エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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預金金利が伸び悩んでいる昨今。さらには老後資金の不足も指摘されるようになり、「お金をどうやって貯めたら良いのだろう?」と悩んでいる方も多いでしょう。
そんな方に向けた資産運用の制度として存在するのが、「NISA」と「iDeCo(個人型確定拠出年金)」です。
しかし、両者の違いについてよく分かっていない方も多いかもしれません。そこで、今回は特にフリーランス・副業ワーカー向けに、NISAとiDeCoを比較します。
FP事務所『トージンFP事務所』代表、ファイナンシャル・プランナー(AFP)。Workship MAGAZINEのマネー担当として、フリーランスや副業にまつわる記事の執筆・監修を行う。自身も現役フリーランスで、当事者ならではの情報発信に強み。
NISA(新NISA)とは、2024年に始まった少額投資非課税制度です。
この制度は、従来あった「つみたてNISA」と「一般NISA」を合わせ、さらに限度額を上げたような制度で、かなり使い勝手が向上しました。
新NISAにも旧NISAと同じく、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が新設され、両者の違いはそれぞれ以下の通りです。
旧NISAと新NISAの違いはいろいろありますが、大きな変化は以下の通りです。
つみたてNISA | 一般NISA | つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
投資限度額 | 40万円 | 120万円 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有期間 | 最長20年 | 最長5年 | 無制限 | |
生涯非課税限度額 | 800万円 | 600万円 | 1800万円(成長投資枠は1200万円まで) | |
売却時 | 限度額に変化なし(再利用不可) | 限度額が復活(再利用可能) | ||
制度実施期間 | 2023年末 | 2042年末(新規買い付けは2023年末) | 無制限(恒久化) |
ほとんどの部分が改良されたことに加え、最大の変化は「つみたて投資と個別株投資を併用できるようになった」ことです。
従来は、つみたてNISAと一般NISAはそれぞれ片方を選択して開設する必要があり、併用は不可でした。
単純につみたて投資だけを行う場合、成長投資枠もつみたて投資に使えるうえ、非課税保有期間が実質的に老後まで拡大されているため、iDeCoとの使い分けが大事になってきます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、国民年金とは別に老後の資産形成をしておくための制度です。
1年間の掛金額は職業によって異なります。一度始めたら原則60歳まで引き出せませんが、手厚い税制優遇が受けられます。
代表的なメリットは以下の3点です。
フリーランスの場合は会社員に比べてiDeCoの掛金上限が上がるため、iDeCoをフル活用できます。あわせて掛金の所得控除メリットの効果も高まるため、フリーランスに有利な制度といえるでしょう。
投資可能な商品は新NISAのつみたて投資枠と近く、iDeCo用の投資信託や定期預金、保険が投資対象です。
個人事業主/フリーランスのiDeCo入門。上限額やメリット・デメリットを解説【FP監修】
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新NISAとiDeCoのおもな特徴をまとめると、以下のようになります。
新NISA | iDeCo | |
投資限度額(年) | 360万円(つみたて投資+成長投資枠) | 81.6万円(フリーランスの場合) |
非課税保有/運用期間 | 無制限 | (20歳以上)~60歳 |
引き出せる時期 | いつでも | 60歳まで原則不可 |
投資対象 | 国の基準を満たした投資信託・ETFなど | iDeCo用の投資信託・定期預金など |
非課税対象 | 運用益 | 運用益(所得控除あり) |
新NISAとiDeCoの特徴はご理解いただけたと思います。しかし、「そう言われても、結局どっちの制度を選んだらいいの……?」とお悩みの方は多いかもしれません。結論から言えば、ベストなのは「両方使うこと」です。
とはいえ、資産運用は余剰資金で行うもの。あまりお金に余裕がない場合は、どちらか一方だけを選択する状況も考えられます。
そこで、以下では新NISAとiDeCoを併用すべき理由と、片方だけを選ぶ場合の基準を整理していきます。
そもそも、新NISAとiDeCoは、どちらも「長期・分散・積立」という資産運用の三原則にもとづく制度です。そのため確かに似た制度なのですが、よく見ていくとその本質はけっこう違います。
ざっくり説明すると、新NISAは「日本国民に安心しておトクに資産運用してもらうための制度」で、iDeCoは「国民年金に上乗せする形の老後資金を確保してもらうための制度」です。
つまり、新NISAは「投資」のための制度で、iDeCoは「老後の資産形成」のための制度なのです。
ただし、新NISAの20年縛りがなくなったことで、老後の資産形成にも新NISAを活用できるようになりました。そのため、人によっては新NISAのみを活用するというのも選択肢になってきています。
ただし、iDeCoには強力な所得控除効果があり、制度アップデート後も新NISAにその効果はありません。そのため、所得控除効果を活かし、節税につなげたければiDeCoの活用も不可欠です。
理想としては、新NISAとiDeCoをそれぞれ上限額まで利用するのが一番ですが、金額に濃淡をつけたい場合は、以下で見ていく選定基準を参考にしていただくのがいいでしょう。
iDeCoの弱点は、原則60歳まではお金を引き出せない点です。
しかし60歳までの間には、たとえばマイホームを買おうと思った場合など、大きな出費を必要とするライフイベントが発生するかもしれません。また、フリーランスや副業ワーカーの場合、設備投資や法改正への対応など、思わぬ出費もつきものです。
こうした状況に備え、いざという時に引き出せる形で資産運用したい方には新NISAがおすすめです。
ただし、新NISAの強みは長期運用によって発揮されるため、短期間で引き出してしまうと評価額がマイナスになってしまう可能性も。よほどのことがない限りは途中で引き出さず、「20代で新NISAを開始し、40~50代で利益を受け取る」ようなイメージで運用しましょう。
また、新NISAは積立額が所得控除されるわけではないので、フリーランスや副業者から見た節税効果はiDeCoに劣ります。
新NISAが積立額の所得控除がないのに対し、iDeCoはフリーランスなら掛金上限が上がり、あわせて掛金を全額所得控除にできる点から、節税を狙いたいフリーランス・副業ワーカーにもおすすめです。
また、老後に特化した資産形成を行いたければ、iDeCoがおすすめ。iDeCoは老後の資産形成に特化した制度なので、この面では明確につみたてNISAを上回っています。
節税効果を踏まえ、老後の資金にそれほど不安はない場合でも、利益が余っている場合にはiDeCoの利用を検討してもいいでしょう。
新NISAとiDeCoは、運用益が非課税になる以外にも、それぞれに特徴的なメリットがあります。どちらか一方から始めることはもちろん、両方を併用し、税制優遇のメリットを最大限享受するのも選択肢のひとつです。
自らのライフプランに合わせ、資産形成する際の参考にしてください。
(執筆:定久優美 編集:Workship MAGAZINE編集部 監修:齊藤颯人)
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