フリーランス採用の最新動向調査:平均採用期間や採用獲得方法、正社員オファーの実態【人事向け】
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株式会社GIG(所在地:東京都中央区、代表取締役:岩上貴洋)は、2025年10月に人事・採用担当者の方106名を対象とした「フリーランス・業務委託採用」に関する調査を実施しました。
働き方の多様化や人材獲得競争の激化に伴い、フリーランス・業務委託人材の活用は、多くの企業にとって戦略の1つとなっています。
本調査では、フリーランス活用の動機やフリーランス人材の採用手法・採用基準などのフリーランス採用の最新動向や、トランジション採用(フリーランスの経験がある方を正社員採用すること)の実績の有無などが明らかになりました。
目次
調査名:人事・採用担当者を対象としたフリーランス・業務委託の採用調査(Workship / GIG)
調査期間:2025年10月
調査対象:人事・採用担当者
調査方法:オンラインアンケート調査
有効回答数:106名(設問によって異なる)※本調査について外部でご紹介いただく際は、「人事・採用担当者を対象としたフリーランス・業務委託の採用調査(Workship / GIG)」を明記のうえ、資料のダウンロード先として以下へのリンクを設置してください。
https://enterprise.goworkship.com/material/54
調査結果についての詳細は、下記の「PDFデータをダウンロード」からご覧ください。

フリーランスとして業務を依頼していた方に正社員としての採用を検討・打診したことがあるか尋ねたところ、「検討・打診したことがある」と回答した企業は44.3%に上りました。
「検討中(12.3%)」を含めると、全体の56.6%と、半数以上の企業がトランジション採用を視野に入れていることが明らかになりました。
即戦力でありながらミスマッチのリスクが低い優秀な人材を獲得する上で、フリーランス・業務委託の活用が有効な手段となっていることを示唆しています。

トランジション採用を検討・打診した企業に対し、そのフリーランス人材が業務に関わっていた期間を尋ねたところ、最も多かったのは「1年〜2年未満(31.7%)」でした。
「6ヶ月〜1年未満(26.7%)」を合わせると、58.4%が半年から2年未満という比較的短中期的な業務期間を経て打診に至っていることがわかります。
この結果は、企業側が半年〜2年程度の期間で、候補者の実務遂行能力や組織への適応性などを評価し、正社員としての採用に踏み切っていることを示しています。

トランジション採用の検討対象となるフリーランス人材の特長に関して、最も多かった回答は「専門性やスキルが非常に高い(55.0%)」という実務能力に関する項目でした。
これに続き「周囲と積極的にコミュニケーションを取っている(48.3%)」「企業文化やチームへの理解度が高い(45.0%)」といった、組織におけるソフトスキルや適合性を示す項目が上位を占めています。
この結果は、企業がフリーランスを正社員登用する際、単純なスキルレベルだけでなく、「組織の一員として円滑に業務を遂行し、チームに定着できるか」を重視していることを裏付けています。

フリーランス人材の獲得チャネルで企業が最も利用するのは「マッチングプラットフォーム(36.8%)」で、「フリーランスエージェント(35.8%)」「過去に一緒に働いた元同僚・元取引先(35.8%)」と続きます。
チャネルの活用傾向には「専門サービス(プラットフォーム・エージェント)の活用」による外部からの効率的な獲得と、「過去の信頼関係(リファラル)」による獲得の、大きく2つがあることがわかります。
フリーランス採用においては、外部サービスを活用して採用効率を上げると同時に、既存のネットワークや実績を活用した信頼性の高いチャネルも重要であることを示唆しています。

フリーランスの獲得チャネルとしてSNS(X, Facebook, LinkedInなど)を活用している企業を従業員規模別に分析したところ、従業員1,000名以上の大企業において、SNSの活用割合が41.3%と突出して高い結果となりました。
この結果は、企業規模が大きくなるほど、SNSをフリーランス採用においても積極的に活用している傾向があることを示しています。
中小企業ではマッチングプラットフォームやエージェントといった即効性のあるチャネルが重視される一方で、大企業は認知度向上と潜在層へのアプローチを目的として、SNSを戦略的に獲得チャネルに組み込んでいると推測できます。

企業がフリーランス人材の獲得チャネル(プラットフォームやエージェントなど)を利用する理由で最も重視されていたのは、「スピーディーに人材を見つけられるから(50.0%)」でした。
「希望するスキル・専門性を持つ人材が見つかりやすいから(43.4%)」が続き、企業がフリーランス採用に際して、迅速な課題解決と専門性の確保を最優先していることが示されました。
この結果から、フリーランス採用においては、母集団の規模よりも、採用したい人材が登録しているかどうかという「質の高さ」がチャネル選定の決め手となると推測できます。

