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SaaS(Software as a Service) ビジネスが台頭する2019年。
SaaSとは、サービス提供側がインターネット上で公開し、ユーザーが必要な機能を必要な分だけ利用できる形態のビジネス。従来のダウンロードが必要なパッケージ型のビジネスとは異なり、オンラインから自分の好きなときに好きな端末で利用できるため、ユーザーにとっては利便性が高いのが特徴です。
しかしサービス提供側からすれば、これまでのように「一度購入させてしまえば終わり」ではなく、収益を得るためにはサービスの利用を続けてもらう必要があります。SaaS企業の収益は長期的に均等に分配されるのです。
SaaSビジネスにとって、顧客の定着率は何よりも大切です。今回はSaaSビジネスを成長させるたに注目すべき、6つの成長指標(KPI)について解説します。
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Workship MAGAZINE
チャーンレート(顧客の解約率)は、SaaSビジネスのリーダーが最優先で理解すべき指標です。
重視すべきチャーンには、以下の2種類があります。
ビジネスが初期の段階にあるときには、こうしたチャーンレートを測定する意味はほとんどありません。しかし、会社が成長するにつれて、サービスの解約率を最小限に抑えることの重要性は変わっていきます。
たとえば3%の解約率(カスタマーチャーンレート)は、100万人顧客がいるとすると、毎月30,000人の顧客を失うことを意味します。毎月その数と同じ顧客を新しく獲得するのは困難です。
チャーンは時間の経過とともに増加します。3%の月平均解約率は、年換算で31%の解約率になるのです(下図参照)。
▲出典:ProfitWell
つまり、収益を維持したいのなら、顧客全体の約3分の1を置き換えなければいけません。抱えている顧客が多ければ多いほど、さらなる成長への手段を考える前に、今抱えている顧客を維持するために投資する必要があるのです。
多くのSaaS企業にとって、顧客数の変動よりも収益の変動を測定するほうが健全なため、レベニューチャーンを重視することが役立つと言われています。
MRR(Monthly recurring revenue:月次収益)はSaaSビジネスが1ヵ月間に顧客全員から得た収益、ARR(Annual recurring revenue:年次収益)は1年間の見込み収益です。
以下のように覚えておくとわかりやすいでしょう。
ARR = MRR × 12
MRRを手動で計算するのもいいですが、ProfitWellなどのツールに収益をリアルタイムで計算させておくのもひとつの手です。
経常利益をしっかりと得ることは大切です。あなたがサービスを通して価値を提供し続ける限り、顧客もそれにお金を払い続けます。継続的な成長ができるようになるまで価格戦略を繰り返すことによって、SaaS企業は他のビジネスモデルを持つ企業よりも早く自立できるようになるのです。
LTV(Lifetime value:顧客生涯価値)とは、一人の顧客が、サービスを始めてから終わりまでの間に、サービス提供側にどれだけの利益をもたらすかを算出したものです。
LTV = ARPA(顧客ごとの平均月間経常収益)/レベニューチャーンレート
ライフタイムバリューの簡単な測定方法は、各顧客がすべてのアカウントで生み出した月ごとの収益を平均し、そのアカウントあたりの平均収入(ARPA)に顧客がサービスを利用した平均月数を掛けること。ARPAをレベニューチャーンレートで除算することで、同じ結果を得られます。
CAC(Cost of acquiring a customer:顧客獲得単価)は、新たな顧客を獲得するためにセールス、マーケティング、およびその他の関連コストに費やす金額です。
CAC = 給与などを含む全ての販売・マーケティング活動にかかった金額/当月内に獲得した顧客数
SaaSビジネスを長期的に続けていくには、CACよりも多くの利益を顧客から得る必要があるため、CACは各新規顧客から得られるLTVとも密接に関係しています。具体的には、LTVがCACの3倍以上になる必要があります。
LTV > (CAC ×3)
▲出典:ProfitWell
多くの場合で各月の収益よりもCACのほうがはるかに大きくなってしまうことに、多くのSaaS企業が頭を悩ませています。特にスタートアップは、顧客獲得に費やせる金額の少なさによって成長が制限され、最初の数年間はキャッシュフローが厳しい状況に陥りがちです。
