エンジニアの副業は週1からでも可能?副業の例や探し方も解説
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PESTLE分析は、ビジネスやマーケティング企画において使われる、外部環境を分析するためのフレームワークです。
多角的な視点で、ビジネスをよりシャープなものへと導いてくれる分析モデルとして知られています。
本稿では、PESTLE分析の概要をご紹介します。
PESTLEは、下記の言葉の頭文字を取っています。
PESTLE分析は、企業が展開するビジネスや置かれている環境を6つの視点から分析し、ビジネス判断を下すときに考慮すべき要素を可視化するものです。
PESTLE分析で重要となるのは、深く掘り下げて考えることです。PESTLE分析を活用する多くのマネージャーは、PESTLEのそれぞれのキーワードについて考え、チェックマークをつけていくような使い方をしています。当然、PESTLE分析は素晴らしい価値を秘めていますが、その価値を最大化するためにはあなたが分析手法を深く理解し、分析から得られた情報に基づいて行動する必要があります。
例を用いて、それぞれの要素を順番にみていきましょう。
国の政治的な方針は、「商品」「広告」「ブランドコンセプト」などに影響を与える、最も大きな環境要因のひとつです。
インターネットがグローバルな環境と考えられる一方で、ローカル市場におけるソーシャルメディアやプラットフォームは、地域ごとに特色があります。例えばFacebookは、イラン、ベトナム、北朝鮮では利用できません。同様にTwitterが禁止されている国も多いです。
下図のMother Jonesによるソーシャルメディアマップは、どこの国でどのサービスが禁止されているかを示しています。
上図からもわかるように、自身のビジネスにおけるターゲットに対して、最適なプラットフォームを選択する必要があります。
またターゲットにリーチするために、ローカルに根付く代替メディアの利用を選択肢のひとつとして考えるべきでしょう。例えば中国であれば『Sina Weibo』、イランやアフガニスタンであれば『Facenama』が挙げられます。
【考慮すべきこと】
- 国際法とローカルエリアの法律(GDPRを含む)に最適化されているか?
- サービスを展開する国で好まれるプラットフォーム/禁止されているプラットフォームは何か?
- 国の政治情勢とブランドのコンセプトに不一致はないか?
経済的な環境要因も、国家レベル、また特定の属性レベルで評価すべきです。
例えばあなたのブランドは、より年齢が若い属性に魅力的なスタイルとしてポジショニングを行っているのにも関わらず、可処分所得を多く持っている中高年層向けの価格帯になってはいませんか?
経済的要素を考慮することで、ターゲットに対して価格を調整したり、低コストの代替品を提供するなどの施策を検討できます。(例:「ベーシックプラン」「プレミアムプラン」など、購読プランを分けて提供する)
最近は特にインターネットが普及しているため、以下のようなさまざまなプライシング手段が考えられます。
【考慮すべきこと】
- 競合の価格やサービス提供状況はどうなっているか?
- 第1優先、第2優先、第3優先のターゲット顧客と、それぞれの経済状況はどのようなものか?
- 過去のセールスやプロモーションの成功例は何があるか?
社会的・文化的に受け入れられるかどうかは、新しい市場を切り開くうえで重要になっています。
興味深い事例として、『Moonpig』の例を紹介します。Moonpigは、誕生日、結婚式、そしてクリスマス、宗教文化にあった、幅広い種類のカードを提供しているサービスです。
もともとは誕生日、結婚式、クリスマスなどの一般的なカードのみを提供していましたが、最近は社会的・文化的にサービスの形を変えてきました。
あなたのビジネスは、ターゲットオーディエンスについて、きちんと理解していますか?
彼らはインターネットに、どれくらいのレベルでアクセスできていますか?
もし彼らがインターネットにアクセスできなければ、どのようにコンタクトしますか?
インドのインターネット普及率は世界と比べて最低レベルですが、その一方でSMSを通じた求人サービス『Babajob』という人材サービスはSMSを通じた求人サービスを提供しています。そこで必要なのは、携帯電話と電話番号だけです。
【考慮すべきこと】
- 提供するサービスの顧客は、どのような信条、習慣、人種、性別、社会経済的なバックグラウンドをもつものか?
