エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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対話型AIチャットツール『ChatGPT』や画像生成AIツール『Stable Diffusion』などの台頭で、2023年に突入すると一気に動きが活発になってきた印象のAI界隈。AIツールを上手く活用すれば、これまで人の手でおこなってきた業務のほとんどが時短になる可能性に満ちています。
しかし、AIのことをなんとなく知っていても「AI活用はどこまで業務効率化に繋がるの?」「どのAIツールを使えばいいか分からない……」など、AI活用へのハードルを感じている方も多いはず。
この連載では、さまざまな職種の方に「AI活用事例」を伺っていきます。今回は、マーケティング業務にAIツールを活用している広告マーケター・川手遼一さんに、広告マーケターのAI活用事例と、生き残っていくマーケターの特徴を聞きました。
株式会社キーワードマーケティング在籍。リスティング広告、Meta広告(Facebook広告)を専門領域としている広告運用者。獲得、獲得を前提とした認知施策が得意。ブログやSNSでも積極的に情報を発信している。日経クロストレンドなど外部メディアにも寄稿。@RKawtr
目次
DALL·E 2、Bing AIなどを利⽤することもありますが、8〜9割がChatGPT(GPT-4)です。使い分けは用途によって変わりますね。
生成AIに初めて触ったのは、2022年12⽉中旬ごろです。知り合いが使っているのをSNSで見かけたと思ったら、気づいたらタイムライン上にAI活用に関するツイートが溢れるようになっていました。そして実際に使ってみたらおもしろさにハマっていった、という感じです。
ChatGPTは奥が深いですよ。専用のプラグインを使えば、ちょっとした画像も生成できます。精度の高いものについては、まだまだ難しい面もあるんですけどね。ゆくゆくは簡単なものなら動画もつくれるようになるんじゃないでしょうか。
ChatGPTは、いわばスーパーアプリみたいな感じだと思っています。たとえば、もともとはテキストメインのSNSであるTwitterに決済サービスを付けたがっているように、ChatGPTを基点にしてさまざまな機能を付ければ、できることが広がりますよね。ChatGPTを運営しているOpenAI社も、そのポジションを狙っているんじゃないかと思います。
ただChatGPTにも限界があるため、上手くいかない調査などはBing AIでおこないます。ChatGPTで調べ物をしていると、事実とは異なる回答を提示することがあるので、そういった場合はBing AIに切り替えて調べ直すことが多いです。Bing AIは会話のスタイルを選べるので、「より厳密に」という指示を出しています。
DALL·E 2の使用は限定的です。バナー画像に入れる⽂字とテキストの配列で悩んだとき、背景の模様やパターンに悩んだときに案を生成するのに使っています。
これは内緒の話なんですけど、例えばMeta広告用にクリエイティブを複数自作して配信し、極端にパフォーマンスが良いものがいくつか出てきたら、DALL·E 2を使って類似したデザインパターンのものを大量生成してもらったりすると結構良いかも(添付画像はイメージです) pic.twitter.com/kD8I89K5Ex
— 川手 遼一 (@RKawtr) March 12, 2023
おもに、以下8つの⽤途で使⽤しています。
- 単純な誤字脱字の確認
- 広告制作の補助
- ⽂章作成の補助
- マクロや複雑な関数の作成
- 資料や⻑⽂記事の要約
- ブレスト、施策の壁打ち
- 広告へのフィードバック
- 炎上リスクのチェック
効率化や課題解決の補助として、⽇々助けられています。以下では、上記のなかでも特に愛用する機能を3つほど深掘りします。
ChatGPTに広告メッセージの受け⼿となってもらい、制作した広告に対してフィードバックしてもらう使い方があります。
たとえばエンジニア向けのSaaSサービスの広告をつくっているとしたら「エンジニアの方が反応しがちな言葉を10個挙げて」とChatGPTに指示を出します。そのなかからいくつかの言葉を広告に組み込んで、再度ChatGPTに「あなたは歴10年ほどのエンジニアです。こういった広告が流れてきたら反応しますか?」と指示を出してチェックしてもらう。
とはいえ「まだまだChatGPTのチェックだけでは不安かな」と思う面もあります。たとえば現職のエンジニアが見たときに「日本ではあまりこの表現は使わないかな」といったケースがある。やはり専門性の高いものは、人の目でダブルチェックをしたほうが安心ですね。
そのためこのケースだと、僕はあらためて社内のエンジニアに「この言葉の使い方で理解できる?」などと再チェックしてもらっています。
ChatGPTを使えば、広告の炎上リスクをチェックすることも可能です。「この言葉を使ったら、こういった炎上リスクがありますよ」と提示してくれます。
