コカコーラの広告から"聞こえてくる"こと。音のブランディング効果

2018年のコカコーラの年間売上高は328億ドル弱と、2009年以来最低を記録し、前年比10%減となりました。さらに2018年第4四半期に関しては、2007年第1四半期以来、最低の四半期収益となりました。

世界的に人々の健康意識が高まった関係で、コカコーラとその関連製品が消費者を遠ざけているのです。そのためコカコーラ社は、より一層のマーケティング努力が必要となっています。

このような状況を打破すべく、コカコーラ社は「この音を聞かずにいられますか?(”Try not to hear this”)」というコピーをリリースしました。コカコーラ社は、印刷広告において「音」の存在が大きな意味を持つことを証明しようとしています。

【コカコーラの瓶からキャップがはずれる瞬間】

【綺麗なグラスに注がれるコカコーラの泡】

【よく冷えたコカコーラの缶を開くときの音】

同社の最新のキャンペーンは、単なる飲料市場だけでなく、私たちの潜在意識にコカコーラの存在を植え付けようとしています。上記のコカコーラ社の印刷広告を見るだけでも、コカコーラを飲む際に聞こえる「あの音」の満足感を、間接的に味わえるでしょう。

今回は「共感覚の広告効果」と「広告における音のブランディング効果」についてご紹介します

共感覚を印刷広告に取り入れる

コカコーラの広告は「共感覚」と呼ばれる、知覚的・神経学的な現象を引き起こしています。

たとえば、ある音が体の触感を擬似的に生み出したり、特定の言葉が特定の色として想起されることがあります。冒頭に示したコカコーラの一連の印刷広告は、その共感覚を応用し、魅力的な写真表現によって関連する音を想起させているのです。


共感覚を広告にうまく使うことで、強烈な心理効果を顧客に与えられます。コカコーラほど、製品に関わる音を視覚情報だけで明確に想起させられるブランドは、他にはほとんどないでしょう。

広告における音のブランディング効果

「記憶に残る音」は、そのまま「記憶に残る広告」と関連づけられることもあります。それゆえブランドを競合他社と差別化する上で、音は重要なファクターとして位置付けられる可能性を秘めています。

製品を利用するときに聞こえる音から、キャンペーンやブランドに伴うキャッチーなジングルまで、音の重要性は広告業界で長い間認識されてきました。

たとえばアメリカで人気のシリアル・Take Rice Krispiesは、シリアルを食べる時に鳴る音「パキッ!カリッ!ポン!(”Snap! Crackle! Pop!”)」といったオノマトペを、キャッチフレーズやアニメのキャラクター名に採用しました。

1920年代に商品が発売されて以来、誰にでも分かりやすいこのサウンドは、多くの子供たち(そして一部の大人たち)の朝食時間の定番ソングとなりました。

この象徴的な「パキッ!カリッ!ポン!(”Snap! Crackle! Pop!”)」というキャッチフレーズは、1932年のラジオ広告で初登場しました。それ以来、これがシリアルブランドの中心に存在し続けています。

また同様の事例として、キットカットがあります。キットカットの広告と、割れたキットカットのイメージが合わさった時、コカコーラやTake Rice Krispiesと同じ種類の認知反応が起こります。

一方で、自社製品の生む音だけではあまり効果がないブランドも多くあります。そこでジングルやその他の音響効果を用いることで、認知的な関連付けを促すことができます。

世界的に有名なジングルとして、LG、Intel、HBOなどが挙げられるでしょう。これらはすべて、広告の音声を聞くだけでそのブランドがすぐに識別できるものです。

まとめ

広告において消費者の感覚を刺激するのは、革新的であり知的な手段です。

世界的に広告は、デジタル媒体へ大きく移行していますが、共感覚や音のブランディングを意識することで、印刷広告もまだまだ活躍し得るでしょう。

音のブランディング効果は、大きな可能性を秘めています。

(原文:Lewis Dormer 翻訳:Tomomi Takei)

 

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