フリーランス翻訳家になるには? 年収・単価相場、必要なスキル、求人サイトを紹介

外資系企業や海外コンテンツが日本に多く進出してきている現代。経済的にも文化的にも海外が身近になっており、「自分の語学力を活かし、フリーランスの翻訳家になりたい」と考えている方もいるでしょう。

そこで今回は、フリーランス翻訳家の基礎知識からなるために必要なスキル、年収や、フリーランス翻訳家におすすめの求人サイトについてご紹介します。

フリーランス翻訳家になるには?

翻訳家の仕事は、文学作品や学術書、ニュースなどの様々な文章について、外国語を日本語に、日本語を外国語に訳す仕事です。

そんな翻訳家になるためには、一般に特定の資格や免許は必須ではありませんが、語学力等の翻訳スキルを高める必要があります。

クライアントによっては、TOEICスコアやJTAの「翻訳専門職資格試験」、特定の「翻訳能力検定試験」といった資格を求められる場合もあるため、自分の語学力を証明できる資格を取得しておくと、仕事の受注に繋がりやすいとも言えます。

▲出典:厚生労働省「jobtag 翻訳者」

厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、翻訳家(翻訳者)の一般的な就業形態としては「自営・フリーランス」が81.0%となっており、翻訳家としてフリーランスの形態で働いている人が最も多いことがわかります。

主な仕事の受注形態としては、フリーで自分で仕事を見つけるケースや、翻訳会社に登録してフリーで活動するケース、また翻訳会社に契約社員や派遣社員、また正社員として勤めるケースなどがあります。

近年はインターネットで仕事を受注できるプラットフォームも多く発達しているため、個人で仕事を受注するハードルは下がっていると言えます。

翻訳家の仕事の種類

翻訳家の仕事と一口に言っても、翻訳する対象はさまざま。仕事内容としては主に「出版翻訳」「映像翻訳」「実務翻訳(産業翻訳)」の3種類に分類されます。それぞれの具体的な翻訳対象例は以下のとおりです。

【出版翻訳】

  • 学術書
  • 雑誌
  • 文学作品

【映像翻訳】

  • 映画・映像の字幕
  • 映画・映像の吹き替え

【実務翻訳(産業翻訳)】

  • ビジネス書
  • ニュース記事
  • マニュアル・説明書
  • 法律文書
  • 契約書
  • 商談の通訳
    など

翻訳需要の大半を占めるのは3つ目の「実務翻訳(産業翻訳)」と言われており、フリーランス翻訳者の多くは実務分野の仕事をしています。

フリーランス翻訳家の年収・単価

フリーランス翻訳家の年収

通訳・翻訳ジャーナル

▲出典:通訳・翻訳ジャーナル 2019年夏号

2019年に実施された通訳・翻訳ジャーナルの調査によると、フリーランス翻訳者の平均年収は411万円です。

なお、アンケート対象者は実務経験が3年以上の翻訳者であるため、未経験の場合は多少下がると予想されます。グラフでは年収100万円未満の翻訳者も多数いますが、副業系フリーランス翻訳者とのことです。

ジャンル別翻訳案件の単価

ひとことで「翻訳」といっても、翻訳する内容に応じて単価は変わります。そのためジャンル別に翻訳案件の単価をみていきたいと思います。

日本翻訳連盟

▲出典:日本翻訳連盟

上記の画像は、日本翻訳連盟が公開している翻訳料金の目安です。

もっとも高いのは、「医学・医療・薬学」の翻訳です。医学翻訳が高単価になる理由は、求められる専門性の高さと専門用語の多さ、最新の情報をアップデートし続けなくてはならないことにあると言われています。そのほか、「金融」や「経営管理・財務・契約書」など専門性が要求されるものになるほど、料金が高くなるのが分かりますね。

翻訳未経験で知らないジャンルを翻訳をするのは困難なことです。まずは、これまでのキャリアで培った専門性を活かせるジャンルに挑戦するのがよいでしょう。

言語別の単価

言語ごとに翻訳の需要や翻訳者の数などが異なるため、その単価はさまざまです。つぎは、地域別に言語ごとの単価を見ていきましょう。

アジア言語

日本語→外国語 外国語→日本語
中国語 6円〜8円/字 8.5円〜11円/字
韓国語 6円〜8円/字 7円〜8円/字
台湾語 8円〜10円/字 11円〜12.5円/字
タイ語 9円〜11円/字 16.5円〜24円/字
ベトナム語 10円〜11円/字 22円〜24円/字
インドネシア語 9円〜11円/字 18円〜24円/字

