FREENANCE Ad

古性のちに聞く、海外で旅をしつつどう働くか。「リモートワークの必需品」編

リモートワーク の必需品
FREENANCE Ad

こんにちは。リモートワークのやり方を試行錯誤中のライター・さくらいみかです。

私は以前「首都圏〜島根の800kmの遠距離リモートワーク」をしていたときに、意思疎通や仕事の進め方にやりづらさを感じることがありました。国内でもこうなのだから、海外にずっといて日本とやり取りしてるような人には、もっと色々あるに違いないと思います。

未知の世界

そこで今回は、世界中を旅しつつリモートワークをしている古性のちさんにインタビューして、海外リモートワークのリアルな姿を覗かせてもらいました。

古性のち
古性のち

1989年生まれ。2016年に会社を退職し、フリーランスへ。「日々に小さなときめきを」をコンセプトに世界中を旅しながら、日々の美しさを切り取るフォトグラファー・物書き。これまで訪れた国は30カ国以上。1年の半分を海外、半分を日本で過ごすノマド生活をしています。写真の他、コラムやエッセイ、コミュニティ運営など多方面で活動中。Twitter

オンラインミーティングのバーチャルな感覚を埋める

さくらい:海外から日本にいる人とやり取りするときって、どんなツールを使っているんですか?

のち:チャットでのやり取りでは『Slack』を、ビデオ通話は『Zoom』を使ってます。

さくらい:使うツールはコレ、というのは決めてるんですか?

のち:いまってツールの種類がいっぱいあるじゃないですか。情報整理をしやすくするために、なるべくプラットフォームは1個にまとめるようにしています。Zoomは1対1なら無料で時間制限なくビデオ通話ができるんですけど、場合によっては4~5人同時にやり取りすることも多いので。何人はいっても無制限という有料のツールをいつも使っています。

古性のち1

さくらい:スムーズに物事を決めるために、なにか工夫してたりしますか?

のち:オンラインだと音が途切れて、「すいません、もう1回言ってもらっていいですか?」みたいなことが起こるじゃないですか。アプリの調子が悪くて「じゃあZoomじゃなくてLINEに切り替えます」とか、「後ろがうるさくて聞こえないので、ミュートにしてもらってもいいですか?」とか。

さくらい:話の流れを止めてしまうけど、言わないと仕方ないやつですね……。

のち:はい。無駄なやり取りが多くなりがちだったので、前段の準備をしっかりするようになりました。オンラインミーティングが始まる前に、たとえば「周りの物音がない場所でお願いします」「カフェでのミーティングはお控えください」「電波状態を事前に確認してください」みたいな注意事項を自分から送るようにしたんです。そしたら、それ以降からはかなりスムーズにできてますね。

さくらい:事前に伝えておくだけでも違うんですね。

のち:あとは、モニター越しに顔は見えているんですけど、どうしてもバーチャルな感じがしてしまって。

さくらい:表情の細かいところまで感じ取れなかったり、感情が読み取りづらかったりする感覚ってありますよね。よく分かります。

のち:それだと距離感が詰められないので、ミーティング始まる前に毎回アイスブレイクを5分間もうけるようにしています。議事録の最初に「近況報告」という項目を入れて、主題と関係ないこと話すようにしてるんです。「最近妻の誕生日で、いいところ行ったんだよね」「めっちゃいいですね!」みたいな雑談を挟んで、対面で得られるぬくもりを補完する、というのをしてます。

さくらい:ミーティングの流れに初めから組み込んでおくのはいいアイデアですね。

古性のち2

のち:また対面の回数が少ないと仲良くなりづらいので、メールとかにも「最近寒くなってきましたね」みたいな季節の挨拶を入れたりしてます。

さくらい:直接会う機会がほぼないと、そういうのあったほうがやり取りも円滑になりそうですね。連絡を取るときは、日本との時差を気にすることもきっと多いですよね。

のち:時差が2~3時間だとそんなに支障がないんですけど、6時間以上になると日本時間で夜のメールを控えたり、事前に「時差が6時間あるので、すみません」というようなメールを送ります。

さくらい:最近の拠点はタイでしたっけ。日本との時差は何時間ですか?

のち:2時間なので、タイはあまり支障がないですね。いままで経験した一番大きな時差はマイナス9時間のアイスランドでした。ミーティングのときには、約束した日本時間と本当に合ってるか何度も数えてドキドキしながら繋げていました(笑)。

PCやiPadは盗まれる?! だんだんスマホでも進められる仕事が多めに

さくらい:デザイン、写真、ライターなど、いろんな仕事を受けられてると思いますが、どれがやりやすいですか?

のち:始めた頃は「デザイン:ライティング=5:5」ぐらいでしたが、いまは「写真:ライティング=6:4」ぐらい。仕事内容は変わってきてますね。

さくらい:最近はデザインの仕事をほとんど受けられなくなったんですね。

のち:海外って思わぬトラブルが多いので。乗る予定だった飛行機が飛ばなくて空港で「わーっ!!」ってやってる間にも「修正まだですか?」みたいな連絡がくる感じで……。

さくらい:あー、そういうときにPCを開いてデザイン修正って無理ですね。

のち:ライティングは、iPhoneで思いついた言葉をメモしたり、原稿を修正したりできるし、写真の仕事も「これ送ってください」って言われたらiPhoneから送れるので、空港や電車、バスに乗りつつでもすぐに対応できるんですけど。デザインの仕事はどうしてもPCが必要になるので、パッと対応するのは難しくて。

古性のち3

のち:デザインって感覚的な要素が多いので、「実はこうじゃない」みたいなのが起きやすい。修正のやり取りがすごい多いんですよね。

さくらい:修正自体も、修正のやり取りも対応しづらいんですね。ライターの仕事はほとんどiPhoneでされるんですか?

