フリーランスは賃貸物件を借りにくいって本当? 家を借りるコツも解説

賃貸

フリーランスになり「入居審査が厳しく賃貸物件を借りられない」と耳にした経験はありませんか?

結論から言えば、たしかに会社員より家が借りにくくなることは事実ですが、十分な収入と実績があれば家を借りることは可能です。

この記事では、フリーランスで賃貸物件を借りるための入居審査や賃貸契約の条件、フリーランスが賃貸を探す際に便利なサービスをご紹介します。

フリーランスが賃貸物件を借りにくいって本当?

日本最大級の不動産ポータルサイト『LIFULL HOME’S』は、フリーランスを対象に「フリーランスの住まい探し実態調査」を実施しています。こちらの結果から、フリーランスの家選びの現状を見ていきましょう。

本調査では、収入が300万円以上あるフリーランスを対象にしたにもかかわらず、46.5%が「フリーランスという理由で賃貸物件探しに困った、苦労したことがある」と回答。一定の収入があったとしても家選びに苦労しているようです。

▲出典:LIFULL HOME’S

また、フリーランスの17.1%は「賃貸物件を探したものの、契約に至らなかった」と回答。この割合は会社員の2倍以上になっており、家探しに困るのはもちろん、入居できなかった経験を持つ人も一定数存在することがわかりました。

会社員と比較して「入居審査の不安」や「物件の選択肢が狭い」などの感想を抱く割合が多く、仮に入居できても不自由な家選びを強いられていることがわかります。

フリーランスが賃貸物件を借りにくい理由

まず、フリーランスが賃貸物件を借りにくい理由を見ていきましょう。

理由1. 収入が不安定とみなされる

賃貸物件の審査では、収入の安定性が重視されます。なぜなら、大家や家賃保証会社の目線では「安定した収入を得ていれば、家賃を滞納する可能性が低い」と判断されるからです。

会社員であれば、毎月決まった額の給与を受け取ることが一般的ですが、フリーランスの場合は、仕事量や案件によって収入が変動することは珍しくありません。そのため、貸主や大家から「家賃を滞納するのではないか」と不安視され、審査に通りにくい傾向があります。

理由2. 収入や仕事内容を証明しにくい

会社員の場合は、勤務先に在籍確認を行うことで、収入や勤続年数などの情報を確認することができます。しかし、フリーランスの場合は、在籍確認を行うことが困難です。そのため「この人は本当に働いているのか?」と疑念を抱かれる可能性があります。

理由3. 社会的信用が低い

日本では、やはり会社員が一般的な存在として位置づけられています。そのため、フリーランスの認知度は会社員に比べて低く、「フリーターと同じでしょ」といったように、実態が正しく認識されないケースも多いです。

結果、収入や仕事内容に問題がなくても、審査に落ちてしまうケースはあるでしょう。

フリーランスが賃貸物件を借りるための条件

フリーランスが不利な立場にあることはご理解いただけたと思いますが、そうは言っても賃貸物件を借りられないわけではありません。

下記にまとめた条件面をクリアできれば、フリーランスでも問題なく家を借りることは可能です。

条件1. 家賃を継続的に支払う能力があると証明できる

これは会社員の場合も同じですが、支払い能力は賃貸契約における入居審査時にもっとも重要視される点です。

フリーランスとしての収入を証明するために、「収入証明書」として以下のような書類を用意しましょう。

  • 確定申告書の写し
    年度末に個人事業主や法人、フリーランスが納税すべき税額を、税務署に申告するための書類
  • 課税証明書(非課税証明書)
    年間の所得額に応じて支払う住民税の証明書。一般的には市役所や区役所で数百円で発行可能
  • 納税証明書
    年間の所得額に応じて支払う所得税の証明書。税務署にて370円から発行可能で、オンラインでの交付請求や郵送にも対応
  • 所得証明書
    前年1月1日〜12月31日の所得を証明する書類。自治体によっては発行ができないケースも

なお、収入が不安定で支払い能力に疑問を持たれそうな場合、預金残高を証明して支払い能力をアピールする方法もあります。

条件2. 身だしなみや応対で悪印象を与えない

内見や不動産の申込を行う場合、管理会社や大家が立ち会うケースも珍しくありません。その際、申込者の身だしなみや態度、言葉遣いなどもチェックされていると考えていいでしょう。

ただし、丁寧に接しようと緊張しすぎて、内見や重要事項の確認がおろそかになっては本末転倒です。不潔な印象やガサツな印象を与えなければ大丈夫なので、自然に対応するようにしましょう。

条件3. 管理会社やオーナーの理解がある

賃貸物件の入居を決めるのは、大家や管理会社です。仮に支払い能力に問題がなくても、2人入居NGや外国籍NGなど、別の理由で入居を拒否されるケースがあります。

それと同じように、フリーランスの場合は「収入が安定していない」と認識されることがあり、支払い能力や保証人の条件が問題がなくても、賃貸管理会社やオーナーの意向で審査に通らない場合も……。

