」などの、グサグサ刺さるアドバイスをいただきました。

宮脇淳さん
宮脇淳さん

有限会社ノオト代表。
大学在学中にインターネットジャーナル『WIRED』編集部に所属。クラブカルチャー誌『floor』編集部を経て、フリーの編集者&ライターに転身した。2004年には有限会社ノオトを立ち上げ、編集者としての活動を続けている。
Twitter

杉山大祐さん
杉山大祐さん

有限会社ノオト所属の編集者。ノオトでもっとも古株の社員で、社歴は6年目。現在はテクノロジーやスポーツなど、幅広い分野を担当。Twitter

鬼頭佳代さん
鬼頭佳代さん

有限会社ノオト所属の編集者。コワーキングスペース『Contentz(コンテンツ)』の管理人を兼任。
ライターや編集者、デザイナー、フォトグラファーなどさまざまな職種のクリエイターが集まる『#ライター交流会』の運営メンバーの一人。Twitter

聞き手:小太り
聞き手:小太り

ビジネス・キャリア系が得意なフリーの取材ライター。Twitter

書きたい記事が明確なライターには仕事をお願いしやすい

── 本日はよろしくお願いします! 早速ですが、ノオトではどんなライターに仕事を依頼していますか?

鬼頭:会社も16年目になり、付き合いのあるライターさんも増えてきたので、以前からお仕事をお願いしている方に継続的なご依頼をしています。

── 歴史のある会社だからこそ、ライターさんとの関係性ができあがっているんですね。新規でライターに声をかけることもありますか?

鬼頭:もちろんあります! たとえば、記事を拝見して「この人にお仕事をご依頼したいな」と思って、ダイレクトメッセージを送ることもあります。

あとは弊社のコワーキングスペース『Contentz(コンテンツ)』の会員さんや #ライター交流会 で出会った方にお仕事をご依頼することもありますね。

ノオト 取材

杉山:ぼくは飲み会で出会った方に仕事をお願いすることがあります。僕はもう、最近ぜんぜんお酒を飲まないのですが、そういう席には顔を出すようにしていまして。

以前は飲み会で仲良くなっても実際にお仕事に繋げられなかったこともあったのですが「せっかくの出会いがもったいない……」と思うようになって。最近は積極的に仕事をお願いしています。

── 飲み会が仕事に繋がるって、Web系の仕事だと珍しく思われるかもしれないですね。「こういう人なら仕事をお願いしたい」という特徴はありますか?

杉山:自分のやりたい仕事が明確になっている人は、仕事をお願いしやすいですね。

以前飲み会でお会いしたカメラマンの方が「アニメが好きだから声優さんのインタビュー撮影があれば行きたい」と仰っていたのですが、そこまでやりたい仕事が明確になっていると記憶にも残ります。

その場で仕事を依頼することがなくても、希望の合うような仕事がきたときに、ご依頼できるかもしれません。

鬼頭:たしかに専門的なジャンルの仕事があるときに、その分野がお好きなライターさんにご依頼することもあります。ライターさんは自分の興味あるジャンルや趣味についても、SNSで発信しておくといいかもしれません。

テーマについての知識がなくてもNGとは限らない

ノオト 取材

── ノオトではライターにどういった内容の仕事を依頼していますか?

鬼頭:人と案件によって違いますが、企画から考えていただく場合と、執筆のみを依頼する場合があります。たとえば初回はこちらで考えた企画をもとに執筆をいただいてて、仕事の感覚を把握してから企画案もお願いするケースもあります。

宮脇:もちろんライターさんに企画を考えていただくこともありますが、基本的に企画を考えるのは編集者の仕事です。

ただ自分だけで考えると限界もあるため、ライターさんと一緒に考えて知識やアイデアをいただくこともあります。そういう場合は、一緒に企画会議をしてテーマについて雑談ベースで話をして、そこからどんどん広げて企画を模索していますね。

杉山:ぼくは編集者としてライターさんと一緒に企画を考えることで「このライターさんはどれぐらいの温度感や知識を持っているのか?」をチェックしています。

たとえば自分はガジェット系の記事を担当することが多いんですが、企画会議で「ライターさんがどこまでガジェットについての知識があるか?」を見ていますね。

── 私もメディアの企画会議に参加することがありますが、毎回プレゼンしているみたいで緊張するんですよね。とくにテーマについての知識が乏しいときは「これで大丈夫かな?」と焦ってしまいます。

杉山:そうなんですね(笑)。必ずしもテーマについての専門的な知識を求めているわけではないので安心してください。もしテーマについてあまり知らなかったら「初心者目線の記事にしよう」と企画案を作ることもあります。

そのライターさんが持っている知識量によって企画の方向性が変わるので、編集者としてはそのために知識量を把握したいんです。なので「テーマについての知識がない……」といって、そんなに心配してくても大丈夫ですよ。

── テーマについての知識が不足していても、不合格ってわけではないんですね。安心しました(笑)。

ライターに求めたいのは「ネタへの感度」「素直さ」「素早さ」

── ノオトでは多くのライターと仕事していると思うですが「この人いいな」と感じるライターの特徴ってありますか?

