【社労士解説】ジョブ型雇用時代におけるフリーランスの生存戦略とは?
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型破りな手法によって、ネットを中心にバズ企画を量産する会社・面白法人カヤック。同社はフリーランスにも多くの仕事を依頼していると伺いました。
同社が「お仕事を頼みたい!」と思うフリーランスの条件には、いったいどのようなものがあるのでしょうか?
クライアントワーク事業部の部長をつとめる北川さんによると、「プライベートのB面に投資」している「面白いフリーランス」にお仕事を頼みたいとのこと。詳しくお話を伺いました。
面白法人カヤックのクライアントワーク事業部部長、企画部のプロデューサーを務める。過去には『社畜ミュージアム』などの企画プロデュース経験もあり。
ビジネス・キャリア系が得意なフリーの取材ライター。Twitter
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小太り:今日はよろしくお願いします! さっそくですが、カヤックではどのような仕事をフリーランスに依頼していますか?
北川:弊社でフリーランスに仕事を依頼するパターンは2種類あります。
1つ目は「やることは決まっているけど、分量が多くて手が回ってない」ケース。人数が足りてない場合は、フリーランスや社外の方に依頼します。
北川:2つ目は、社内のメンバーではできない仕事があるケースです。たとえば動画制作の監督やアートディレクターなど、特殊なスキルが必要な仕事は、社外の方に頼むことがあります。
小太り:なるほど……。フリーランスの私としても参考になります。
北川:なお、あくまで「仕事をするパートナー」として依頼しているので、フリーランスか会社員かはそこまで意識していないですね。
小太り:カヤックでは仕事をフリーランスに依頼するときに、どうやって探してますか?
北川:割合は「知り合いのフリーランス」が一番多いです。社員の知り合いとか、元カヤックの社員で現在は独立している人とか。あとは人材紹介会社に頼んで、フリーランスの方に仕事を依頼することもあります。
小太り:繋がりの少ないフリーランスは、人材紹介サービスに登録しておくのがいいかもですね。
北川:もし人と繋がるのが苦手なタイプだったら、自分のやった仕事をネット上にバンバン公開しましょう。
私は普段からTwitter・Facebook・雑誌などをチェックして「これは面白い!」と思う企画があったら、制作クレジットを見ます。制作クレジットにある名前を覚えておいて、他の社員に「面白い人がいるよ」と紹介することも多いです。
小太り:かなり細かくチェックするんですね。
ネット上にポートフォリオを公開しているフリーランスも多いですが、仕事を依頼する側として見ているポイントはありますか?
北川:複数人が参加したプロジェクトだと、自分がどの部分を担当したかを明記してくれると助かります。
たとえばこちらが依頼したい仕事内容と、そのフリーランスが担当した仕事内容が違う場合は、実際に仕事をしてもうまく進まないかもしれません。依頼する側としては、お互いにミスマッチがないように気をつけたいので、担当範囲が事前に分かるようにしてもらえるとありがたいです。
小太り:なるほど……ライターでも企画から自分でやったのか、執筆だけやったのかでまったく違いますよね。あとで自分のポートフォリオをチェックしておきます(笑)。
小太り:仕事を依頼したいフリーランスの特徴ってありますか?
北川:制作プロセスを楽しめる人。仕事は結果が重要視されますが、弊社ではプロセスを重要視しています。「一緒に楽しく仕事ができる」フリーランスの方に仕事をお願いしたいんです。
小太り:制作プロセスを楽しめる人って、具体的にどんなことをしてますか?
北川:たとえば制作していく中で「もっといいものを作ろう!」という思いから、意見をバンバンぶつけてきてくれます。私としては、意見・アイデアがあれば遠慮せずに伝えてほしいです。
小太り:フリーランスとしては、クライアントに物申すのって勇気がいるのですが……。
北川:大丈夫ですよ! 我慢して「つまらない……」と思いながら仕事するより、意見やアイデアを伝えてくれたほうが、いい仕事ができると思いませんか?
