【社労士解説】ジョブ型雇用時代におけるフリーランスの生存戦略とは?
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リモートワークが主流となった今、生活と仕事はもはや同一のものと化し、その境は非常に曖昧なものとなった。
特に始業時間が定まっていない勤務形態の場合は、定時に仕事を始めることが極めて困難であると言われている。
今回はそんな状況を打破すべく、起床のための「モーニングコール」のように、仕事のための「ワーキングコール」を作っていきたい。
1993年、記録的な冷夏による米不足の年に生まれたエンジニア。ここ一年のリモートワークのせいで体重と腹囲が大幅増加しました。
リモートワークほど厄介なものはないというのが私の主張である。
私は普段エンジニアという名の下、日がな一日パソコンとにらめっこしている男である。それは会社にリモートワークという制度が導入されたとしても変わらず、にらめっこする場所が会社から自宅に変わるだけだとたかをくくっていた。しかし、リモートワークには大きな落とし穴があった。
リモートワークとは、出勤せずとも居住空間で仕事を行うことのできる制度である。裏を返せば、生活空間で仕事を行わなければならないということでもある。
これは自宅大好きっ子の私や読者諸賢におかれては一大事である。なにしろ大好きな大好きな自宅に仕事が攻め入ってくるのだ。その昔「男子厨房に入らず」などという言葉が存在したが、自宅大好きっ子としては仕事も自宅には入ってきてほしくないのだ。欲を言えば自宅に限らず、どこにも入ってきてほしくないのだが。
さらに私が勤めている会社ではフレックス制度までもが導入されており、始業時間が固定でないという至れり尽くせりぶりである。そうなってくると問題になるのは、生活と仕事の切り替え、特に始業のタイミングだ。愛すべき生活と今生の別れを行い、スムーズに仕事に向き合うことのできる人間は理論上存在しないと言われている。
しかも、リモートワークになったところで仕事の量自体が減るわけではない。仕事は減らぬが取り組むのは難しい。これは二律背反ではないのか?
そこで思いついたのが「ワーキングコール」である。目を覚まし朝を迎えるための「モーニングコール」があるならば、頭を切り替え仕事に取り組む「ワーキングコール」を作ればよいのではないかという算段だ。
ここまでの長い前置きをご理解いただけただろうか。ご理解いただけていない方は「こいつ本当に家で働くのが嫌なんだな」と思っていただければ大丈夫です。
さっそく作ってみたのがこちらである。
お分かりいただけただろうか。仕事が始められずぼやぼやしていた私の元に訪れた緊急のメッセージ、これこそが「ワーキングコール」なのである。
もちろん作り物のメッセージであるため、実際には緊急の用事などない。しかし慌ててパソコンを開き、メッセージを確認した時点で頭が仕事に切り替わっているため、このままスムーズに仕事に移行できるというわけだ。
私が普段勤めている会社では、コミュニケーションツールとして『Slack』というアプリを利用している。そのためワーキングコールの作成はSlackをベースに行った。
Slackには「Incoming Webhook」という外部からメッセージを投げる機能が存在する。
これを用いて自分自身にメッセージを送るようなスクリプトを「Google App Script(GAS)」で作成する。Google App Script とは任意のスクリプトをGoogle様のサーバーで実行してくれる機能である。便利な世の中になったものだ。
(参考:Google Developers)
function workingCall() {
const templates = SpreadsheetApp.getActive().getSheetByName('テンプレート');
// 送信文面を取得(このソースでは、あらかじめ用意したスプレッドシートからランダムに取得しています)
var templateNum = Math.floor(Math.random() * 4) + 2;
var message = templates.getRange('B' + templateNum).getValue();
// slack メッセージ作成
var options =
{
"method" : "post",
"contentType" : "application/json",
"payload" : JSON.stringify(
{
"text" : message
}
)
};
UrlFetchApp.fetch("https://webhookのURL", options);
}
そしてGASは実行タイミングをある程度自由に定めることができる。ちょうど自分がぼやぼやしている時間帯に実行されるようセットすれば、ワーキングコールの出来上がりというわけだ。
この「ワーキングコール」では文章はもちろん、送信元の名称なども自由に設定できる。そこでさまざまな内容で実際にメッセージを送ってみた。
まずは単純な質問のメッセージである。お願いしてた?書類???と、身に覚えがなくともドキリとするのではないだろうか。むしろ、身に覚えがないほど怖い文章である。
また送信主の名前は架空の上司「篠崎」さんにしておいた。適宜ご自身の上司の名前に読み替えていただけると幸いだ。
ああ、怖い。とても怖い。朝起きてぼやぼやしている時にこのメッセージが送られてくる恐ろしさを想像してほしい。思わずパソコンを確認してしまうのではないだろうか。私は確認しました。
先のメッセージでは、恐怖のあまり文章自体を見なかったことにしてしまうかもしれない。そこで怖さはそのまま、逃げられないような内容にしてみた。
何のミーティングなのだろう。私は一体何を忘れてしまっていたのだろう。具体的な言及がないことが何よりも怖い。
しゃっきりと仕事を始めることが出来ず、ぼやぼやとインターネットの大海をサーフィンしている最中にこのメッセージである。
慌ててスケジュールを確認した時、その時が仕事の始まりなのだ。
今度はテイストを変えて、何かしらの相談を請う内容にしてみた。ちょっと関係性の遠い人や後輩などからメッセージが飛んできたイメージだ。
送ってみたものの、これはイマイチであった。
人間とは傲慢な生き物で、緊急性がなさそうだと判断するや否や「始業してから話を聞けばいいかな」と思ってしまったのだ。つい主語を大きくしてしまったが、これは私個人の問題かもしれない。
また、ここまで送ってきたメッセージの送信主にはいずれも「(ボット)」という文字が入っている。これはシステムからメッセージを送る際にどうしても入る文字列で、注意深く読むと人間から送られてきたものではないと分かってしまう。
そこで、それを逆手に取って次のようなメッセージを用意してみた。
エラーメッセージである。エラーメッセージは通常システムで検知して送られてくるため、「(ボット)」という文字列に違和感がないのだ。
重ねてエンジニアは物心がついた頃からエラーメッセージをよく読むようにしつけられているため、その効果も絶大である。上の画像の文章自体はダミーの文字列なのだが、いまこの画像を見ているだけで私の気分は悪くなる一方だ。
ああ、これはいけない。即座にシステムを確認し、問題ないことを確かめてしまった。もはや生活など頭の片隅にもなく、仕事への完全な切り替えがなされた。
ただしその代償としてあまりに心臓に悪い。そして作り物のメッセージだと分かるとやおら腹が立ってくる。あまり煽りすぎるのも考えものだ。
強制的に仕事のことを考えさせられるという点で「ワーキングコール」は一定の成果を挙げたといえよう。ただしあまりにやりすぎたメッセージを送ると心臓に悪く、気分を害することもわかった。うまい塩梅を探して運用していきたい。
また今回はあくまで自分用としてGASで実装したが、今後の展望としてはslackアプリやiPhoneアプリなどに落とし込み、無類の自宅大好きっ子である読者諸賢におかれても利用できるように拡張していきたい。
自宅大好きっ子の挑戦は続く。
(執筆:りばすと 編集:少年B)
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