▲出典:出典:ProfitWell
顧客の解約による影響に対抗する方法の1つは、拡大収益(Expansion Revenue)に注目することです。拡張収益は、既存の顧客がサービスをより高価なプランにアップグレードしたときのMRR(または1回払い)の増加を測定するものです。
拡張収益は、ときに顧客の実質解約率をマイナスまで下げてくれることもあります。
あなたのサービスには100人の顧客がいて、ある月にそのうちの10人が解約したとしましょう。しかし解約した10人の顧客から得られたはずの(失われた)利益よりも、残りの90人の顧客からより多くの収益が得られれば、レベニューチャーンレートはマイナスになります。
▲出典:ProfitWell
拡大収益は、比較的簡単に得られます。新しい顧客を1から獲得するよりも、今いる顧客をアップグレードに誘導するほうがはるかに簡単で安価なのです。
「純新規顧客の獲得」だけに着目する成長モデルから、拡大収益を優先する成長モデルにシフトしてみましょう。
NPS(Net Promotor Score)は、他の成長指標とは異なり、サービスの顧客ロイヤリティ(サービスやブランドへの信頼、愛情など)を測る指標です。NPSを測ることにより、顧客のフィードバックから不満点をすばやく発見・改善できます。
スタートアップの場合、NPSを正確に測定するのに十分な顧客数はまだいないかもしれません。しかしフィードバックから得られる定性的データは、サービスが市場に適しているかどうかを判断するのに役立ちます。
NPSを測定する代表的な手法がアンケートです。顧客に1から10までの十段階でサービスのさまざまな機能を評価してもらい、スコアが6以下の項目には直接対応することで、不満の原因を改善できます。
次のステップは、「これらの指標を用いて、どのように自分のビジネスを成長させるか」を考えることです。次のアクションを起こすために、以下の3つの質問への答えを考えてみましょう。
SaaS企業はもちろん、どのようなビジネスでも、顧客獲得や維持にかかるコストよりも多くのお金を生み出す必要があります。
健全な企業経営を行うために、以下の3点を抑えておきましょう。
これらの法則にしたがえば、すべての新規顧客にコストをかけすぎることなく、キャッシュフロー改善につなげられるでしょう。
サービスの寿命を延ばすための戦略の1つは、毎月ではなく年間購読の割引を提供することです。これにより、企業はサービス初年度に全体の利用料を即座に手に入れられ、同時に顧客は購読料を節約できます。
レベニューチャーンの変化を追跡することで、顧客がいつサービスに不満を抱いたのかを見つけられます。チャーンが毎月変化し続けているならば、なにかを改善すべきだといえるでしょう。
改善点を見つけ出す最善の方法は、解約する(または解約のリスクがある)顧客からフィードバックをもらうことです。NPSを追跡することで、これらのリスクのある顧客を特定できます。
どの顧客セグメントが最も収益性が高いかを把握し、リソースを最大限に投入して想定ターゲットへのマーケティングをより効率的に行いましょう。
新規顧客を獲得するよりも既存顧客からより多くの収益を得るほうが簡単で費用対効果も高いことは前述しました。これを価格戦略に生かすなら、「既存顧客の利用状況に基づいてサービスの価格を引き上げる」という手があります。
たとえば、ユーザーの使用シート数や送受信できるEメール数、ストックできるデータの容量が増えるにつれてバージョンをアップグレードしましょう。サービスの価格が高いと思っている顧客にも、お得さを感じさせられます。
総コストだけを見るのではなく、チャネルごとに顧客獲得コストを分類するのもいい方法でしょう。PPC広告のようなチャネルはすぐに立ち上げられるかもしれませんが、新しい顧客を獲得するためのコストはかさみがちです。コンテンツマーケティングのような、できるだけ費用対効果の高い買収チャネルに焦点を当てることをおすすめします。
SaaS企業が顧客を増やさずに利益を上げ続けることはできません。ただし、間違ったタイミングで無理やり成長させようとすると、キャッシュフローが圧縮され、収益性が低下してしまいます。
顧客を獲得して利益を上げ、CACを迅速に回収できるとわかったタイミングで、全速力で成長させましょう!今回紹介した重要な成長指標をいくつか追跡するだけで、ビジネスの収益性と持続可能性は劇的に向上します。ご自分のビジネスでもチェックしてみてください。
(原文:Margaret Kelsey 翻訳:Klara)