最近では、SNSでの炎上リスクもますます軽視できなくなってきています。そのため、経営者の方の中にはあまりSNSをやりたがらない方もいらっしゃいます。しかし投稿する前に内容をChatGPTにチェックしてもらえば、炎上リスクを軽減できます。
クライアントに共有する大事な資料など、誤字脱字を確認するのにもChatGPTを使っています。文章作成の補助、資料や長文記事の要約、ブレストなどにも便利です。
誤字脱字に関しては、シンプルゆえにヒューマンエラーが避けられないと思っています。たとえば、終業間際の疲れているタイミングで他のメンバーに作業を頼んだとしたら、どれだけ正確にチェックできるか不安ですよね。ChatGPTなら相手のケアレスミスや感情面に配慮する必要がないので、とても楽です。
ブレストや壁打ちをするときも、ひと相手だと遠慮しちゃう面がありませんか? たとえば自分の部下に「施策のアイデアを10個考えて」と依頼して、上がってきた10個がすべて微妙だったら……。ChatGPT相手なら全てをボツにして「すぐに考え直して!」と指示できますが、部下相手だとなかなかそうもいかないですよね。
その反面、ChatGPTなら10個と言わず100個でも300個でも、指示さえ出せば出力してくれます。人間がどう使うかによって、可能性が広がるツールだと思います。
感覚としては、10〜15%ほど単純作業を削減できていると思います。
ただ、全体の業務量が変わっている感じはありません。上記で挙げたような単純作業が効率化できているのは嬉しい反面、生成AIが登場したことによって、新たに生まれた業務もあります。
むしろ大きいのは、生成AIのおかげで周囲の人のリソースを削減できている点ですね。前にも言ったように、これまで人にお願いしていた重要書類の誤字脱字チェックなどは、生成AIに任せられるようになりました。ヒューマンエラーも起きにくいですし、やはり終業時間の直前だとしてもAIなら頼みやすいのが嬉しいですね(笑)。
生成AIでやる必要がない業務まで、生成AIでやろうとしてしまうのが課題でしょうか。これは『AI⼈材にいま⼀番必要なこと』という書籍のなかでも、「AIでなくてもいいことまでやらせてしまう」と言及されている落とし穴のひとつなんです。まんまとそのパターンにハマってしまっています。
具体的には、広告画像をわざわざ生成AIでつくろうとしてしまうなどですかね。実際のところ、生成AIで作られたクリエイティブのクリック率が高いというデータもあります(出典:『ChatGPT&生成AI 最強の仕事術』p23)。しかし、そのデータ自体もサンプル数が少ないこともありますが、個人的にわざわざ生成AIで広告画像をつくる必要性をあまり強くは感じません。
好奇心もあり、実学も兼ねて生成AIを使ってしまうんですが、そうなるとせっかく別領域の業務を効率化できて生まれた時間がムダになってしまいます。
ChatGPTでも、先輩や上司に聞いたほうが早いのに、わざわざChatGPTに質問しちゃうことって、いま増えていると思うんです。世間の生成AIサービスや仕事術を見ていても「それって別にAI使わなくても良くない?」みたいなものは多かったり(笑)。
ただ、現時点では、生成AIを使って「何ができるのか」「どこまでできるのか」を調べるフェーズでもある気がします。あくまで投資として割り切るのであれば、こういった時間の使い方をするのもアリだと個人的には思っています。
生成AIの台頭によって、まず単純な調査系の仕事は淘汰されていくと思います。少なくとも、Googleにインデックスされている情報をあらためて並べ直すようなレベルの仕事は、これから減っていくのではないでしょうか。
ただ、人と会って話すなど足で情報を稼ぐようなリサーチ系の仕事は、むしろ重要性が上がっていくと思います。たとえば取材して生の一次情報を集めるような仕事の場合、これをAIが代替するのは難しいですよね。そういったAIに代替されない仕事に重きを置けば、必然的にAIに仕事を奪われるといったことはないのではないでしょうか。
よく弊社の代表が口にする言葉に「心はホットに、頭はクールに」があります。僕自身も、まさにそういったマーケターじゃないと生き残れないと考えています。極端な情報やデータを鵜呑みにせず、自分の頭で考え、精査できる力が必要です。
たとえば、2000年から現在2023年までの約24年間を振り返ったとき、まさに光の速さでPCが普及して、一人一台携帯電話を持ち、それがスマートフォンに変化していきました。劇的な変化です。ただその一方で、実はまだガラケーを使用している人が日本には1,433万人近くいます(法人回線含む。出典:総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表」)。
生成AIだって便利で話題にはあがりますが、使いこなせている日本人はほんのわずかでしょう。
そんな、ある意味で歪な側面があることを前提にマーケティングプランを考えたり、広告をつくったりしていく必要があるはず。むしろそういったところにチャンスや大きな市場が眠っていることもあります。マーケターとして、そういった面を冷静に判断する姿勢が必要です。
