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いますぐKPIに取り入れるべき、4つのCX指標とは?

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MARKETER

マーケターであれば、コンバージョン率(CVR)、1人当たりの売上高(RPV)、1注文当たりの平均売上高(AOV)など、コンバージョンに直接関連するKPI指標はご存知でしょう。ユーザー獲得に関する指標では、顧客獲得単価(CPA)、広告費の回収率(ROAS)、購入につながる可能性の高い見込客率(MQL)などもあります。

しかし、ユーザーがあなたのサービスに対して本当に求めているものは何かを理解するには、「カスタマーエクスペリエンス(CX)指標」を見ることが重要です。

今回は、KPIにすぐに取り入れたい4つのCX指標を紹介します。

CX指標(1)純顧客価値増(Net Customer Value Growth)

CX1-NCVG

ビジネスにとって、事業主や株主から見て利益に直接貢献しているCX指標がもっとも重要です。CXの専門家・Jeanne Bliss氏は、そのCX指標とは「純顧客価値増」であると言います。

純顧客価値増とは、一定期間中に増えた新規ユーザー数から、同時期に減ったユーザー数を差し引いたものです。このとき、ただユーザー数の増減だけを見るのではなく、この増減による経済的価値も考慮します。

純顧客価値増の計算式は以下の通りです。

純顧客価値増 = 新規ユーザー数(と経済的価値) ー 失ったユーザー数(と経済的価値)

増減率ではなく、ユーザー数や経済的価値という整数値で表すのがこの指標の鍵です。実際の数字を用いることで、マーケティングやカスタマーサービスの施策がどのように収益に貢献したかを証明できます。

つまり、ユーザーは会社の資産だと捉えるのが純顧客価値増の考え方です。

CX指標(2)ネット・プロモーター・スコア(NPS)

ネット・プロモーター・スコア(Net Promoter Score:NPS)は、Fred Reichheld氏によって提唱され、SatMetrix™が商標登録する、顧客満足度を測る指標です。

NPSは非常にシンプルで、収集や計算も容易な指標です。そのため、すでに世界中でCXの重要な指標として知られています。

プロモーター・スコアをわかりやすく示したのが上の図です。

NPSを測るためには、まずアンケート対象者に「あなたはこのブランド(製品/サービス)を友人や同僚にどのくらいすすめたいですか?」と質問し、0〜10の数値で答えてもらいます。6以下で答えた人は「批判者」、7〜8で答えた人は「中立者」、9〜10で答えた人は「推奨者」と分類されます。

実際にNPSを測る手順は以下の3ステップです。

  1. なるべく多くの既存ユーザーにアンケート調査を行う(アンケートの回答者数が多ければ多いほど、正確なスコアを得ることができます)
  2. 回答を「推奨者」、「中立者」、「批判者」に振り分け、各回答者の比率をパーセントで表す
  3. 「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いた数値がNPSの値

NPSの値は0以上が望ましく、20より高い数字が理想とされています。

ただし、NPSだけでは、なぜユーザーが自社サービスに不満を持っているかまでは見ることができません。そこで次のCX指標(3)では、実際の行動をベースにした指標を紹介します。

CX指標(3)既存ユーザーのクチコミ

CX3-review

ある調査では、新規ユーザー獲得には既存ユーザー維持の5倍のコストがかかると言われています。またマッキンゼーの調査によれば、B2Bビジネスでの購入行動への影響度はクチコミが20〜50%を占めることも明らかになっています。

したがって、クチコミを収集してユーザーが自社ブランドに対してどのようなイメージを持っているか把握しておくことが、効率よい新規ユーザー獲得のためには重要です。

「既存のユーザーが自分のブランドをどう紹介したいか」は、重要な指標です。もしネガティブな意見であれば(中立な意見であっても)、新規ユーザー獲得のチャンスを逃してしまうことになりかねません。

