民泊を副業として始めるには? 外国人観光客の入国制限緩和にあわせて解説

民泊副業
FREELANCE

コロナ禍に突入して2年ほど経過しましたが、ここにきてようやく海外からの入国規制が緩和されはじめました。円安も相まって海外からの旅行者も増えてくることが予想されます。

コロナ前までは、訪日外国人の方々を対象にしたインバウンド関連の事業が盛んだったことを記憶されている方も多いでしょう。なかでも、訪日外国人の方々が安く泊まれる場所を提供できるサービスとして、「民泊」は大きな注目をあつめていました。しかし最近は民泊という単語自体も、メディアに取り上げられることが少なくなっています。

ですが、以前までの日常が戻り、訪日外国人が増えてくれば、おのずと民泊がまた注目されてくるはず。今回は「副業としての民泊」について解説していきます。

民泊とは?

「民泊」という言葉自体は、友人や旅人を無料で家に泊めることを意味する言葉として使われていました。

しかし、Airbnbに代表される、「部屋を貸したい人」と「部屋に泊まりたい人」を仲介するようなサービスが登場したことで、副業として空き部屋を有効活用できるサービスとして「民泊」が認知されはじめました。

民泊で活用されている物件の多くが、空き部屋や家主が不在中の家です。ですが、民泊用に部屋を複数借りて事業として部屋を貸し出す人たちが増えてきたため、日本国内で問題となりました。

というのも、日本には「旅館業法」という法律があり、有料で継続的に人を宿泊させるには決まりごとがたくさんあったのです。しかし、民泊のスタイルが既存の法律とかみ合わなくなっている事情がありました。

そこで、民泊と既存のホテルや旅館での宿泊を区別し、民泊をより活用しやすくするために「民泊新法(住宅宿泊事業法)」が整備されました。

民泊新法の図解

▲民泊新法にもとづく民泊運営のイメージ(出典:国土交通省)

民泊新法で定められた条件を満たせば、日本でも民泊を活用して有料で観光客を泊めることができます。

また、お金を稼ぐだけでなく、国際交流を目的として外国人観光客を迎え入れている場合もあるようです。

民泊副業のメリット

まずは民泊副業のメリットについて確認していきましょう。

メリット1. 副収入が得られる

民泊はおもに民家を宿泊施設として利用する特性から、個人が所有する物件を運営して収益を得るケースが多くなります。本業がサラリーマンでも、空き家を民泊ビジネスに活用して、本業の給料とは別に民泊の売上を副収入として得ている方も多くいます。

ただし、サラリーマンの方が副業を行う場合、勤め先の就業規則で副業が禁止されている可能性も。会社ともめ事を起こしたくない場合、就業規則はよく確認しておきましょう。

メリット2. 業務を外注しやすい

副業するにあたり、業務を外注できるか否かは大切なポイントです。その観点で見れば民泊副業は、賃貸運営と同じくほとんどの業務を外注できます。

おもな業務には、ゲストの募集や問い合わせ対応、消耗品の補充、清掃やゲストとのやりとりなどが該当します。

もちろん外注するにあたり費用はかかりますが、副業で行うならば外注できる部分はどんどんした方が良いでしょう。オーナーは物件を貸し出し、なるべく意思決定を行うだけに集中したいです。

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メリット3. 空き家の資産価値を高められる

空き家を民泊として活用することで、空き家の資産価値を高めることにもつながります。

民泊の許可や届出を行い、収益をあげていることが証明できれば、その分、物件資産に付加価値が加わります。また、実際の宿泊料収益をベースに不動産の価値を算定し、収益物件として売却することも可能です。

民泊副業の注意点

民泊副業には多くのメリットがある一方、副業するにあたり注意点も確認しておかなければなりません。

注意点1. 180日間の営業制限がある

民泊の急速な普及に応える形で誕生したのが民泊新法。しかし、民泊新法にもとづいて運営できる民泊は、「人を宿泊させる日数として国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより算定した日数が1年間で180日を超えないもの」と定められています。

180日の営業制限が設けられた背景には、民泊事業の普及によるホテル・旅館業需要の低下を懸念する声があがったためだと言われています。ですが、民泊を禁止してしまえば、訪日外国人などの増加による観光需要を取り込むことができません。そのため既存事業の妨げにならない範囲の日数として、年間180日の営業制限が設けられました。