(出典:EMEAO「39ヶ国語の翻訳費用の相場一覧」より一部抜粋)

日本と経済的/文化的にも密接なアジア圏ですが、他地域に比べると案件の単価は劣ります。一方で案件数が多いのが特徴です。ただし、経済/政治的に不安定な国もあり、情勢によっては仕事数の増減が激しい言語もあるでしょう。

ヨーロッパ圏のメジャー言語と比べると学習者が少なく、初心者からでも参入しやすい言語になります。日本に身近な地域であるため、リサーチの際にも比較的情報が手に入りやすいのが嬉しい点です。

西ヨーロッパ言語

日本語→外国語 外国語→日本語
英語 8円〜9円/字 15円〜18円/字
スペイン語 10円〜12円/字 20円〜22円/字
フランス語 10円〜11円/字 15円〜22円/字
ドイツ語 10円〜12円/字 19.5円〜24円/字
イタリア語 10円〜11円/字 20円〜22円/字
ポルトガル語 10円〜11円/字 20円〜22円/字

(出典:EMEAO「39ヶ国語の翻訳費用の相場一覧」より一部抜粋)

英語をはじめ、「翻訳」をイメージしたときに挙げられる言語です。アジア圏に比べると、経済/政治的な影響を強く受けにくいため、安定した仕事が見込めるでしょう。

東ヨーロッパ言語

日本語→外国語 外国語→日本語
ポーランド 10円〜12.5円/字 20円〜26.5円/字
チェコ 13円〜23円/字 20円〜35円/字
ハンガリー 15円〜25円/字 20円〜35円/字

(出典:EMEAO「39ヶ国語の翻訳費用の相場一覧」より一部抜粋)

西ヨーロッパ言語に比べて、若干単価が上がりますが、募集は多くありません。

中東言語

日本語→外国語 外国語→日本語
アラビア語 12円〜12.5円/字 20円〜28円/字
トルコ語 14円〜22円/字 20円〜35円/字

(出典:EMEAO「39ヶ国語の翻訳費用の相場一覧」より一部抜粋)

案件数が多いわけではありませんが、数ある地域のなかでも、比較的高単価な案件が多いのが特徴です。

実際のフリーランス翻訳仕事例

次に、実際に募集されている翻訳の仕事にはどのようなものがあるか、クラウドソーシングサイトの発注相場を元に見ていきましょう。

仕事名 仕事内容 案件単価 納期目安
翻訳・通訳 オンライン商談の通訳 2,000円〜/時間
英語翻訳 英語動画の日本語翻訳 6円〜/文字 7日前後
中国語翻訳 約2,000文字の中国語記事の翻訳 6円〜/文字 7日前後
韓国語翻訳 約2,000文字の韓国語記事の翻訳 6円〜/文字 7日前後

(参照:CrowdWorks「クラウドワークス発注相場」)

クラウドソーシングサイトでは比較的単価の低い案件が多い傾向にあるため、正社員雇用や直雇用の場合、案件単価は上の表よりも高くなることが多いです。

フリーランス翻訳家になるには?必要な4つのスキル

対象の言語の語学力

フリーランス翻訳家として働くならもちろん、語学力は必須です。TOEICなど資格試験の点数を募集時に定める案件もありますが、求人サイト登録時に「トライアル」と呼ばれる実技テストを設けるケースがほとんどです。あくまで案件を獲得できるかは、その人の実力次第であるため、日頃の語学学習は欠かせません。

また翻訳の仕事では、辞書を使ったり、内容に関する情報を調べたりしながら進めるのがほとんど。そのため語彙力だけでなく、文構造をきちんと把握し、正しく訳す力も重要になります。

以下の記事では、体系的な英語学習ができる無料スマホアプリを紹介しています。ぜひチェックしてみてください。

翻訳する内容の専門知識

「翻訳案件の単価」の項目でもご紹介したとおり、翻訳の際には専門知識が必要です。ビジネスに関わる文章を訳す産業翻訳の場合、その業界の知識が求められます。

一方、映像翻訳や文学翻訳などでは、文化的背景に関する知識が必要です。語学が長けているだけではなく、その国ならではの文化や慣習に明るくなくてはなりません。

さらに、ジャンルごとに要求される技術もあります。たとえば映像翻訳では、一文に対する文字数に制限があるため、表現の幅が限られるなかで、英日/日英に訳す技術が求められます。

