「専門スキルを伸ばす VS 幅広い領域に挑戦する」フリーランスの生存戦略討論
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今日も健やかに働くみなさんこんにちは。海坂侑です。実は当初の予定では、前回の第0回と今回を併せて第1回とするはずだったのですが、執筆するうちに熱がこもりすぎてしまい、こうして分けて公開することになりました。多大なご迷惑をおかけした編集担当にはこの場を借りて深くお詫び申し上げます。
そんな第1回では、インフルエンサーになりたい方や次世代インフルエンサーを探したいマーケター必読!「インフルエンサー」になる方法をご紹介します!
そのためにまずは、インフルエンサーとはどんな存在なのかを明らかにしていきましょう。まさか「フォロワー数が増えれば」「とりあえず人脈つくっておけば」「とにかく目立っておけば」インフルエンサーになれるなんてカン違いしてる人はいませんよね?(笑)
……アツい想いが発露して、ついつい冒頭から煽り散らしてしまいました。第0回に引き続き読んでくださる方もそうでない方も、思い思いに暖を取っていただけますと幸いです。
28歳。都内IT企業に新卒入社し、マーケティング系ソフトウェアの企画営業職に2年半従事したのち退職。現在はフリーの編集・ライター・マーケティングプランナーを生業としている。Twitter
前回の記事ではマーケティングの時代にともなう変化と、現代のWebマーケティング戦略におけるインフルエンサーの立ち位置についてお話しました。その中でわたしは、インフルエンサーを以下のように説明しました。
今回はその姿をより明確なものにしていきたいと思います。
なぜならインフルエンサーがどういう存在であるかをハッキリさせることこそが、インフルエンサーマーケティング成功の鍵を握っているからです。
最近のTwitterでは「わたしもインフルエンサーになりたい!」「好きなことを仕事にして月に〇万円稼ぎます!」などと言ってインフルエンサーの運営するオンラインサロンに入会したり、借金の額を自慢したり、会社や大学を辞めたことをひけらかしたりする人が続出しており、非常に痛ましい事態だなあと感じています。
同様にInstagramでも、インフルエンサーの華やかなライフスタイルに憧れるあまり、高級ブティックでの試着姿を撮影したのち購入せずに退店する行為や、商品の写真を投稿したあとすぐにフリマで売り払う行為などが続出していると聞きます。承認欲求や見栄とは恐ろしいものです。
このようにインフルエンサーが過剰にもてはやされる一方で、インフルエンサーを目指す一部の者たちによる暴挙、そして彼ら・彼女らを食いものにしようとするこれまた一部のインフルエンサーたちによる悪行によって、「インフルエンサー」という言葉のイメージはどんどん悪化しているのです。
持ち上げるのも貶めるのも、どちらも誤りです。「インフルエンサー」は、ただのマーケティング用語に過ぎません。目を覚ますべきです。
「インフルエンサーとはどんな存在か?」
実はこの問い、マーケティング担当者やインフルエンサー本人でさえも、ちゃんと答えを持っていない人が多いと思います。英単語の”influence(〜に影響を与える)”より派生していることから「影響力が大きい人物」という意味でしょうが、SNSにおける“影響力”とはつまるところ何なのでしょうか。
初めに言っておきますが、「影響力の大きさ=フォロワーの多さ」ではありません。正確には、それだけを指標とする時代は終わったと言うべきでしょう。
確かにかつてはフォロワーの多さが重要視されており、PR案件(今はその内容も多様化しましたが)の価格相場が「フォロワー1人=1円」と言われていた時代もありました。しかし今はもう違います。最近注目されているのは「インプレッション数(いいね!数やリツイート数、メディアへの遷移数など)」です。実際に投稿がどれだけユーザーの目に留まり、読まれているのか。どれだけユーザーに印象を残し、拡散されているかが見られているのです。
