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最近のGoogleによるアルゴリズムのアップデートは、大きく分けて2種類あります。事前に告知のあるものと、ないものです。
ページエクスペリエンスアップデートやモバイルフレンドリーアップデートのような具体的なアップデートについては、事前に情報が提供されています。一方で「コアアップデート」と呼ばれる包括的なアップデートは、事前に情報が提供されず、ガイダンスも曖昧な一方、いきなり強烈な順位変動が発生します。
今回はそんなコアアップデートとの向き合いかたについて、Mozの検索科学チームのトム・キャッパーが解説します。
目次
コアアップデートそのものの歴史は長いのですが、じつは名前がついたのは最近です。2018年3月以降、Googleは前述のような突然のアップデートを「コアアップデート」と呼ぶようになりました。
コアアップデートが有名になったきっかけは、2018年8月に実施された通称「メディックアップデート」でしょう。このアップデートにより、多くの医療関係サイトで順位の大変動が起こり、コアアップデートの威力が広く知られるようになりました。メディックアップデートの後もたびたびコアアップデートは行われ、内容にもよりますが基本的には大きな順位変動を繰り返しています。
Googleはアップデートに対応する方法として、Search Quality Rater Guidelines(検索品質評価ガイドライン)に則って、優れたコンテンツを作ったり、概要ページを充実させたりすることを推奨しています。ただし読者にとって有益なコンテンツと、Googleが考える「優れたコンテンツ」は異なる場合もあり、何より「優れたコンテンツ」の判断は人によっても変化します。SEO担当者にとっては指示や基準が曖昧で、困ってしまうかもしれません。
実際、専門家によって書かれた質の高いコンテンツを充実させ、ユーザーに満足してもらえるようなサイトを作っていても、かならずしも検索上位になれるとは限りません。また、アップデートによって別のアップデートが打ち消され、巻き戻されてしまうようなケースもあります。
コアアップデートの影響は、データにもあらわれています。過去のコアアップデートの影響を調査したところ、ほとんどのサイトにいい影響と悪い影響の両方があったことがわかりました。
しかし、このようにコアアップデートに振り回されるのは、個人ブログや中小のメディアだけだと思う方もいるかもしれません。
では、世界的な権威のあるWebサイトはどんな影響を受けているのでしょうか。以下のグラフは、国際的な通信社である『ロイター』の受けたコアアップデートの影響を示したものです。
これはSEOツール『MozCast』による計測データであり、ロイターの一般的なパフォーマンスではありません。しかし、上記のグラフは実際の順位を反映したものです。それぞれのバーはコアアップデートによる影響をあらわしています。
影響を受けているのはロイターだけではありません。アメリカ屈指の経済紙である『ウォール・ストリート・ジャーナル』も以下のように順位が激しく変動しています。
これらのデータからもわかるように、中小規模のサイトだけでなく、権威のあるサイトもコアアップデートの影響を受けています。
かつて順位の大きな変動は、アルゴリズムの更新だけではなく、Google側のインデックスデータの更新によっても引き起こされると考えられていました。とくにGoogleが抱えるデータが複雑で重い場合には、リアルタイムでは更新されませんでした。
現在、ほとんどのSEO担当者は順位がリアルタイムで更新されていると思っているはずです。しかし、Googleはコアアップデートに関するガイダンス内にて、以下のように述べています。
サイトがコアアップデートの影響を受け、その後にコンテンツを改善した場合、掲載順位が回復する可能性があるのは、次の大規模なコアアップデートのリリース時です。
(出典:Google検索セントラル)
この文章を読むと、順位はかならずしもリアルタイムで反映されるわけではないように思えます。そこで、コアアップデートによってダメージを負った競合他社が、サイトを大幅に改善した場合を想定してみましょう。
上記のように次回のコアアップデートまで順位が変化しないと仮定すると、コアアップデートがおこなわれた途端、対策を行わなければ自社のランキングは下がります。自社に欠点があるというよりも、他社の改善が一気に順位に反映され、相対的に自社の順位が下がってしまうのです。
このように考えると、権威のあるサイトがコアアップデートのたびにランキングの変動に見舞われるのも納得できます。
Googleはコアアップデート以外に、テストとアップデートについても以下のように言及しています。
もちろん、Google検索の改善に完璧なものなどありません。Googleが更新を続ける理由はそこにあります。Googleでは多数のフィードバックを取り入れて、テストを積み重ね、ランキングシステムを常に改善しています。Googleのこの取り組みは、コンテンツの所有者が変更を行わなかったとしても、ページの掲載順位が将来回復する可能性があるということを意味します。何もしなくてもページの掲載順位が上がった場合、ランキングシステムの継続的な改善によって、そのページのコンテンツの評価が高くなった可能性があります。
(出典:Google検索セントラル)
テストとアップデートが、コアアップデートと次回のコアアップデートのあいだに実施されているのか、コアアップデートと同時に実施されているのかはわかりません。しかしサイトに権威があって、コンテンツを改善したとしても、順位が上昇するとは限らないのが現状です。
コアアップデートと向き合ううえで最大のポイントは、基本的に「アップデート直前と直後の分析は気にしないほうがいい」ということです。アップデートで「負け」たとしても、全体としては伸びているケースも少なくありません。
以下のグラフは、各アップデートがロイターのサイトに与えた影響を示したものです(MozCastコーパスのキーワードに限定しており、総トラフィックをあらわしているわけではありません)。この記事中では棒グラフのみを取り上げましたが、以下ではさらに総ビジビリティの増減が折れ線グラフで追加されています。
棒グラフはコアアップデートによって大きく変化していますが、折れ線グラフは上下しながらも右肩上がりに伸びています。コアアップデートで受けた影響から回復しただけでなく、全体としては成長しているといえるでしょう。
また、SEOの変更や微調整の影響は、短期的に評価するのが困難なのが実情です。コアアップデートの前にトラフィックが上昇した場合、アップデート後もその上昇を維持できるでしょうか。もしアップデートによってトラフィックが増加した場合、どの変更がその原因となったのでしょうか。アップデートの間におこなった多くの変更のうち、どれが影響を与えたかを特定するのは、SEO担当者にとって非常に難しいはずです。
SEO担当者にとって、対策方法も因果関係も曖昧なコアアップデートは、付き合いづらい存在です。しかし、競合他社にとっても状況は変わりません。コアアップデートの影響に一喜一憂するのではなく、ガイダンスに則ってコンテンツを充実させ、誠実にSEOに取り組めば、総合的な成長を見込めるはずです。
(執筆:Tom Capper 翻訳:Nakajima Asuka 編集:齊藤颯人 提供元:Moz)
Googleアルゴリズムアップデートの歴史。SEOに与えた影響を振り返る
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