エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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エンジニアは、需要や待遇が高まり続けている仕事です。
通信や人工知能などをはじめとしたテクノロジーが発達・普及し、文字通りあらゆる業界に活躍の場が広がったことで、キャリアの可能性も多岐にわたりはじめています。
そうした中で、これから先のキャリアパスをどのように描くかが、仕事はもちろん、自分自身の人生においても重要となるでしょう。
キャリアパスを考えること自体はエンジニアだけでなくどのような職業でも必要なことです。
しかし、エンジニアは特に業界やポジションによって求められる知識やスキルに違いが出やすい職業の一つであるため、早い段階でキャリアについて考えていくことが理想を実現させるための近道になることもあります。
もちろん、自分が触れたことがない技術は学びながら利用していくのが当たり前の世界でもありますが、それでも目指すべき姿から逆算して知識・経験をたくわえることが理想的なキャリア実現への近道になることも事実です。
また、自由な生き方・働き方や、案件に縛られず作りたいものがある場合は、独立という選択肢もあります。例えば会社を辞めるタイミングにはじまり、その先に待つ資金繰りや案件獲得、税務処理などの経営的なハードルまで、専門的なスキル以外の面でも準備が必要です。
こうしたことを漠然と考えるだけではなく、より具体的なイメージにしていくために、20代でフリーランスになり、現在は法人化して経営者としての顔も持つ40代のエンジニア・Sさんのキャリアパスをご紹介します。
そして最後に、Sさんの例も踏まえた上で、みなさん自身がキャリアパスを描くための考え方にも触れていきたいと思います。
目次
よく行われていることかもしれませんが、身近な先輩や勤務先の上司など、実際に知っている人をロールモデルにすることは具体的なキャリア実現のために有益です。
そうはいっても、社外に同業のつながりがない場合や、そもそも同じ会社に目指したい人がいないといった状況もあるでしょう。
また、インタビュー記事などで取り上げられた人物に感化され、そのような生き方を想像してみるものの、キャリアパスの参考にするにしては部分的な紹介にとどまっていたり、脚色が入っていることもあり、参考にしづらいのではないでしょうか。
そこで、キャリアパスの参考にすることを目的に、20代で独立して現在まで15年以上エンジニアとして活動しているSさんに自身の歩みを振り返ってもらいました。
SさんがIT業界のキャリアをスタートさせたのは20代の中盤。
iモードが登場した1990年代の後半、家業の花屋を継ぐために大学の農学部や海外企業での研究留学を経た後、実家の店を継いで数年が過ぎていました。
「自営業なので本当に休みがなかった。また、花は嗜好品のため需要が不安定で売り上げアップも簡単ではない。そんな中で、店舗サイト制作や楽天モール出店などの話がくるようになり、何かしないといけないと感じた」(Sさん)
そこで、まずは自店のECサイトを独学で立ち上げたそうです。
当時、IT業界はまだまだ目新しい存在だったこともあり、Sさんが作ったサイトが実名でラジオドラマに登場するなど、売り上げ以外の反響もありました。ある種の手応えを感じたことから、エンジニアへの転身を決意。
人材派遣サービスに登録し、エンジニアとして経験を積みながら独学でベンダー系の資格を取得したSさんは2000年に個人事業主になりました。
自身で道を切り開いたSさんですが、フリーランスになった当初を「エンジニアとして独立したのに、なぜこんな仕事ばかりなんだと思っていた」と振り返ります。
実は独立して1、2年の間、Sさんの仕事の多くは遺影写真の加工、サイト制作、学校の先生向けのメールやインターネットの使い方講座など、エンジニアとしての仕事はほとんどなく、今の時代なら誰でもできるような案件ばかりでした。
「複雑な気持ちがある一方で、生活のためにはやるしかなかった」と語るSさんの思いは、独立した直後に誰しもが通る道かもしれません。
また、この頃は大手企業に新卒入社した同級生がバリバリ活躍し始めた時期と重なっていたことも加わり、より引け目を感じることもあったそうです。
モヤモヤとした気持ちもある一方で、生活のためにも仕事を続けていたところ、2000年代初頭にキャリアの転機が訪れました。
Sさんは、あるとき政府がつくったIT系の専門学校の講師として招かれることになりました。そして、この期間にphpやデータベースを中心としたプログラム開発の知識をインプットできる環境を手に入れることができました。
そして、講師のかたわら自身でサービス開発などをする中で、現在のビジネスパートナーから声がかかり、資金面の支援を受けて会社を設立しました。
Sさんのキャリアはフリーランスとして成功している例の一つだといえるでしょう。
もちろんこれはあくまで1つの例で、独立するほかにも企業に勤めて昇進していく道などもあります。しかし、こうした話から自分にとって参考になる部分を抽出し、理想のキャリア形成に活かすことができます。
自身でも語っていたように、Sさんは独立直後から良い時期を迎えていたわけではありませんでした。どのような選択をしても常に順風満帆なことはありません。こうした点も踏まえて、将来に向けてどのようにキャリアを切り開いて行けばよいのでしょうか。
現在、Sさんは案件によってプロジェクトマネージャーや開発など、複数のポジションを柔軟にこなしています。また、経営者としてエンジニアを雇う立場も経験しています。
プレーヤー以外の視点も経験することでSさんが気づいた「エンジニアとして価値を高めていくための条件」について紹介します。
一つは「言われたことをやるのが仕事」という考え方から脱却することです。
もちろん、クライアントや上司から伝えられた仕様どおりに作ることがエンジニアとしての第一歩であることは間違いありません。ただし「仕様に従うこと自体を目的にすることが、クライアントとのコミュニケーションのトラブルや、それに伴うデスマーチが生まれる原因」だとSさんは話します。
