海坂侑と考える「インフルエンサーマーケティング」の正体 - 3. インフルエンサーの心得

Instagramのタイムラインを眺めているだけでお花見気分が味わえる今日このごろ。みなさんは本物のお花見に行かれましたか? 海坂侑です。

前回は広告主・マーケター視点から、インフルエンサーマーケティングに必要な考え方をお話しました。

今回は視点を変えて、フォロワーが数千、数万人単位になり、DMやリプライを通して企業からぼちぼち依頼が届くようになり……名誉か恥辱か「インフルエンサー」の称号を得たみなさんに、依頼を受諾した際の心得をお伝えしていきたいと思います。

インフルエンサーのみなさんがこの心得の一端でも胸に刻んでくれたなら、きっと広告主側も格段に仕事がしやすくなるはずです。

海坂 侑(うなさか ゆう)
海坂 侑(うなさか ゆう)

28歳。都内IT企業に新卒入社し、マーケティング系ソフトウェアの企画営業職に2年半従事したのち退職。現在はフリーの編集・ライター・マーケティングプランナーを生業としている。Twitter

謝礼は何に支払われているのか?

インフルエンサーマーケティングは、その案件内容により謝礼がまちまちです。投稿1回につき数千円~数万円。あるいは1記事執筆につき数万円、ばあいによってはふた桁万円の謝礼が支払われることもあります。「ぶっちゃけボロい商売だぜ……」なんて、ナメくさってはいませんか?

内心でどう思おうと自由ですが、このお金はいったい何に対して支払われているのでしょうか? ツイートを投稿したり、記事を執筆したりする際の労力に見合う金額ではないことは明白ですね。これらはアカウントのタイムライン(フィード)や、あなたが持つ影響力を、広告主が「借用する」対価なのです。雑誌にたとえるなら、紙面の中で商品をPRする権利やスペースを広告主が買い上げるのと同じですね。

つまりあなたのアカウント、そしてあなたが抱えているファンにこそ、広告主にとって価値があると見なされているのです。それを踏まえた上で、以下を読んでください。

心得その一、自分らしさを忘れるな

しょっぱなから居酒屋のトイレに貼ってある格言のようになってしまいましたが、これはインフルエンサーにとって何より大切なことです。

インフルエンサーになるようなアカウントは大抵のばあい、よくも悪くも何かしらが普通の人とは違い、規範から逸脱しています。だからこそ人びとから注目され、結果的にファンも集めているのですが、フォロワーの増加に伴い注目度が向上し、依頼の増加に伴い取引先からの干渉が影響して、本来のキャラクターを保てなくなっていくアカウントが少なくありません(ちなみに、これは自戒の意味を込めて書いています)。

インディーズシーンでは唯一無二の個性を放ち熱狂的なファンを抱えていたロックバンドが、メジャーデビューし有名になるにつれて凡百のオシャレバンドに成り果てていく例をわたしたちはいくつも見てきましたが、そうなるとかつての熱狂的なファンの多くは離れていってしまいます。知名度は向上した一方、求心力・影響力が格段に弱まってしまうのです。

もちろん中には凡百のオシャレバンドになったことで、熱心なファンは少ないけれど知名度・好感度がアップし、女のコにもモテるようになる(つまり「マス受け」するようになる)パターンも、あるにはあります。

独自の個性を保ち続けるか、計算しながら大衆に売り込んでいくか。覚悟を持ってどちらかに振り切らない限りは既存のファンも離れ、新しいファンもつかないまま泡沫バンド……いや泡沫インフルエンサーとして消えていくでしょう。なぜならその「覚悟を持って振り切る」ことこそが、何より難しいのです。

心得その二、使い捨てられる危機感を持て

今、わたしたちインフルエンサーは「インフルエンサーバブル」の真っ只中にいると言われています(もう弾けたという人もいます)。

「インフルエンサーマーケティングは予算が安く効果が高い!」と喧伝されたおかげか、

  • 「広告代理店に騙されました」
  • 「なんか流行ってるっぽいのでやりました」
  • 「他の施策をできる予算がなかったからやりました」

といったお猪口の裏よりも浅い魂胆がミエミエの粗末なPR依頼が頻発しています。

それを軽い気持ちで引き受けて低品質なPR投稿を繰り返すインフルエンサーも続出し、また「インフルエンサーは金になる」と嗅ぎつけた悪い人間がフォロワーの売買やインフルエンサー育成ビジネスやオンラインサロンなどを立ち上げ、中身のないインフルエンサーや夢だけ大きいインフルエンサーワナビーが続々誕生。

しかしその一方で、広告代理店や数多の仲介業者が本格的に参入してきたことにより、インフルエンサーマーケティングの利点だったはずの予算は右肩上がりとなってきています。

この状況がはたしていつまで続くのかはわかりませんが、明確なのは決して先は長くないこと。そしてバブルが弾けたときに最初に切り捨てられるのは、予算が高く・影響力が低く・成果物の質が低い、つまり現状をナメくさっているインフルエンサーです。

報酬につられて単純な依頼を言われるがままに受諾しているだけでは、数あるマーケティングの道具のひとつにしかなり得ません。これからはインフルエンサーにも、自分だけの価値をつくる努力、そして自衛する知恵を養うことが求められると思います。

心得その三、ブランドの自覚を持て

普段の投稿内容がどんなものであれ、固有のキャラクター性と固定のファンが存在しており、それに価値を感じてお金を払う広告主がいる限り、あなたのアカウントには「ブランド価値」があります。ひとつのブランドを運営する意識を持ってください。

依頼内容がブランドコンセプトとファンに合わないなと感じた時は、きちんと断る。たかがひとつの投稿だから……などと思わずに、たとえPRであっても自分のブランドにとって資産になる発信をしましょう。たとえ小遣い稼ぎであっても副業であっても、仕事として受ける以上、インフルエンサーであり続ける以上は、取引先とファンに対して誠意とサービス精神を持ち続けることが大切かと思います。

……まあ、インフルエンサーになりたくてなったという人は少ないでしょうし、受ける依頼をラッキーな臨時収入としてしか捉えない人は、そこまで気にかける必要もないかもしれませんが。

しかしあなたが報酬を受け取り発信する内容によって、ある商品の価値が変化しうるということ、心を動かし行動を起こすあなたのファンがいるということ、そしてあなたにはその力があるということを、忘れないでいてほしいのです。

まとめ

インフルエンサーマーケティングがこれだけ流行っている昨今。あなたがインフルエンサーならば、今後もさまざまな依頼が舞い込むことでしょう。

もしあなたがこれからもインフルエンサーとしてあり続けたいならば、依頼を途切れさせたくないならば、ただ依頼されたものを遂行するだけではいけません。自分のブランド価値を認識し、アカウントを運用する意識を持ち、広告主にとってよりよい結果を出す努力をぜひしてほしいです。それはすなわちアウトプットの質の向上であり、あなたのファンが喜ぶことでもあるからです。

広告主にとってもインフルエンサーにとっても、そしてそのファンにとっても利益となるより良い発信方法を、今後も探られていくべきでしょう。

(メインビジュアル撮影:mao nakazawa

 

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これまでの”海坂侑と考える「インフルエンサーマーケティング」の正体”はこちらから

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