【FP解説】投資は副業になる? 初心者におすすめの投資方法や注意点を解説!

株式投資は副業扱いになる?
FREELANCE

近年、日本人の投資意欲が高まっています。野村総合研究所が2021年に実施した調査によれば、25歳~69歳の男女のうち「投資を行っている」と回答した人は21.1%。これは2009年から3年おきに実施している同調査のなかで過去最高の数値です。

しかし、投資を行う投資家たちは、何枚もモニターを並べて一日中市場を追いかけながら投資をビジネスにしている「専業投資家」ばかりではありません。普段は会社員などの本業を持ち、副業で投資を行う「副業投資家」も多いです。フリーライターとして働く傍ら、投資を行っている筆者もその一人。

では、そんな副業投資家になるにはどうしたらいいのか。投資のなかで最もメジャーな「株式投資」を中心に、株と副業の関係や、おすすめの投資スタイルなどを解説していきます。

監修:齊藤颯人
監修:齊藤颯人

FP事務所『トージンFP事務所』代表、ファイナンシャル・プランナー(AFP)。Workship MAGAZINEのマネー担当として、フリーランスや副業にまつわる記事の執筆・監修を行う。自身も現役フリーランスで、当事者ならではの情報発信に強み。

そもそも「株式投資」は副業扱いになるの?

株式投資は、当然ながら利益を期待して株に投資することになります。一見すると副業のようですが、一般的に株式投資は副業と認定されません。

理由は、株式投資は「ビジネス」ではなく「資産運用」だからです。普通の会社員はもちろん、副業が禁止されている公務員でも株式投資はOK。もちろん就業規則で「株式投資は禁止」と明記されていればまた話はややこしくなりますが、「副業禁止」を宣言する企業でも原則は大丈夫です。

ただ言葉は悪いですが、このご時世で「副業禁止」を堂々と宣言している企業の場合、たとえ資産運用であっても株式投資をしていることがバレれば、社内で嫌な顔をする人はいるかもしれません。

「会社にバレずに投資を行いたい」という際は、以下の3点を抑えておくといいでしょう。

  • 会社内で株式の売買注文、投資情報の閲覧をしない
  • なるべく投資関連の話題を避ける
  • つみたてNISAなど、少額の範囲で投資を行う

株式のおもな種類

「実際に副業で株式に投資してみよう!」と思っても、世の中には膨大な数の株があり、どれに投資すべきかはなかなか判断できませんよね。

先に言ってしまうと、株式投資に正解はありません。かつての日本航空(JAL)のように、超優良株と言われていた銘柄が紙クズになってしまうこともあるからです。

ただ、やみくもに投資を続けるよりも、株式に関する最低限の知識があったほうが、運用がうまくいく確率は高くなります。そこで、ここでは株式のキホンに立ち返り、株式の種類について整理します。

種類1. 個別株

「個別株」とは、みなさんが想像するとおりの「株式」のこと。トヨタ、ソニーなど、誰もが知っている大企業から、GAFAのような急成長企業、一般には知られていないもののニッチな強みがある企業まで、多くの企業が株を発行しています。

個別株の特徴は、株を株式市場で購入することで、誰でもその企業の「株主」になれること。「トヨタの株主」というと雲の上の人のように聞こえるかもしれませんが、私たちでも市場で株を買うことさえできれば、それだけでトヨタの株主になれるのです。

そして、基本的に企業の業績に応じて株価は変動し、利益が上がれば株主への「恩返し」として、株価の数%にあたる「配当金」を受け取れます。株価が値上がるタイミングで売るだけでなく、株をずっと持っていることで配当金をもらう形でも利益を得られるのです。

こう書くといいことだらけのように感じますが、実際のところ個別株投資は少し難易度が高めです。世の中の膨大な株のなかから優良企業を探し出す「目利き力」や、購入にあたってまとまった資金を用意できる「資金力」なども求められます。

種類2. 投資信託、ETF

個別株を「木」にたとえるならば、「森」にあたるのが投資信託とETFです。投資信託とETFは厳密に言うと別物ですが、ここではほぼ同じと考えていただいて構いません。

投資信託やETFのメリットは、小額から膨大な株式に投資できること。たとえば、日本を代表する株価の指数である「日経平均株価」の動きに連動した投資信託を買えば、実質的に日経平均株価を構成している「日本を代表する225の株」すべてに投資しているのと同じ効果が得られます。

