経営セーフティ共済のメリット/デメリット。フリーランスが知るべき節税とリスクヘッジ

フリーランスは会社員に比べて不安定な要素が多いとされています。自分の身は自分で守る必要があり、そのためには知識武装が欠かせません。

知っておくべき情報はさまざまですが、「経営セーフティ共済」という制度はご存知でしょうか?

経営セーフティ制度とは、取引先の倒産に備えるとともに節税効果も期待できる制度。今回は経営セーフティ共済の概要、メリットおよびデメリットについてご紹介します。

経営セーフティ共済とは

保険

経営セーフティ共済とは、中小企業基盤整備機構(中小機構)が中小企業や自営業者向けに提供している共済制度のこと。「中小企業倒産防止共済制度」ともいいます。

名称からも分かる通り、制度の目的はひとつの企業が倒産した時にその取引先である他企業の連鎖倒産を防ぐことです。加入者は取引先が倒産した時、最高で掛金の10倍まで借り入れることができます。また、取引先企業の倒産確認が取れ次第、すぐに借り入れできるのも大きな長所です。

経営セーフティ共済は主に中小企業を対象にした制度ですが、法人だけでなく個人事業主にも対応しています。取引先の倒産リスクがあるのは、フリーランスも同じです。人によっては太い付き合いのあるクライアント企業の倒産で、来月から収入が激減してしまう……なんてこともあるでしょう。そんな時、いくらかお金を貸してくる存在があるのは安心ですよね。

フリーランスは企業と比べてそれほど経費がかからないため、取引先の倒産で廃業にまで追い込まれることは少ないかと思います。そのため自分には不必要な情報と考える方もいるでしょうが、経営セーフティ共済は上手く使いこなせば節税につなげられます。以下で詳しくご紹介します。

経営セーフティ共済 3つのメリット

では具体的に、経営セーフティ共済はフリーランスにとってどのようなメリットがあるのでしょうか?

以下に3つのメリットをご紹介します。

1. 掛金が経費扱いになる

フリーランスができる節税対策として、経営セーフティ共済以外にも『個人型確定拠出年金(iDeCo)』や『小規模企業共済』があります。本記事では詳しく解説しませんが、これらの制度も掛金が所得控除の対象となるのでぜひ検討してみてください。

経営セーフティ共済がこれらの制度と違うのは、掛金を経費として計上できるということ。所得控除の場合は所得が減るわけではないため、所得税や住民税の面では支払いを抑えられる一方、事業税や健康保険料は抑えられません。しかし経営セーフティ共済の場合は所得そのものを低く抑えられるため、事業税・健康保険料を引き下げることが可能になるのです。

なお、経営セーフティ共済の掛金は以下のとおりとなっています。

  • 月額5,000円〜20万円(年間最大240万円)
  • 積立上限800万円

決して好きなだけ経費として計上できるわけではないので注意しましょう。

2. 解約手当金が受け取れる

概要でも説明した通り、経営セーフティ共済は取引先の倒産に備える保険のようなもの。

とはいえ取引先が倒産せずとも、解約時には解約手当金を受け取れます。解約手当金は加入していた期間によって以下のように変化します。

加入期間 解約手当金
~11ヶ月 0円
12ヶ月~39ヶ月 掛金の8割
40ヶ月~ 掛金の全額

この表から分かるとおり、掛金はいつでも回収できるわけでなく、全額回収したい場合は3年4ヶ月は加入し続ける必要があります。

もちろん無理のない範囲に掛金を設定すれば、フリーランスの場合はそこまで資金繰りに悩むことはないでしょう。上手く利用すれば、低リスクでセーフティ共済の制度を活用できます。

3. 無担保・無保証人でお金を借り入れられる

「フリーランスになってから社会的な信頼が低くなった」と感じている方は多いはず。フリーランスを受け入れてくれる賃貸物件がなかなか見つからなかったり、クレジットカードの審査が通りにくいという経験をした方も多いでしょう。保証人などの問題もまた煩わしく感じている方も少なくないはずです。

経営セーフティ共済に加入していれば、万が一の際借り入れを受ける場合でも、無担保・無保証人でお金を借りられます。

なお借りられる金額は、以下のいずれか少ない方となっています。

  • 回収困難となった売掛金債権等の額
  • 納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)

個人で活動するフリーランスであれば、十分足りる金額でしょう。

経営セーフティ共済 3つのデメリット

3つのメリットをご紹介しましたが、残念ながら良いことばかりではありません。

続いて3つのデメリットについても確認しておきましょう。

1. 解約手当金は所得になる

メリットで説明した通り、経営セーフティ共済の掛金は経費として計上できます。これを利用し、各種税金や健康保険料を減らすことが可能です。

しかし解約手当金を受け取るときは、これが「所得」の扱いになってしまいます。控除対象になるわけでもないため、受け取った分だけその年度の税負担は大きなものになってしまうのです。タイミングを考えずに解約してしまうと、単に支払いを遅らせるだけになっていまいます。

解約をするタイミングは、慎重に考えましょう。例えば仕事の受注を減らした年度に解約手当金を受け取るようにすれば、トータルの税負担を減らせます。

2. 借り入れを行うと掛金が減る

借り入れられる金額は最大で掛金の10倍。積み立てられる掛金は800万円となっているので、借入金額は最大で8,000万円となります。メリットでも説明したように、借りる時は無担保で保証人も不要です。さらに中小機構の公式サイトでは借り入れは無利子であると記載されています。銀行でお金を借りるとなると、こう簡単にはいきません。

このように説明すると金銭的なデメリットはないように見えますが、実は借り入れを行うと、借り入れた金額の10分の1が積み立てた掛金から控除されます。

例えば掛金を200万円積み立てていた時、300万円を借り入れることになったとします。この時点で300万円の10分の1、つまり30万円が控除されるため、借り入れた300万円を全額返済した後の掛金は270万円になってしまうのです。

3. 利息がつかない

個人型確定拠出年金(iDeCo)』や『小規模企業共済』は、掛金にある程度利息がつきます。しかし経営セーフティ共済は、あくまで取引先の倒産に備えるための保険のようなものです。そのため残念ながら、預けた以上の金額がもらえるわけではありません。

もし資産運用を目的にするのであれば、他の制度を検討した方が良いでしょう。

経営セーフティ共済への加入方法

加入方法

経営セーフティ共済には加入条件があります。

企業の場合は加入のために「資本金が○○円以下、もしくは従業員数が○○人以下」などの条件がありますが、フリーランスの場合はひとりのため、ほとんどの方が問題なく条件を満たすでしょう。

他にも「税金を滞納していないこと」などといった細かい条件もあるため、詳しくは中小機構の公式サイトをご確認ください。

なお、加入申し込みについては以下の窓口で受け付けています。

  • 商工会
  • 商工会議所
  • 中小企業団体中央会
  • 中小企業の組合
  • 損保ジャパン日本興亜株式会社
  • 都市銀行
  • 信託銀行
  • 地方銀行
  • 第二地方銀行
  • 信用金庫
  • 信用組合
  • 商工組合中央金庫

加入申し込みにあたっては、契約申込書や納税証明書が必要になります。こちらについても詳細は中小機構公式サイトの情報をご確認ください。

まとめ

できるだけ収入を安定させるため、フリーランスはリスクの分散が大事です。複数のクライアントと取引するのも効果的な対策ですが、取引先の倒産リスクを考えておくのもリスクヘッジのひとつ。そこで役に立つのが、今回ご紹介した経営セーフティ共済です。

上手く運用すれば節税の効果も期待できるので、あなたもぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。

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