では、仮に180日以上営業した場合はどうなるのか。じつは180日を超えて営業しても、民泊新法による罰則は特にありません。しかし、180日を超える営業は民泊新法ではなく、旅館業法にもとづく許可を得る必要があります。

つまり、無許可で180日以上民泊を運営すると旅館業法違反の罪となり、6か月以下の懲役もしくは3万円以下の罰金が科せられます。また、都道府県知事への定期報告で、宿泊日数について虚偽報告を行った場合、民泊新法にもとづいて30万円以下の罰金が科される可能性があることにも注意しておきましょう。

注意点2. 収入が安定せず、赤字もあり得る

宿泊業である以上、物件の稼働率が収入に直結してきます。稼働率は時期によって異なるため、収入が安定しにくいです。宿泊予約が入らなければ収入が得られず、収入は観光客数や周辺施設、繁忙・閑散時期の影響を大きく受けることになります。

また、運営している限りランニングコストがかかります。物件を購入した場合にはローンの返済、物件を借りた場合には家賃の支払いなどが発生しますし、民泊仲介サービスを利用するとなると、手数料もかかります。その他にも、インターネットなどの通信費や水道光熱費、トイレットペーパーなどの消耗品費なども発生してくるでしょう。

つまり、収入が安定しないだけでなく、場合によっては赤字が発生する可能性もあります。

実際、今回のコロナ禍でも民泊事業は少なからずダメージを受けています。今から民泊事業の副業を検討するならば、コロナ禍の問題が解消されたあとでも、「以前のような需要は本当に回復するのか」といったシミュレーションは慎重に行いましょう。

注意点3. 近隣住民とトラブルの可能性がある

宿泊者が大声で騒ぐ、ゴミを適当に捨てて帰るといった問題等で、近隣住民との間でトラブルが発生する可能性もあります。また、外国人が出入りすることを不安に思う近隣住民も少なくないようです。

宿泊者・近隣住民がお互い快適に過ごせるように、宿泊者に対するトラブル防止策を事前に伝えておきましょう。トラブルが起こったときの対応方法をあらかじめ近隣住民に説明しておくなど、事前に対応をしておくことが望ましいと言えます。

民泊副業のはじめ方

今回は、すでに物件を所有している方が民泊副業をはじめる場合の手順について、順を追って解説します。

ステップ1. 事業計画を立てる

副業で民泊をやると言っても、民泊は立派なビジネス。そのため、事業計画は必要です。

コロナ禍の影響で自由に移動することが制限されている世の中でもあり、勢いだけで民泊をはじめるにはリスクが高くなってきています。事業計画はきちんと立てるようにしましょう。

ステップ2. 初期費用を準備する

仮に物件を所有している方が民泊をはじめる場合でも、最低10万円~100万円程度の初期費用は見積もっておくべきです。

たとえば、民泊物件には規定の消防設備の設置をしなければなりませんし、非常灯や火災報知器など最低限の設備を設置する場合でも、費用は約20万円必要です。民泊の規模が大きい場合や旅館業での営業許可取得を目指す場合には100万円以上かかることも。

法的な設備だけでなく、ゲストが快適に過ごせる環境を整えるのにも費用はかかります。ベッドや洗濯機、冷蔵庫など、最低限の家具や家電は揃えておきたいところ。この部分をおろそかにしてしまうと、集客者数や宿泊客の質に悪影響を及ぼす可能性があります。

ステップ3. 民泊を始めるための手続きをする

民泊は、根拠となる法律によって「旅館業民泊」、「特区民泊」、「民泊新法」の3つの運営スタイルに分けることができます。副業で行う民泊の場合、一番手続きが簡単な「民泊新法」にもとづいた運営が基本になるでしょう。

民泊新法の場合は、消防設備や緊急時の対応などの基準を満たしていることを証明する書類を提出するだけで運営が可能になります。

旅館業民泊 特区民泊 民泊新法
根拠の法律 旅館業法 国家戦略特区法 住宅民宿事業法(民泊新法)
許認可 許可 認定 届出
営業日数 制限なし 制限なし(最低2泊3日以上の滞在が条件) 180日以内
特徴 ・ホテルや旅館と同程度の民泊運営が可能
・基準が厳しく、手続きが大変
・住居専用地域での運営は不可
・営業日数に制限がない
・認定基準が旅館業民泊よりも低い
・一部の戦略特区のみで運営が可能(東京都大田区など)
・届出のみで運営可能
・住宅街(住居専用地域)での運営が可能
・営業日数制限がある