投資信託は投資先も豊富で、「アメリカの優良企業の株式だけに投資できる商品」「日本でたくさん配当をくれる企業だけに投資できる商品」など、私たちの好みや戦略に合ったさまざまなラインナップがあることも魅力です。

仮に上記の運用を個別株を買って行う場合、多くの株に投資するには膨大な資金力を必要とします。しかし、投資信託は投資家から少しずつお金を集めて株を運用するので、100円からでも投資信託を買えるのです。

投資の世界では、さまざまな株や資産に投資をする「分散投資」という手法があります。分散投資をすれば、先ほど例に出した「JALの業績不振で株が紙クズに……」といった事態に遭遇した場合の被害を最小限に食い止められ、リスク回避につながります。

ただし、分散投資の弱点は「リスクを抑えるかわりにリターンも抑えられる」こと。投資の世界では、株価が10倍になることを「テンバガー」と呼びますが、テンバガーの確率は大きく下がってしまうでしょう。

株式のおもな投資先

株式の種類は整理できたと思いますが、種類が同じでもどういった投資先を選ぶかで期待できる利益や見込まれる損失は変わってきます。ここでは、株式の投資先を整理しておきます。

投資先1. 国内

私たちが慣れ親しむ、日本国内の株式に投資する方法です。日本国内の株式への投資は、私たちがよく知っている会社に投資することになるため、投資先や投資関連のニュース・情報を手にしやすいのがメリット。また、株を売り買いできる時間も日本時間の日中であるため、カレンダーを把握しやすいです。

一方、日本株の弱点はパフォーマンスの低さでしょう。じつは、日経平均株価は30年前からほとんど変化していません。逆に、アメリカを代表する株価指数の「ダウ平均株価」は、過去30年で10倍以上に成長。その差は歴然で、今後も逆転するのは難しいといわれています。

過去30年の日経平均株価とダウ平均株価の推移

▲過去30年の日経平均株価とダウ平均株価の推移(出典:auカブコム証券)

投資先2. 先進国(おもにアメリカ)

先進国とは、日本を含む欧米諸国を指します。

ただ、投資の世界では上でも見たように圧倒的なパフォーマンスを発揮しているのがアメリカで、先進国の投資先としてはまず第一にアメリカが挙げられるでしょう。

マクドナルドやエクソンといった歴史のある優良企業から、GAFAのような急成長企業まで抱えているのがアメリカ。魅力的な投資先と考えられるのも納得です。ただし、市場がアメリカ時間(日本だと深夜)の開場で、そのうえ投資情報なども英語が中心のため、とっつきづらさがあるのも事実です。

投資先3. 新興国(おもに中国)

新興国とは、アジアやアフリカの成長を続ける国家を指します。

なかでも注目される機会が多いのは中国で、中国発のアリババやテンセントといったIT企業がおもな投資先となります。新興国の魅力は増加する人口や経済規模の拡大で、将来的に大きな利益をもたらしてくれる可能性があることでしょう。

一方、じつは新興国株のパフォーマンスはそれほど良くありません。新興国は政治や経済情勢が不安定で、株価も上下が激しい傾向にあります。また、新興国の成長に期待する人は多く、株価が実績に対して割高になってしまうこともあります。

副業投資家も使える投資用制度3選

以上の情報を頭に入れられたら、次に投資を有利に進められる制度について考えていきましょう。

日本ではアメリカなどに比べて国民の投資意欲が低いといわれており、投資意欲をかきたてるために多くの「投資用制度」が整備されています。副業で投資をする場合もこうした制度を利用できるので、まずは制度の概要を抑えてください。

制度1. つみたてNISA

聞いたことのある方もいるかもしれませんが、つみたてNISAとは少額からの長期・分散・積立投資を行うための制度です。先ほどの説明を踏まえるとご理解いただけると思いますが、実質的に「投資信託」の運用を行うことになります。

特徴はとにかくローリスクで手間がかからず、しかも運用で得た利益が20年間非課税になること。投資上限は年間40万円までですが、税金のことを一切気にせず、ほったらかし投資ができます。