日本語力

じつは見落としがちなのが日本語力です。日本語と外国語の文構造は大きく異なり、直接翻訳すると不自然になってしまいます。自然な表現を目指すために、日本語ではあまり使わない表現や不自然なコロケーションなども調整していく必要があります。

たとえば、下記の例文のように、英語では無生物(雪、建物、機械など)を主語として使いますが、日本語では無生物を主語にしない傾向があります。そのため直接訳すと、違和感を覚える文章になってしまいます。

The heavy snow prevented him from going home yesterday.

英語の直訳:あの大雪は彼の帰宅を妨げた。

日本語的翻訳:あの大雪のため、彼は昨日家に帰れなかった。

(出典:wikipedia

このように翻訳する言語に関する知識はもちろんのこと、日本語の特徴を捉えることで、より自然な日本語訳を作れるようになります。

また、英語から日本語に翻訳する「英日翻訳」の方がより案件の単価が高くなる傾向があります。英日翻訳の需要を踏まえても、日本語力を磨くのがおすすめです。

営業力

フリーランスの翻訳家として活動するには、良質な案件を獲得するための「営業力」も重要になってきます。

字幕翻訳など人気が高い翻訳分野は特に、自分の強みや専門性をアピールし、他の応募者と差別化することが求められます。

人脈を広げることで仕事につながるケースもあるため、翻訳家として技術力を上げるだけでなく、自身の営業力を高めるもとも意識すると良いでしょう。

フリーランス翻訳家にまつわるQ&A

Q. 未経験でもフリーランス翻訳家になれる?

結論を言うと、未経験でもフリーランス翻訳家になることは十分可能です。

なぜなら、未経験者でも多くの人が登録できるクラウドソーシングサイト等を活用し、翻訳案件を獲得すれば「フリーランス翻訳家」と名乗ることができるからです。

しかし翻訳だけで生計を立てていくためには、高い語学力のみでなく、上で紹介したような「翻訳する内容の専門知識」「営業力」などいくつかのスキルも求められます。

はじめの内は実績を積み重ねることを意識して、比較的低単価のプロジェクトも受注し、徐々に自分の望む条件の案件を獲得できるようにステップアップするのもおすすめです。

Q. フリーランス翻訳家になるために必要な経歴は?

フリーランス翻訳家になるために、特定の学歴や経歴が必要になる訳ではありません

しかし、外国語専攻の学位や翻訳会社に勤めた経歴、また資格等があると、クライアントの信頼を得て仕事を獲得しやすくなると言えます。

また、特に実務翻訳では、外国語能力だけでなく技術や産業など特定の分野に関する高い知識も求められる場合があります。そのため、外国語とは別に自分の強みとなる経歴があると、案件を獲得しやすくなるでしょう。

翻訳家を目指す人のための翻訳学校やセミナー等もあるため、翻訳に関する基礎知識から身に付けたい人は、受講してみるのもおすすめです。

Q. フリーランス翻訳家はどうやって仕事を見つける?

フリーランス翻訳家が仕事を見つけるには、以下のような方法があります。

  • 翻訳会社にフリーランスとして登録する
  • 国内の求人サイトを利用する
  • 海外の求人サイトを利用する
  • SNSやサイトを活用する
  • 知り合いや人脈を頼る
  • コミュニティに参加する など

最も一般的な方法は、翻訳会社に登録して案件を受注することです。最初のうちは、翻訳が未経験の人も案件が獲得しやすい、クラウドソーシングなどの求人サイトを活用して仕事を見つけるのが、一番手っ取り早いと言えます。

フリーランス翻訳家向け求人サイト6選

1. Amelia(アメリア)

▲出典:Ameria

Ameliaは、産業翻訳をはじめ字幕翻訳や出版翻訳を取り扱う翻訳案件紹介サービスです。Amelia会員に入会することで、実力判定やスキルアップ制度を受けられたり、会員専用のコミュニティを利用したりできます。