ステップ4. 民泊サイトに登録する

運営許可がおりたら、民泊サイトに登録し、情報を掲載していきましょう。とくに掲載する写真は、宿の予約率・稼働率に大きく影響します。

多少費用はかかってもプロのカメラマンに撮影を依頼し、素晴らしい写真を掲載するように心がけましょう。

また、複数のサイトに登録しておくことで、稼働率を上げることにもつながります。ただし、複数のサイトを利用する場合には、ダブルブッキングには要注意です。

おすすめの民泊仲介サービス

世界中からの訪問を期待したい場合、民泊仲介サービスを利用することがおすすめです。ここでは、とくにシェアが多い民泊仲介サービスを紹介します。

1. Airbnb

airbnb

▲出典:Airbnb

民泊と言えばAirbnb。Airbnbの存在が世に民泊を広めたといっても過言ではありません。民泊を始めるならば、まずはここから登録しておきましょう。

2008年よりスタートした世界最大手の民泊仲介サービスで、今では世界192か国で事業を展開しています。日本でも国内外問わず旅行先や出張先の滞在施設を探したいときに利用する方が多いイメージです。

2. Vrbo

Home Away

▲出典:Vrbo

Vrbo』は、オンライン旅行予約サイトの『エクスペディアグループ』が提供する民泊仲介サービスです。

全世界約190か国で事業展開をしており、Airbnbに次いで世界第2のシェアを誇る民泊メガサイトのひとつ。過去には『Home Away』などのブランドも展開していましたが、2020年にリブランディングを行い、民泊関連のブランドはVrboに統一されています。

3. Flipkey

flipkey

▲出典:Flipkey

FlipKey』とは、世界最大級の旅行口コミサイトを運営するTripAdvisorグループの民泊仲介サービスです。TripAdvisorには、宿泊施設をはじめ、レストラン、ツアー、航空会社など約870万件の施設が登録されています。FlipKeyはこの世界最大級の口コミサイトの一部といえます。

ゲストは投稿されたレビューをもとに民泊物件を選択できることから、良くも悪くも生きた情報を確かめられます。シビアなレビューが書き込まれるかもしれませんが、そこは素直に改善ポイントと受け止めて、レビューは積極的に参考にしていきましょう。

4. AsiaYo.com

asiayo

▲出典:AsiaYo.com

AsiaYo.com』とは、2013年に台湾でスタートした、台湾における人気ナンバーワン民泊仲介サービスです。

台湾人のほとんどがAsiaYoを利用して民泊の予約を行うといっても過言ではありません。そのため、台湾人の集客を考えている方にはおすすめの仲介サービスとなります。

AsiaYoでは、基本的には民泊物件を登録した後のゲストとのやり取りは、AsiaYo側が行うため、オーナーの負担は軽減されるはずです。しかし、サポートが手厚い分、仲介手数料率が他の仲介サービス会社よりも高く設定されている側面もあります。

民泊副業はどのくらい稼げる?

実際、民泊を運営すればいくらくらい稼げるのでしょうか。もちろんさまざまな条件によって収入は変動しますが、ここでは自分のワンルームマンションを民泊として提供した場合を例に考えてみます。

まず、宿泊料金はシングルで3,000円に設定します。この設定で月に20日の利用があると、ざっと60,000円の売上になります。しかし、売上がそのまま利益にはなりません。売上から光熱費や消耗品費、民泊仲介業者を利用した際の手数料などを支払うことになります。

民泊副業収益 = 部屋の利用料金 × 利用日数 - 諸経費

ワンルームマンションではなくファミリーサイズの部屋ならもっと強気の料金設定でも問題ないでしょう。また、戸建てを貸し出すとなるとさらに料金を上げることができるはずです。自分が使わないときだけ家を貸し出すだけでも、月数万円は稼げるでしょう。

ホテルなどの宿泊ビジネスと同じように、その地域での妥当な料金設定と空室率対策がきちんとできれば大きく稼ぐことが可能なのが、民泊副業の魅力でもあります。

おわりに

旅行の規制緩和、円安が追い風になって訪日外国人が増え、再び民泊が注目される世の中になることを期待しましょう。

コロナ禍によって民泊をはじめるタイミングを逃した方も大勢いるかと思いますが、この機会に改めて民泊の副業について考えてみるのもいいかもしれません。

(執筆:S-KAYANO 編集:齊藤颯人)

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