つみたてNISAの特徴

▲つみたてNISAの特徴(出典:金融庁)

「投資のことはあまり考えたくないけど、資産運用はしたい!」という方におすすめです。

対象者 日本在住の20歳以上の人
投資額 年間40万円まで
非課税期間 20年
投資対象商品 一定の基準を満たす投資信託など(個別株はなし)
一般NISAとの併用 ×
iDeCoとの併用

制度2. 一般NISA

こちらは、つみたてNISAのすこし上位版。つみたてNISAは「毎年40万円まで」「投資信託」に「20年」非課税で投資できる制度だったのに対し、一般NISAは「毎年120万円まで」「投資信託や個別株」に「5年」非課税で投資できる制度です。

非課税期間が短縮された代わりに、個別株にも投資できるようになった制度といえます。「個別株も買ってみたい!」「年間40万円が上限では少なすぎる……」という方はこちらがおすすめです。ただし、つみたてNISAとの併用はできません。

対象者 日本在住の20歳以上の人
投資額 年間120万円まで
非課税期間 5年
投資対象商品 投資信託、個別株など
つみたてNISAとの併用 ×
iDeCoとの併用

制度3. iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)は上2つの制度とは少し異なり、簡単に言えば「年金を自分で運用する制度」です。

iDeCoを利用すれば、会社員でも一定の掛け金を投資信託などに投資し、運用して年金額を実質的に増やせます。運用益は非課税で、受け取り時も税制の優遇を受けられます。

idecoの仕組み

▲iDeCoの仕組み(出典:iDeCo公式サイト)

ただし、同じ会社員でも「会社で企業型確定拠出年金に加入しているか否か」などで掛け金の上限が変わるほか、掛け金は原則60歳になるまで引き出せないのがデメリット。「60歳まで毎月一定額が使えなくなる」とも言い換えられるので、利用前には自分の価値観とよく相談してみましょう。

対象者 日本在住の20歳以上65歳未満の人
投資額 年間27万6000円まで(企業年金がない会社員の場合)
非課税期間 引き出すまで
投資対象商品 運営管理機関(金融機関、証券会社など)が設定する投資信託など
NISAとの併用

副業投資家におすすめの株式投資スタイル3選

投資商品と投資向け制度が整理できたところで、実際の副業投資家に考えられる投資スタイルの例を見ていきます。スタイルによって投資にかける時間や期待リターン、見込みリスクが全く変わってきます。

スタイル1. つみたてNISAやiDeCoを使って、ほったらかし投資

つみたてNISAやiDeCoは、あまり売り買いをせず、投資信託を長く保有する「長期投資」に向いた制度です。そこで、購入時に「毎月いくらこの投資信託を買う」とだけ決め、あとは毎月自動で買い付けられるのを眺め、引き出し可能期間までジッと待つ「ほったらかし投資」も可能です。

このスタイルは、「投資に時間をかけたくないけど、とりあえず資産運用はしたい」という会社員に人気で、筆者のまわりでも始めている人をよく見かけます。いままで投資のことを一切考えたことがない人でも、一定のリターンを見込めるスタイルだからです。

ただ、「ほったらかしとは言っても、どの商品にいくら投資するかは自分で決めなきゃでしょ?」という方もいると思います。そういう方は、まず毎月5000円~1万円程度を、全世界の株にまとめて投資できる「全世界株式投資信託」か、株式以外の資産にも投資できる「8資産均等型投資信託」などに投資することで、心理的な負担とリスクは最小限に抑えられるでしょう。

スタイル2. 一般NISAを使い、個別株と投資信託に投資

ほったらかし投資は非常にラクですが、「自分の力で資産運用してみたい」「株主になって特定の企業に投資してみたい」という方もいるでしょう。そんな方は、つみたてNISAではなく一般NISAを使い、個別株と投資信託の両方に投資してみることをおすすめします。

じつはこのスタイルは筆者の運用方法でもありますが、投資信託と個別株投資のいいトコ取りができます。投資信託の堅実性で最低限の資産運用を済ませつつ、個別株の購入ですこしだけリスクを取り、株主気分を味わえるのがメリットです。

