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世界5大流通のTescoが、不正発覚から信頼回復までに実施したマーケティング施策とは?

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BUSINESS

サービスやブランドの業績が思うように伸びない。そんな時は、世界中の成功者の足跡を辿ってみましょう。

どんなに有名なブランドでも、かつては困難にぶつかり、それを乗り越えて来ています。業績不振に陥っても、ゲームのステージをクリアするかのように、戦略を導き出し、成功に導いているのです。

今回は、イギリスの大手スーパーチェーンであるTescoが廃業の淵から、小売業、金融業、通信業などを手がける世界的に有名なブランドに登りつめたストーリーをご紹介します。

彼らが採用したマーケティング戦略とはどのようなものでしょうか。

Tescoとは?


Tesco(テスコ) 
は、イギリスに本拠を置き、小売業を主たる事業とする企業です。金融、電気通信、ガソリンスタンド、通信販売などにも範囲を広げています。

世界5大流通大手であり、日本には2003年に進出しました。

Tescoのブランドは、大きくわけて格安の「バリュー」、オーガニック系商品の「テスコ・オーガニック」、ちょっと高級感のある「ファイネスト」の3つに分かれています。タイ、中国、マレーシア、インドなどにはスーパーチェーンを展開しています。

2013〜2014年にかけては、不正会計問題や4回にわたる利益見通しの下方修正によるマイナスのイメージがついていた、Tesco。現在は、信頼も徐々に回復し、再び人気を得始めているのです。彼らは一体、どのようなマーケティング戦略で信頼を回復したのでしょうか。今回は、そんな彼らが選んだ戦略をご紹介します。

surviving and prospering

Tescoが信頼回復のために行った5つのマーケティング施策

1. 「ほっこり要素」を取り入れたCMをうつ

Tescoは、「Every little helps」をスローガンに長い間安定した人気を誇っていました。しかし、不正が明らかになり信頼を失い、一時は売り上げが停滞。この現状を打破するために、Tescoはクリスマスシーズンに向けて、イメージを一新させるようなCMを打ちました。

これまでになかったテイストではあるものの、以前CMで起用したキャストを起用することで、新しいコンセプトと従来のコンセプトの橋渡しを施しました。

Tescoのマーケティングリーダーを務めるロビン・テレールは、ほっこりするようなビジュアルを用いるることは、企業イメージを好転させることのできるマーケティング戦略のひとつであると述べています。

人の感情に訴えかけるクリエイティブは、使い方を一歩間違えればバッシングや炎上を招きかねない。しかし、多くの企業の広報活動やクリエイティブのトーンは似たり寄ったりなので、他社と異なったことをすレバ、ユーザ―の興味を引けます。

2.新規のプロダクトラインを作る

顧客を取り戻すための施策として、Tescoは新たしいブランドを立ち上げました。新ブランドのプロダクトラインの特徴は、Tescoに今までなかったくらいの安価(約15%オフ)で食材を購入できることでした。

度重なる不祥事により、ブランドのイメージがガタ落ちしていたTescoは、一番の最善の策として、まず商品価格の大幅な値下げを実施したのです。結果、食品の売り上げが改善しました。

3.デジタルマーケティングを開始

多くの大企業はマス広告に何千万もの予算を費やしていると思います。もちろん、Tescoも、今まで各事業のプロモーションを行うために、TVやラジオ、映画などに広告費を費やしていました。しかし、Tescoはこのマーケティング戦略を大幅に変更する必要があると感じ、舵を切ることにしたのです。

2013年には、1億1000万以上もの予算がマス広告費に充てられていましたが、2014年にはそれを10%削減。2015年には8000万以下にまでコストカットしました。さらに、予算をマスメディアとデジアルメディアに1:1ずつ配分。今や売り上げの約30%がはデジタルマーケティングの効果によるものだそうです。

勝因は、よりユーザー個々人にアプローチしやすくなったことで、マスメディアよりもプロモーション効果を得やすくなったからだと考えられます。

4.商品パッケージの刷新

TESCOは食品パッケージも大幅に刷新しました。パッケージのデザインをより見栄えよくすることで、売り上げアップにつなげようとしたのです。

また、食品に使う食材の契約農家との関係も見直しました。自家栽培を行っている農家を新たに探し、オーガニックのみを使用した商品販売に力を入れていったのです。

3.小規模チェーンとの市場競争

数年前は、小規模チェーンと市場を競うことなどないと思っていたTesco。今では、Aldiのようなディスカウントショップのチェーン店と市場競争を余儀なくされています。

過去には安定した営業基盤を誇っていたTescoですが、不正騒動によって、その地位はもはや不動とはいえません。彼らは、その対策として、デジタルマーケティングに費用や時間を割くようになっていったわけです。

Aldiのような小規模チェーンがSNSを基盤にプロモーションを行い、費用を抑えていることを参考に、Tescoもより、ユーザ―に近い立ち位置から自社商品や企業のプロモーションを行うようにしたのです。大企業になった今だからこそ、初心に帰り、また一から出直すことで、再び消費者の信頼を得る企業にまで返り咲くことに成功したのです。

5. リアルとデジタルを掛け合わせ、パーソナライズしたプロモーションをする

Tescoは、この経験を踏まえ、ユーザ―へのアプローチ方法を考え直しました。それは、リアルとデジタルを掛け合わせたパーソナライズマーケティングチームは導き出しました。

例えば、誕生日に値下げのメールを送るなど個々の消費者を大切にしている意思を表現するようにしたのです。企業のマーケターは、売り上げを伸ばすために、まず、特定の買い物客の欲求を満たし、信頼を取り戻すことに注力したのです。

まとめ

事業再生にTescoが取った戦略。そこにはマーケターの試行錯誤が関係していたのです。

国内のみならず、世界で競争を勝ち抜くためには、このような戦略の方向転換も必要となります。Tescoのように、多様な分野でスキャンダルを巻き起こしたは、今後、株主や消費者の期待を裏切らない活動をすることが大切でしょう。

(翻訳:Yuka Uchiyama / Thumbnails photo:

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