たとえ現在は要件定義や仕様設計をする立場になくても、「クライアントが開発を依頼する目的」を考えられることが、理想的なキャリアパスを実現するための条件の一つです。
実際に、Sさんが最近関わったメディアサイト制作の案件では、単なるCMSのカスタマイズだけではなく、ワークフローの改善も一緒に提案し、業務システム開発・改善までを担っているとのことです。
職種を問わず、キャリアチェンジを考えるきっかけとして「今の職場では自分のやりたいことができない」「上司の管理能力が低くて現場がきつい」といった話はよく聞く話です。
特に指示系統が厳密な環境にいる場合などは、思うことがあるものの指示通りに動かざるをえないケースもあります。
Sさんは、そのような場合でも「もし転職後もエンジニアを続けるならば、会社に残ってプロマネを目指すことも一つ」だと話します。
これまでSさんが数々の案件に携わる中で、プロマネのせいで現場がつらい思いをしたケースを何度も経験しました。考え方を変えると、現場の視点を持っている人がプロマネになれば、いろいろな立場を分かる人材になれるともいえます。
こうした「現場ならではの不満を分かった上で指導できるプロマネの価値が高い」(Sさん)という話に加えて、業界の中でもプロマネ経験者の市場価値が上がっています。
実際に人材エージェントのサイトなどを見ると、フリーランス向けの案件では人月80万円〜100万円のレンジを目指す場合はスペシャリストよりもプロマネの方が間口が広がっています。
職種を問わずキャリアの考え方として重要なのは、「川下りではなく山登り」だとSさんは語ります。
ここでいう川下りとは、スタート地点から流れ始めて、決められたゴールまで進み続けることのたとえです。「敷かれたレールの上を歩く人生」とも近いでしょう。過去の延長として今があり、その延長として未来がある、というようなキャリア観です。
特に企業に所属している場合は、人事制度的な事情などもあり、川の流れに逆らって生きることが難しかったり、本来は無限の可能性があるはずの未来が(悪い意味で)見えてしまったような感覚になることもあります。
一方で、山登りとは自分でゴールを見つけ、自分の足でそれを目指すことです。
どの山に登るのか、どのように登るかを自分で決めることはもちろん、途中で下山したり、次の山に登ることも自分が決めるという意識です。
実は、Sさんの会社も、ここ5、6年で利益が出るようになってきたといいます。「山登りは道中を自分の足で登っていかなければならない分、頂上が見えたときの楽しさもあります」(Sさん)
最初は道がなかったところからスタートし、悔しい思いなどをしながらやってこれたのはこうした山登りの考え方があったからこそです。
また余談ですが、米・マサチューセッツ工科大(MIT)メディアラボで日本人唯一の副所長をつとめる石井裕氏は「造山力」という考え方を提唱し、「前人未到の山を登るには、まず登るべき山をつくることが必要」だと説いています。
ここまで見てきたSさんの視点からのキャリアの考え方に加えて、キャリアを考えるためのキーポイントになる指標があります。それは「時間とお金」です。
よくいわれているように、仕事=人生といっても、もはや過言ではないでしょう。少なくとも、生活の3分の1は仕事にあてている人が大多数です。
仕事に対する価値観も人生と同じように多様です。
「あくまで生活の糧を得るための労働」「家族との時間を大切にしたい」と考える人もいれば「仕事を通して、人生で大きなことを成し遂げたい」という人もいます。
また、世間ではインタビューやドキュメンタリーなどで著名人の成功事例が紹介されていますが、その見方には注意が必要だともいえます。
もちろん参考例として知ることは重要ですが、こうした例は表面的な紹介にとどまっている場合もあります。見えている部分だけに感化されることで「本当の自分は人生において何を優先したいのか」が見えづらくなってしまう面もあります。
そこで指標として考えたいのが、お金と時間の2つの軸です。
お金は「どれくらい収入を得たいのか、どのような生活レベルを望むのか」と言い換えることができ、時間は「どのようなことをして暮らしたいのか」と考えることができます。
この問いに加えて「お金と時間のどちらが優先されるのか」「どのような順番・道筋でお金と時間の理想を実現するのか」を考えることで、より具体的な人生設計ができるようになるはずです。
また、こうした質問に対して自分なりの答えを出すことができれば、さらに具体的に5年後、3年後、1年後にどのようなことをすべきかを逆算して考えられるようになります。
自分の人生にとって絶対に譲れないものや、逆に今は切り捨てるべきものを明らかにしてみてください。それがキャリアパスを考える上でも鍵となるはずです。
例えば先ほど挙げた著名人も、こうした自問自答をした上で、人生の優先順位をつけているからこそインタビューされるような成功を収めたともいえます。
「未来は予測できない」とは、ドラッガーから堀江貴文氏まで、場所や時代を超えて多くビジネスパーソンによって語られてきたことです。それでも未来のキャリアを描くことは有意義だといえます。
未来の理想像を描くからこそ、今の自分がいる位置を認識できたり、それこそ先が見えない中で生きていくための希望や道しるべになります。
また、キャリアパスには、万人にとって絶対の正解は存在しません。
特に、昨今は価値観の多様性が尊重される社会であるため、お金と時間のバランスの中でどのような価値観が大切なのかを、自分との対話の中で見つけだすことが必要です。
また、例えば落合陽一氏の提唱する「ワークアズライフ」のような考え方に代表されるように、良い意味で仕事と私生活の境界線をあいまいにして「人生トータルで自分が価値を発揮できるキャリア」を考えることも時代の流れに沿った生き方です。
この記事で紹介したSさんの例も参考にしつつ、他の誰かではなく、あなた自身の理想のキャリアパスや人生についてじっくり考えてみてください。
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