入居条件で問題がないのに審査が通らない場合は、別の物件を探したほうがいいかもしれません。

フリーランスが賃貸物件を上手に借りるコツ

フリーランスが賃貸物件をうまく借りられない場合の対処法には、以下の4つが挙げられます。

コツ1. 連帯保証人を立てる

収入が不安定な場合、あるいは開業直後で収入の証明が難しい場合でも、収入の安定した連帯保証人を立てることで家を借りられるケースがあります。

特に、親など自分と距離が近い保証人さえいれば、家賃未払いのリスクが減るため契約しやすくなるでしょう。

コツ2. 家賃を抑える

家賃が高すぎると、収入に対する負担が大きくなり、審査に通りにくくなります。あくまで目安ですが、最大でも手取り収入の30%程度を目安に家賃を設定するとよいでしょう。

一般的には年収の30%で年間の家賃を支払うことができれば審査にとおると言われています。以下の表を参考に、まずは審査に通る範囲の物件を選びましょう。

年収 家賃/月
200万円〜300万円 50,000円〜75,000円
300万円〜400万円 75,000円〜100,000円
400万円〜500万円 100,000円〜125,000円
500万円〜600万円 125,000円〜150,000円
600万円〜700万円 150,000円〜175,000円
700万円〜800万円 175,000円〜200,000円

コツ3. 審査が甘い物件を探す

同じ賃貸物件といっても、誰もがうらやむ高級賃貸物件から、借り手がつかず大家が困り果てている物件まで、置かれた状況はさまざま。後者のような物件は「誰でもいいからとにかく入居してほしい」と思っているケースも多く、このような入居審査が比較的甘い物件を探すことも有効です。

ただし、入居者が集まらない物件には「築年数が古い」「利便性が悪い」「家賃が割高」など、何かしらの問題点があるもの。その問題点を許容できるか、よく検討してみましょう。

コツ4. シェアハウスを検討する

どうしても賃貸物件を借りられない場合は、シェアハウスを検討するのも一つの方法です。シェアハウスは、家賃を抑えられるだけでなく、一人暮らしに不安がある人にもおすすめです。

また、シェアハウスは特色がさまざまで、「フリーランス」「ギグワーカー」「エンジニア」などに特化した物件も。そういった物件は、フリーランスでも借りやすいと考えていいでしょう。

フリーランスの家賃は経費になる?

自宅で働くことも多いフリーランスは、家賃を経費にできるのか気になるところです。

結論としては、全額ではないものの、妥当な額を経費にすることが可能です。自宅を自宅兼事務所として活用している場合、事業で活用している割合だけ家賃を経費にできます。

ちなみに、このような「事業でもプライベートでもある支出」の一部を経費にする場合、会計上は「家事按分」という作業を行い、事業で使った割合に応じて算出していきます。

事業用部分の割合は「事業で自宅を使った時間」「事務所部分が自宅に占める割合」などから算出するのが代表的です。

フリーランスが賃貸物件を借りるために便利なサービス

収入が少ない状態で、フリーランスが賃貸を借りるのは簡単ではありません。しかし、そんなフリーランスのためのサービスがいくつかあります。ここでは2つをご紹介します。

サービス1. FRIENDLY DOOR

▲出典:ホームズ

日本最大級の不動産ポータルサイトであるLIFULL HOME’Sは、冒頭で触れたようにフリーランスが家を借りにくい現状を調査。結果を踏まえ、家を借りにくい「住宅弱者」も対応してくれる不動産会社を探せるサービス『FRIENDLY DOOR』の対象にフリーランスを加えました。

サービスとしても、日本トップクラスの物件情報を保有しているため、ニーズに合わせて物件を探せるのが魅力です。一般のアパートやマンションの賃貸だけではなく、戸建てや事務所、テナントの賃貸物件まで豊富に取り扱っています。

サービス2. smeta

smeta

▲出典:smeta

smeta』は、フリーランス向けの与信サービスです。

本人確認書類や収入等の情報をもとに、事前与信(借りられる家賃の上限額)を得られます。与信枠内の家賃の中から部屋を選ぶと、審査不要で契約可能。与信枠を決定してくれるため、効率よく部屋を探せます。

また、smetaを利用して毎月の支払い状況を蓄積していくことで、次回の引越しで与信枠を広げることもできます。

理想は「会社員のうちに賃貸契約する」or「収入が安定した翌年以降に引越しを検討する」

フリーランス向け賃貸サービスなど環境は整ってきているものの、「フリーランス=不安定」というイメージから貸し渋る管理会社やオーナーはまだまだたくさんいます。

なのでもっともおすすめなのは、フリーランスとして独立する前の、会社員のうちに賃貸契約をしておくことです。会社員であれば与信がしっかりしているため、審査が通りやすい傾向にあります。

その後、収入が安定した翌年〜翌々年のタイミングで収入証明書を発行すれば、フリーランスでも審査に通りやすくなります。

これからフリーランスとして独立を考えている方は、参考にしてみてください。

(執筆:Workship MAGAZINE編集部 編集:Sato Mizuki)

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