宮脇:記事のネタを持っていることですね。たとえば街を歩いているときもボーッとするのではなく、好奇心を持って「なにかネタがないかな?」と探す姿勢は大切です。

私の場合、よくインターネットでネタを探していますね。多いときでは1日6時間以上、SNSやニュースアプリ、はてなブックマークなどをひたすら巡回しています(笑)。

── 1日6時間以上!? すごいインプット量ですね……(笑)。

宮脇:そういったインプットから、世間の空気感を掴むようにしているんです。以前は大丈夫だったけど、いまは賛否が分かれていたり、際どいテーマなどを把握しておくことも欠かせません。最近だと「うなぎ」や「ストロングゼロ」あたりは、書き方に注意した方がいいキーワードですよね。

鬼頭:そうですね。扱いが難しいテーマの記事を書いているときに「この表現は大丈夫かな?」と思ったら、「ここチェックお願いします」とコメントを残してくれると、編集者としてはありがたいです。

ノオト 取材

宮脇:あと、私たち編集者はライターさんの文章を修正することもありますが、素直に修正してくれる方が仕事しやすいんです。

編集者もライターさんの書いた文章を「もっとよくしたい! 」という気持ちから修正をお願いしているので、それを汲み取ってくれる人はやりやすいですね。

鬼頭:私の場合、事前に不明点をきちんと聞いてくれるライターさんは仕事がしやすいです。仕事について少しでも疑問点があれば、そのままにせず確認していただければと思います。

あとは、「今回は難しそう」は正直に言っていただいて構いません。

── そうなんですね! フリーでやっていると、つい難しい案件も受けてしまいます。

鬼頭:依頼している側としては、とくに悪い印象を持ちません。むしろ無理に仕事を受けてしまって、フタを開けてみれば「実はできなくて……」という事態はお互いに避けたいですよね。

もしお願いした仕事ができなくても、ほかの得意なお仕事を依頼できるかもしれないので、遠慮なく仰っていただければと思います。

── 難しいときは正直に伝えるようにします……!

杉山:ぼくはレスポンスの早いライターさんが嬉しいですね。

編集者はライターさんに書いてただいた原稿を見て、改善ポイントをお伝えしています。レスポンスの早いライターさんだと改善できる回数も多くなるので、その分記事をブラッシュアップできて良い記事になる可能性が高いんですよね。

── 気をつけます(笑)。

Twitterにネガティブなことを書くと、クライアントは心配になる

ノオト 取材

── 仕事が欲しいライターが気をつけた方がいいことってありますか?

宮脇:Twitterになにかと悪口を書かない方がいいでしょうね(笑)。悪口を書いているとネガティブなイメージがついて、仕事をお願いしにくくなります。

一方でうまくいった仕事とかポジティブな投稿をしているライターさんは、イメージがいいですね。

鬼頭:一緒に仕事している人がネガティブなことを書いていると「体調でも悪いのかな……?」など心配になっちゃうんですよね……。

それに、もしクライアントや編集者に対して思うことがあるならば、Twitterに書く前に直接伝えた方がいいと思います。私たち編集者もライターさんからのご指摘は真摯に受け止めるので、なにかあれば直接ご連絡していただければ。

杉山:それと、悪口じゃなくてもツイートが尖っている方は、過激なファンやアンチがついていることがありますよね。仕事をお願いする側としては、あまりにもその人の色がついてしまうし、アンチを引きつけてしまう可能性があるのでなるべく避けたいです。

── Twitterの使い方には要注意ですね。

宮脇:あとは当然ですが……バックれる人や締め切りを守らない人は仕事を依頼しづらいですね。

もちろん、締め切りに遅れているライターさんの立場になると、こちらが催促の電話をかけても電話に出たくない気持ちはわかります。ですので、そういう場合はメールを送って「困ってる箇所があれば、打ち合わせをしながら一緒に書いてみませんか?」と提案します。

── 優しい編集者さんですね。締め切りを過ぎているときにそういう提案をしてもらえると、ライター側もうれしいと思います。

宮脇:ライターさんもそこに甘えちゃダメですけどね(笑)。

鬼頭:もし万一締め切りに遅れるなら、事前に連絡がもらえると助かりますね。編集側も確認のための時間を取っているので、締切が過ぎる前に教えてもらえれば、より柔軟な対応できる場合もあります。

取材するときは “ブッコミ質問” を準備しておくといい

ノオト 取材

── ノオトは取材系のフリーライターとのやりとりが多いと思いますが、取材のときに「これやった方がいい」ということはありますか?