小太り:たしかにそうですね。
北川:「いいものを作りたい」と熱意をもって、仕事を自分ごととして取り組めば、意見・アイデアは自然に出てくるはずです。臆せずに伝えてみてはどうでしょうか。
私の場合は「メンバーが前のめりになって、議論しながら仕事に取り組んでいる状態」が一番いいと思っています。
小太り:お話を伺っていると「仕事のスキルも大事だけど、人としての面白さも欠かせない」という印象を受けます。
北川:そうですね。仕事のスキルがあることは大前提ですが、そのうえで「人として面白いかどうか」は重要です。人として面白ければ、一緒に仕事してて楽しく、最終的に面白いアウトプットが生み出せるので。
小太り:「人としての面白さ」って、どうすれば身につきますか?
北川:「他の人がやってないこと」にトライしてみましょう。弊社が周りから「面白い!」と思っていただける仕事ができているのは、「誰もやったことのない企画」にチャレンジし続けているからです。
▲面白法人カヤックが企画・制作を担当した特許庁PR動画『商標権〜ビジネスを守る奥義〜』
小太り:「誰もやったことのないもの」って、どうやって探せばいいでしょうか?
北川:「プライベートのB面」に時間とお金を投資してみましょう。
小太り:「B面」ですか……?
北川:本業をA面と考えたときに、プライベートがB面になります。お金にはならないけど、好きでやっていること・趣味として取り組んでいることを追求してみるのがおすすめです。
北川:たとえばアイドルが趣味なら、アイドルのCDを買ったり、ライブに行ってアイドルに詳しくなるでしょう。
その時点ではまったくお金にならないかもしれませんが、仕事で「アイドル系の案件」がきたら、「自分はアイドルに詳しいです!」と立候補できますよね。仕事を依頼する側としても、アイドルが好きな人とまったく興味のない人がいれば、アイドル好きにお願いしたいですから。
小太り::なるほど……お金にはならないようなプライベートのB面に投資して、それを自分の個性にするんですね。
北川:そうですね。
たとえば弊社には、本業はプランナーだけど、趣味でテントサウナをやっている人がいて、その趣味が高じて『SaunaCamp.』という団体を立ち上げた者がいます。テントサウナの代理店になったり、イベントを開催したり、グッズを販売したりと幅広く活動していますね。
小太り:趣味を通じて出会う仲間って、本業では出会えないような人もいますよね。
北川:本業で成果を出して、どんどん知名度を上げて、仕事を取るという「正面突破方法」もありだと思います。
ただ正面突破で勝負をするのは結構大変なので、プライベートのB面を通じて自分の価値を高めたり、人と繋がったりする「裏街道」はおすすめです。
小太り:たしかに本業だけで競争すると、かなり大変ですよね……。
北川:そうだと思います。
以前弊社に勤めていた「かっぴー」というマンガ家は、まさにプライベートのB面から成功した事例です。もともとプランナーとして入社してきたのですが、社内向けの日報でイラストやマンガを書くようになりました。
北川:それがどんどん評判になり、『フェイスブックポリス』というマンガまでできて、徐々にネット上でかっぴーのマンガが人気になっていきました。
いまではかっぴーの書いたマンガがテレビドラマ化されるぐらいの人気になっています。
小太り:最初は仕事としてマンガを書いていたわけではないですよね?
北川:仕事ではありません。本人が「絵を書くのが好きだから」という理由で、日報にマンガを書いてました。
本業のA面が「Web制作会社のプランナー」で、プライベートのB面は「マンガを書くのが好き」という状態ですね。
小太り:プライベートのB面ってすごい……。
北川:私も今年からお寿司の勉強をしようと思っています。平日はWeb制作会社のプロデューサーとして働きながら、週末は寿司職人(笑)。
いつかは家を改装して、いろんな人を招いて、寿司を振る舞いたいです。
小太り:それは面白そうですね!
北川:会社員の場合は、自由に使える時間が週末ぐらいしかありません。その点フリーランスだと、プライベートのB面にガッツリと投資できる時間がたくさん用意できるのが羨ましいです。
フリーランスは「なにに時間を使うのか?」が選択できるからこそ、他の人がやってない「お金を生まないこと」に時間を使ってみてはいかがでしょうか?
小太り:たしかに、フリーランスって「稼ぐこと」に注力しがちですが、お金を生まないことだって自由に選択できますね。今日はありがとうございました!
(執筆:小太り 編集:Kitamura Yuu アイキャッチ:T)