ほったらかし投資よりはすこしだけリスクと手間を負いつつ、高いリターンを求める方にも向いているでしょう。

スタイル3. 一般NISAを使い、個別株に投資

一般NISAを使い、個別株だけに投資することも可能です。この場合、年間120万円の非課税枠を目いっぱい個別株投資に充てられるので、副業投資としては十分な規模の株式投資が可能になります。また、非課税にこだわらなければ、投資信託を買うことも可能です。

選定した個別株の業績や市況によって株価が大きく動きやすく、リスクは大きめ。ただ、優良銘柄をチョイスできれば投資信託をはるかに上回るパフォーマンスを発揮できるため、知識や目利き力に自信のある方はチャレンジしてみるのもアリです。

なお、一般NISAの上限は120万円ですが、資産運用に積極的で収入の多い方は「もっと投資したい」と思われるかもしれません。その場合、非課税枠を気にしなければ120万円の上限を超えても投資は可能です。

とくに有効なのは、執筆時点で株価が8万円を超えるファーストリテイリング(ユニクロ)のように、一単元(※)の買い付けに数百万円が必要な銘柄を購入したい場合。

株価はその企業がどれだけの株数を発行しているかにも左右されますが、株価の高い銘柄はパフォーマンスが高い傾向にあるのも事実。資金力も問われるため初心者にはおすすめしませんが、ある程度慣れてきたら株価の高騰している銘柄を保有するのも選択肢としては有効です。

※一単元:株の購入に必要な単位のこと。日本株は原則として100株単位でしか購入できず、表面的な株価の100倍が最低買い付け価格となることが多い

投資スタイル別の特徴一覧表

投資信託のみ 個別+投資信託 個別株のみ
リスク
リターン 低~中 低~高 低~高
資金力 100円~ 10万円~ 10万円~
知識・センス ほぼ必要ない そこそこ必要 必要
作業時間 ほぼゼロ 1日10分程度~ 1日30分程度~

※投資信託は指数に連動する投資信託(インデックス型)を選んだ場合、個別株は平均的な国内株を選んだ場合を想定

副業で株式投資をする5つのポイント・注意点

副業で投資をする以上、専業の投資家とはまた抑えるべきポイントや注意点が変わってきます。ここでは、副業で株式投資をする場合のポイントや注意点について解説します。

ポイント1. 本業で得た知識、経験を投資に活かそう

専業の投資家は、四六時中投資のことを考えています。投資信託を買う場合は専業投資家と戦う必要はないものの、個別株投資をする場合は、彼らと同じフィールドで戦わなければなりません。

しかし、専業投資家に副業投資家が勝つ方法もあります。それは、「本業で得た知識や経験を活かして投資をする」こと。自分の周囲では当たり前に定着したサービスを提供していたり、明らかに将来性が見込めたりする銘柄も、市場での評価がまだ追いついていない場合があります。自分の業界での常識は、まだ世間の常識ではない可能性があるのです。

世間の注目が集まる前に株を買っておけば、世間の注目が集まるころに値上がりを期待できるでしょう。

ただ、この投資法を活用する際は、インサイダー取引に注意してください。インサイダー取引とは、まだ市場に公開されていない未公開情報を企業の内部などで入手し、取引を行うこと。これは金融商品取引法で禁止されています。インサイダー取引に抵触しないために、「世間でも公開されているが、まだ注目されていない情報」を利用するようにしましょう。

ポイント2. 自分なりの投資スタイルを確立しよう

繰り返しにはなりますが、投資に正解はありません。

大切なのは、投資スタイルのリスクやリターンなどを把握し、納得して投資を行うこと。万が一損をしてしまった際も、自分なりに考え、納得したうえでの投資なら受け止め方も違うはずです。

正解のない選択だからこそ、自分の性格や価値観に合った投資スタイルを確立するようにしましょう。時には失敗することから得られるものもあるかもしれません。

ポイント3. 本業に支障が出る投資スタイルは避けよう

株式投資は、基本的に資金力のある人が有利です。

100万円で投資した場合、これを200万円に増やすには、投資額を200%(2倍)増やさなければなりません。しかし1億円で投資した場合、1億200万円にするにはわずか2%増やせばいいだけ。資金力の差によって、同じ200万円を稼ぐ難易度は全く変わります。