この変化は当然のことでしょう。「フォロワーが多ければ影響力がある」とカン違いした一部ユーザーがのべつまくなしに相互フォローし合ったり、業者からフォロワーを購入したりするようになったことで、フォロワー数に信用が置けなくなったからです。またフォロワー数が非常に多いアカウントは公共性が高まり熱心なファンが減少し、くわえて依頼が集中するために一つひとつの案件が埋もれ、フォロワー数のわりに大きな効果が期待できないという傾向も見受けられます。
しかしながら最近では、インプレッション数すらも捏造が可能です。インフルエンサーへ仕事を依頼する際は、一目で得られる情報で判断せず、より深くアカウントの性質を理解することが求められていると感じます。
「インフルエンサーの条件=影響力の大きさ=インプレッション数の多さ」と結びついた今、改めてインフルエンサーとは何者なのかを考えてみましょう。
人はどういうときにいいね!やRT(リツイート)などをするのでしょうか。みなさん自身の経験に基づいて考えてみてください。
それは投稿されたコンテンツに共感したとき、面白いと感じたとき、応援たいと思ったとき。あるいは心を揺さぶられたり、記憶に残したいと思ったり、他の人にも伝えたくなったりしたときではないでしょうか。このように「多くの人びとの感情を動かし、行動を起こさせる人物」こそがインフルエンサーなのです。
さて、ここまで読んでくださったインフルエンサーを目指す方は、「〇〇@フォロワー1000人目指します」「〇〇@相互フォロー」などとアカウント名に書き加えたり、有名人に迷惑なリプライを飛ばして姑息に認知拡大を狙ったりしている場合ではないことがおわかりになったかと思います。
では一体どうすれば、大勢の人の心や行動を動かせるインフルエンサーになれるのでしょうか?
インフルエンサーと呼ばれるアカウントを注意深く観察すると、いくつかの共通点に気がつきます。挙げるならば以下のような要素です。
これってつまり、人間としての魅力とほとんど同義ですよね。アカウントは生きた人間が運用するものですから、当然と言えば当然のことです。
もちろんここで言う「魅力」とは、容姿の美しさや洗練された立ち居振る舞いなど、そういったものだけを指してはいません。個性的なライフスタイルや、他者を啓発し扇動するカリスマ性、つい引き込まれてしまうマンガ・写真・文章、専門的な知識や技術など、人びとが興味・関心を抱きうるあらゆるものが「魅力」となります(場合によっては不道徳的だったり、人々に悪印象を与えたりするものもありますが……)。みずからの持つ魅力を発信し続けるからこそ注目され、ファンが増え、影響力が拡大し、やがてインフルエンサーと呼ばれるようになるのです。影響力は、魅力の後からついてくるものなのです。
オンラインサロンに入会して、自身の魅力は身に付きますか? セミナーに参加してノウハウを学び、誰かの模倣をしてみたところで魅力は高まりますか? 人生を投げ打った奇抜な行動で集めた一時的な注目は、あなたを魅力的たらしめてくれるのでしょうか? 中身が伴わず、自己承認欲求だけが肥大化した人びとは、聴衆以上の存在には永遠になれないのです。
このような連載を持ちながら、わたしは「インフルエンサー」を目指す価値のあるほどオイシイ存在だとは思えないのですが、もしインフルエンサーになりたい人へアドバイスすることがあるとすれば、ひとつだけです。
自分だけの「魅力」を見つけ、それを磨く努力を怠らないでください。
マーケティング用語で「影響力の強い人物」を指すインフルエンサー。それが本質的にはどういう存在なのか曖昧なまま、言葉だけがひとり歩きする現状に、今回は疑問符を投げかけてみました。
インフルエンサーとは、多くの人の心を動かし行動を起こさせる力のある人です。そんな影響力をつけるためには「個性」「持続性」「人柄」「魅力的なコンテンツ」の4つが必要不可欠です。
マーケターの方々は、インフルエンサーを探す際はフォロワー数などに惑わされず、ぜひこれらの要素に注目してください。そしてインフルエンサーを目指す方は、どうか良心を持ってこれらの要素の獲得に励んでください。
今回はこれにて。海坂侑でした。
(メインビジュアル撮影:mao nakazawa)