またアメリアが独自に行なっている「クラウン会員制度」を使うことで、未経験でも翻訳の仕事に挑戦できます。さらにキャリアカウンセリングなどの手厚いサポートも。翻訳の仕事をはじめたばかりのフリーランスや未経験者の方におすすめなサービスです。

無料で参加できるコンテストもあるので、実力を試したい方はぜひチャレンジしてみてください。

サービス名 Amelia
運営会社 株式会社アメリア・ネットワーク
利用料 入会金:5,500円(税込)
年会費:16,500円(税込)
案件数 1500件/年間 600社以上登録
取り扱い言語 英語、アジア言語、西ヨーロッパ言語、東ヨーロッパ言語、中東言語

2. CrowdWorks

CrowdWorks

▲出典:CrowdWorks

クラウドソーシングサービスのCrowdWorksでは、翻訳案件も数多く取り扱われています。バイヤーの補助やECサイトの翻訳、外国語でのリサーチ、交渉代行までさまざまな翻訳業務が掲載されています。

他サイトと比べる案件数が多く、単発や急募の仕事もあるため、未経験者やいますぐ翻訳の仕事を獲得したいという方におすすめです。

サービス名 CrowdWorks
運営会社 株式会社クラウドワークス
利用料 無料
案件数 約6000件以上
取り扱い言語 英語、アジア言語、西ヨーロッパ言語、東ヨーロッパ言語、中東言語

3. Lancers

▲出典:Lancers

Lancers(ランサーズ)もCrowdWorksと同様のクラウドソーシングサービスです。「Webサイトの翻訳」や「取扱説明書の翻訳」など、幅広い翻訳・通訳案件が募集されています。

CrowdWorksと比較すると案件数は少なめなものの、未経験者でも応募できる案件が多く、初めのステップとして登録しておくのがおすすめです。

サービス名 Lancers
運営会社 ランサーズ株式会社
利用料 16.5%
案件数 依頼総数:27,977件
取り扱い言語 英語、アジア言語、西ヨーロッパ言語、東ヨーロッパ言語、中東言語

4. OCiETe

OCiETe

▲出典:OCiETe

OCiETeの魅力は、取扱言語の多さです。なんと44言語を取り扱っています。中国語(簡体字・本土)だけでなく、広東語や北京語などの分類にも細かく対応。さらにスワヒリ語など他のサイトでは募集の少ない言語も募集しているため、マイナー言語の語学力を活かして翻訳の仕事を請けたい方におすすめです。

取り扱う案件のほとんどはオンラインなので、自分の生活にあわせて柔軟に働けます。また登録者には情報漏洩保険が適用されるため、安心して仕事を進められるのもOCiETeの魅力です。

サービス名 OCiETe
運営会社 株式会社オシエテ
利用料 無料
案件数 800社以上登録
取り扱い言語 英語、アジア言語、ヨーロッパ言語、東ヨーロッパ言語、中東言語

5. サイマルインターナショナル

サイマルインターナショナル

▲出典:サイマルインターナショナル

サイマルインターナショナルでは、ビジネスやメディカル、IRなどの産業翻訳を中心に取り扱っています。そのほか、国際会議など公的な翻訳も行っているのが特徴です。

翻訳/通訳養成学校の老舗としても知られており、登録者にはスキルアップ支援としてワークショップやセミナー、講座を案内しています。フリーランス翻訳の経験が1年以上求められるなど条件があるため、フリーランス翻訳の経験があり、さらに力をつけたい方におすすめです。

サービス名 サイマルインターナショナル
運営会社 サイマルインターナショナル株式会社
利用料 無料
案件数 非公開
※ 翻訳通訳手配数:22,000/年間
取り扱い言語 英語、アジア言語、西ヨーロッパ言語

6. TRANSMART

TRANSMART

▲出典:TRANSMART

TRANSMARTは、クラウド翻訳サービスです。実力判定テストを行なっているため、経験や資格がなくとも登録することが可能です。ただし、仕事を受注するためには、本登録テストに合格する必要があります。

登録者は、TRANSMARTが提供する翻訳支援ツールを使用することが可能。発注者の用語集や翻訳メモリを確認できるため、高い業務効率で仕事を進めることができます。

サービス名 TRANSMART
運営会社 トランスマート株式会社
利用料 無料
案件数 非公開
取り扱い言語 英語、アジア言語、西ヨーロッパ言語、東ヨーロッパ言語

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(執筆:mozuku 編集:泉、野風真雪)

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