副業投資家にとっての投資資金は、本業で稼いだ給料から捻出されることが多いでしょう。つまり、副業投資家が勝率を上げるためには、まずは本業でしっかりと稼ぎ、資金力に厚みを持たせることが大切なのです。

本業に支障をきたすような投資スタイルは避け、本業に集中できる環境を整えましょう。

ポイント4. 勉強は大切だが、高額商材の購入は避けよう

株式投資の勝率を上げるには、やはり勉強が不可欠。たとえほったらかし投資をする場合も、「投資商品の特徴」「各国の経済ニュース」は最低限抑え、「収入と投資額の適切な配分」を判断する力は必要です。机に向き合って勉強をする必要はありませんが、普段から投資関連情報へのセンサーを働かせる意識は大切です。

しかし、世の中には「投資の極意を教える」といったうたい文句の、高額な情報商材やセミナーも数多く販売されています。すくなくとも、副業投資家として活動するのに高額情報商材を買う必要はないでしょう。

投資に正解はないので、高額商材を買っても結果が出るとは限らず、赤字になる恐れがあります。

ポイント5. 投資額はほどほどに。利回りが高すぎる商品は警戒しよう

副業投資家は、投資で生計を立てるわけではありません。そのため、生活に支障が出ない範囲で無理のない投資額に抑える意識は大切です。一攫千金をねらうよりも、投資額を毎年数%増やしていく意識で投資に取り組むと、リスクを回避しつつ確実に資産を増やせる可能性が高まります。

なお、一般的に株式投資で期待できる利回りは、投資額の3~7%前後といわれています。投資先によっては10%以上の利回りを期待することもできますが、そのぶんリスクも高まるため、個人的には期待利回りが年3~5%程度になるよう投資を進めていくことをおすすめします。

副業投資における税金の扱い

副業投資を進めていくうえで、税金のことはどうしても気になりますよね。ただ、少額で投資を行う場合、税金のことはほとんど考えなくて大丈夫です。

そもそもつみたてNISAと一般NISAは、年間の限度額まで運用益が非課税です。非課税枠を超えて株に投資した場合も、証券会社に株式保有用の口座を開設するときに「特定口座(源泉徴収あり)」という口座を選べば、株の利益から自動で税金を引いてくれるので、基本的に確定申告の必要はありません。

課税される場合は利益に対して20.135%の税金がかかるとはいえ、数ある副業のなかでも利益にかかわらず確定申告が不要な株式投資は、経理作業が苦手な人にとってもありがたい存在です。

株式投資以外のおもな投資先

ここまで、株を中心に副業投資について考えてきました。

ただ、投資先はなにも株だけではありません。世の中にはさまざまな投資先があり、株以外の資産にも投資することで「世界的に株価がめっちゃ下がった……」という場合にも、資産の急減を食い止めることができます。

個人的には、株以外にもいくつかの資産に分散して投資することをおすすめします。

投資先1. 債券

債券は、株以外だと最もメジャーな投資先でしょう。そもそも債券とは、かんたんに言うと「国や企業がお金を貸してもらうために発行する」ものです。私たちは債券を買うことで国や企業にお金を貸し、貸している間や返してもらうときに利子をつけてもらえます。

債券は市場で売買できるものもあり、株と同じく売り買いで利益を出すことも可能。誰が発行した債券を買うかによりますが、一般的に株よりもリスクとリターンは低いです。株より安全に資産を増やしたい場合におすすめで、初心者向けの投資先です。

投資先2. 不動産(REIT)

不動産、つまり住宅への投資も副業投資の世界では主流です。分かりやすく言えば、賃貸物件の大家さんのこと。持っている土地にアパートを建てて入居者を募って家賃収入を得たり、安い物件を購入したうえでリフォームし、転売して利益を上げたりといった稼ぎ方があります。

ただ、実際に不動産を購入したうえで管理するのは、お金も手間もかかります。そこで、投資家からお金を集め、不動産運用を行う「REIT」という投資信託を利用すると、直に不動産運用をしなくても不動産運用で得た利益を手にできます。

副業の場合は充てられる時間に制限もあるので、副業投資の投資先としては、不動産を直接運用するよりもREITのほうがおすすめです。

投資先3. 外貨(FX)

