エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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「正直、消費税とかあまり気にしたことないけど、大丈夫かな……」
フリーランスのなかには、こんな不安を抱える方も少なくないでしょう。2019年10月には消費税が10%に増税され、軽減税率制度も導入されました。それに伴い、フリーランスの消費税を巡る環境も変化しています。
そこで今回は、フリーランスの方が知っておくべき消費税に関するいろはを、クラウド見積・納品・請求書サービス『Misoca(ミソカ)』を提供する、弥生株式会社の木下さんに語ってもらいました。
弥生株式会社 ビジネス戦略チーム マネージャー。Misocaや販売管理系のソフトを担当。
目次
藤井:
さっそくですが、そもそも消費税ってどんな税金なのでしょうか? 概要や仕組みなど、簡単に教えていただけますか?
木下:
かなり根本的な質問ですね(笑)。
藤井:
いきなりざっくりした質問ですみません……。
木下:
いえいえ、大丈夫です(笑)。
消費税は、商品の販売やサービスの提供などの取引に対して課される税です。消費者は商品を購入したり、サービスの提供を受ける際にその取引代金に対する消費税を負担し、事業者に消費税を上乗せした金額を支払います。いまは標準税率が10%なので、100円のものを買った場合には10円、100万円のものだったら10万円ですね。
支払われた消費税は、事業者で一旦預かる形になり、消費者に代わって事業者が国に納めることになります。
このように実際に税金を負担する者(担税者)とその税金を納める者(納税義務者)が異なるものを「間接税」といいます。(参照:国税庁HP)
藤井:
消費税は、消費者が間接的に納める税金ですか。なんだか複雑に感じます(汗)。
木下:
消費税は普段から支払っている税金とはいえ、こうやって改めて仕組みを考えるとすこし複雑に感じますよね。
例を挙げて説明しましょう。たとえば、フリーランスの方が20万円の案件を受注するとします。すると、役務提供を受けたクライアントは、10%の消費税を上乗せして22万円をフリーランスの方に支払います。その上乗せされた消費税分の2万円は、フリーランスの方をとおして「間接的に」納税されるものです。
藤井:
ということは、この消費税分の2万円は、フリーランスの方の売上ではないということですか?
木下:
そうです。これはフリーランスの方が、「クライアントの代わりに納税するため」に預かっているお金ということになります。
藤井:
消費税を支払われているフリーランスの方は、かならず納税をしなければなりませんか。
木下:
いえ、すべてのフリーランスの方が納税しなければならない、というわけではありません。
木下:
原則として前々年の売上が1,000万円を超えた場合は課税事業者となり、納税義務が生じますが、1,000万円以下だった場合は免税事業者として扱われるので、消費税の納税は免除されます。(参照:国税庁HP)
藤井:
なんと!そんな制度が……。前々年度の売上が1,000万円以下だったフリーランスの方にとっては、ありがたい制度ですね!
藤井:
納税が免除されているフリーランスの方でも消費税を請求していいのでしょうか。
木下:
はい、請求しても大丈夫です。ただし、本来は納税されるべきお金が、免税事業者の取り分として残ってしまうことになり(これを益税といいます)、消費税制度の課題とされています。
今後「インボイス制度」が導入されることによって、こうした課題が解消されていく予定ですが、逆に免税事業者にとってはビジネス上の大きな影響が生じますので、注意が必要です。詳しいことはあとで詳しくお話しします。
藤井:
ちなみに請求書には「源泉徴収税」という項目がありますが、こちらはどういったものでしょうか?
木下:
源泉徴収税とは、企業が従業員やフリーランスに報酬を支払う際、所得税などの税金を差し引いて、それを本人に代わって納付するために徴収するものです。(参照:国税庁HP)
藤井:
請求書に源泉徴収税の記載はしたほうがよいでしょうか?
木下:
そうですね。クライアントの事務処理にかかる工数を考えた場合、請求書の発行側で源泉徴収税率をきちんと計算して記載してあげたほうがよいでしょう。
藤井:
なるほど。源泉徴収税はどのように算出すればよいでしょうか?
木下:
では、源泉徴収税の計算方法をご紹介しますね。原則として、源泉徴収税は報酬として支払う金額の全部、すなわち、消費税込みの金額が対象となります。
以下のような計算式で算出できます。
木下:
ただし、請求書等に本体価格と消費税とが明確に区分されて記載されている場合には、消費税を除いた本体価格のみを源泉徴収の対象としても差し支えないとされています。(参照:国税庁HP)
計算式は以下のようになります。
木下:
当然ながら、この方が源泉徴収税額は少なくなります。大きな差額にはならないかもしれませんが、手取り金額が増えるのでフリーランスの方は区分して記載されるとよいでしょう。
藤井:
消費税について勉強になりました。
関連して、本格導入はまだ先ではあるものの、インボイス制度の導入でフリーランスの方にどんな影響があるのかも気になっています。どんな制度なのか教えていただけますか?
木下:
インボイス制度とは、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者が交付する請求書(インボイス)でないと、消費税の「仕入税額控除」が受けられないというものです。
【適格請求書発行事業者とは】
インボイスを交付できるのは、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者に限られます。適格請求書発行事業者として登録が受けられるのは、課税事業者のみです。
インボイスを交付するために、課税事業者になる必要がありますが、売上が1,000万円以下の方でも税務署に届出書を出せば課税事業者になることができます。
課税事業者になることで、適格請求書発行事業者になる資格が得られ、さらに登録申請書を税務署に提出して登録することで、適格請求書発行事業者になることができます。(参照:国税庁HP)
【仕入税額控除とは】
事業者が預かった消費税額から、自分が負担した消費税額を差し引くことをいいます。生産や流通の段階で支払いが行われるたびに発生する消費税の累積(二重課税)を解消するための制度です。消費税を納付する際には、課税期間中の課税売上げに係る消費税額からその課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額(仕入税額)を控除して計算します。
(参照:国税庁HP)
木下:
この制度は、当然フリーランスの方にも影響がありますよ。
藤井:
やはりそうですか。どんな影響ですか?
木下:
もし自分が仕事を発注する課税事業者の立場なら、受け取った請求書がインボイスでないと、仕入税額控除が認められず、消費税額を丸々負担しなくてはなりません。こうなると、インボイスを交付できない取引先は避けたくもなりますよね。
藤井:
それは困りますね。では、免税事業者が多いと思われるフリーランスの方はどうすればよいのでしょうか?
木下:
はい、売上が1,000万円以下であっても、課税事業者になることを選択して、適格請求書発行事業者の登録を受ける必要がでてくるかもしれません。ただ、その分消費税を納税する必要が出てきます。
藤井:
なるほど。そうなると売上を少しでも伸ばして、多く稼いだ方がよさそうですね。
税制改正が相次ぐいま、消費税のことはもちろん、税金について正しい知識を学ぶことはとても大切だということがわかりました。また、インボイス制度はまだ先の話ですが、導⼊・移⾏期間のスケジュールなど、最新情報をチェックしておくと安心ですね。
「消費税や源泉徴収税の計算や書き方が面倒!」という方は、請求書作成サービスを導入するのもおすすめです。
『Misoca』は、シンプルな操作で請求書作成が1分で完了する「クラウド見積・納品・請求書サービス」です。
作成画面には、必要項目や消費税、源泉徴収税の計算式があらかじめ設定されているので、入力するだけで請求書がすぐに作成できます。消費税率10%はもちろん、軽減税率や区分記載請求書にも対応しているため、請求業務の知識がなくても大丈夫ですよ。
(執筆:村上莞 編集:藤井雲士 撮影:森田剛史)
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