フリーランスでも“パパ育休”は取れる?知らなきゃ損する制度とお金

フリーランスでも“パパ育休”は取れる?知らなきゃ損する制度とお金

「フリーランスの自分には、パパ向けの育休なんて関係ない」。そう思っていませんか?

確かに、会社員のような育児休業制度はフリーランスには存在しません。しかし、フリーランスでも活用できる支援制度はあり、工夫次第でしっかりと育児に関わることができます。

この記事では、そんな「知らないと損する支援制度」「フリーランスならではの育児と仕事の両立方法」について、社労士(社会保険労務士)の立場から詳しく解説します。家族との明るい未来を描くためにも、ぜひ最後までご覧ください。

もひもひ
もひもひ

開業社会保険労務士(東京都社会保険労務士会所属)、特にIT/Web業界を中心に支援している。趣味は同人活動で、評論同人サークル「さかさまダイアリー」より同人誌「村上春樹っぽい文章の書き方」シリーズなど発行。(X:@mo_himo

会社員向けのパパ育休制度は年々拡充中

近年、政府は男性の育児休業取得を強く推進しています。

例えば、2022年に新設された「産後パパ育休(出生時育児休業)」は、子の出生後8週間以内に最大4週間の休業が取得できる制度です。通常の育児休業(子が1歳になるまでに取得する制度)とは別に利用でき、育児ニーズの高い時期に活用しやすくなっています。また、必要に応じて2回に分けて取得することも可能で、より柔軟な取得ができる点も特徴です。

参考:厚生労働省 育児休業制度 特設サイト「令和3(2021)年法改正のポイント」

さらに2025年4月からは、従来の「育児休業給付金」に加えて「出生後休業支援給付金 」も支給されるようになり、「産後パパ育休」中は「手取り10割」相当額が支給されるなど、男性が育児に関わりやすい環境が整ってきています。

でも…フリーランスは対象外

ただ、このような育児支援制度は、基本的に会社員向けのものです。これらの制度は雇用保険の枠組みで支給されるため、そもそも雇用保険に加入していないフリーランスは対象外となるのです。

「法人化すれば、支援が受けられるのでは?」と考える方もいますが、法人の代表(社長や代表取締役など)は「労働者」ではないため、雇用保険に加入できません。したがって、フリーランスは会社員のような手厚い支援は期待できないのが現状です。

悲しむ男性

▲フリーランスパパ向けの制度はまだまだ整備されていないのが現状

では、フリーランスが「育休と同等の期間」を確保するにはどうすればいいのでしょうか?

フリーランスが「セルフ育休」を取るには

支援制度においてはなんとも心もとないフリーランスですが、自由な働き方を活かせば、工夫次第で「育休に近い環境」を作ることは可能です。

たとえば、長期的な視点で業務量がコントロールできるようであれば、あらかじめ生活費を確保しておき、育児にコミットする期間は業務量をセーブするのがおすすめ。育児に関われるのはもちろん、育児期間中の所得が下がることで、行政の支援サービス(医療費助成や支援金など)が受けやすくなる場合があるためです。

※国の支給する「児童手当」からはすでに所得制限が撤廃されたものの、自治体の支援では、所得額に応じてサービスに差があるケースも多々あります。

ただしその場合は、復帰後もスムーズに仕事を受注するために、

  • 前もってクライアントに状況を共有しておく
  • 夫婦間で、出生〜3歳頃まではどのように育児・家計を分担するか設計を立てておく
  • 同業のフリーランスで「先輩パパ」がいれば、日頃のタイムスケジュールなどを聞いて両立のイメージをつけておく
  • 住んでいる市区町村の支援サービスを確認する

などの備えを進めて、「セルフ育休」を取得できるようにしておきましょう。

ちなみに、育児休業取得を視野に、フリーランスから一度、会社員として就職する選択肢を検討する方もいます。ただし、ここには注意すべきポイントがあります。会社によっては、入社1年未満では育児休業が取得できない会社もあるのです。思わぬ計画変更に見舞われないように、入社前に制度の適用条件を確認しておきましょう。

家族

▲育児中の生活をスムーズに送るために、周囲とはしっかり話し合っておきましょう

少しずつ始まっている?フリーランス向けの育児支援

会社員に比べるとかなり遅れが目立つ、フリーランス向けの育児支援。政治の世界でも課題意識はあるようで、少しずつ前進しているのは事実です。

たとえば2026年10月からは、フリーランスでも育児中は国民年金保険料が免除されるようになります。この免除期間は学生期間とは異なり、あとから追納する必要はなく、老後の年金支給額も減りません。

参考:厚生労働省「国民年金における育児期間の保険料免除」

フリーランスはその働き方の特性上、、就業や給与の実態が補足しにくいため補償の範囲が定義しづらいという課題があります。さらには公平性の担保も難しいことから、結果として支援の対象となりにくい状況が続いていました。