ニュースなどで、「1ドル=○○円」という情報を見たことはありませんか? ドルと円のような「通貨」には両替をする際のレートがあるのですが、このレート差を利用して利益を上げる方法があります。たとえば、1ドル100円の際に円をドルに変えておき、1ドルが130円になった際にドルを円に戻せば、100円が130円に増えます。

外貨投資の一般的な手法は「外貨預金」で、普通の預金のように外貨を貯めて通貨間のレート差を利益につなげます。ただ、通貨のレート差は平常時であれば大きく動きません。そこで、少ない手持ち資金にレバレッジをかけ、より大きな利益を得る「FX」とよばれる取引があります。

レバレッジをかけると大きな利益も見込めますが、同時に損失も大きくなるため、個人的には高倍率でのFXはおすすめできません。ただし、一定の外貨を保有することで「めちゃくちゃ円安(=貯金の価値が下がると思ってください)になってしまった……」というときの為替リスクには備えられます。

投資先4. 現物資産(金、銀など)

金や銀、プラチナといった現物商品への投資も有効です。こうした貴金属の価値は時代を経ても大きくは変わらないため、ある意味でお金以上に安全な資産ともいえます。ただ、価値が定まり過ぎているがゆえに、値動きの幅も極めて小さいのが特徴です。

一方、古くから金融商品として知られてきた貴金属以外にも、近年は美術品やスニーカー、トレーディングカードなど、多くのものにプレミアがつき、投資商品と化している現状があります。こうした現物資産への投資は、その分野に詳しく、かつ半ば趣味として楽しめる場合は効果的でしょう。

投資先5. 仮想通貨

ビットコインなどの仮想通貨への投資は、近年非常に加熱しています。仮想通貨の将来性は高く評価され、価値の急上昇が続いていたからです。いわゆる「億り人」と呼ばれる人たちの出現もニュースになりました。

ただ、仮想通貨は投資先としてはやや心もとないと思います。じつは、2022年に入ってからは有名どころの仮想通貨(ビットコインなど)の値動きは落ち着き、これまでのような暴騰はあまり見られなくなりました。また、法整備が追いついていないことによるトラブルや、高額な税金なども気になるところ。

投資をする場合も、最低限の金額にとどめておくのがいいでしょう。

投資先6. 預貯金

みなさんが当たり前のように行っている「預貯金」も、じつは一種の投資です。

私たちは銀行にお金を預け、その代わりにほんの少しの利息をもらっています。形式的には投資と変わりません。ただ、1000万円までの預貯金は元本が保証されており、利息も微々たる額のため、投資と感じづらいのです。なお、私たちが行っている「普通預金」よりも少しだけ利息が多くなる「定期預金」などの制度もあります。

もっとも、預貯金ではお金が増えることはほとんどなく、さらにインフレが進む(=物価が高くなる)と現金の実質的な価値は目減りします。預貯金「だけ」に投資するのも、リスクがないとはいえません。

株以外の投資先の特徴一覧表

株(基準) 債券 不動産(REITの場合) 外貨 現物資産(金の場合) 仮想通貨(ビットコインの場合) 預貯金
リスク 極低 極低 極低
リターン 極低 極低 極低
元本保証 なし なし なし なし なし なし あり(原則1000万円+利息分まで)
税率(利益が出た場合) 20.315% 20.315% 20.315% ・利息:20.315%
・為替差益:総所得により変動
総所得により変動 総所得により変動 20.315%
最低投資価格 100円~ 100円~ 100円~ 0.01ドル~ 1000円~ 0.00001BTC~ 1円~

※投資先ごとに、一般的な商品を選んだ場合を想定。なお、各商品には「各商品の価格に連動する投資信託」もあるため、最低投資金額は投資信託も含めて計算

まとめ

ここまで、副業投資のキホンについて解説してきました。社会の先行き不透明感から、投資に興味を持つ方も増えているでしょう。投資をする際は、「自分なりの投資スタイル」を意識し、無理のない範囲での投資にとどめましょう。

なお、本コンテンツは情報提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で作成したものではありません。投資の最終判断は、ご自身で行っていただきますようお願いします。

(執筆:齊藤颯人 編集:宮﨑駿)

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