- 顧客のインターネット利用習慣はどんな状況か?(年齢によっても大きく異なる)
- 顧客のインターネットへのアクセシビリティはどんな状況か?(国、収入状況によっても大きく異なる)
デジタルマーケティングについては、他の要素と比較しても考えやすいでしょう。
重要なのは、どんなデバイスでどんな技術が使われているか。デバイスはデスクトップなのか、モバイルなのか、タブレットなのか、ウェアラブルデバイスなのか……を考えることです。
全ての企業は、顧客が使っているデバイスで、ウェブサイトがどのように表示されるかを考えるべきです。またウェブサイトは、全てのデバイスにおいて使用できる状態がベストです。顧客がどのようにあなたのサービスを発見するか注意深く観察し、顧客行動に合わせた設計を目指しましょう。
British Airwaysは、顧客が同社の公式Twitterアカウントを、カスタマーサービスプラットフォームのように利用していることを発見しました。その後同社は、Twitterをそのような役割として運用していくことに決めました。
また、ひとつのチャネルに依存するのは好ましく有りません。ユーザー層が変化した場合に備えて、さまざまなプラットフォームの利用状況や普及率を常に考えておく必要があります。
【考慮すべきこと】
- 顧客が使うデバイスや、そのスクリーンサイズの想定は適切か?
- 新しく登場した技術が、あなたのサービスのチャネルとなり得るか?
オンラインにおける法的な問題は、必ず考えるべき問題です。法的観点での見落としは、利益だけでなく、ブランド自体に大きく影響します。
例えばサービスをグローバル展開する場合は、さまざまな国のさまざまな法律に適合しなくてはなりません。仮にアルコールのプロモーションをするためにFacebookページを立ち上げたなら、年齢と国の設定を確認する必要があります。イギリスであれば、18歳以上のみ閲覧可能にすべきでしょう。これらを見落とせば法律違反となり、あなたのビジネスにネガティブな影響を与えることとなります。
音楽配信サービスの『Spotify』は、アメリカで2013年にスタートしました。しかしカナダでは2014年の10月に利用開始となっており、これは法的な理由によるものだと思われます。Sportifyのような音楽配信サービスが、著作権料としてどれくらい支払わなくてはならないか、明確な基準がなかったのも原因のひとつです。2014年5月にカナダの著作権委員会は、音楽配信サービスを運営する企業はレコーディング料を支払うべきだという決断を下しました。
このルールに基づき、1,000回再生につき10.2セント程度を支払う決まりになりました。この金額は、カナダの音楽業界から要求された数字よりもかなり低いものでした。彼らはもともと1.0ドル〜2.3ドルを狙っていたそうです。
【考慮すべきこと】
- 著作権への対応ができているか?
- データ保護法への対応ができているか?
環境的要素は、マーケティングの中でも急成長している分野です。
大きな成長は、パッケージ包装とその廃棄物にも大きな影響を与えます。企業がパッケージングを再考している国もあります。
例えばアイルランドでは、持ち運び用のビニール袋は有料となっています。また『Envirosax』は、ハンドバッグやポケットにおさまる折りたたみバッグの製造販売サービスを行なっています。
あなたのブランドの環境配慮について評価するのは難しいですが、ブランドで用いる素材面からアプローチしてみるのも良いでしょう。
もしあなたが食品やコスメを販売しているのであれば、材料がどのようなところから来て、どのようにテストされているかをチェックしましょう。
あなたのブランドが環境に対してポジティブな変化が加われば、あなたのブランドは環境に優しいという印象を顧客に与え、エコなマインドを持っている顧客を惹きつけます。
例えばフェアトレードによって、途上国の生産者に適切な対価を与えることでも、環境に優しいアプローチを示せるのです。
【考慮すべきこと】
- 商品やパッケージングはエコか?
- 仕入れ、取引、テストが倫理的に適切なものか?
- 環境プログラムやパートナーシップにブランドが参加しているか?
PESTLE分析は、どんな規模のビジネスにおいても、脅威や機会を特定できます。
デジタル時代に成功する会社は、これらの機会を見つけ、新しいプロダクトをつくったり、新しいマーケットに向けて動いたりできる企業です。その際の評価は、常に顧客をイメージしながら実施しましょう。
一方で、PESTLE分析を避け続けて来た会社のひとつとして、長い歴史を持つイギリスの音楽小売会社であるHMVがあります。元々はレコードを売っていましたが、インターネットの社会的なインパクトに対応すること(特にオンライン販売)に失敗しました。結果的に同社の売上は、実店舗にCDを買いに来る顧客が少なくなるとともに減少しました。音楽配信サービスの誕生により、HMVのビジネスモデルは不必要になったのです。
HMVの転落は、HMVの広告エージェンシーとして働いたことのあるフィリップ・ビーチングが説明しています。彼は新しいMDが任命された後、HMVの広告の仕事の引き継ぐ際、新しいMDと新しいチームにこのように言ったそうです。
「HMVに対する3つの最大の脅威は、オンライン小売業者、ダウンロード音楽、そして商品を割引価格で売るスーパーマーケットです」
しかし残念なことに、その時のMDは同じような考察を持っておらず、この発言にひどくネガティブな反応を示したそうです。
「突然MDが会議を止め、明らかに怒っているように見えました」
(原文:James Story 翻訳:Ogita Akiko)
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