フリーランスを1名採用するために、企業が面談・面接を行う候補者の数は、「5〜6名(26.4%)」が最多となりました。
回答の65.1%が「1〜6名」の範囲に集中しており、フリーランス採用においては、比較的少人数の候補者と集中的に面談・面接を進めている傾向が明らかになりました。

フリーランス採用の面談・面接人数は、企業の従業員規模によっても傾向がみられます。
特に従業員1,000名以上の大企業では、1名採用するために「7名以上」の候補者と面談している割合が39.1%(※)と、他の規模の企業と比べて高い結果となりました。
※「7〜10名」26.1%、「11名以上」13.0%の合計
一方で、中小規模の企業では面談人数が「1〜6名」の範囲に集中しており、この結果は、企業規模が大きくなるほど、より多くの候補者を比較・検討する傾向があることを示唆しています。

フリーランス人材の採用活動(募集開始から契約締結まで)にかかる期間に関して、最も多かった回答は「2週間から1ヶ月未満(40.6%)」でした。
また「1週間未満(10.4%)」と「1週間〜2週間未満(17.9%)」を合わせると、28.3%の企業が2週間未満という極めて短期間で採用を決定していることがわかります。
この結果は、フリーランス採用が、正社員採用と比べて短い期間で進行していることを示しています。事業の急なニーズや課題解決に対応するため、企業は採用プロセスを効率化し、短期間で即戦力人材を確保しているといえるでしょう。

フリーランス人材の選考において、応募書類(履歴書、職務経歴書、ポートフォリオ)で採用担当者が重視する項目は何でしょうか。
最も多かったのは「職務経歴・実績(過去の担当プロジェクト、役割など)」で65.1%、次いで「スキルセット(使用可能なツール、言語、技術など)」が48.1%となり、この2項目が上位を占めました。
この結果は、企業がフリーランス採用に際し、即戦力としての具体的な実績と技術力を最も優先して評価していることを示しています。
一方、「勤務地・リモート対応可否」は17.0%に留まっています。「稼働可能時間・期間(36.8%)」や「対応可能な業務範囲(34.0%)」といった、場所の制約以外の業務遂行の条件に関する項目がより重視されていることがわかります。

書類選考と同様に「専門性の高さや特定のスキル(54.7%)」と「これまでの実績やポートフォリオ(45.3%)」が上位を占めました。これは、即戦力性が最終判断においても根幹であることを示しています。
「自社のチームや企業文化との相性、人柄」が37.7%に上る点も注目に値します。

「自社のチームや企業文化との相性、人柄」は、面談・面接の段階(26.4%)では重視度が低いものの、最終的な採否を分ける段階では37.7%と、重要な判断材料へと変化していることがわかります。

過去に採用を見送ったフリーランス人材から再応募があった場合、企業の対応として最も多かったのは「前回からの成長やスキルアップが見られれば、改めて選考する」で30.2%でした。
次いで「プロジェクトや要件が変わっていれば、改めて選考する」が27.4%となり、これら2つが上位を占めています。
一方で、「基本的に選考しない」と回答した企業はわずか8.5%に留まっており、一度不採用となった候補者に対しても、企業の採用ニーズや候補者の変化に応じて柔軟に対応する企業が大多数を占めていることがわかりました。
採用要件の厳格化が進む中で、企業が一度接点を持った候補者のポテンシャルや改善点を見極め、中長期的な人材プールとして捉えているトレンドがあると推察できます。
今回の調査結果から、企業がフリーランス人材に求める要素は、採用プロセスを通じて一貫して「高い専門性」と「具体的な実績」であることが確認されました(書類選考で最も重視)。
一方で、選考過程の後半、特に最終決定の段階では、「専門性・実績」に加え、「自社のチームや企業文化との相性・人柄」の重視度が上昇(面談時26.4% → 最終判断時37.7%)し、ソフトスキルの重要性が高まっています。
この「相性・人柄」への高い評価は、業務遂行能力を現場で確認した後、フリーランスを正社員登用(トランジション採用)する際の重要な判断基準である「組織への適応力」と関連しており、ミスマッチのない優秀な人材を獲得するための鍵となります。
調査結果についての詳細は、下記の「PDFデータをダウンロード」からご覧ください。

企業の従業員規模は、「1000名以上」が43.4%と最も多く、次いで「100名〜299名」(16.0%)、「30名〜99名」(14.2%)となりました。

回答企業の業種は、「製造業(メーカー、工場、部品製造等)」が24.5%で最も多く、次いで「IT・Web・通信(SaaS, Webサービス、システム開発、インフラ等)」(15.1%)、「不動産・建設(不動産仲介、開発、建設等)」(10.4%)が続きました。