宮脇:取材相手に、あえて切り込んだ質問を1つ準備しておきましょう。切り込んだ質問は、難航したインタビューの突破口になるからです。

私は以前2人組のアーティストをインタビューしたときに、開始10分間なにも聞き出せなかったことがあるんです。相手のキャラクターもあったのですが、一生懸命質問をしても全部はぐからされるんですよね。

そこで一人がインタビュー中にふざけてトイレに行ったタイミングで、「ここだ!」と思い切り込んだ質問をしました。

ノオト 取材

宮脇:ある音楽雑誌でそのアーティストが批判されており、そのことについて「どう思ってるのか?」とズバリ聞いたんです。

その質問に対して「いやーありえないだろ!」と反応してくれて。そこから一気に話すモードに切り替わったのか、いろんな質問に丁寧に答えてくれました。

── ブッコミ質問がインタビューの流れを変えたんですね。

宮脇:そうですね。大前提として、取材相手にリスペクトを持って話を聞くことが一番大切です。

ただ「切り込んだ質問」を1つ、隠し武器のように持っておくと、取材で思わぬ活躍をするかもしれません。相手の顔色を見ながら失礼なことでもさらっとブッ込めるライターさんは、質問力が高いと思います。

杉山さん:相手もインタビューだと「いいフレーズを残そう」と意識してくれてることがあるので、いいフレーズを引き出せるような質問を準備しておくことも大切です。

あとぼくは相手が著名人だと、取材の冒頭で噂とか都市伝説を「本当ですか?」と聞くようにしています。その質問が取材のツカミになって、距離がグッと近くなるんです。

宮脇:一方で、事前に作った質問を順番に読んでいく、単になぞっていくのはあまりオススメできません。話が盛り上がっているタイミングや、このテーマは深掘りできる!という瞬間に、「次の質問ですが……」と進行通りになってしまうのはもったいない。

相手も「いまから良いこと言うぞ!」と思っているのに、チャンスを逃すことになります。見極めが難しいのですが、なるべく現場での会話を重視して進めましょう。

ノオト 取材

宮脇:インタビュー中に、質問とは違う話が出たり「これは言いたくないんだけど……」という話が出たときがチャンスです。

じつは聞いてほしいという状態が多いので、そこを逃さず質問してみましょう。相手は「押すなよ!押すなよ!」というダチョウ倶楽部状態だから、そこをしっかり押して情報を引き出せるライターさんは取材が上手ですね。

── 「押すな押すな質問」をしっかり押すことが大事なんですね。

鬼頭:他にはやはり、事前にしっかり取材相手のことをリサーチしておくことは大切ですね。事前リサーチができていてれば、そこから話を深掘りできます。

あとは取材のときに、最初に必要な質問をババっと聞いて、時間的余裕を持つと取材がスムーズになります。そうすると残った時間で雑談もできて、深掘りしたり、いい情報を引き出したりできるかもしれません。

杉山:インタビュー慣れしているライターさんだと、最初の15分ぐらいで必要な質問を全部聞いて、記事に必要な情報を確保してますよね。

鬼頭:あと、TPOが守れると、それだけで取材しやすい雰囲気を作れるので、編集者としても安心して取材をお願いできます。たとえばビジネス系のカッチリした取材なら、ジャケットと襟付きの服を着たりとか。

── ……ジャケット持ってないので、買います(笑)。

ノオト 取材

鬼頭:これはプラスアルファですが、取材が終わったあとに、ざっくりと記事構成を共有してくれるとありがたいですね。とくに不安なときは「こんな記事にしようと思いますが、方向性があっていますか?」と確認できるとお互い安心できるのではないでしょうか。

── そうなんですね。いつも完成版の記事を納品していたので、記事案の事前共有やってみます。フリーライターの基本的な心得から、具体的な取材テクニックまで教えていただき、勉強になりました!

(執筆:小太り 編集:Workship MAGAZINE編集部 アイキャッチ:T)

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