クチコミの収集は一見難しそうですが、カスタマーエクスペリエンスにおいて必要不可欠な指標です。まだ試していない人は、以下の4つの方法を参考にしてみてください。

  • NPSのスコアが7以上のユーザーに対し、そのアカウントに紐づいたSNSでシェアまたはコメントしている内容を確認する
  • 代理店としてサービスを提供しているばあいは、営業担当者からクライアントに紹介キャンペーンについて伝える(クライアントとコンタクトしてから2ヶ月後、または2ヶ月に1度など、適切な頻度を保つこと)
  • 会社としてサービスを提供しているばあいは、カスタマーサービスからユーザーに友達紹介キャンペーンについて伝える(「ユーザーが自分のブランドのタッチポイントに2〜3回以上触れた時」のように、一定の条件を設定すること)
  • 文章解析サービスを使って、SNS(主にFacebook、Twitter、LinkedIn)でのコメントから感情(センチメント)値を測る

この他にも収集方法があるかもしれません。大事なのは、既存ユーザーが他人に勧めたくなるかどうかのデータを収集して計測する方法を、マーケティングチームやユーザーと直接関わる部署の人たちと定期的に話し合うことです。

CX指標(4)ユーザーの行動パターン

CX4-action pattern

マーケティング担当者は得てして、自分のブランドに対してポジティブなイメージを持ってもらいたいもの。しかしビジネスにおいてもっとも重要なのは「ユーザーが行動を起こしたか否か」です。

サイト訪問者の行動パターンとリード顧客およびコンバージョン獲得の関係を探ることこそ、本当にマーケティング担当者がやらなければならないことだと言えます。

ユーザーの行動パターンを知るためには、以下の3つのポイントをチェックしましょう。

  • ユーザー層ごとの売上と収益性の関係(ユーザー層ごとにプランをグレードアップしている人、またはグレードダウンしている人がいないか見てみる)
  • サブスクリプション(定額制サービス)のばあい、無料トライアル後に有料登録しなかった人・登録の更新を行わなかった人の割合
  • アクシデント後に減ったユーザーの割合(残ったユーザーは自社の事業回復を信じてくれている)

それぞれデータ分析から答えを出すことで、デジタルマーケティングにとって有益な情報を獲得できます。

行動パターンの分析例

以下は、販売プロセスの各段階でユーザー行動パターンを分析することで得られる情報の例です。

  • 見込みユーザーへのアプローチ・獲得段階
    例:「3回以上自社のコンテンツを見た人は、2回以下の人よりコンバージョン率が40%高い」
  • 見込みユーザーのコンバージョン段階
    例:「1回以上サイト上のオンラインチャットを使った人は、使わなかった人より1訪問者当たりの売上額(RPV)が230%高い」
  • 既存ユーザーの維持の段階
    例:「最初の問い合わせで問題が解決されなかった人の解約率は5倍高くなる」

これらの洞察から、KPIを改善するためにはどこに着目すべきなのか推測できます。

行動パターン分析に活用したい3つの情報源

行動パターン分析に使えるデータの情報源はさまざまありますが、例えば次のようなものがあります。

  • 既存ユーザーデータを統計分析したExcelシート
  • サイト訪問者分析プラットフォームや、行動データを収集するパーソナライズプラットフォームからのレポート結果
  • マーケティング広告素材や、社内データ(CRMデータ、チャット履歴)、外部データ(SNS上でのユーザー行動)を元にした、見込みユーザーまたは既存ユーザーのデータ

これらの情報を分析する際、データ分析に長けたエキスパートに任せることをおすすめします。データ分析担当者を採用するか、外部のコンサルティングに任せるとよいでしょう。

まとめ:今日からKPIにCX指標を取り入れよう!

「純顧客価値増」「ネット・プロモーター・スコア」「既存ユーザーのクチコミ」の3つは、いますぐにでも調査を始められる指標です。これらはユーザーの自社ブランドに対する意見を簡単に聞き出せる手法ですが、それ以上深掘りするためには、ユーザー行動パターンを分析する必要があります。

ユーザーを分析して得た情報を元に、広告・マーケティング戦略を柔軟に変更し、収益やブランド価値をあげることに繋げられるのです。

企業内部で戦略を生み出し実行する、従来の「インサイド・アウト」のアプローチを超え、ユーザー視点で戦略を実行する「アウトサイド・イン」のアプローチに切り替えていきましょう。

(原文:Mark D. Hall 翻訳:Reina Onishi)

 

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