今回の「年金免除」のように、所得制限なく一律で公平に負担を軽減されるような取り組みが増えていけば、フリーランスの子育てももっと安心してできる時代が来るかもしれません。

 

【体験談】フリーランスパパに聞いた、育児と仕事のリアル

「制度がないからこそ、自分たちなりに工夫してやりくりしてきた」──そんな声も多いフリーランスの育児。実際に育児期を経験したパパのリアルな体験を聞かせてもらいました。

出産前に話し合った“わが家なり”の分担ルール

子育てと仕事の両立がうまくいかず、会社を辞めてフリーランスになったという経緯があるので……正直、あまり「良い話」はできないかもしれません。0歳のときなんて、いまだに妻に恨まれているくらいで、反省しきりです……。

そのうえで当時を振り返ってみると、出産前は、夫婦で家事や育児の分担をざっくりと話し合っていました。僕は夜遅くまで起きるのが本当に難しい体質なので、それ以外で何ができるかを考えて、沐浴を担当したり、ミルクを作ったり、抱っこや遊び相手になったりしていました。

会社員の頃は、夜遅く帰ってきて抱っこするぐらいしかできなかったので、フリーランスになって少し時間を取りやすくなったぶん、役に立てた実感は少しあります。

自治体サービスや支援イベントも活用

母子手帳をもらいに行ったときに、役所からたくさん資料をもらいました。その中に、妊婦体験や沐浴体験ができるイベントの案内があって、夫婦で何度か参加しました。沐浴体験は特にやっておいて本当に良かったです。事前に少しでも練習しておいたおかげで、実際の場面でも少しだけ落ち着いて対応できました。

出産後は、生後2ヵ月くらいのときに区から電話がかかってきて、助産師さんが訪問してくれるサービスがあると知りました。そのタイミングで、子育て支援センターの存在を知ったり、定期的に助産師さんに相談できる機会があることを教えてもらったりして、支えられた部分が多かったです。

想定外の連続。育児と仕事の両立の難しさ

出産後はいろいろな想定外に見舞われました。娘は鼻から風邪をひきやすい体質だったので、しょっちゅう病院に連れて行った記憶があります。鼻水を吸う機械も試したんですが、うまく使えずにただ泣かせてしまうこともあって……。その対応をしていると、どうしても仕事に集中できない日も多かったです。

買ったのにほとんど使わなかった育児グッズも、けっこうあります。うちの場合はバウンサー。全然出番がなかったです。買う前にレンタルで試してみたほうが良かったなと後悔しました。

とはいえ、助かったアイテムもあります。布で巻けるタイプの抱っこひもは、娘がすやすや寝てくれることが多くて、ほんとに神アイテムでした。

病院

▲子供が小さなうちは病院にかかる機会も多い分、フリーランスという働き方のメリットを受けやすいかも

情報は“取りに行く”もの? パパとしての反省と、情報の集め方

正直に言うと、情報収集はほぼ妻に頼りきっていて、僕自身はあまり主体的に取りに行けてなかったと思います。妻に相談したら「パパ向けの情報が少ないんじゃなくて、パパが情報を取りに行ってないだけ」と言われて……その通りすぎて何も言えませんでした。

うちの場合は、区から配布された資料や、子育て支援センターで出会ったママ友のネットワークが情報源になっていました。特に、妻のママ友にすごく詳しい方がいて、その方からの情報が大きかったです。

もしママ友・パパ友の輪が広げられない場合は、支援センターの保育士さんに相談するのが良いと思います。あとは、「〇〇区 子育て支援」でネット検索して、出てきた自治体の情報を頼りにするのも初動としておすすめです。うちは実際、そこから問い合わせして資料をもらっていました。

「知っておく」だけで楽になることも

やるべきことが次から次へと出てきて、つい「わざわざ調べている余裕なんてない!」となりがちなのが子育ての時期。だからこそ、「事前に知っているかどうか」でラクになることが多いものです。

子育て関連の支援制度は、自治体ごとに内容が違うことがほとんど。役所窓口に足を運ばないとできない申請があったり、ルールが毎年のように変更されたりと、思わぬ手間がかかることも多いです。だからこそ、パパが前もって、住んでいる地域の情報を意識して収集しておくと、いざというときに思わぬ助け船が見つかるかもしれません。

会社員とは異なり、フリーランスの父親へのサポートは、まだまだ国の制度としては不十分です。とはいえ、フリーランスならではの自由な時間の使い方を活かして、「父親として育児に関わる」選択をする人もたくさんいます。

あとから「知らなかったから損をした」と後悔しないためにも、あらかじめ長期的に未来を見据えてシミュレーションしておくのが良さそうです。

Workship最新画像

▲出典:Workship

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(執筆:もひもひ 編集:夏野かおる)

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