のち:そうですね。コラムやエッセイの仕事が多いので、iPhoneのメモ帳にわーって書いています。取材記事を書くときは書き起こしなどをPCでやりたいので、カフェに行ったときに作業することが多いですね。

さくらい:なるほど。

のち:ちなみに海外でPCやiPadを開くと、スリに狙われやすいんですよ。スマホはiPhoneだと盗まれやすいので、Appleマークが見えないようにカバーをつけています。

さくらい:今日もポシェットにiPhoneを入れていますね。旅行中もこんな感じで持ち歩いてるんですか?

のち:旅行中は、さらに100均の黒いiPhoneカバーをつけて安そうな感じにしています。

古性のち4

さくらい:ポシェットだと安全ですか?

のち:身体にくっついているほうが引ったくりにも遭いにくいんですよ。かといって、ファスナーだといちいち開けるのがめんどくさいですし。

さくらい:海外はやはり盗まれないように気をつけないといけないんですね。

のち:じつは1回盗まれたことがあるんですよ。

さくらい:え!?

のち:チェコでiPhoneが壊れちゃったときに、仕事もできるし……と思って、iPadを買ってカフェで使ってたんです。そして泊まっていたゲストハウスに戻って、iPadをベッドの脇に置いてトイレに行って……戻ったらなくなってました。

さくらい:ええええ!! 買ったその日に!?

のち:カフェからつけてきた人がゲストハウスの宿泊者を装って入ってきて……。私がiPadから目を離すタイミングを狙っていたみたいです。それが防犯カメラに映ってて。

さくらい:ゲストハウスはそんなに誰でも自由に入れる感じだったんですか?

のち:泊まってたところが50人とか入れるところで、泊まってる人を装って私の後ろから入ってきて。なので外で作業するときは、スマホのほうが安全なんです。

さくらい:PC作業がどうしても必要なときってどうするんですか?

のち:最近はそこまで警戒してないんですけど、できるだけ価格帯が高いカフェでPCを開くようにしてます。けど、国によるかなー。住んでたタイは全然日本と変わらないので、普通に街中でも開いたりもするし、色んな所で使ってました。治安的に不安がある場合はコワーキングでPC作業するようにしてます。

さくらい:「この国は大丈夫」って判断はどうやってするんですか?

のち:ネットで調べるのもあるし、とりあえず2日間は様子見て「ここいけるかも……」と徐々にPCを開く……。

さくらい:なんとなくの空気感……?

のち:隣のテーブルで普通に欧米人が仕事してたり、街を歩いててそんなに浮浪者がいなそうだと「経済的に安定してる国かも」とか。あとApple製品の普及率も見ます。

さくらい:Apple製品って持ってるだけで狙われるだけでなく、そんな治安のバロメーターとしても使えるとは……!

のち:余談ですが、ウズベキスタンとかはそもそもAppleが普及してないので、Macbookを開いたら「ねーねー、それApple? すごい、初めて見た!」みたいに人が集まってきちゃいましたね(笑)。

さくらい:ええっ、そういう感じなんですか! 珍しがられるのか……。

不測の事態に備え、なにより必要な充電

さくらい:ほかに、海外だからこそ必要なものってありますか?

のち:日本にいると、音のない静かな場所って選びやすいじゃないですか。でも、たとえばインドに行った場合、どこに行ってもめっちゃうるさいんですよ。どうしてもうるさい環境でミーティングしなきゃいけない場合があるので、単一指向性マイクを使って自分の声だけ拾うようにしてます。

さくらい:日本で買ってから行くんですね。

のち:そうです。

さくらい:そもそもこの働き方って、騒音とか気にならない人の方が向いてる感じですよね、やっぱ。

のち:旅しながらのリモートだと、わりとタフで鈍感な人が多いかな……(笑)。

古性のち5

のち:あとはカフェでコンセントの取り合いになることがあるので、タコ足のプラグを持って行って、周りの人に「みんなで使おう」ってお願いして使ってもらう、みたいなことは結構します。

さくらい:日本にいても「タコ足、カフェにあればいいのに!」ってたまに思うことありますね。

のち:それと、大容量バッテリーは絶対に持って行きます。なかには計画停電がある国もあるんです。「1時~5時は電気と水は一切使えません!」みたいな。いまは解決されてるかもしれないですけど、前にスリランカに行ったときは毎日のように電気と水が止まってました。

さくらい:現地の人は、それに合わせて生活してるんですか。

のち:現地の人は停電の間、昼寝したり、海で泳いだりして暮らしてますね。カフェでもみんなダラダラとゲームしてたり。

さくらい:優雅でいいなぁ……。

のち:そういうときがあるので、充電は絶対貯めておきます。ちょっと重たいんですけど、これとかフル充電で5回ぐらいいけるので。

大容量バッテリー Cheero

▲古性のちさんが愛用している大容量バッテリー『Cheero』

次回「世界各国での暮らし方」編へ続く

話を聞いていると、日本で仕事をするときにもマネできそうな技と、海外ならではの話が入り混じっていました。また、「タイってそんなに仕事しやすいのか!」という驚きとともに、一度体験してみたいとも思えてきます。

今回は「リモートワークの必需品」に絞った話でしたが、次回は「世界各国での暮らし方」の話をじっくり聞いてみようと思います。

>>後編はこちら(世界各国での暮らし方)

(執筆/アイキャッチ:さくらいみか 撮影:Uchida Kazuyoshi 編集:Tatsuguchi Hatsuko)

SHARE

  • 広告主募集
  • ライター・編集者募集
  • WorkshipSPACE
週2日20万円以上のお仕事多数
Workship