実際、コロナ禍は特例として、そこまで急激に世の中が変化することって、そうそうありません。極論を提示されたら、「本当に?」と警戒したほうがいい。とくに生成AIに関しては、世間からの期待値があまりにも高い状態です。
しかし、AI関連ワードの検索数推移などを見ると、じつはAIの流行はピークを過ぎつつあります。IT関連の調査などを行うガートナー社が提唱した「ハイプ・サイクル」という図でみると、まさに「過度な期待のピーク期」を過ぎて「幻滅期」に入っているところだと思います。
実際、海外の調査によると、2023年5月比でChatGPTへのアクセス数が約3割減少しているというデータもあり、やはり幻滅期に入りつつあるのでしょう。
ChatGPTのアクセス数は「約3割減少」。統計データから分析する生成AIの現在
Workship MAGAZINE
今後は少しずつ「啓発期」に⼊って安定化していくはずですが、まだまだ生成AIはアップデートされていきますし、新しいプロダクトも開発されるでしょう。そのため、あまり前評判を真に受け過ぎず、自分の手で触ってみて判断することを習慣化しましょう。
僕自身この先、生成AIを活用していくにあたって、プロンプトはそこまで重要じゃないと思っています。
ネット上で拾ってきたプロンプトをコピペして間に合わせるよりも、「⼩学⽣にもわかるようなレベルにかみ砕いて指示を出せば、意外と動いてくれるんじゃないかな?」とか、自分の頭で考えながら⼿を動かすほうが、中・⻑期的に⾒れば気づきになるかもしれません。
そもそもGPT-4はかなり優秀です。これまでのように複数の条件を提示しなくても、最適な答えを返してくれるようになっています。ひたすら「プロンプトは重要」と考えたまま使い続けても、あまり生成AIの真価は引き出せないのではないでしょうか。
プロンプトは言ってしまえば「料理のレシピ」のようなものです。
簡単な料理だったら、レシピを見なくてもつくれるものはたくさんありますよね。でもレシピを見ないとつくれない料理もある。レシピを見ずとも自分の知識だけである程度はつくれるけど、味付けのコツなどはレシピで確認したい……。そんなふうに、生成AIにおけるプロンプトって、存在としては料理におけるレシピが近いと思います。
生成AIが台頭すると「AIに仕事を奪われてしまう」と不安に思われる方も多いかもしれません。ですが、僕はAIに仕事を「積極的に奪ってもらう」スタンスでいるのも重要だと思っています。
自分の仕事を奪われることを警戒するのではなく、あえて生成AIに奪わせるくらいの⼼構えで、いままで⾃分がやっていた業務を積極的に⽣成AIに振りましょう。そうすることで、より良い形でアウトプットしてくれるかもしれません。
そもそも、歴史は繰り返すもの。これまでも、電卓でやっていた仕事がExcelに、エアブラシでやっていた写真の修正作業がPhotoshopにリプレイスされてきました。取って代わられたほうが効率的な仕事は、どんどん代わられたほうがいい。
そして、そのぶん生まれた時間で自分のスキルを伸ばせばいいのではないでしょうか。AIに代替できない仕事、まだまだ代替されるまでに時間のかかる領域は、たくさんありますから。
たとえば資料の誤字脱字チェックは生成AIにもできますが、クライアントワークそのものは担えないでしょう。取材の仕事なども、しばらくは人間がやる必要があると思います。そういった領域を探して自分の強みを伸ばしましょう。
広告運⽤の世界では、以前は広告を⼿動で細かく調整するセンスが求められていました。しかし現在は自動広告が完全に普及し、広告運用者は別の角度から付加価値をつけることが求められています。
当時、⼿動で調整することに固執して「AIに仕事を奪われないように」としていたら、次のステージに進めなくなっていた可能性はあると思います。
⾃分は、いち早く広告運⽤に生成AIを取り⼊れ、その間にクリエイティブの制作について学んだり、⾃分の知⾒を社内外に発信したりすることにリソースを割いてきました。そういった積み重ねが周りに評価され、本日の取材依頼にも繋がっていますよね。
キーワードマーケティングではAI活用のガイドラインを設けて「こういった領域の業務では積極的に⽣成AIを使っていこう」と⽅針を明確化しています。
会社としても、私個人としても、業務領域に沿った運⽤型広告の魅⼒を引き出してくれる特化型の⽣成AIサービスがあれば、積極的に使っていきたいと考えています。
会社によってはAI活用に消極的なところも多いですが、弊社はそうではありません。AIを積極的に活用し、お客様の成果に直結するマーケティングを行っていきたいと考える方がいれば、ぜひ弊社で一緒に働きましょう。
ここまで、広告マーケター・川手さんにAIの活用法を語っていただきました。
皆さまのようなAI活用に関心のあるマーケターの方にご紹介したいのが、フリーランス・副業マッチングサービスである『Workship』です。
フリーランスでの稼働をお考えの方は、フリーランス向けマッチングサービス『Workship』をぜひご活用ください。
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(取材&執筆:北村有 編集:齊藤颯人)